国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
冬柴大臣会見要旨(平成20年3月11日)

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  冬柴大臣会見要旨(平成20年3月11日)
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平成20年3月11日(火)
9:48〜10:28
国土交通省会見室
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

  おはようございます。本日の閣議は、一般案件が2件、国会提出案件が12件、法律案の決定が1件、政令の決定が3件と人事案件です。当省に関係するものでは政令の決定が1件、「浄化槽法施行令の一部を改正する政令」の決定がありました。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) 先週末に、大臣が改革本部長として発表された公益法人の削減等の見直しなのですけれども、その際、第三者委員会を近々立ち上げるとおっしゃっていましたが、その後の進展等についてお話ください。
(答) 外部の第三者の意見を基に、公益法人の業務のあり方、あるいは道路特定財源の支出のあり方などをご検討いただき、また併せて、今まで決定したものについても、それでいいのかどうか、今後の方針はどうかということのご意見を伺いたいと思っています。前回ご報告申し上げたとおりで、その点であまり進展はないのですが、日本公認会計士協会副会長の小宮山賢先生、同じく日本公認会計士協会常務理事であり、かつ、内閣府公益認定等委員会、会計に関する研究会のメンバーの亀岡保夫先生、元札幌高裁長官で元弁護士の梅田晴亮先生、この3人の方にはご承諾をいただいていますので、近々お話を伺いたいと思います。財界の方、それから学者の方については、ご推薦いただいているのですが、本人のご連絡をきちっといただいていないのでまだ報告できませんが、決まり次第、皆様方にご報告申し上げたいと思います。もう一つ、前にも言いましたが、財団法人公共用地補償機構の過剰な職員旅行ということで、その半額の1,050万円を返還するということになりましたけれども、その理事長の丸田哲司さんが5月の評議委員会及び理事会をもって退任するというご報告を頂戴しました。今のところそのようなところです。それで、そのような先生方に一同に集まっていただくことは、かえってそのために日が延びてしまうと困りますので、それより先生方に、今担当している問題についてご報告申し上げてご意見を伺うということも進めていきたいと思っています。
   
(問) 今の補足で質問ですが、人数は大体どのくらいなのでしょうか。
(答) この5人くらいです。
   
(問) 国営飛鳥歴史公園事務所の件なのですが、昨日、大阪地検特捜部が公園緑地課企画専門官を、いよいよ贈収賄で逮捕ということになったのですけれども、大臣の方からご所見をお願いします。
(答) 事務所長という重責にあった者が、予定価格の漏えいのみならず、その見返りに現金を受け取っていた疑いで逮捕されたということは、極めて遺憾でありまして、国民の皆様方に対して心からお詫び申し上げなければならないと思います。本人の供述が得られ次第、厳正に対処することは当然ですけれども、外部有識者から成る「公正入札調査会議」で水門談合のときに議論していただきました。そこでその改善措置及び実施状況の検証と再発防止策、本件にも当てはめて考えた場合どうなるのか、そのようなことも検証していただきたいと思います。平成19年の2月に行われた「公正入札調査会議」で意見を頂戴しているわけですが、今回の事件は、それに先立つ平成16年12月や平成17年7月となっておりますので、水門談合事案の対策以前の事件ということですが、この委員会の先生方にご意見を伺い、また再発防止策も考えていただきたいと思っています。
   
(問) 公共用地補償機構の件ですが、半額に近い1050万円を返還したということですが、半額の基準というのがよく分かりません。いわゆる肩代わりした分を全額返還してもらうということでもよかったと思いますが。
(答) 団体の方から言われてと思いますが、50名近い、事情の分からない個々の職員が旅行に参加しました。その職員から過去に使った分を返せと言うのは、無理があると思います。したがって、理事長等役員はもちろんですが、管理職にあった人から自ら返してもらいたいということが主になると思います。その管理職が30名ほどいますので、1人35万円でだいたいその額になると思います。それを今返してはどうかと。皆様もそれを快諾され、そうさせていただくということです。私はそれぐらいが良いのではないかという判断でいます。
   
(問) 今の話に関連してですが、理事長の退任については、大臣としては当たり前というご認識でしょうか。
(答) 本人自らの申入れでそのようになったことは、私は望ましいことだと思います。批判を受けるようなことが行われ、最高責任者としていろいろな思いからでしょうけど、自ら退任されるという決断をされたことはそれはそれで結構だと思いますし、今日皆様にそのことを報告をさせていただいたということです。
   
(問) 退任は望ましいことだと思いますが、これまで我々が取材してもなかなか理事長ご本人が取材に応じていただけない状況が続いてます。そもそも理事長らの豪華旅行が問題であって、大臣がこれまで何度か謝罪されていますが、理事長自らの謝罪も必要ではないかと思います。その点について大臣はどう思われますか。
(答) 私のコメントというよりも、丸田さんのご判断だと思います。
   
(問) 収賄事件ですが、先週関東地方整備局の課長が逮捕され、若干その事件が続いている感じがあります。再発防止策は外部の方を交えてお考えになると思いますが、それについて何かご所感はありますか。
(答) あなたのご指摘のとおりであり、私も恥ずかしい思いをしており、国民に対して申し訳ないという気持ちで一杯です。その問題につきまして、我々の方としても綱紀粛正を徹底しています。平素会合がある度に、会合の最後に私が綱紀粛正を徹底するよう言っています。酒酔い運転等絶対に許されないとか、コンプライアンスを徹底しなければ人生を誤りますとかです。わずかなことで懲戒解雇を受け、民事で賠償を求められることもあります。それから退職金も減額されたり、懲戒解雇になれば、もらえません。年金も減額されるかもしれません。そういう二重三重四重の、自分だけではなく、家族を巻き込んだようなことにならないように心がけるべきだし、是非それは心してもらいたいということを申し上げているところです。ただこういうことでご指摘のようなこともありましたので、文書でそういう注意喚起もし、こういうことが起こらないように気を引き締めてやって欲しいということは申し上げているところです。
   
(問) 道路特定財源に関し、衆議院予算委員会や国土交通委員会での大臣のご答弁の中で若干発言が食い違っている部分がいくつかあったので、本日伺いたいのですけれども、衆議院の予算委員会で、大臣は当初10年でこれが最後ですというご発言をされていたのですが、一方で国土交通委員会では自民党の議員からの質問に対して、10年が最後ではないというご答弁をされたかと思うのですが、どちらが正しいのでしょうか。
(答) 10年で最後ということではなく、私は10年を最後にしたいということです。自由民主党の一番最初に質問された方のもうこれで止めたらどうかというご発言に対し、私もそのように思っていますということを申し上げたわけです。それは10年たった段階で、その時の大臣なり内閣が決めることだと思いますけれども、私はその質問された方の「暫定税率も随分長くなっているし、こういうものを今回を最後にしてはどうかと思っているが君の考えはどうか。」という質問に対して、「私もだいたい同じような考えを持っています。」という答弁をしたということです。私自身それが齟齬しているとは思っていません。
   
(問) あとB/Cの1.2から1.0という部分なのですが。
(答) いつもそれがテレビでも出るのですが、1.2というのは平成19年11月の道路整備中期計画素案の124ページにB/Cの取り方が載っているのです。それを見ると10年間の計画が書いてあり、そしてその中に1.2というのがあるのです。ですからここに書いてあるでしょということを再三申し上げているのです。それで一応クリアしているのですけれども、今後10年間にわたって着工するわけですが、着工する場合には最新のものを使用します。将来交通需要推計値等は、最新のものを今年の秋に出すことにしていますが、実際、今の時点では、平成14年の秋に出たものが最新のものです。ですからそれは古すぎるではないかというご指摘もありますが、私どもは、今現在では最新の平成14年に出した将来交通推計でやっているということです。ただ、平成17年に交通センサスをやっているのですが、この交通センサスがあるではないかと言われます。それによれば将来交通量は下降線をたどっているではないかという大変勉強された指摘だと思いますが、そういう指摘を民主党の馬淵議員から受けました。それに対して、我々もそれは認識していますが、しかしそれはファイナルなものではないですよと言っています。それについてはいろいろなことがあって、日本国中を6千のマス目に分けて、その間で出発、到着を全部とってやるわけです。そういうものができ上がるまではということです。ただ下降しているということは無視できませんので、アローワンスとして0.2を足して1.2ということで点検はしました。しかし今後やるときは最新のものを使ってB/Cを取り、便益がコストを上回らない限り着工はしないということを一貫して言っているのです。その124ページに書いてあるのですよと、そこがあなたと食い違うのですと言ったつもりです。どうもこれが向こうではすぐ着工ということになってしまうのですが、私は1.2でクリアできると言っているだけです。グループ3というのは、1.2いかないのですが、1を超え1.2以下のものについては、現道を利用しコストを落とすことによってできるものがあります。グループ1とグループ2は全部1.2以上になっています。点検をしたものの成果がこれなのです。それをそのまま造るわけではありません。すぐに着工するものではありませんと何回も言っています。ただ、私も後で読んで、こういう誤解が生ずるなあと反省していますけれども、他のところを見て欲しいのですが、どこを読んでも、私は一貫して、これは点検であり、将来やる時には、またB/Cはきちんと最新の資料で検討し、財務省の検証をいただいて、予算が付けば着工するというつもりです。もちろんその中には、国土開発幹線自動車道建設会議の議論を経なければならない手続きもありますし、そういう所要の手続きを経てやるのですと申し上げているのですが、そこが違ったと言われています。それについては、28日に政府の統一見解ということで、今私が述べたようなことを申し上げたところです。そういう誤解を生ずる表現があったことは反省していますけれども、私の思想としては一貫しています。その前後を読んでもらえればわかりますけれども、笹木竜三さんへの答弁などは、明快にそのように述べています。
   
(問) 明石海峡での3隻の船の衝突事故から一週間がたとうとしています。大臣も視察されましたが、明石海峡の航路では、過密状態で多くの船が毎日行き交っています。ブイの増設の話は現地でもありましたけれども、その他、明石海峡航路全般についての対策は、今後どのように取っていこうと考えているのか、一週間たってのご所感と合わせてお願いします。
(答) 明石海峡は、前から備讃瀬戸とか、ものすごく輻輳するところで、日本でも一番船が過密なところだと思います。ここには海峡を横断する船もあります。カーフェリーなどが未だに就航していますから、海峡を渡っていく大型の外国船等もありますし、漁船や、風光明媚ですのでプレジャーボートもたくさん出ています。そういう意味で輻輳した海域で海難事故も多かったのですが、そういうことを受けて、淡路島の旧北淡町の山の上に海上交通センターという立派なものがあります。ここから航行する船に対して、どのようになっているかの指令をしているようですけれども、200メートルを超える巨大船が対象になっていて、今回衝突した3隻の船はそれ以下の船でした。ただ、警告とかそういうものはその船に流していたようですけれども、最初にぶつかった土運船については、それを受ける機材が無かったようです。したがって、そういうものの装置を付けてもらいたいとか、こういう過密なところはコンピュータで自動操縦するのではなく、人間が操縦して欲しいということは海上保安庁から通知を出されたところです。今、あなたがどう考えて言っておられるのかわかりませんが、私は素人の見方だけれども、もう一つブイを入れることによって今回の土運船のように急に横から割り込むような入り方ができないようなことが良いのではないかと申し上げました。ブイ一つ作るにしても、漁業者にとっては漁業の妨げになるようですので、いろいろと話合いを行わないとできないと思います。私はそのようなことも一つの方法だと思いますと現場で申し上げた次第です。安全についてはこれからも頑張っていっていただければと思います。
   
(問) 道路ですが、議論が進めば進むほど、大臣が説明すればするほどと言うと失礼かもしれませんが、各報道機関の世論調査を見ると、財源は特定財源をやめて一般財源化すべきだとか、暫定税率は止めるべきだとの意見が日増しに増えているように受けるのですが、大臣はどうお感じになって、何が足りなくてこのようになっていると思いますか。
(答) 非常に残念なことです。私としては、21世紀を生きる日本、道路整備がここで止まるということは、国際競争力が弱くなるし、日本の成長力というものが確保できるのかと思うのとともに、今、地方の経済が非常に低迷しています。こういうものを活性化し再生するためには、道路が非常に大事です。これはいつも申し上げているので重ねて言いませんが、その例はたくさんあるのです。道路ができることによってそこに工場が立地し、工場団地がたくさんできるというのはどこでもあるのです。そういうものが、今おっしゃるような国民の世論の流れからそのようになっていって暫定税率が廃止され、道路特定財源が一般財源化すれば、おそらく道路の整備というのはものすごく遅れ、あるいは中止される部分が出てくると思います。私はそのようなことにならないように一生懸命訴えているのですが、私の態度が悪いのかわかりませんが、その大きな流れというものが変わらないのはもどかしい思いです。誠心誠意訴えているつもりです。日本の現状を見ますと、少子高齢化社会、本格的な人口減少社会の到来を目前にして、そして道路橋などもどんどん年数が重なり、補修などに対する費用がかさむことになるのです。そうすると、新しい道路を整備する時間としては、残されたこの10年が上限ではないかと思われます。このようなことはなかなか一般の国民の方々にご理解を求めることは難しいのですが、しかしながら私の部屋に来ていただければ分かりますが、この間も大変な署名をして、ご婦人の方でしたが持ってきていただきましたし、頑張って下さいという手紙も頂戴しています。このような声もたくさんあることは間違いないのですが、世論調査を見るとなかなか難しい。どうしても民主党の先生方の言う方が耳に入るのでしょうか。私の立場としては誠心誠意、今、日本がおかれている立場を申し上げて、なんとかご協力いただきたいと思います。これは今を生きる我々大人たちの義務ではないかと申し上げているわけで、なんとか分かっていただきたいというのが私の気持ちです。
   
(問) 道路を欲しがっている地方の自治体においても、例えば、高速道路の建設が30年も40年も待たされたような自治体においても、今の道路特定財源の仕組みはあまりにも不透明で、なぜ我々がこんなに待たされなくてはいけなかったのかというような声もあります。生活道路が欲しいと言っている自治体は確かに多いのですが、今の仕組みでは、生活道路は造りにくいという声があります。さらに、大臣がおっしゃる橋梁や道路のメンテナンスの関係ですが、道路を造れば造るほどメンテナンス費用がかかります。今、我々も取材を進めているのですが、今の状況でも、正直に言って、新しい道路等を造っている場合ではなく、どう維持管理にお金をかけ、今ある道路をしっかり使えるような形にしていくかということが早急の課題になっていると思います。そういう点からも、今の道路特定財源の仕組みはあまりにも時代に合わなくなってきているのではないでしょうか。実際に、地方の自治体などにもそのような声が多くあるのですが、その辺りについてはいかがでしょうか。
(答) 今まで建設が遅れているところですと、日本海沿岸東北自動車道、山陰自動車道などが典型でしょう。東国原知事の宮崎を含む東九州自動車道もそうです。四国では、大洲から高知を回り、高知から徳島に入る区間の地域高規格道路が全くつながっていません。安芸ですか、先日、そこから住民の人たちが何回もお越しになり、「命の道です。台風が多いところなのですが、台風が来たら、大きな石が道路に散乱するのです。そういう経験はありますか。」と訴えられます。私も走ったことがあるので分かります。紀州のいわゆる近畿自動車道紀勢線もそうですし、東北では、三陸を縦断する三陸縦貫自動車道の久慈・宮古などもそうです。こういうところは、住んでいる人たちにとっては悲惨です。なぜ遅れたか。これは概ね日本道路公団が造ることになっていて、ご存知のように、これは徴収した料金で造ります。B/Cは成り立っても、料金を払って成り立つかということになると、今、言ったようなところは、料金は一律にしても、実際、足を引っ張るところなのです。そのようなことから建設が遅れ、東海や山陽のようにどんどん自動車が走るようなところが先になったというのが今日までの現状だったと思います。しかしながら、今、そういうところはもう道路がいらないのかといえば、それは困るというのがそういうところに住んでいる人たちの本当に悲壮な声です。聞いていただけば分かると思います。それを、今、止めてよいのかという問題があります。メンテナンスについてですが、我々は、もう50年たてばいろいろ大変なことになると言っていますが、これを100年もたせるために、余命を延ばすことを行っています。日本は地形の関係で、外国に比べ、橋梁やトンネルがものすごく多いのです。そういう中にあって、この国の骨格をどう造っていくのかということで苦労しているのだろうと思います。今の生活道路についても、今回の道路整備中期計画素案を見ていただいても分かるように、我々は相当丁寧にしています。何も高速道路だけを造るということではありません。こういう点についてご理解いただきたいと思います。
   

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