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大臣会見

谷垣大臣会見要旨

2008年9月2日(火) 10:42 〜 11:05
国土交通省会見室
谷垣禎一 大臣

閣議・閣僚懇

 昨日、予期せざる総理の記者会見があったところですが、今朝の閣議では、当省案件について申し上げますと、経済財政担当大臣から「安心実現のための緊急総合対策」についてご報告がありました。これに関連して私から、国土交通省に関係する施策が多く盛り込まれているので、当省としても全力で取り組むと。特に、国民の期待の大きい高速道路料金の引下げについては、九月中旬頃に前倒しで実施できるように取り組んでいる旨発言いたしました。それから、地域の建設業、不動産業などの関係業界につきまして、現在、金融機関からの円滑な資金調達が特に重要となっているので、金融担当大臣、経済産業大臣をはじめとして関係閣僚に、特別のご配慮をお願いする旨発言いたしました。私からは以上です。

質疑応答

(問)昨日の辞意表明ですが、大臣が何時どこでお知りになられたのかということと、政治家として大臣がどのように受け止めていらっしゃるのかお伺いしたいのですが。
(答)総理のお考えが、昨日の記者会見のように辞任するということを確定的に知りましたのは、記者会見を聞いてです。大変、国会運営等々で総理はご苦労を重ねておられた訳で、熟慮の上で辞任するという判断をされたのだろうと思います。私は、福田政権発足以来、1ヶ月前まで党の4役、政調会長をしておりましたし、また、現在、内閣の中で閣僚をしていますので、総理を十分にお支えすることが出来なかったのではないかという、内心忸怩たる思いがあります。その上で申しますと、昨日、もう少し頑張って頂けなかったかなという気持ちは正直言ってある訳ですが、総理が昨日、記者会見で縷々を仰いましたように、これによって国民生活に期待と言いますか、不測の影響を与えるようなことはあってはならないということで決断をされたのだと思っています。次の体制が決まるまで、私のやるべき事は、実は、これは閣僚懇談会でも閣僚間で色々発言はあった訳ですが、行政に遅滞をさせてはいけない。行政は継続性が必要ですから、残任期の間全力を挙げてやろうということを閣僚間で確認して参りましたし、私もそのように考えています。

(問)場所としては、会見はどちらでご覧になったのでしょうか。
(答)私の自宅でございます。

(問)今後の政局の関心は、自民党総裁選、総裁の後継をどうするかに移ると思いますが、大臣ご自身として、話し合いの方が望ましいと考えるのか、それとも、国民に開かれた形での選挙の方が望ましいとお考えなのか、それはどちらでお考えでしょうか。
(答)これは、どなたがどのように行動されるかに関わってきますから、もう少し、同志の意見も聞きたいと思っていますが、どちらかと言うと、やはり政策を掲げて議論するということが望ましいのではないかなとは思っています。

(問)もし、選挙になった場合に、2年前の選挙で102票を取られた谷垣大臣が有力候補になると思われますが、現在点で総裁選挙に向けた姿勢というのが、もしお有りであればお伺いしたいのですが。
(答)現在のところはそのようなことは特に考えていません。

(問)昨日の総理の会見は、大臣も仰ったように、志半ばでもう少し頑張ったらどうかというような辞任だったのですが、その中で国民への謝罪は全く無かったのですが、それについてはどのようにお考えですか。
(答)謝罪と申しますと、先程申し上げたように、行政権の長におられる訳ですし、国民生活に責任を負っていかなければいけないお立場ですから、それに停滞というか隙間を与えないようにするにはどうすれば良いかということをお考えになった上での決断だったと。総理のご判断としてそういうものだったと私は思います。

(問)しかしながら、自民党の総裁として総理大臣になられて、福田さんが出来なかったものを、また新たに自民党総裁から総理に成られたとしても、どのような新たなアクションが考えられるのでしょうか。要するに、別の総理を立てても、同じ状況は続くのではないでしょうか。
(答)確かに、この背景には国会、いわゆる衆参のねじれというものがありますから、どなたがおやりになっても簡単な状況でないのは事実だろうと思います。

(問)そういう状況の中で次の総裁はどのような方が相応しいとお考えですか。
(答)私は先ほど申し上げましたように、総理をお支えする立場でやって参りましたので、まだ次の所まで十分視野がいってないというのが率直にいってございます。これから同志、友人と色々議論もして態度を決めていきたいと思っております。

(問)先程行政権の長として停滞を招かないように総理が判断されたのではないかと仰っていましたが、客観的に見て内閣改造をやった直後で、それから先週に経済対策をまとめて臨時国会で「さあこれから」と、補正予算の審議もありますけれど、この状況で辞めるというのはかえって停滞を招くような気がするのですが、その辺は如何ですか。
(答)これは、それぞれのご判断ですから、私と総理が全く同じ事を考えてるかどうかはよくわかりません。ですから多分に推測に渡る部分も含めて申し上げますと、おそらく総理がお考えになった事は、これから秋の臨時国会、重要な案件がある訳で、総理の頭の中にはテロ特措法をどのように仕上げていくかという事もあるかと思いますし、それからこういう経済対策をまとめて、これから補正という事に恐らくなっていく訳ですから、そういうものをきちんと仕上げて国民生活、今の経済の難しい状況に応えていきたいというお気持ちがあると思いますが、今までの状況を見ると、なかなかそういう国会に果たしてなるのだろうかと、言うならば権力闘争というような国会になってしまって、停滞を招くのではないかというお気持ちがあったのではないかと。これは多分に推測も交えてですから、そしてその判断は人によって様々だろうと思います。そういうのをお考えになったんだろうと私は推測致します。

(問)福田さんは政権発足時に、ご自身のご発言の中で、「背水の陣内閣」とご発言されていた中で、このような結果になってしまった事については率直にどうでしょうか。背水の陣というのは、いわゆる後がないということですが。
(答)先程申し上げましたように、国会のねじれという現象がある訳ですから、あくまで国会では第一院というものが大きな責任を持つ訳でありますが、現状の中ではそこがねじれて一院の力が十分に発揮出来がたいという事があるのだろうと思います。

(問)首相からは閣僚の皆さんにご自身からどういうご説明があったのですか。
(答)朝の閣議閣僚懇で総理からお話がございましたが、閣議閣僚懇の発言は引用しないという事になっていますので、誰がどう言ったという事は差し控えたいと思います。総理の仰った事は基本的に昨日の記者会見で仰った事だったと理解致しました。

(問)早い話ですが、解散だとか総選挙に与える影響についてはどのようにお考えかということと、繰り返しになりますけれども、わずか1ヶ月ということで閉じてしまう訳ですが、これについてどう思われるかもう一度お願いします。
(答)解散にどういう影響を与えるか、これはまだ分かりません。後継にどなたがなられるかということ、それからこれから民主党も代表選挙になっていく流れはある程度出来ていますが、そうなっていく訳ですので、その辺の政治過程の中で答えが出て来るのだろうと思いますが、今まで想定したことよりも相当色々なものが流動的になっていることは否めないのだろうと思います。ですから、あまり固定した頭で臨むといけないので俗に言う「一寸先は闇」という言葉もありますけれども、あらゆる事態に対応するという気持で臨まなければいけないのではないかと思います。それから1ヶ月でというのは、私が1ヶ月間でここを去るということでしょうか、それとも内閣改造内閣後1ヶ月でということでしょうか。

(問)改造内閣が1ヶ月でということです。
(答)それは内閣改造を総理が断行されて、私共も当然この体制で臨時国会、それから予算編成に臨んでいくと思っていましたので、道半ばということではあります。これはやはり非常に残念なことだと思います。

(問)昨日の会見では国民目線の改革として道路特定財源の一般財源化を数少ない功績として自賛してましたけれども、大臣はその具体化に向けた作業を任されてここに送り込まれた訳ですけれども、結局これも途中で大臣の意志とは裏腹に投げ出さざるを得ないと今後の展開としてはなり得ると思うのですが、それについて福田さんの一連の対応を特定財源に絡めてどう思われますか。
(答)これは閣議決定も行われている訳ですし、今それに向けてどういう技術的な整理というかそういうものを行っている訳ですから、これは確実にやらなければいけないし、おそらく私の後に来られる方もそういう方針でおやりになるのではないかと思いますけれども、私の後の方がどうなさるかあんまり言うのは僭越ですから、ただ見通しとしてはこの流れは変わらないのではないかと思います。

(問)わずかな期間でしたけれど前進は多少あったんでしょうか、やはりそれとも本当に途中でならなくて残念だという気持の方が強いのでしょうか。
(答)我々の仕事はいつどのようなことが起こるか図りがたいので、今のようなお答えも色々な場合があるのでお答えしにくいと言えばお答えしにくいのですが、仰るように総理から特定財源の問題はきちっとやれ、というご指示で参りましたので、まだ道半ばということは仰る通りですので、十分責任を果たせないで去らなければいけないという気持ちはあります。

(問)先程、ご自身について「現在のところは」とのことでしたが、今後党内で色々と議論がされた結果、ご自身が名乗りを上げるということも選択肢としてはあるのでしょうか。
(答)現在のところそう考えていないということは、沢山の選択肢を現在考えていないということです。

(問)総理の辞任を聞いたのは自宅だったと仰っていましたが、それ以前に何か兆候というのは無かったのでしょうか。
(答)特に感じていません。

(問)確認ですが、今ご自身の立場ですが、沢山の選択肢を考えていないということでよろしいのでしょうか。
(答)考えていません。万物は流転するということもありますから、私はあまりバシッと決めてものを言うということはしないので優柔不断だと言われたりしますが、現在のところは考えていないと申し上げている訳です。言葉通り受け取って頂けたらいいと思います。

(問)ただ、こういう事態というのは失礼ながら十分想定されたことですし、実際の総理の表明から12、3時間経っている段階で、もし谷垣先生の方に並々ならぬ意欲があれば、麻生先生もあのような形で意欲を表明されていますし、小池先生も質問については否定しないという状態の中でもう少し明確にスタンスを出されてもよろしいかと思いますが如何でしょうか。
(答)私は先程申し上げたように、十分総理をお支えすることが出来なかったのではないかと慚愧の思いがあるということです。

(問)そういうスタンスで軽々に次の一歩とはならないということでしょうか。
(答)ですから慚愧の思いがあります。

(問)こういう結果になったことについて谷垣さんから見てどうなのでしょう。総理にリーダーシップが無かったのか、民主党の方に歩み寄る姿勢が無かったのかどちらだったのでしょうか。
(答)基本的な状況は、やはり国会のねじれ現象だと思います。ですから、ねじれ現象を乗り越える総理が手段としてお考えになったのは振り返ってみると大連立が出来ないかということだったのでしょう。それがどうだったのかというのは色々な評価があると思いますし、人によって見方は違うと思いますが、私はどなたがおやりになっても難しい状況だったと思っていました。

(問)今回の受け止め方に話を戻しますが、非常に分かりづらい選択肢で国民も戸惑っていると思いますが、国民の政治不信を巻き起こすのではないかと引いては自民党にとってマイナスではないかと思いますが、政治家として国民の政治不信についてどうお考えですか。
(答)政治というのは政治不信や選挙の勝敗や今までの議論の中でもこういう景気や経済の難しい時に行政に停滞を与えてはいけない等、色々な要素で判断する訳です。そして一つこれが大事だからこれでやろうとすると他のことが全部満足出来るとは限らないだろうと思います。ですから、人によっての価値判断であり政治判断だと思いますが、私は総理はおそらくこの秋の臨時国会の展開をご覧になって、先程申し上げたように必ずしも国民生活が進んでいくような議論にはならないのだろうとお考えになり、それならばむしろそれを避ける道を選ばれたのだろうと理解します。その結果、今申し上げた点が出て来てしまうということは無いとは言えないかもしれません。ここは難しい判断だと思います。

(問)川辺川ダム建設計画ですが、現在上流域の人吉市の市議会が行われていて、その中で市長がダム建設の計画について白紙撤回を求めている発言をされている最中ですが、それについてご所見をお願いします。
(答)人吉市長がどういうご発言をされたかまだ私は聞いていないので、これが終わりましたらその状況もよく聞きたいと思っています。ただ、今仰いました仮に人吉の市長がそのような発言をされているとして、このダム建設に慎重なご意見もあれば、洪水、水を治めるということから考えるとやはりこういうものも必要ではないかというご意見もありますので、今月中に知事のご判断が出ると思いますから、それをきちっと見守っていくという、当面はそれ以上なかなか申し上げ難いかと思っています。

(問)やはりよく分からないのですけれども、先程政権を支えられなかった慚愧の思いがあると、ご自身の態度が優柔不断と言われてもということなんですけれども、慚愧の思いをどういう形で次の行動に持っていきたいのか、ということをもう少し分かるように話を聞きたいと思います。
(答)それは慚愧の思いがある者が何をするかというのがまたそれぞれ人によって違うかもしれません。私はですから現在のところは考えていないと先程申し上げた訳です。それは何故かと言われると慚愧の思いがあるから、こういうことです。

(問)次の総裁に相応しい方はと聞かれたときには、これから同志や友人の皆さんと話し合いをされてと、ですから他の方が出られるのであったらそれに対する対応は考えていきたいと、そういう認識でよろしいでしょうか。
(答)その辺も含めて考えていきたいと思っています。