秡川長官会見要旨
最終更新日:2025年4月23日
日時:2025年4月16日(水)16:15~16:50
場所:国土交通省会見室
場所:国土交通省会見室
冒頭発言
(訪日外国人旅行者数(2025年3月)について)
3月のインバウンドの数は、約350万人でした。
3月単月としては過去最高の数字で、昨年の3月と比較した伸び率は14%となりました。
同じく3月の出国者数は、約142万人となりました。
昨年の3月と比べると、17%の伸びとなりました。
(インバウンド消費動向調査2025年1-3月期(1次速報)について)
インバウンド消費動向調査で、1月から3月期の消費額は約2.3兆円と、前の年の同じ期間に比べ約28%増えました。
ビジネス客や留学生を含む全ての訪日外国人一人当たりの旅行支出は約22.2万円で、前の年の同じ期間と比べると約5%増えています。
観光とレジャー目的に絞ると、一人当たりの旅行支出は約22.1万円で、こちらも前の年と比べると約9%増えています。
訪日観光支出がもたらす経済効果は、過去を見ますと消費額のおおむね2倍程度となっています。
これに従うと、1月から3月期の経済効果は2.3兆円の2倍の4.6兆円程度と推測ができます。
(第4回日印観光協議会の参加報告について)
今月の8日にインドで第4回日印観光協議会が開催され、出席してまいりました。
この協議会は、日本とインドで観光交流の拡大に向け、様々な取組を協議するために開催され、今回はコロナ後初めて、前回から6年ぶりの開催でした。
この協議会は、政府関係者だけではなく、観光業界や観光関係の団体を含め、双方合わせて約50名が参加され、日印両国の観光交流の拡大に向けた取組は何が必要かをテーマとして、最近の状況や両国の取組など様々な発表が行われ、非常に有意義な会合でした。
インドは、今までインバウンドもアウトバウンドも人数としてはあまり目立ちませんが、増加傾向にありますので、こういったことをチャンスとして、インドも一つ重要な市場として注目していきたいと思っています。
(大阪・関西万博の開幕について)
皆さんご存知のように、4月13日から夢洲で万博が始まりました。
10月13日までの184日間、インバウンドを含めて多くの観光客の来場が期待されています。
観光庁としては、万博に行っていただき、万博だけではなく周辺やもう少し足を伸ばしていただいて、観光をしてもらおうということで、万博の来場者を全国への送客につなげていきたいと考えています。
3月のインバウンドの数は、約350万人でした。
3月単月としては過去最高の数字で、昨年の3月と比較した伸び率は14%となりました。
同じく3月の出国者数は、約142万人となりました。
昨年の3月と比べると、17%の伸びとなりました。
(インバウンド消費動向調査2025年1-3月期(1次速報)について)
インバウンド消費動向調査で、1月から3月期の消費額は約2.3兆円と、前の年の同じ期間に比べ約28%増えました。
ビジネス客や留学生を含む全ての訪日外国人一人当たりの旅行支出は約22.2万円で、前の年の同じ期間と比べると約5%増えています。
観光とレジャー目的に絞ると、一人当たりの旅行支出は約22.1万円で、こちらも前の年と比べると約9%増えています。
訪日観光支出がもたらす経済効果は、過去を見ますと消費額のおおむね2倍程度となっています。
これに従うと、1月から3月期の経済効果は2.3兆円の2倍の4.6兆円程度と推測ができます。
(第4回日印観光協議会の参加報告について)
今月の8日にインドで第4回日印観光協議会が開催され、出席してまいりました。
この協議会は、日本とインドで観光交流の拡大に向け、様々な取組を協議するために開催され、今回はコロナ後初めて、前回から6年ぶりの開催でした。
この協議会は、政府関係者だけではなく、観光業界や観光関係の団体を含め、双方合わせて約50名が参加され、日印両国の観光交流の拡大に向けた取組は何が必要かをテーマとして、最近の状況や両国の取組など様々な発表が行われ、非常に有意義な会合でした。
インドは、今までインバウンドもアウトバウンドも人数としてはあまり目立ちませんが、増加傾向にありますので、こういったことをチャンスとして、インドも一つ重要な市場として注目していきたいと思っています。
(大阪・関西万博の開幕について)
皆さんご存知のように、4月13日から夢洲で万博が始まりました。
10月13日までの184日間、インバウンドを含めて多くの観光客の来場が期待されています。
観光庁としては、万博に行っていただき、万博だけではなく周辺やもう少し足を伸ばしていただいて、観光をしてもらおうということで、万博の来場者を全国への送客につなげていきたいと考えています。
質疑応答
(問)インバウンドについて、経済効果4.6兆円、この3ヶ月で1,000万人ということですが、その評価と、あわせて、今、トランプ米大統領による関税政策が観光業界にも影響を与えるのではないかという懸念もありますが、これについてのお考えをお伺いします。
(答)
1月から3月で1,000万人を超えたということで、数字としては過去最高で、最速で1,000万人を突破しました。
地域別に見ますと、インバウンドの約7割を占めるアジア諸国で、前の年の同じ月に比べると13%増えています。
欧米豪、中東諸国もまた同じように13%増えているということで、まんべんなく同じくらい増えているという印象です。
消費額は、一人当たりの旅行支出が少し増えているうえに、人数も増えていますので、掛け算の結果増加し、両方とも非常にありがたい数字だと思っています。
年間で見ると、3月は他の月に比べイベントが少なく、どうなるかと個人的に注目していましたが、結果は好調で、トレンドとして非常に強い傾向にあると感じています。
トランプ大統領の関税政策については、旅行業界で影響あるか、ヒアリングをしてみたところ、現時点でそういった旅行需要に影響が出ているという情報はないということであります。
今後についても、結構ダイナミックに様々な方針が出てきますので、よく注視したいと思っていますが、今のところ影響はないと思っています。
(問)先ほどもインバンドの話がありましたが、観光政策の予算、実績におけるインバウンドの変調傾向がさらに強まる中、双方向の交流の重要性を掲げるアウトバンドの本格的な回復に向けた政策パッケージを策定されてから2年が経ちました。3つの柱を掲げて取組を実施してきたかと思いますが、その3つの柱それぞれの検証と評価に関してお伺いします。
(答)
アウトバンドの本格的な回復に向けた政策パッケージのうち、「諸外国との連携体制の強化」については、例えば、日米観光交流年など、二国間の観光交流の機会を捉え、双方向交流の活性化を進めております。
2番目として、「戦略的効果的な取組」として、旅行業界や各国の政府観光局と連携し、海外旅行の促進キャンペーンを実施したり、ツーリズムEXPOジャパンでは様々な国に出展をしていただき、海外の魅力を感じていただくことができたと思っています。
3番目の「安心・安全な旅行環境の整備・青少年交流の促進」については、ツアーセーフティーネットの拡充や海外教育旅行のプログラムの開発などを行ってまいりました。一昨年度に開発したプログラムが9件あり、そのうちブルネイや韓国などを目的とする5件の海外教育旅行が既に実施されております。
結果として、日本人の出国者数は、昨年5年ぶりに1,300万人を超えましたので、一定の効果はあったかと思います。
しかし、インバウンドに比べると、まだ勢いが弱く、相互交流が非常に大事だと思いますので、引き続き、アウトバンドも推進していきたいと思っています。
(問)先月、新パスポートの導入をきっかけに「もっと海外へ!宣言」を発出し、キャンペーンの展開を発表されたかと思いますが、観光庁として効果につながる具体的な取組予定を教えてください。
(答)
アウトバンドは大事ですが、特に若い人に海外を体験していただくと将来にもつながりますし、ご本人にもいい経験になると思うので、非常に効果があると思います。
そのため、海外教育旅行の促進のために、教育的な付加価値の高いプログラムの開発を引き続き行っていきたいと思います。
また、これまで以上に文部科学省などと連携し、普及啓発や、今まで海外旅行を行っていた学校も、コロナで休止してその後行ってない学校も結構あると聞きますので、そういったところへの働きかけなどができたらいいと思っています。
更には、海外の魅力を知っていただき、海外に行く気になってもらうということが、非常に大事だと思いますので、各国や地域の政府観光局と連携し、SNSを使って海外の観光情報を発信する取組を行ってまいります。ちょうど万博が始まっており、多くの日がナショナルデーになっていますし、パビリオンに行けば、その国の文化が体験できる非常にいい機会ですので、万博パビリオンの関連情報などもお伝えして、万博に足を運んでもらい、本物を見たいと思ってもらえるような機会にできればと思っています。
(問)大阪・関西万博について、海外からの訪日ツアーの販売状況や、訪日客は足元で増加していますが、こちらへの影響というのをどう見ているか教えてください。合わせて、地方への誘客ということもおっしゃっていましたが、国内観光にどういう影響をもたらすかということについてお伺いします。
(答)
万博が始まる前に、観光客に来てもらえるように経産省と一緒に様々な働きかけをしていました。
万博は全般的な傾向として、最初は入場者数が低調ですが、後半で増えてくるということですので、最初がどうなるかと注目していましたが、経産省の方に聞いても、予想よりかなり多くの方に来ていただいていて、非常に良いスタートだという印象のようです。
海外からの訪日ツアーの状況については、JNTOが中国市場の旅行会社の約90社にアンケートでお聞きしたところ、万博関係の旅行商品は、すでに2,000人以上予約があったとのことでした。この商品の中には、ゴールデンルートや大阪の周辺だけではなく、そこから遠い地域も組み込まれた商品が結構あるということです。
今後もまた新たなツアー造成も見込まれているようですので、今後の訪日客も順調に増加していくし、そういった機会や商品を利用して地方に行っていただきたいと期待をしています。
国内旅行の商品の状況については、旅行業界にお聞きしたところ、直近では約250の旅行商品が作られています。
地方の観光地も組み込んだ商品も販売されており、中には、着実に予約を伸ばしているという商品もあるとのことです。
万博を機会にした万博プラス他の場所という観光を楽しんでいただけたらと思っています。
(問)トランプ政権の影響について、現時点ではないということですが、足元では3月以降、円高に振れており、インバウンドの消費になにか影響が出るなど懸念している点があればお伺いします。
(答)
特段懸念はしていないところですが、唐突な方針が出ると市場が動きますので、短期的にはニュースになりますが、それが長期的にどういった影響があるかは、しっかり注視していきたいと思っています。
(問)各地で訪日客が増えるなかで、日本人の「有名観光地離れ」が言われています。京都市の調査では、昨年の紅葉シーズンは有名観光地で外国人は増えた一方で、日本人のお客さんは減ったというものがありました。事象の受け止めと、今後どのように対策されていくか教えてください。
(答)
京都で、今おっしゃられた、市内の観光地における観光客データの分析をやっていただいたようです。
金閣寺など特定の観光地では、前の年に比べて外国人が増加しましたが、一方で日本人が減少したということがあったようです。
そのまた一方で、日本人が増加した地域も京都の中ではあるようです。
旅行者の分散と言いますか、非常にメジャーな金閣寺や清水寺ももちろん素敵ですが、他のこういう観光地がありますよというのをずいぶんお知らせをされていますので、その効果があったのかもしれないと思っています。
また、日本全体で見てみると、日本人の国内の延べ旅行者数は、2024年は2023年と比べて約8%増加しています。8%と少しですが日本人自体は旅行をされる方は増えているというデータはあります。
京都ではそのような傾向があったのかもしれないですが、日本人の国内旅行は重要なマーケットですので、引き続き促進していきたいと思っています。
(問)オーバーツーリズムについてお伺いします。3月末に対馬の和多都美神社が一部のインバウンド観光客の境内への立ち入りを禁止したり、桜のシーズンに新倉山浅間公園でメディア取材が禁止されるなど、オーバーツーリズムに関する新たな報道があるかと思います。場所によって深刻化しているということだと思いますが、こうした動きは各地域や場所で自主的に規制をやっているという部分だと思いますが、行政や地域ができることについて、所感をお伺いします。
(答)
観光客がだんだん増えていくと、今までにないような事象が起こることがあります。
まずは地域でどのようにするのがいいのか、規制的にやるのか、色々なやり方があると思いますが、観光庁でもそのような取組を支援させていただいております。
したがって、具体的に問題が起きているところで、効果的な対策を行いながら、長い目で見ると、観光客が集中しないように、より地方に行っていただくことや、今まであまり来ていただいてないところに誘導することなど、今起きている目の前の対策と、中期的な取組を両方行っていくことが大事だと思っています。今も行っていますが、引き続きしっかり取り組んでいきたいと思います。
(問)トランプ関税について、今後どのようなことが起きたら観光分野でネガティブな影響が出ると考えるか、現時点で想定しているのがあれば、具体的に教えてください。
(答)
ネガティブな影響があるとすれば、今は円が比較的安いですが、円が高くなった時だと思います。
円が高くなった時に、海外からの観光客はどういった心情になるかということですが、円安だから日本に行ってみようと思う人が多いという情報は、我々は持っておらず、日本に行きたいと思って来る方が、日本に行ってみると円安なので日本の消費額が増えていると、我々は理解しています。
したがって、日本に来る方が減るということに影響はないと思いますが、消費額に影響があるのかということは、注目するポイントだと思います。
(問)万博に訪れる観光客の輸送体制について、バス、タクシー、日本版のライドシェアなどの様々な選択肢が揃っている中で円滑に会場に行けることが大事だと思います。この半年間の期待や、留意すべき点がありましたらお伺いします。
(答)
主なものは鉄道、自動車、バス、タクシーですが、鉄道はダイヤがあり、状況に応じて機動的に変えることは想定しにくいと思います。
現在、物流・自動車局が行っている施策は多様な状況に合わせて、万博だけではなく現場のニーズに合わせて柔軟にスピーディーに進めています。
今は、事前にこれがベストだと思われる状況を用意して、スタートをしていると思いますが、この状況で全て対応できれば非常に良いですし、仮に何か新たな課題やもう少し改善すべき点が出てきたら、それに応じてスピーディーに柔軟に対応するということだと思います。
今のところそのようなニーズはまだないのかもしれないですが、もう少し様子を見て、次第にお客さんが増えていった時にどうかということだと思います。
加えて、現場の交通もありますが、空港の受け入れ態勢や早く万博に行きたいと思ったのに、待ち時間が何時間もかかるといった状況は良くないと思います。
その点については、法務省とだいぶ前から色々とご相談しながら進めており、法務省もずいぶん頑張ってくださっており、様々なものを関空に集中する等の対応をしてくれています。
そのような点も含めて、仮に問題があれば、対応していくということだと思います。
(問)先月、日本旅行業協会から、「訪日旅行の持続的発展に向けて」という提言がありましたが、これに対する長官の受け止めをお伺いします。また、提言の中で、通訳案内士の自家用車利用のガイドラインを設定してほしいとか、ホテル向けにやっている人材対策・人材不足の対策の対象に旅行会社を加えてほしいなど具体案がいろいろと入っていたと思いますが、その中でも積極的に実現していけるようなものや、前向きに検討したいものがもしあれば、教えてください。
(答)
先月18日に、今、言われた提言をいただきました。
全般的にかなり幅広い事項でご提案をいただいていて、現場で従事してくださっている方の視点でこれが必要だというご提案だったと思います。
非常にありがたい重要なご提案だと思いますので、観光庁内でよく消化してできるものから対応するということで今、進めています。
(問)日印の協議会のお話がありましたが、インドのマーケットについてお伺いします。インドは、人口ベースでいうと中国に次ぐ大国でありますが、インバウンドとアウトバウンドについて、今後のインパクトや実際に行かれて交流をされて、どういった感触を持ったのか教えてください。
(答)
インドに一週間弱行きまして、日本のように、均質で同じような意識を持ち、生活をしているのとはだいぶ違う国だという気がしました。
人口が非常に多く、期待も大きいですが、全員が海外旅行をできる環境ではないと思う一方、デリーや地方の都市でも、比較的余裕のある階層の方もいらっしゃると思います。
また、日本に対する期待も非常に大きいということを、インドの方と話しているなかで感じました。
ブッダガヤというお釈迦様が悟りを開いた町にも行きましたが、日本人は全員、敬虔な仏教徒でしょうと言われました。そのため、聖地にたくさん来てくれると期待をされていて、そのように見られているのだと思いました。
コロナの前は日本人が多く来ていたが、最近全然見かけないというようなことおっしゃっていました。インドに行くと、日本文化の元のようなものが結構ある印象を受けました。
インドのことをもっと日本に知らせたいという話もしましたし、JNTOも既にいろいろ工夫をしてやっていると思いますが、訪日キャンペーンをどのように浸透させていくのかという点では、他の国とは違う難しさがあるという印象を受けました。
(問)このほど、先駆的DMOの募集が開始された。今、既存で4DMOが先駆的DMOに指定されているが、ここまでの歩みの成果をどのように見られているのかお伺いしたい。そして、改めてDMOの機能強化に対する現状認識と今後の強化に向けた課題について長官の所感をお伺いします。また、今度の募集で、6地域というターゲットがあるなかで、地域の選定にあたって、例えばエリアを分散させるといった方向性が現時点であるのか教えてください。
(答)
令和7年度の先駆的DMOの公募を4月3日から開始しました。
先駆的DMOに選定されるDMOは、トップランナーとして、観光地経営の取組について戦略的に支援をしていく対象となります。
今まで選定されたDMOは、京都市観光協会、田辺市熊野ツーリズムビューロー、下呂温泉観光協会、白馬村観光局の4法人です。
また、すべてのDMOの活動の質を底上げすることが必要という観点から、昨年末に登録制度に関するガイドラインの改正をしました。
DMOには、より科学的なアプロ―チすなわち、数値などの分析に基づき、計画を立てて、それを実行し、その後フィードバックして、また次につなげるということをやっていただきたいと思っています。
素晴らしい観光地ができることは、もちろん、日本人が行って楽しむことに繋がり、加えて、先ほどのインバウンドがより地方に行くことにつながる重要な基盤になると思います。
しっかりフォローして、良いDMOを増やし全体的にレベルアップするようにやっていきたいと思います。
(問)6地域を選定する段階で、エリアが集中するなどの点はいかがでしょうか。
(答)
大事なのは中身ですので、地域的にというよりは、そのものが良いかどうかという評価が一番だと思います。
(問)万博が始まったが、ネガティブな情報も結構出ていて、例えば、実際待ち時間が長いことや、ガス漏れや雨漏れというような話があり、このあたりの中長期的な影響ということで何か考えられていたりすること、あるいは観光庁として実はできることがあるなど、お考えはいかがでしょうか。
(答)
かなり大きなイベントのため、始めてみないとわからない課題はあるだろうなと思います。
課題をなるべく把握して、事象に応じて適切に対応するということにつきます。
今のところ観光庁が何かできるような事象は生じていないと思いますが、何か課題が発生して、万博協会や経産省だけではなく、観光庁も協力することで解消するということがあれば、一生懸命対応していきます。
(問)オーバーツーリズムについて、最近の状況がどういうものか、コロナ前と比べてどのようになっているか、違いとして感じられているところがあればお伺いします。
(答)
現地の生活がもう立ち行かないという状況が、オーバーツーリズムと言われるものであり、日本の場合は観光客が増えて、今までと環境が少し変わると、それをオーバーツーリズムと呼んでいるという意見もあります。
全てのことがオーバーツーリズムだと言える状態なのかはわからないですが、観光客がたくさん来ているということで、ものすごく助かっている、潤ってうまくいっている方たちも確実におり、100%いいことだけではなくて、課題もあるということです。
課題だけが生じていることではないと思いますが、生じた課題があるのであれば、大小にかかわらず、なるべく対応できるものは対応することだと思います。
起きている事象が場所によって全然違いますので、それぞれに応じたやり方があると思います。ご相談いただければ、必要あれば支援しつつ対応していくことかなと思います。
(問)インバウンドの部分についてJATAから、訪日旅行の持続的発展に向けた提言についていろいろな幅広い提言があり、取りまとめの最中かと思いますが、提言の中で具体的かつ優先的に対処していく方針などがあれば、お聞かせください。
(答)
優先的にというものは特にないですが、例えば日本版ライドシェアの地域についてもありました。
ライドシェアについては、先ほども申し上げたとおりスタートしていますが、現地にニーズがあれば、事業者や自治体の合意があれば、なるべく柔軟に、スピーディーに運用時間を変えるなど、今まさに大阪でも、営業区域を度外視して、広くやるということも行っています。
引き続き地域の実情やニーズを踏まえて安全・安心を前提に運用改善していくことが重要だと思っています。
一つの例としては、そのようなものがあるかと思います。
(答)
1月から3月で1,000万人を超えたということで、数字としては過去最高で、最速で1,000万人を突破しました。
地域別に見ますと、インバウンドの約7割を占めるアジア諸国で、前の年の同じ月に比べると13%増えています。
欧米豪、中東諸国もまた同じように13%増えているということで、まんべんなく同じくらい増えているという印象です。
消費額は、一人当たりの旅行支出が少し増えているうえに、人数も増えていますので、掛け算の結果増加し、両方とも非常にありがたい数字だと思っています。
年間で見ると、3月は他の月に比べイベントが少なく、どうなるかと個人的に注目していましたが、結果は好調で、トレンドとして非常に強い傾向にあると感じています。
トランプ大統領の関税政策については、旅行業界で影響あるか、ヒアリングをしてみたところ、現時点でそういった旅行需要に影響が出ているという情報はないということであります。
今後についても、結構ダイナミックに様々な方針が出てきますので、よく注視したいと思っていますが、今のところ影響はないと思っています。
(問)先ほどもインバンドの話がありましたが、観光政策の予算、実績におけるインバウンドの変調傾向がさらに強まる中、双方向の交流の重要性を掲げるアウトバンドの本格的な回復に向けた政策パッケージを策定されてから2年が経ちました。3つの柱を掲げて取組を実施してきたかと思いますが、その3つの柱それぞれの検証と評価に関してお伺いします。
(答)
アウトバンドの本格的な回復に向けた政策パッケージのうち、「諸外国との連携体制の強化」については、例えば、日米観光交流年など、二国間の観光交流の機会を捉え、双方向交流の活性化を進めております。
2番目として、「戦略的効果的な取組」として、旅行業界や各国の政府観光局と連携し、海外旅行の促進キャンペーンを実施したり、ツーリズムEXPOジャパンでは様々な国に出展をしていただき、海外の魅力を感じていただくことができたと思っています。
3番目の「安心・安全な旅行環境の整備・青少年交流の促進」については、ツアーセーフティーネットの拡充や海外教育旅行のプログラムの開発などを行ってまいりました。一昨年度に開発したプログラムが9件あり、そのうちブルネイや韓国などを目的とする5件の海外教育旅行が既に実施されております。
結果として、日本人の出国者数は、昨年5年ぶりに1,300万人を超えましたので、一定の効果はあったかと思います。
しかし、インバウンドに比べると、まだ勢いが弱く、相互交流が非常に大事だと思いますので、引き続き、アウトバンドも推進していきたいと思っています。
(問)先月、新パスポートの導入をきっかけに「もっと海外へ!宣言」を発出し、キャンペーンの展開を発表されたかと思いますが、観光庁として効果につながる具体的な取組予定を教えてください。
(答)
アウトバンドは大事ですが、特に若い人に海外を体験していただくと将来にもつながりますし、ご本人にもいい経験になると思うので、非常に効果があると思います。
そのため、海外教育旅行の促進のために、教育的な付加価値の高いプログラムの開発を引き続き行っていきたいと思います。
また、これまで以上に文部科学省などと連携し、普及啓発や、今まで海外旅行を行っていた学校も、コロナで休止してその後行ってない学校も結構あると聞きますので、そういったところへの働きかけなどができたらいいと思っています。
更には、海外の魅力を知っていただき、海外に行く気になってもらうということが、非常に大事だと思いますので、各国や地域の政府観光局と連携し、SNSを使って海外の観光情報を発信する取組を行ってまいります。ちょうど万博が始まっており、多くの日がナショナルデーになっていますし、パビリオンに行けば、その国の文化が体験できる非常にいい機会ですので、万博パビリオンの関連情報などもお伝えして、万博に足を運んでもらい、本物を見たいと思ってもらえるような機会にできればと思っています。
(問)大阪・関西万博について、海外からの訪日ツアーの販売状況や、訪日客は足元で増加していますが、こちらへの影響というのをどう見ているか教えてください。合わせて、地方への誘客ということもおっしゃっていましたが、国内観光にどういう影響をもたらすかということについてお伺いします。
(答)
万博が始まる前に、観光客に来てもらえるように経産省と一緒に様々な働きかけをしていました。
万博は全般的な傾向として、最初は入場者数が低調ですが、後半で増えてくるということですので、最初がどうなるかと注目していましたが、経産省の方に聞いても、予想よりかなり多くの方に来ていただいていて、非常に良いスタートだという印象のようです。
海外からの訪日ツアーの状況については、JNTOが中国市場の旅行会社の約90社にアンケートでお聞きしたところ、万博関係の旅行商品は、すでに2,000人以上予約があったとのことでした。この商品の中には、ゴールデンルートや大阪の周辺だけではなく、そこから遠い地域も組み込まれた商品が結構あるということです。
今後もまた新たなツアー造成も見込まれているようですので、今後の訪日客も順調に増加していくし、そういった機会や商品を利用して地方に行っていただきたいと期待をしています。
国内旅行の商品の状況については、旅行業界にお聞きしたところ、直近では約250の旅行商品が作られています。
地方の観光地も組み込んだ商品も販売されており、中には、着実に予約を伸ばしているという商品もあるとのことです。
万博を機会にした万博プラス他の場所という観光を楽しんでいただけたらと思っています。
(問)トランプ政権の影響について、現時点ではないということですが、足元では3月以降、円高に振れており、インバウンドの消費になにか影響が出るなど懸念している点があればお伺いします。
(答)
特段懸念はしていないところですが、唐突な方針が出ると市場が動きますので、短期的にはニュースになりますが、それが長期的にどういった影響があるかは、しっかり注視していきたいと思っています。
(問)各地で訪日客が増えるなかで、日本人の「有名観光地離れ」が言われています。京都市の調査では、昨年の紅葉シーズンは有名観光地で外国人は増えた一方で、日本人のお客さんは減ったというものがありました。事象の受け止めと、今後どのように対策されていくか教えてください。
(答)
京都で、今おっしゃられた、市内の観光地における観光客データの分析をやっていただいたようです。
金閣寺など特定の観光地では、前の年に比べて外国人が増加しましたが、一方で日本人が減少したということがあったようです。
そのまた一方で、日本人が増加した地域も京都の中ではあるようです。
旅行者の分散と言いますか、非常にメジャーな金閣寺や清水寺ももちろん素敵ですが、他のこういう観光地がありますよというのをずいぶんお知らせをされていますので、その効果があったのかもしれないと思っています。
また、日本全体で見てみると、日本人の国内の延べ旅行者数は、2024年は2023年と比べて約8%増加しています。8%と少しですが日本人自体は旅行をされる方は増えているというデータはあります。
京都ではそのような傾向があったのかもしれないですが、日本人の国内旅行は重要なマーケットですので、引き続き促進していきたいと思っています。
(問)オーバーツーリズムについてお伺いします。3月末に対馬の和多都美神社が一部のインバウンド観光客の境内への立ち入りを禁止したり、桜のシーズンに新倉山浅間公園でメディア取材が禁止されるなど、オーバーツーリズムに関する新たな報道があるかと思います。場所によって深刻化しているということだと思いますが、こうした動きは各地域や場所で自主的に規制をやっているという部分だと思いますが、行政や地域ができることについて、所感をお伺いします。
(答)
観光客がだんだん増えていくと、今までにないような事象が起こることがあります。
まずは地域でどのようにするのがいいのか、規制的にやるのか、色々なやり方があると思いますが、観光庁でもそのような取組を支援させていただいております。
したがって、具体的に問題が起きているところで、効果的な対策を行いながら、長い目で見ると、観光客が集中しないように、より地方に行っていただくことや、今まであまり来ていただいてないところに誘導することなど、今起きている目の前の対策と、中期的な取組を両方行っていくことが大事だと思っています。今も行っていますが、引き続きしっかり取り組んでいきたいと思います。
(問)トランプ関税について、今後どのようなことが起きたら観光分野でネガティブな影響が出ると考えるか、現時点で想定しているのがあれば、具体的に教えてください。
(答)
ネガティブな影響があるとすれば、今は円が比較的安いですが、円が高くなった時だと思います。
円が高くなった時に、海外からの観光客はどういった心情になるかということですが、円安だから日本に行ってみようと思う人が多いという情報は、我々は持っておらず、日本に行きたいと思って来る方が、日本に行ってみると円安なので日本の消費額が増えていると、我々は理解しています。
したがって、日本に来る方が減るということに影響はないと思いますが、消費額に影響があるのかということは、注目するポイントだと思います。
(問)万博に訪れる観光客の輸送体制について、バス、タクシー、日本版のライドシェアなどの様々な選択肢が揃っている中で円滑に会場に行けることが大事だと思います。この半年間の期待や、留意すべき点がありましたらお伺いします。
(答)
主なものは鉄道、自動車、バス、タクシーですが、鉄道はダイヤがあり、状況に応じて機動的に変えることは想定しにくいと思います。
現在、物流・自動車局が行っている施策は多様な状況に合わせて、万博だけではなく現場のニーズに合わせて柔軟にスピーディーに進めています。
今は、事前にこれがベストだと思われる状況を用意して、スタートをしていると思いますが、この状況で全て対応できれば非常に良いですし、仮に何か新たな課題やもう少し改善すべき点が出てきたら、それに応じてスピーディーに柔軟に対応するということだと思います。
今のところそのようなニーズはまだないのかもしれないですが、もう少し様子を見て、次第にお客さんが増えていった時にどうかということだと思います。
加えて、現場の交通もありますが、空港の受け入れ態勢や早く万博に行きたいと思ったのに、待ち時間が何時間もかかるといった状況は良くないと思います。
その点については、法務省とだいぶ前から色々とご相談しながら進めており、法務省もずいぶん頑張ってくださっており、様々なものを関空に集中する等の対応をしてくれています。
そのような点も含めて、仮に問題があれば、対応していくということだと思います。
(問)先月、日本旅行業協会から、「訪日旅行の持続的発展に向けて」という提言がありましたが、これに対する長官の受け止めをお伺いします。また、提言の中で、通訳案内士の自家用車利用のガイドラインを設定してほしいとか、ホテル向けにやっている人材対策・人材不足の対策の対象に旅行会社を加えてほしいなど具体案がいろいろと入っていたと思いますが、その中でも積極的に実現していけるようなものや、前向きに検討したいものがもしあれば、教えてください。
(答)
先月18日に、今、言われた提言をいただきました。
全般的にかなり幅広い事項でご提案をいただいていて、現場で従事してくださっている方の視点でこれが必要だというご提案だったと思います。
非常にありがたい重要なご提案だと思いますので、観光庁内でよく消化してできるものから対応するということで今、進めています。
(問)日印の協議会のお話がありましたが、インドのマーケットについてお伺いします。インドは、人口ベースでいうと中国に次ぐ大国でありますが、インバウンドとアウトバウンドについて、今後のインパクトや実際に行かれて交流をされて、どういった感触を持ったのか教えてください。
(答)
インドに一週間弱行きまして、日本のように、均質で同じような意識を持ち、生活をしているのとはだいぶ違う国だという気がしました。
人口が非常に多く、期待も大きいですが、全員が海外旅行をできる環境ではないと思う一方、デリーや地方の都市でも、比較的余裕のある階層の方もいらっしゃると思います。
また、日本に対する期待も非常に大きいということを、インドの方と話しているなかで感じました。
ブッダガヤというお釈迦様が悟りを開いた町にも行きましたが、日本人は全員、敬虔な仏教徒でしょうと言われました。そのため、聖地にたくさん来てくれると期待をされていて、そのように見られているのだと思いました。
コロナの前は日本人が多く来ていたが、最近全然見かけないというようなことおっしゃっていました。インドに行くと、日本文化の元のようなものが結構ある印象を受けました。
インドのことをもっと日本に知らせたいという話もしましたし、JNTOも既にいろいろ工夫をしてやっていると思いますが、訪日キャンペーンをどのように浸透させていくのかという点では、他の国とは違う難しさがあるという印象を受けました。
(問)このほど、先駆的DMOの募集が開始された。今、既存で4DMOが先駆的DMOに指定されているが、ここまでの歩みの成果をどのように見られているのかお伺いしたい。そして、改めてDMOの機能強化に対する現状認識と今後の強化に向けた課題について長官の所感をお伺いします。また、今度の募集で、6地域というターゲットがあるなかで、地域の選定にあたって、例えばエリアを分散させるといった方向性が現時点であるのか教えてください。
(答)
令和7年度の先駆的DMOの公募を4月3日から開始しました。
先駆的DMOに選定されるDMOは、トップランナーとして、観光地経営の取組について戦略的に支援をしていく対象となります。
今まで選定されたDMOは、京都市観光協会、田辺市熊野ツーリズムビューロー、下呂温泉観光協会、白馬村観光局の4法人です。
また、すべてのDMOの活動の質を底上げすることが必要という観点から、昨年末に登録制度に関するガイドラインの改正をしました。
DMOには、より科学的なアプロ―チすなわち、数値などの分析に基づき、計画を立てて、それを実行し、その後フィードバックして、また次につなげるということをやっていただきたいと思っています。
素晴らしい観光地ができることは、もちろん、日本人が行って楽しむことに繋がり、加えて、先ほどのインバウンドがより地方に行くことにつながる重要な基盤になると思います。
しっかりフォローして、良いDMOを増やし全体的にレベルアップするようにやっていきたいと思います。
(問)6地域を選定する段階で、エリアが集中するなどの点はいかがでしょうか。
(答)
大事なのは中身ですので、地域的にというよりは、そのものが良いかどうかという評価が一番だと思います。
(問)万博が始まったが、ネガティブな情報も結構出ていて、例えば、実際待ち時間が長いことや、ガス漏れや雨漏れというような話があり、このあたりの中長期的な影響ということで何か考えられていたりすること、あるいは観光庁として実はできることがあるなど、お考えはいかがでしょうか。
(答)
かなり大きなイベントのため、始めてみないとわからない課題はあるだろうなと思います。
課題をなるべく把握して、事象に応じて適切に対応するということにつきます。
今のところ観光庁が何かできるような事象は生じていないと思いますが、何か課題が発生して、万博協会や経産省だけではなく、観光庁も協力することで解消するということがあれば、一生懸命対応していきます。
(問)オーバーツーリズムについて、最近の状況がどういうものか、コロナ前と比べてどのようになっているか、違いとして感じられているところがあればお伺いします。
(答)
現地の生活がもう立ち行かないという状況が、オーバーツーリズムと言われるものであり、日本の場合は観光客が増えて、今までと環境が少し変わると、それをオーバーツーリズムと呼んでいるという意見もあります。
全てのことがオーバーツーリズムだと言える状態なのかはわからないですが、観光客がたくさん来ているということで、ものすごく助かっている、潤ってうまくいっている方たちも確実におり、100%いいことだけではなくて、課題もあるということです。
課題だけが生じていることではないと思いますが、生じた課題があるのであれば、大小にかかわらず、なるべく対応できるものは対応することだと思います。
起きている事象が場所によって全然違いますので、それぞれに応じたやり方があると思います。ご相談いただければ、必要あれば支援しつつ対応していくことかなと思います。
(問)インバウンドの部分についてJATAから、訪日旅行の持続的発展に向けた提言についていろいろな幅広い提言があり、取りまとめの最中かと思いますが、提言の中で具体的かつ優先的に対処していく方針などがあれば、お聞かせください。
(答)
優先的にというものは特にないですが、例えば日本版ライドシェアの地域についてもありました。
ライドシェアについては、先ほども申し上げたとおりスタートしていますが、現地にニーズがあれば、事業者や自治体の合意があれば、なるべく柔軟に、スピーディーに運用時間を変えるなど、今まさに大阪でも、営業区域を度外視して、広くやるということも行っています。
引き続き地域の実情やニーズを踏まえて安全・安心を前提に運用改善していくことが重要だと思っています。
一つの例としては、そのようなものがあるかと思います。
以上