8月長官会見要旨
最終更新日:2025年8月28日
日時:2025年8月22日(金)16:15~16:45
場所:国土交通省会見室
場所:国土交通省会見室
冒頭発言
(訪日外国人旅行者数(2025年7月)について)
本年の7月の訪日外国人旅行者数等について、既に一昨日、日本政府観光局から公表されておりますが、改めて私の方からも報告いたします。
本年7月の訪日外国人旅行者数は344万人となり、7月としては過去最高となりました。昨年同月と比べた伸び率は4%です。
本年7月の出国日本人数は、約121万人となりました。昨年同月と比べた伸び率は15%です。
(旅行・観光消費動向調査2025年4-6月期(1次速報)について)
旅行・観光消費動向調査の2025年4-6月期の速報について報告します。本調査は日本人の国内旅行を対象としております。
2025年4-6月期の日本人国内延べ旅行者数は約1.5億人と、前年同期と同程度となっております。
また、日本人国内旅行の一人1回当たり旅行支出は、約4.7万円、前年同期比で約6%増となっております。
これらを掛け合わせた日本人の国内旅行消費額は、約6.8兆円、前年同期比で約6%増となり、4-6月期として過去最高となりました。
過去の状況で見ますと、日本人の国内旅行消費がもたらす波及効果は国内旅行消費額のおおむね2倍程度で推移しており、これを踏まえると4-6月期は13兆円程度と推測ができます。
(スポーツ文化ツーリズムアワード2025について)
「スポーツ文化ツーリズムアワード2025」の実施についてお知らせします。
観光庁では、各地域のスポーツと文化芸術資源を結び付けることで、新たな観光資源や日本ブランドを創出し、訪日外国人旅行者の増加や国内旅行の活性化、地域経済の発展をもたらす「スポーツ文化ツーリズム」を推進しています。
この「スポーツ文化ツーリズム」の推進に寄与する先進的な取組等を発掘することを目的とし、平成28年度からスポーツ庁及び文化庁と共同で「スポーツ文化ツーリズムアワード」を開催しており、本年度は昨日8月21日から公募を開始したところです。多くの応募をお待ちしております。
受賞団体の公表は、本年12月頃に3庁のウェブサイトにおいて行うとともに、来年1月に開催する「スポーツ文化ツーリズムシンポジウム」において、表彰式を執り行う予定としております。
本年の7月の訪日外国人旅行者数等について、既に一昨日、日本政府観光局から公表されておりますが、改めて私の方からも報告いたします。
本年7月の訪日外国人旅行者数は344万人となり、7月としては過去最高となりました。昨年同月と比べた伸び率は4%です。
本年7月の出国日本人数は、約121万人となりました。昨年同月と比べた伸び率は15%です。
(旅行・観光消費動向調査2025年4-6月期(1次速報)について)
旅行・観光消費動向調査の2025年4-6月期の速報について報告します。本調査は日本人の国内旅行を対象としております。
2025年4-6月期の日本人国内延べ旅行者数は約1.5億人と、前年同期と同程度となっております。
また、日本人国内旅行の一人1回当たり旅行支出は、約4.7万円、前年同期比で約6%増となっております。
これらを掛け合わせた日本人の国内旅行消費額は、約6.8兆円、前年同期比で約6%増となり、4-6月期として過去最高となりました。
過去の状況で見ますと、日本人の国内旅行消費がもたらす波及効果は国内旅行消費額のおおむね2倍程度で推移しており、これを踏まえると4-6月期は13兆円程度と推測ができます。
(スポーツ文化ツーリズムアワード2025について)
「スポーツ文化ツーリズムアワード2025」の実施についてお知らせします。
観光庁では、各地域のスポーツと文化芸術資源を結び付けることで、新たな観光資源や日本ブランドを創出し、訪日外国人旅行者の増加や国内旅行の活性化、地域経済の発展をもたらす「スポーツ文化ツーリズム」を推進しています。
この「スポーツ文化ツーリズム」の推進に寄与する先進的な取組等を発掘することを目的とし、平成28年度からスポーツ庁及び文化庁と共同で「スポーツ文化ツーリズムアワード」を開催しており、本年度は昨日8月21日から公募を開始したところです。多くの応募をお待ちしております。
受賞団体の公表は、本年12月頃に3庁のウェブサイトにおいて行うとともに、来年1月に開催する「スポーツ文化ツーリズムシンポジウム」において、表彰式を執り行う予定としております。
質疑応答
(問)7月の訪日外客数の受け止めをお聞かせください。また、SNS上での噂をめぐって香港からの旅客数の大幅な減少が懸念されていましたが、今後のこうした状況に対する対応策についてどのようなものを検討しているかお聞かせください。
(答)
冒頭申し上げた通り本年7月の訪日外国人旅行者数は約344万人となり、前年同月よりも4%増加し、7月として過去最高となりました。昨年2月から18か月連続で同月過去最高の記録が続いております。
地域別で見ますと、インバウンドの約8割を占めるアジア諸国が前年同月比で2%、欧米豪・中東諸国については前年同月比で15%増加しました。
堅調な訪日需要と航空便の回復等により、インバウンドは好調な状況であり、力強い成長軌道に乗っているものと受け止めております。
また、香港につきましては対前年同月比で37%の減少となっておりますが、科学的根拠のない情報については、海外旅行者の訪日意欲に対し影響が及ばないよう、今後も海外に向けて適時適切な情報発信に取り組んでいくことに尽きると思います。このような努力を継続していきたいと思います。
(問)インバウンドの消費額動向についてプラスの状態が続いています。一方で、別の統計では百貨店でのインバウンド客の消費額が下がっているデータもあります。この動きについてどのように分析されますでしょうか。
(答)
百貨店でのインバウンド客の消費額は、一般社団法人日本百貨店協会が公表している「全国百貨店売上高概況」によると、本年3月以降4か月連続で前年同期比の減少が認められます。
他方で先般、ご報告したとおりインバウンド消費動向調査において4-6月期の訪日外国人旅行消費額は、1次速報値で2.5兆円と推計され、四半期として過去最高となりました。
内訳を費目別にみますと、前年同期比で、宿泊費、飲食費、交通費、娯楽等サービス費、買物代とすべての項目において増加しております。百貨店等における免税品以外も含まれる買物代は、前年同期比0.2%の微増となっております。
百貨店の4-6月期の売り上げについては、昨年は特に円安効果などから好調でしたので、今年はその反動などもあったのではないかと思われます。
いずれにしましてもインバウンド消費全体で見れば、好調に推移していると考えております。
観光庁といたしましては引き続き地方への誘客、あるいは付加価値の高い体験消費の拡大を進め、さらなるインバウンド消費の拡大に向けて、力を尽くしてまいります。
(問)アウトバウンドはここ3か月14%台の伸びで毎月100万人を超えていますが、コロナ前と比べると7割くらいの回復ということで、道半ばの状況と見受けられます。アウトバウンドの状況について長官のご所感をお伺いします。
(答)
ご指摘いただきましたとおり、アウトバウンドは、コロナ禍以降回復傾向にはございますが、物価高や為替等の影響もあり、コロナ前の2019年水準である2,000万人を下回っています。本年の1月から7月までの出国の日本人数は約780万人とコロナ前の2019年と比べて約7割となりました。昨年同期間と比較すると約14%の増加で昨年からさらに回復傾向にあると認識しています。
また先日のお盆期間における、主要航空会社の国際線旅客実績についても、前年比でプラスとなり、好調であったと聞いております。
今後のアウトバウンドの回復について、重要な課題と認識をしており、国民の皆様が「海外に意識を向ける」、「海外に行きたい」と思うようなさらなる機運醸成や、若者の国際交流の促進、海外旅行を実施しやすくなる環境や体制の整備等が必要と認識しております。
観光庁といたしましては、外務省やJATAと本年3月に発出した「もっと!海外へ宣言」に基づく取組や海外教育旅行のプログラム開発、諸外国との連携体制の強化を進めているところであり、今後もアウトバウンド回復に向けて、取り組んでまいりたいと考えています。
(問)オーバーツーリズム対策事業の二次公募の採択結果が公表され、三次公募も行われました。改めて採択の状況も含めてオーバーツーリズム対策の足元の状況や効果測定など長官のご所感をお伺いします。
(答)
観光需要が堅調な成長軌道にある中で、一部の地域や時間帯において過度な混雑やマナー違反等の懸念が生じていると認識しています。
こうした課題に対処すべく、令和5年10月の観光立国推進閣僚会議において対策パッケージが取りまとめられ、それ以降、令和5年度、6年度の補正予算を活用しながら、観光客向けの移動手段などの「受入環境の整備や増強」、混雑状況の可視化などによる「需要の分散や平準化」、「マナー違反行為の抑制」等の様々な対策を支援してきたところです。
また、令和5年度補正予算で支援した26の先駆モデル地域における取組については、具体的な事例集という形で、観光庁ウェブサイトで公表しました。
こういった先駆モデルでの成果は、一つの大きな取組の成果であると考えております。
この観光客の来訪に伴い生じる諸課題については、様々な要因が複合的に作用するものであり、これまでの成果の要因と解決を一概に申し上げることは難しいですが、自治体、DMO、観光関連事業者等の多様な関係者の皆様が連携し、住民の方々の意見を取り入れながら対策を講じる地域が着実に増えてきていると認識しています。
観光庁としては引き続き、各地域の実情に応じた意欲的な対策の取組を総合的に支援してまいるよう進めていきたいと思います。
(問)先月7月30日にカムチャツカ半島で地震があり、太平洋地域の広範囲に津波警報が発令されました。外国人旅行者は増加傾向にありますが、外国人旅行者災害に巻き込まれた時、あるいは巻き込まれかねない時の対応は十分との認識でしょうか。また、外国人旅行者の安全を確保するため、情報発信や避難誘導に関する取組状況を教えてください。
(答)
外国人旅行者の災害時の対応について、外国人旅行者の方々は、我が国での災害経験が少ないことに加え、言語の壁により迅速かつ正確な情報の入手が困難な状況が一般的でありますので、観光庁としましては、外国人旅行者の皆様に対する災害時の多言語による情報発信に取り組んでいるところです。
今般、7月30日の津波警報に対しては、観光庁監修の災害時情報提供アプリ「Safety tips」あるいはJNTOのウェブサイトにおいて、津波警報でありますとか津波発生時にとるべき行動などについて発信をしております。
また、JNTOのSNS公式アカウントにおいても津波警報や交通機関の運行情報ななどを発信したところであります。
加えて、24時間対応可能なJNTOのコールセンターにおいても問い合わせに対応したというような様々な対応をしてきたというのが、7月30日の津波警報に対する対応でございます。
外国人への一般的な対応ということになりますと、特に観光地においては災害発生時にその土地に不慣れな外国人の旅行者の方々が多く居合わせているということをあらかじめ想定して対応、準備していくということが重要であります。
そのために観光庁としましては、地方自治体や地域の関係者の方々が外国人旅行者の避難誘導等を含む対応につきまして、あらかじめ定めておく計画、具体的には観光危機管理計画の策定が重要であると考えており、その策定を促進すべく、様々な支援等の取組を行っているところです。
観光庁としましては、こういった取組を通じ、外国人旅行者の方々の安全安心な受入環境の整備に努めていきたいと考えております。
(問)宿泊予約サイトアゴダの関係でお尋ねします。アゴダを巡っては、予約した部屋が確保されていないトラブルが相次いだことを受け、同社は先月、一部事業者との取引停止などの対策を発表しました。しかしSNSでは現在もトラブルにあったとの趣旨の投稿が散見されています。同社における最近の予約トラブルの発生状況について把握されていることがあればお伺いします。また、観光庁としてどのように対応されているかも併せてお伺いします。
(答)
アゴダの予約トラブルに関しては、先月の会見でも申し上げましたが、観光庁からアゴダに対して改善を図るように申し入れを行ってきたということも踏まえ、アゴダにおきましては、トラブルが生じている第三者サプライヤー経由の宿泊商品の販売停止を6月26日から講じたということですし、さらにAIを活用した事前監視システムの導入や、第三者サプライヤーへの管理等の強化等を行っていくという方針を7月15日に会社として公表されたと承知しております。
その後の状況については、私どもがアゴダや一部の宿泊施設から聞いている状況によりますと、第三者サプライヤー経由の宿泊商品が販売停止をされた以降については、予約トラブルは減少傾向にあると聞いております。
一方で、トラブルが生じている第三者サプライヤー経由の宿泊商品の販売停止は6月26日以降であったことから、当該措置を講じる以前に予約された宿泊商品のトラブルも混在している可能性はまだあるものと考えております。
観光庁としましては、引き続きアゴダによる改善策の進捗状況等について、逐次報告を受け、確認をしつつ適切な対応を行ってまいりたい所存です。
(問)2026年度の概算要求を控えているかと思いますが、観光庁予算は国際観光旅客税財源や補正予算などで確保されている一方で、一般財源からの当初予算額が減少傾向にあると思います。近年は関係団体からの要望などで、安定的な予算確保の観点から、一般財源からの当初予算割合増加を求める意見があがっているかと思います。この件についてどのようにお考えか、お聞かせください。
(答)
ご指摘いただきました一般財源からの観光庁の当初予算につきましては、平成30年度をピークに減少傾向にあります。
平成31年1月に国際観光旅客税が創設されたところであり、その後、私どもとして必要な観光政策を進めることを目的としまして、一般財源と国際観光旅客税の財源、さらには補正予算を合わせて必要な予算の確保に努めてきたところでございます。
8月末の令和8年度予算の概算要求に向けては、一般財源それから旅客税財源いずれもしっかりと要求を行いたいと考えており、9月以降の予算編成過程においても、あらゆる機会を捉えて、必要な予算の確保に取り組んでまいります。
いずれにしましても、観光立国推進基本計画で定められた必要な施策を実施するための予算を、しっかり確保していくことが何よりも重要であると考えております。
(問)訪日外国人旅行者数で減っている国は、全て風評によるものとみていらっしゃるでしょうか。
(答)
様々な要因があるかと思いますが、まず香港は、先ほど申しましたような噂の影響というのは非常に大きかったと思っております。
また、韓国についても10%の減少となっておりますが、ここも香港と同じく、地震の噂による旅行のキャンセルが多数生じたことが大きいというふうに聞いております。
その他の東南アジア諸国についてもいくつか減少している国がありますが、それぞれの国によって事情が違うものの、東南アジア諸国はもともと夏の訪日旅行需要が低いといった要因に加え、例えばタイは9%の減となっておりますが、経済の低迷が継続していることによる海外旅行需要全体の低迷が影響しているのではないかと考えております。
シンガポールも14%の減となっていますが、ジェットスターアジアの事業撤退による段階的な減便や我が国の記録的猛暑が影響しているという分析がされております。
マレーシアやフィリピンも減になっていますが、こちらは祝日やスクールホリデーなどの休暇の時期が、昨年と比較して移動していることが影響しているということなど、こういったことで訪日旅行者の減少要因になっている国々があると考えております。
いずれにしましても、こういった国々の減少を上回る国の方が多く、トータルとしては先ほどの数字になっていると考えております。
(問)香港が減少に転じて2か月か3か月になりますが、8月の足元はどのようにみていらっしゃるでしょうか。
(答)
現時点ではまだ明確なことは申し上げられませんが、香港や韓国においては、訪日旅行の販売キャンペーンを実施している旅行会社や、引き続き消費者からの訪日旅行の問い合わせが増加している旅行会社もあると聞いており、引き続き訪日外客数の動向についてはもう少し注視をしていきたいと考えております。
(問)先ほどの質問にもありましたが、アウトバウンドの伸びがコロナ禍前に比べて旅行者数が伸びていない要因について、物価高や為替については言及がありましたが、具体的にどういう要因だと分析されてるかもう少し伺えますでしょうか。
(答)
我が国の旅行市場全体がコロナ前に比べ、まだそこまでの回復に至っていないことに加え、特にアウトバウンドについては、物価高や為替等の影響もあるかと思います。
アウトバウンドの促進については、先ほど申し上げたような様々な取組をトータルで進めてまいるということに尽きると思っております。
(問)追加で詳しくお聞きします。コロナ前と今の状況で、何が一番顕著に変わってると認識されておりますでしょうか。
(答)
国によって状況は違うと思いますが、例えば中東やウクライナなどの政治的に不安定な国々があるという状況は、おそらくコロナの前はなかったように思います。
そういった世界情勢への不安といったことも一つの要因になってる可能性はあるのかなと感じております。
(問)今のアウトバウンドの戻りが遅いという話も絡んできますが、今日発表した日本人の国内旅行消費額では、消費額は過去最高ということですが、宿泊旅行の人数は減って日帰り旅行の人数は増えている。結局まとめると、物価高で生活苦しくなり、日本人が旅行がしたくてもできないという状況が生まれているのではないかという分析の仕方もあるのではと思いますが、その点どのようにお考えでしょうか。
(答)
旅行・観光消費動向調査では、観光・レクリエーション、帰省・知人訪問等、出張・業務旅行という3つの目的別になっており、延べ旅行者数トータルでは宿泊旅行が昨年に比べ1. 8%減少しておりますが、その3つの要因を見ますと、観光・レクリエーション目的では、宿泊旅行については0. 9%増えており、日帰り旅行については4. 5%増えております。
したがって、物価上昇の影響で単価が上昇しているのは当然ありますが、観光・レクリエーション目的では延べ旅行者数は昨年に比べて増えているというところは私どもの調査で一つ言えることではないかと考えております。
(答)
冒頭申し上げた通り本年7月の訪日外国人旅行者数は約344万人となり、前年同月よりも4%増加し、7月として過去最高となりました。昨年2月から18か月連続で同月過去最高の記録が続いております。
地域別で見ますと、インバウンドの約8割を占めるアジア諸国が前年同月比で2%、欧米豪・中東諸国については前年同月比で15%増加しました。
堅調な訪日需要と航空便の回復等により、インバウンドは好調な状況であり、力強い成長軌道に乗っているものと受け止めております。
また、香港につきましては対前年同月比で37%の減少となっておりますが、科学的根拠のない情報については、海外旅行者の訪日意欲に対し影響が及ばないよう、今後も海外に向けて適時適切な情報発信に取り組んでいくことに尽きると思います。このような努力を継続していきたいと思います。
(問)インバウンドの消費額動向についてプラスの状態が続いています。一方で、別の統計では百貨店でのインバウンド客の消費額が下がっているデータもあります。この動きについてどのように分析されますでしょうか。
(答)
百貨店でのインバウンド客の消費額は、一般社団法人日本百貨店協会が公表している「全国百貨店売上高概況」によると、本年3月以降4か月連続で前年同期比の減少が認められます。
他方で先般、ご報告したとおりインバウンド消費動向調査において4-6月期の訪日外国人旅行消費額は、1次速報値で2.5兆円と推計され、四半期として過去最高となりました。
内訳を費目別にみますと、前年同期比で、宿泊費、飲食費、交通費、娯楽等サービス費、買物代とすべての項目において増加しております。百貨店等における免税品以外も含まれる買物代は、前年同期比0.2%の微増となっております。
百貨店の4-6月期の売り上げについては、昨年は特に円安効果などから好調でしたので、今年はその反動などもあったのではないかと思われます。
いずれにしましてもインバウンド消費全体で見れば、好調に推移していると考えております。
観光庁といたしましては引き続き地方への誘客、あるいは付加価値の高い体験消費の拡大を進め、さらなるインバウンド消費の拡大に向けて、力を尽くしてまいります。
(問)アウトバウンドはここ3か月14%台の伸びで毎月100万人を超えていますが、コロナ前と比べると7割くらいの回復ということで、道半ばの状況と見受けられます。アウトバウンドの状況について長官のご所感をお伺いします。
(答)
ご指摘いただきましたとおり、アウトバウンドは、コロナ禍以降回復傾向にはございますが、物価高や為替等の影響もあり、コロナ前の2019年水準である2,000万人を下回っています。本年の1月から7月までの出国の日本人数は約780万人とコロナ前の2019年と比べて約7割となりました。昨年同期間と比較すると約14%の増加で昨年からさらに回復傾向にあると認識しています。
また先日のお盆期間における、主要航空会社の国際線旅客実績についても、前年比でプラスとなり、好調であったと聞いております。
今後のアウトバウンドの回復について、重要な課題と認識をしており、国民の皆様が「海外に意識を向ける」、「海外に行きたい」と思うようなさらなる機運醸成や、若者の国際交流の促進、海外旅行を実施しやすくなる環境や体制の整備等が必要と認識しております。
観光庁といたしましては、外務省やJATAと本年3月に発出した「もっと!海外へ宣言」に基づく取組や海外教育旅行のプログラム開発、諸外国との連携体制の強化を進めているところであり、今後もアウトバウンド回復に向けて、取り組んでまいりたいと考えています。
(問)オーバーツーリズム対策事業の二次公募の採択結果が公表され、三次公募も行われました。改めて採択の状況も含めてオーバーツーリズム対策の足元の状況や効果測定など長官のご所感をお伺いします。
(答)
観光需要が堅調な成長軌道にある中で、一部の地域や時間帯において過度な混雑やマナー違反等の懸念が生じていると認識しています。
こうした課題に対処すべく、令和5年10月の観光立国推進閣僚会議において対策パッケージが取りまとめられ、それ以降、令和5年度、6年度の補正予算を活用しながら、観光客向けの移動手段などの「受入環境の整備や増強」、混雑状況の可視化などによる「需要の分散や平準化」、「マナー違反行為の抑制」等の様々な対策を支援してきたところです。
また、令和5年度補正予算で支援した26の先駆モデル地域における取組については、具体的な事例集という形で、観光庁ウェブサイトで公表しました。
こういった先駆モデルでの成果は、一つの大きな取組の成果であると考えております。
この観光客の来訪に伴い生じる諸課題については、様々な要因が複合的に作用するものであり、これまでの成果の要因と解決を一概に申し上げることは難しいですが、自治体、DMO、観光関連事業者等の多様な関係者の皆様が連携し、住民の方々の意見を取り入れながら対策を講じる地域が着実に増えてきていると認識しています。
観光庁としては引き続き、各地域の実情に応じた意欲的な対策の取組を総合的に支援してまいるよう進めていきたいと思います。
(問)先月7月30日にカムチャツカ半島で地震があり、太平洋地域の広範囲に津波警報が発令されました。外国人旅行者は増加傾向にありますが、外国人旅行者災害に巻き込まれた時、あるいは巻き込まれかねない時の対応は十分との認識でしょうか。また、外国人旅行者の安全を確保するため、情報発信や避難誘導に関する取組状況を教えてください。
(答)
外国人旅行者の災害時の対応について、外国人旅行者の方々は、我が国での災害経験が少ないことに加え、言語の壁により迅速かつ正確な情報の入手が困難な状況が一般的でありますので、観光庁としましては、外国人旅行者の皆様に対する災害時の多言語による情報発信に取り組んでいるところです。
今般、7月30日の津波警報に対しては、観光庁監修の災害時情報提供アプリ「Safety tips」あるいはJNTOのウェブサイトにおいて、津波警報でありますとか津波発生時にとるべき行動などについて発信をしております。
また、JNTOのSNS公式アカウントにおいても津波警報や交通機関の運行情報ななどを発信したところであります。
加えて、24時間対応可能なJNTOのコールセンターにおいても問い合わせに対応したというような様々な対応をしてきたというのが、7月30日の津波警報に対する対応でございます。
外国人への一般的な対応ということになりますと、特に観光地においては災害発生時にその土地に不慣れな外国人の旅行者の方々が多く居合わせているということをあらかじめ想定して対応、準備していくということが重要であります。
そのために観光庁としましては、地方自治体や地域の関係者の方々が外国人旅行者の避難誘導等を含む対応につきまして、あらかじめ定めておく計画、具体的には観光危機管理計画の策定が重要であると考えており、その策定を促進すべく、様々な支援等の取組を行っているところです。
観光庁としましては、こういった取組を通じ、外国人旅行者の方々の安全安心な受入環境の整備に努めていきたいと考えております。
(問)宿泊予約サイトアゴダの関係でお尋ねします。アゴダを巡っては、予約した部屋が確保されていないトラブルが相次いだことを受け、同社は先月、一部事業者との取引停止などの対策を発表しました。しかしSNSでは現在もトラブルにあったとの趣旨の投稿が散見されています。同社における最近の予約トラブルの発生状況について把握されていることがあればお伺いします。また、観光庁としてどのように対応されているかも併せてお伺いします。
(答)
アゴダの予約トラブルに関しては、先月の会見でも申し上げましたが、観光庁からアゴダに対して改善を図るように申し入れを行ってきたということも踏まえ、アゴダにおきましては、トラブルが生じている第三者サプライヤー経由の宿泊商品の販売停止を6月26日から講じたということですし、さらにAIを活用した事前監視システムの導入や、第三者サプライヤーへの管理等の強化等を行っていくという方針を7月15日に会社として公表されたと承知しております。
その後の状況については、私どもがアゴダや一部の宿泊施設から聞いている状況によりますと、第三者サプライヤー経由の宿泊商品が販売停止をされた以降については、予約トラブルは減少傾向にあると聞いております。
一方で、トラブルが生じている第三者サプライヤー経由の宿泊商品の販売停止は6月26日以降であったことから、当該措置を講じる以前に予約された宿泊商品のトラブルも混在している可能性はまだあるものと考えております。
観光庁としましては、引き続きアゴダによる改善策の進捗状況等について、逐次報告を受け、確認をしつつ適切な対応を行ってまいりたい所存です。
(問)2026年度の概算要求を控えているかと思いますが、観光庁予算は国際観光旅客税財源や補正予算などで確保されている一方で、一般財源からの当初予算額が減少傾向にあると思います。近年は関係団体からの要望などで、安定的な予算確保の観点から、一般財源からの当初予算割合増加を求める意見があがっているかと思います。この件についてどのようにお考えか、お聞かせください。
(答)
ご指摘いただきました一般財源からの観光庁の当初予算につきましては、平成30年度をピークに減少傾向にあります。
平成31年1月に国際観光旅客税が創設されたところであり、その後、私どもとして必要な観光政策を進めることを目的としまして、一般財源と国際観光旅客税の財源、さらには補正予算を合わせて必要な予算の確保に努めてきたところでございます。
8月末の令和8年度予算の概算要求に向けては、一般財源それから旅客税財源いずれもしっかりと要求を行いたいと考えており、9月以降の予算編成過程においても、あらゆる機会を捉えて、必要な予算の確保に取り組んでまいります。
いずれにしましても、観光立国推進基本計画で定められた必要な施策を実施するための予算を、しっかり確保していくことが何よりも重要であると考えております。
(問)訪日外国人旅行者数で減っている国は、全て風評によるものとみていらっしゃるでしょうか。
(答)
様々な要因があるかと思いますが、まず香港は、先ほど申しましたような噂の影響というのは非常に大きかったと思っております。
また、韓国についても10%の減少となっておりますが、ここも香港と同じく、地震の噂による旅行のキャンセルが多数生じたことが大きいというふうに聞いております。
その他の東南アジア諸国についてもいくつか減少している国がありますが、それぞれの国によって事情が違うものの、東南アジア諸国はもともと夏の訪日旅行需要が低いといった要因に加え、例えばタイは9%の減となっておりますが、経済の低迷が継続していることによる海外旅行需要全体の低迷が影響しているのではないかと考えております。
シンガポールも14%の減となっていますが、ジェットスターアジアの事業撤退による段階的な減便や我が国の記録的猛暑が影響しているという分析がされております。
マレーシアやフィリピンも減になっていますが、こちらは祝日やスクールホリデーなどの休暇の時期が、昨年と比較して移動していることが影響しているということなど、こういったことで訪日旅行者の減少要因になっている国々があると考えております。
いずれにしましても、こういった国々の減少を上回る国の方が多く、トータルとしては先ほどの数字になっていると考えております。
(問)香港が減少に転じて2か月か3か月になりますが、8月の足元はどのようにみていらっしゃるでしょうか。
(答)
現時点ではまだ明確なことは申し上げられませんが、香港や韓国においては、訪日旅行の販売キャンペーンを実施している旅行会社や、引き続き消費者からの訪日旅行の問い合わせが増加している旅行会社もあると聞いており、引き続き訪日外客数の動向についてはもう少し注視をしていきたいと考えております。
(問)先ほどの質問にもありましたが、アウトバウンドの伸びがコロナ禍前に比べて旅行者数が伸びていない要因について、物価高や為替については言及がありましたが、具体的にどういう要因だと分析されてるかもう少し伺えますでしょうか。
(答)
我が国の旅行市場全体がコロナ前に比べ、まだそこまでの回復に至っていないことに加え、特にアウトバウンドについては、物価高や為替等の影響もあるかと思います。
アウトバウンドの促進については、先ほど申し上げたような様々な取組をトータルで進めてまいるということに尽きると思っております。
(問)追加で詳しくお聞きします。コロナ前と今の状況で、何が一番顕著に変わってると認識されておりますでしょうか。
(答)
国によって状況は違うと思いますが、例えば中東やウクライナなどの政治的に不安定な国々があるという状況は、おそらくコロナの前はなかったように思います。
そういった世界情勢への不安といったことも一つの要因になってる可能性はあるのかなと感じております。
(問)今のアウトバウンドの戻りが遅いという話も絡んできますが、今日発表した日本人の国内旅行消費額では、消費額は過去最高ということですが、宿泊旅行の人数は減って日帰り旅行の人数は増えている。結局まとめると、物価高で生活苦しくなり、日本人が旅行がしたくてもできないという状況が生まれているのではないかという分析の仕方もあるのではと思いますが、その点どのようにお考えでしょうか。
(答)
旅行・観光消費動向調査では、観光・レクリエーション、帰省・知人訪問等、出張・業務旅行という3つの目的別になっており、延べ旅行者数トータルでは宿泊旅行が昨年に比べ1. 8%減少しておりますが、その3つの要因を見ますと、観光・レクリエーション目的では、宿泊旅行については0. 9%増えており、日帰り旅行については4. 5%増えております。
したがって、物価上昇の影響で単価が上昇しているのは当然ありますが、観光・レクリエーション目的では延べ旅行者数は昨年に比べて増えているというところは私どもの調査で一つ言えることではないかと考えております。
以上