髙橋長官会見要旨

最終更新日:2024年4月19日

日 時:2024年4月17日(水)17:20~17:48
場 所:国土交通省会見室

冒頭発言

  • 本日は冒頭に四つ、ご報告申し上げます。

(2024年3月の訪日外国人旅行者数)
  • まず、本年3月の訪日外国人旅行者数等について報告します。
  • 本年3月の訪日外国人旅行者数は、308万1,600人となり、単月で初めて300万人を超え、過去最高となりました。
  • コロナ前の2019年3月と比べた回復率は、単月で112%となり、6ヶ月連続で単月ではコロナ前の水準を回復しました。
  • 本年3月の出国日本人数は、121万9,800人となりました。
  • コロナ前の2019年3月と比べた回復率は、単月で63%となりました。
 
(訪日外国人消費動向調査の結果(2024年1-3月期1次速報))
  • 2つ目は、訪日外国人消費動向調査についてです。
  • 本年1-3月期の訪日外国人消費動向調査1次速報の結果について報告いたします。
  • 2024年1-3月期の訪日外国人旅行消費額は、1兆7,505億円と推計され、2019年同期比で52.0%増、前年同期比では73.3%増となり、四半期として過去最高の数字となりました。
  • また、ビジネス客や留学生を含む全目的の訪日外国人1人当たり旅行支出は、20万9千円、2019年同期比41.6%増、前年同期比では1.1%減となりました。
  • 観光・レジャー目的で絞ってみると、1人当たり旅行支出は20万1千円、2019年同期比で38.5%増、前年同期比では7.3%増となりました。
  • 本調査に関して一点ご報告があります。
  • 「訪日外国人消費動向調査」は、本年4-6月期調査以降、調査目的等を見直し、「インバウンド消費動向調査」と改め、実施することといたします。
  • 今後は官民を問わず、どなたでも調査票情報、いわゆる個票データの利活用が可能となります。
  • 様々な主体の方々のデータの利活用や分析を促進することで、観光振興に一層つながるものと期待しています。
 
(観光立国推進閣僚会議)
  • 3つ目は、観光立国推進閣僚会議についてです。
  • 昨年の10月、観光の現状の報告とオーバーツーリズム対策のパッケージを取りまとめたとき以来ですので、およそ半年ぶりの開催です。
  • 本日16時30分から、官邸において、第23回観光立国推進閣僚会議が開催されました。
  • まず、2024年第1四半期のインバウンドの旅行者数と消費額を含む観光の現状と今後の取組について、斉藤大臣がご報告した後、環境省や文部科学省など9省庁の政務から今後の取組について報告がありました。
  • これを受け、岸田総理からは、インバウンドの地方誘客や持続可能な観光地域づくりを加速していくことが喫緊の課題であり、また、足元でコロナ前の水準に至っていない国内旅行者数や日本人の海外旅行者数の拡大を図ることも重要と述べられました。
  • そのうえで、関係省庁が連携して重点的に取り組むこととして3点ご指示があり、まず、地方誘客の柱として、11のモデル観光地において、高付加価値化などによる持続可能な観光地域づくり支援や二次交通の確保等とともに、高速道路の周遊パスの導入・拡充に取り組み、同時に、国立公園の滞在体験魅力向上拠点の拡充、文化財の積極的活用、デジタルの徹底活用を促進するようにとのご指示がありました
  • 次に、オーバーツーリズムの未然防止・抑制対策の強化として、選定した20の先駆モデル地域を中心に、公共交通等の混雑対策、マナー違反対策、自然環境保護対策、需要分散・周遊促進等の対策を講じて、持続可能な観光地域づくりを強力に推進するように、とのご指示がありました。
  • 3点目は、あらゆる機会を捉えたインバウンド需要の開拓です。
  • イン・アウトの双方向の観光交流を拡大する日米観光交流年、これは本年2024年ですが、また2025年大阪・関西万博をはじめ、国際的なスポーツ大会や大規模イベントが控えている状況をふまえ、新たな市場も意識しつつ、ビジネスや学術研究も含め、あらゆる機会を捉えたインバウンド需要の拡大についてご指示がありました。
  • 本日総理からご指示いただいた内容をふまえ、2030年インバウンド6,000万人、消費額15兆円の目標を目指して、関係省庁で一丸となって取り組んでまいります。
 
(日米観光交流年2024における取組)
  • 4つ目であります。今年の会見で何度か、本年が“日米観光交流年”であるとご紹介していますが、二つ大きな切り口があるうちの一つ、「野球」を切り口とした取組を実施する旨、皆さまにお話ししていました。
  • 今般、福井県ご出身でMLB(エムエルビー)ボストン・レッドソックスに所属する吉田正尚選手にご協力いただき、日米観光交流年2024の機に、日本の方に訪米を呼びかけるとともに、能登半島地震からの復興を目指す北陸地域への来訪を米国の方に呼びかけるビデオメッセージをいただきました。
  • 先ずは映像をご覧いただきたいと思います。
  • この動画は観光庁ウェブサイトはもとより、JNTO米国市場向けサイトにて、youtube配信をいたします。
  • 吉田選手の想いを寄せていただいたこのメッセージが、日米両国の多くの方々に届いて、日米観光交流が更に活発化することを心から期待しています。

質疑応答

(問)3月の訪日外国人旅行者数について、長官の受け止めをお伺いできますでしょうか。
(答)
  • 冒頭申し上げました通り、3月の単月のインバウンド旅行者数は、史上初めて300万人の大台に乗りまして、308万1600人という数字となりました。
  • 過去最高数字であり、コロナ前の2019年3月と比べた回復率も単月で112%と、先ほど申し上げましたが、6ヶ月連続で単月でコロナ前の数字を回復しており、堅調に回復しているものと受け止めています。
  • このペースで進めば、本年は2025年目標である、訪日外国人旅行者数の2019年コロナ前の水準超えという政府目標を、前倒しで達成できる見通しと考えています。
  • また、本年1月から3月のインバウンド旅行者数の累計は、855万8100人と、これは第1四半期で過去最高となっています。
  • 先ほどの消費額は、四半期で過去最高でしたが、インバウンド旅行者数は、第1四半期として過去最高です。
  • 本年3月の訪日旅行者数について、国と地域別に見てみますと、23市場ありますが、アメリカ、メキシコ、ドイツなど8市場で、単月として過去最高を更新た他、香港やオーストラリアを初め17市場が、3月として過去最高を記録しました。
  • 特に、欧米豪地域の数字をまとめますと、2019年比、コロナ前との比較で160%と好調です。
  • これらは、桜のシーズンによる訪日需要の高まりや、3月下旬からのイースター休暇などが多くの訪日に繋がったものと考えられますが、個別の地域の事例を申し上げますと、例えば北陸の金沢市では、桜の時期を迎え、兼六園等で開催される茶道体験、あるいはひがし茶屋街等で開催される芸妓文化体験がインバウンドの方々に大変人気で、欧米、アジアの訪日客で大変賑わっていると聞いています。
  • 富山県の五箇山では、紙すき体験がインバウンドに人気で、こちらもアジア・欧米ともに訪日客で賑わっているとのことです。
  • 中国からの訪日客についてですが、3月の中国からの訪日者数は約45万人、2019年コロナ前同月からの回復率は、単月で約65%と、先月2月の約64%から微増となっています。
  • 私どもとしては、回復率が高い個人旅行客、あるいはリピーターの方々を中心に、さらに中国からの訪日客の数を伸ばしていくことが重要であると考えています。
  • 概算ではありますが、個人旅行客に限定して、2019年同月からの回復率を出してみますと、約82%となっていまして、中国からの訪日客は、個人旅行客については相当程度の回復が進んでいるものと捉えています。
  • 引き続きオーバーツーリズムの未然防止・抑制を含め、しっかり受け入れ環境整備に努めるとともに、11のモデル地域における高付加価値なインバウンド観光地づくり、あるいは全国各地での特別な体験の創出、世界への発信を進め、限りないポテンシャルを有する地方部への誘客を、強力に進めてまいりたいと思います。

(問)新型コロナ感染症が昨年5月に5類感染症に移行し、初めての連休を控えていますが、今年の連休期間の国内旅行需要の見通しをお伺いします。
(答)
  • 今年の連休期間の国内の旅行需要の見通しについては、大手旅行会社に需要予測を伺いますと、昨年比100.9%の2280万人、これは微増といいますか、大体昨年並みの人数と見込んでおられます。
  • 国内旅行の傾向を昨年と比較しますと、大手旅行会社が行ったアンケートによると、長く遠くに旅行したいという意欲が伺え、旅行先では、東北・東海・四国等への関心が高まるとともに、沖縄・九州等、航空機を利用する長距離方面も好調と、全体として分散傾向にあると伺っています。
  • また、その予測によると、海外旅行の需要については、昨年比1.7倍の52万人になると見込んでおり、回復基調にあるとされています。
  • 海外旅行の傾向としては、円安などの影響による旅行費用の高騰を受け、海外の旅行先は近場が多く、韓国をはじめとしたアジアの人気が高いとされています。
  • また視点を変え、個別の旅行会社のヒアリング等によると、今年の連休期間の予約状況について、国内旅行は、昨年を上回るというケースと下回るケースが混在するとしています。
  • その一方で、海外旅行は昨年を大きく上回る傾向にあると、各社から伺っています。
  • この、海外旅行の回復基調については、昨年全ての入国者に対しワクチンの接種証明等の提出を求めないとする等の水際対策の終了がありました。
  • 水際対策の終了が、連休間際のタイミングでの発表だったものですから、旅行はちょっと無理かな、やめておこうかなと断念された方々が一定数いたものと想定されます。
  • それに対し、本年はそのような事情もなく、回復基調が数字に表れているものと考えています。
  • 多くの方々に国内外を旅行していただくことで、観光交流による地域経済の活性化を進めていくとともに、コロナ禍において厳しい環境に置かれていた日本の観光を支える観光業界の経営状況の改善が、より一層期待できるものと考えています。
 
(問)先ほど、吉田選手からのメッセージがありましたけれど、野球を通して日米の交流を促進していくとのことですが、具体的にどのようなことを検討しているか教えてください。
(答)
  • 野球は本当に、日本とアメリカで大人気のコンテンツなので、大きく期待しています。
  • 先ほどご覧いただいたビデオメッセージは、日本政府観光局(JNTO)、あるいは在日の米国大使館の他、日米の観光関係企業のウェブサイトあるいはSNS、そして日米で行われる観光交流イベントなどで発信する等、日米観光交流年の盛り上げに活用していただきたいと思います。
  • これが、先ほどの吉田選手のビデオメッセージについての具体的な活用です。
  • また、4月23日には、在アメリカ合衆国日本大使館とワシントン・ナショナルズが協力して、ロサンゼルス・ドジャースとの公式戦をジャパニーズヘリテージデーと位置づけ、球場の大型スクリーンで日本の観光動画や日米観光交流年のロゴの放映などを行う予定です。
  • こういったことで、日本への観光、旅行喚起を呼びかけるとともに、この日米観光交流年を盛り上げてまいりたいと思っています。
  • 野球もとても大きな柱ですが、アメリカとの間ではもう一つ、姉妹都市交流というのがあります。
  • とても多くの日米の地方都市が互いに姉妹都市になっていますので、この枠組みもぜひ活かしたいと考えています。
  • 2月から日本旅行業協会(JATA)と連携して、日本国内の自治体に姉妹都市交流の再開、これはコロナ禍で止まっていたところがたくさんありますが、姉妹都市交流の再開を呼びかけてきたところ、100以上の自治体から交流事業を行う予定とのお話を伺っており、これも大変心強いことだと思っています。
  • 加えて、ゴールデンウィークの5月3日から、ロサンゼルスでアメリカ最大の旅行博「IPWロサンゼルス2024」が開かれます。
  • 私もアメリカに行き、アメリカ側の観光政策の事務方トップと、野球、それから自治体間の姉妹都市交流を軸とした、双方向交流の拡大に向けて色々な取組を積み重ね、意見交換をし、よい取組をお互いに作っていきたいと思います。
 
(問)ワシントンとドジャースの公式戦でも動画が流れるということですが、今後、日本人メジャーリーガーの協力も視野に入られているのでしょうか。
(答)
  • 吉田選手が北陸のご出身ということは大変重要なことで、今回ご協力のお願いをさせていただきました。
  • たくさんの選手が、今はシーズン中ですので、どこまでお願いできるのかまだ分かりませんが、まずは、吉田選手にこれだけのご協力をいただいたので、大切にさせていただきたいと思っています。
 
(問)海外旅行先として日本が注目を集めている理由に円安があると思いますが、それ以外に観光客が順調に回復している要因となる魅力的な点について、ご見解をお聞かせください。
(答)
  • 円安はもちろん追い風になっていると思いますが、海外の旅行者が、どこを訪れようか選んでいただく過程においては、日本は豊かな四季や素晴らしい自然があり、例えば大都会の真ん中に自然があったり、喧騒の中でも整然と人々がマナーを守って暮らしていたり、あるいは地方へ行くと手つかずの素晴らしい大自然があり、昔から受け継いできた文化・伝統を誇りをもって体現しておられる方々がいらっしゃいます。
  • また、食についても、これだけ幅広くかつ質が高く、安全な食を提供している国は、あまりないのではないかと思います。
  • 外国の方々が、東京・京都ばかりでない地域を訪れ始め、文化、自然、食、そして日本人の生き様あるいは精神性まで、色々な良さに気づき、大変満足して帰国されています。
  • それが口コミやSNSで豊かに広がる、そういう良い循環が生まれてきているのではないかと思っています。
 
(問)訪日外国人旅行者数は、コロナ前と比較して6か月連続で100%程度となっており、直近では100%を大きく超える月がありますが、長官としては、まだコロナ禍からの回復期と捉えられているのか、それとも、すでに回復はしており成長期に入っていると捉えられているのか、ご見解をお聞かせください。
(答)
  • 先ほど、堅調に回復しているものとして受け止めていると申し上げました。
  • もちろんあれだけの厳しい状況でしたので、観光産業あるいは地域において、コロナ禍で受けたダメージから、今もなお苦しみながら回復されようとしている方々もおられますので、安直に、もう回復プロセスではないということは申し上げません。
  • ただ、非常に力強く回復のプロセスを進んできています。
  • 先ほど申し上げたように、日本の地方部には限りないポテンシャルがあり、花開くのはまだまだこれからです。
  • そういう意味では、この回復基調をより強固なものにし、確かな成長軌道に乗せていくプロセスに今まさにあると思います。
以上

組織情報