7月長官会見要旨

最終更新日:2026年7月31日

                                    日時:2026年7月15日(水)16:15~16:50
                                         場所:国土交通省会見室

冒頭発言

(訪日外国人旅行者数等(2026 年6月)について)
本年6月の訪日外国人旅行者数等について報告をします。
本年6月の訪日外国人旅行者数は約315万人となり、前年同月と比べ6.8%の減少となりました。
本年6月の出国日本人数は約109万人となり、前年同月と比べ3.4%の増加となりました。

(インバウンド消費動向調査(2026年4-6月期・1次速報)について)
インバウンド消費動向調査4月-6月期の1次速報の結果について報告をします。
本年4月から6月期の訪日外国人旅行消費額は、第2四半期としては過去最高となる約2.5兆円と推計されており、前年同期比で0.2%増となりました。
訪日外国人1人当たり旅行支出は、四半期としましては過去最高となる24.4万円となり、前年同期比で3.3%の増加となりました。
いつも申し上げていることですが、過去を振り返りますと、訪日観光支出がもたらす波及効果については、訪日外国人消費額のおおむね2倍程度で推移しているということですので、4月-6月期は約5兆円程度と推測ができる状況です。

(住宅宿泊事業法に規定する届出住宅に係るゼロ日規制等について(技術的助言))
本日の午後にプレス発表したところですが、本日地方自治体に向けて住宅宿泊事業法に関する技術的助言を発出させていただきました。
この技術的助言におきましては、住宅宿泊事業を実施する期間をゼロ日に制限して立地を規制するいわゆるゼロ日規制や、ICTを用いた管理の義務付けについて、通知をしたところです。
具体的に言いますとまずゼロ日規制については、例えば多くの民泊の立地による多数の宿泊者の往来により、閑静な住宅地や教育施設等の周辺などの静穏な生活や教育環境が損なわれる恐れがある場合には、条例でゼロ日規制を始め、事業を制限することが可能であることなどを記載したところです。
またICTを用いた管理の義務付けに関しては、事業者自らが民泊の状況を把握し、迷惑行為への積極的な対応を促すため、地域の実情に応じて事業者に対して、騒音計やカメラの設置などを条例で義務付けることが可能であることを記載したところです。
これにより民泊の運営状況を詳細に把握することが可能になり、自治体による適切な管理監督の向上が図られると考えております。

質疑応答

(問)6月の訪日客数及び1月から6月までの累計実績についての長官の受け止めをお聞かせください。また今回の結果の増減要因や足元のインバウンド需要のトレンドをどのように分析していらっしゃるか、また、今後の需要の見込みについてご見解をお願いします。
(答)
冒頭申し上げた通り本年6月の訪日外国人旅行者数は、約315万人となり、前年同月比で6.8%の減少となりました。
一方、23の国・地域のうち15の国・地域では6月として過去最高の訪日者数を記録したところです。
この15というのを具体的に申し上げますと、韓国、台湾、ベトナム、インド、オーストラリア、アメリカ、カナダ、メキシコ、英国、フランス、イタリア、スペイン、ロシア、北欧、中東の15でございます。
一方、前年同月比で減少となりましたのは、中国、タイ、シンガポール、フィリピン、ドイツの5つです。要因は、中国、タイ、シンガポール、フィリピンでは、昨年の同月と比較して航空便数の減少が挙げられると考えております。
また、ドイツについては前年からの祝日の日程のずれが主な減少要因と考えております。
それから本年1月から6月までの上半期の累計では約2,108万人となり、前年同期比で2.0%の減少となりましたが、前年に続き今年の上半期も2,000万人を上回った状況です。
本年上半期について、国・地域別にみると、東南アジア諸国は前年同期比8.3%の増加、また、欧米豪諸国は6.7%の増加となっており、多様な国・地域からの多くの方に日本にお越しいただいており、市場の多様化が進んでいると考えております。
また消費額においても、引き続き前年同期比でプラスを維持しており、観光の質的な面での向上も進んでいると認識しております。
このような状況を踏まえてインバウンドの市場全体といたしましては堅調に推移しているものと受け止めております。
インバウンドは様々な要素の影響を受けることから、現時点で今後の見通しについて申し上げることは差し控えたいと思いますが、観光庁といたしましては、より長い期間における傾向を注視しつつ、引き続き様々な国・地域からの訪日を促進すべく、戦略的な訪日プロモーションの実施などに取り組んでまいります。

(問)先月29日に「全国通訳案内士の研修の高度化等に向けた検討会」の第2回会合がありました。この会合で議論された内容をご説明ください。訪日誘客に向けてガイド役の存在が重要視される中で、ガイド人材の育成に対して長官のご所感をいただければ思います。
(答)
多様な訪日外国人旅行者のニーズに対応するために、通訳案内士のさらなる質の向上が重要となっていることを踏まえて、「全国通訳案内士の研修の高度化等に向けた検討会」を本年3月に設置し、議論を進めているところです。
6月29日の第2回検討会においては、全国通訳案内士のキャリアパスや、活動を始めるにあたっての基礎研修のあり方について議論を行ったところです。
検討会の中でのご意見を少し紹介しますと、例えば「通訳案内士の多様な働き方を知り、自分に合った働き方を選べるようにライフスタイルも含めたキャリアパスを示すことが必要」「通訳案内士として活躍するために、基礎研修の受講は重要」といった意見を頂戴したところです。
歴史や文化、自然など、我が国や地域の魅力や価値を適切に伝えることができる質の高いガイドを確保・育成することは旅行者の満足度の向上や、地方誘客の促進等を図る上で極めて重要であると認識をしております。
観光庁としましては、全国通訳案内士の人材の確保や継続性の確保を図るため、技量の習得・維持・向上のための研修機会の充実に向けて、引き続きこの検討会で議論していただくことにしており、今後検討会で取りまとめられる議論を踏まえた取組を進めていきたいと考えております。
それから資格の有無に関わらず、地域の魅力や価値を旅行者に伝えるいわゆるローカルガイド人材の確保・育成や、継続して活躍できる仕組みづくり等に取り組む地域も支援しているところです。
本年3月に閣議決定した観光立国推進基本計画においても、ガイド人材の持続的な確保や質の向上を図っていく旨を掲げております。検討会や支援事業を通じて一層ガイドに対する取組を推進してまいります。

(問)中国からの訪日外国人観光客を巡る対応策についてお伺いします。数字上、多くの国は軒並みインバウンドが好調だと思いますが、中国については前年より大きく数字上は落ち込んでいるかと思います。旅行者数6,000万人という数字を目指す上でもやはりポイントになるかと思うので、現状の中国人観光客を巡る数字の受け止めと、今後取り組んでいくこと、今後の考え方などについてお伺いさせてください。
(答)
中国につきましては、訪日客数、消費額ともに上位を占めており、インバウンドの政策上重要な市場の一つと認識をしております。引き続き中国からの旅行客の動向や実績を注視するとともに、様々な状況を勘案しつつ、日本政府観光局を通じて、SNSを活用した訪日旅行に関する情報発信など、必要な取組を進めてまいりたいと考えております。
その上で、インバウンド市場全体としては、その多様化を図るということが重要であると考えており、実際に、今年の上半期のインバウンドの数につきましては、東南アジア諸国は前年同期比の8.3%の増、欧米豪諸国は6.7%の増となっており、多様な国・地域から多くの方に訪日していただき、市場の多様化が進んでいるという状況です。また消費額でみますと、引き続き前年同期比でプラスを維持しており、私どもはインバウンド市場全体の状況を見ていくことが極めて重要であると思っておりまして、そういった意味で、堅調であると受け止めております。このような考え方をもとに、今申しましたことを進めていきたいと考えております。

(問)上半期で見ると訪日客自体は前年より減っておりますが、消費額が増えているという理由をお伺いさせてください。
(答)
4-6月期のインバウンドの消費額につきましては2.5兆円ということで、第2四半期として過去最高となりました。
要因ですが、今ご指摘のように、インバウンドの旅行者数は前年と比較して減少していますが、多くの国や地域においては1人当たりの旅行支出が増加しており、全国籍・地域では四半期として過去最高となる24.4万円となったことが挙げられると思います。
また、国籍・地域別のインバウンド消費額で、今回米国が1位となったということで、こちらから見ても市場の多様化が一層進んだと認識をしております。
4-6月期の結果を踏まえ、本年の上半期合計のインバウンド消費額ですが、過去最高の4.8兆円と推計されており、こちらも昨年同期比では1.3%の増となっております。
私どもとしては、引き続き消費単価の高い旅行者の誘致、こういったことも重要な課題として取り組んでまいりたいと思っております。

(問)消費動向調査の結果についてですが、今回米国が1位になった背景として、例えば円安基調が続いているなど、現状の経済状況の背景の分析などをお伺いさせてください。それに伴い、買い物代が昨年と比べて増えていると思います。ここ最近でモノ消費からコト消費のトレンド感があったかと思いますが、例えば何か背景があってこのような形で買い物代が増えているのか、そのあたりの分析などをお伺いさせてください。
(答)
1人当たりの旅行支出の内訳ということで費目別にみますと、飲食費や買い物代をはじめとして、多くの費目で万遍なく増加している傾向であると思っております。
国籍・地域別にみましても、多くの国・地域におきましては、1人当たりの旅行支出が前年に比べて増加しております。
買い物代が増えていることがどういった傾向になっているかに関しましては、今回は3か月のデータですので、トレンドを分析するにはまだ早いと思っております。

(問)その上で米国が今回消費額という意味では1位になりましたが、米国から見た日本への旅行ということを考えたときに、お得感があるという意味で考えると円安の効果などもあると思いますが、そのあたりの分析についてお伺いさせてください。
(答)
要因は様々あり、円安というのも一つの要因だとは思いますが、円安という意味におきましてはアメリカに限らず、様々な国にとっても円安ということは言えるかと思いますので、今回アメリカが1番になりましたが、その背景についてはもう少し精査が必要であると思っております。

(問)訪日客数について、上半期でみると2.0%のマイナスですが、長官としては、先ほどからインバウンドとしては好調に推移しているというご見解をお話されていたかと思います。この人数の減少そのものについては、どのように受け止めていますか。
(答)
昨年と比べますと、上半期2.0%のマイナスということで、これをどのように評価するかということだと思いますが、私としては、中国の大きな減少がある中で、他の国が過去最高の数字で推移しておりますので、人数としても非常に好調であると、全体としては言えると思っております。
インバウンドというのは人数だけで見るのではなく、消費額も含めて、日本経済にどういう良い影響があるかという観点で考えていくことが重要であると考えておりますので、消費額というものもあわせて、我々としては判断をしているところです。

(問)7月1日から国際観光旅客税と、日本を訪れる外国人が取得するビザの申請手数料が引き上げられました。訪日需要や、インバウンド消費に与える影響を長官はどのように見立てていらっしゃいますか。
(答)
国際観光旅客税の引上げですが、引上げによって得られた財源は、オーバーツーリズム対策等のボトルネック・課題解消に必要となる施策の充実・強化に活用することになっており、2030年のインバウンドの6,000万人、あるいは消費額15兆円の目標を達成するためのものであり、そういう前提で設定をされております。
ビザの手数料の関係ですが、インバウンドへの影響の観点と併せて、適切かつ厳格な査証審査の実施といった点も含め、全体として最適な制度・運用となるように、関係省庁において検討されたものと承知をしております。
その上で、訪日外客数の約8割は、査証免除の対象又は手数料の免除若しくは減額の対象であることから、今般の査証手数料の見直しが、必ずしも訪日外国人の多くに直ちに影響するものではないと認識をしております。

(問)米国について言及いただきましたが、新興国ということで、インドについても伺えたらと思います。5月の訪日外客数では、中東地域以外に、インドも単月として過去最高を記録しました。インド市場へ注目が集まる中、長官自身もインドの市場の成長性をいかに見ていますか。この新興市場の台頭による「インバウンド市場の多様化」にどう対応していくことが重要と考えていますか。
(答)
5月のインドからの訪日者数は単月として過去最高を記録しました。それから6月の訪日者数も6月として過去最高で、今年1月から6月までのインドからのトータルの訪日者数も過去最高で推移しております。
インドは訪日経験者が全体の中でまだ少ないという特徴がありますが、インドの経済成長あるいは人口規模の観点から、今後大きな潜在力を有する重要な市場と認識しております。
今年7月は高市総理とモディ首相との間で首脳会談が実施され、双方向の観光を促進するということで一致したと承知しております。また、私自身も、今年の5月にインドを訪問し、官民の関係者と両国間の観光政策に関する意見交換や課題の共有を行いながら、相互の往来を促進していくことが重要であることで一致したところです。
観光庁としては、インバウンド市場の多様化の観点から、様々な国・地域からの訪日を促進することは重要と考えております。インドなどのように、初めて訪日する層の拡大を図り、旅行先としての日本のブランドを確立することを目指し、戦略的な訪日プロモーションを実施していくとともに、多様な食習慣や文化的慣習に対応した受入環境の整備にも促進してまいります。

(問)民泊の「ゼロ日規制」について伺います。今回の通知は訪日客の増加で宿泊需要が高まる一方で、自治体による規制を認める方向が示されたと捉えておりますが、既存の民泊への影響も含めながら、宿泊供給の確保と住環境の保全を今後どのように両立していく考えでしょうか。また、今回は技術的助言という位置づけでありますが、自治体に条例改正を積極的に検討してほしいというメッセージでしょうか。それとも必要な地域に限った対応を想定しているものなのでしょうか。
(答)
民泊の技術的助言に関しましては、先月の会見で申し上げた通りですが、民泊の適切な運営の確保に向けて検討を進めてきたところで、本日、技術的助言を発出したものであります。
ゼロ日規制につきましては、例えば、多くの民泊の立地による多数の宿泊者の往来により、閑静な住宅地や教育施設等の周辺などの静穏な生活や教育環境が損なわれるおそれがある場合には、条例でゼロ日規制を始め、事業を制限することが可能であることなどを記載しております。
民泊につきましては、地域の実情に応じて自治体が条例による制限を行うことが可能という制度なので、この技術的助言が、条例の検討にあたっての一助となることを期待しております。あくまでも自治体のそれぞれの地域の実情に合った形の規制を進めていただきたい趣旨でありますので、一律に規制をしてくださいという趣旨のものではありません。

(問)地方の温泉地などに残る廃旅館の撤去を補助する制度についてお伺いします。補助事業の対象になりうる施設は全国にどのくらいあると推計されていますでしょうか。全国のまち作りに及ぼす影響をどのように見積もっておられますでしょうか。また、このような廃旅館の解体が進まない一因として建築費が高いことがあると思いますが、建築費高騰について現状ではどう見ておられて、観光庁として今後どう対応していく必要があるとお考えでしょうか。例えば、解体・再整備の支援ですが、施設を建てるところへの支援なども検討されるようなお考えはありますでしょうか。
(答)
地方の温泉地の中心などでは、例えば、かつて団体旅客向けに建てられた規模の大きな旅館などが廃屋となり、その土地でダウンスケールした宿泊施設等であれば再生が十分に見込まれる場合でありましても、廃屋の除去費が高額に上ってしまうことがボトルネックとなり、観光地の中心部の再生が難しくなっているケースがあると認識しています。昨今の建築費高騰なども相まって、さらに厳しさを増していると認識をしております。
こういった課題の認識から、国として廃屋の除去費等を支援することで、地方の観光地などの中心に残る廃屋等の再生が進むことを狙って創設した事業です。
この事業では宿泊施設の再生を契機として、地域全体の活性化にも繋がるように、相乗効果のある周辺事業についても支援対象としているところです。
今回、観光庁でこのような補助金を創設したことが「呼び水」となり、大きな廃屋が残る土地であっても、今後、市場における投資対象となっていくことを期待しております。
また施設の数ですが、対象につきまして全国で悉皆的なニーズ調査を行ったわけではありませんが、7月に行いました事業説明会において、約150の団体の参加があり、期待の高さを感じているところです。
この補助金は、廃屋等の再生のボトルネックとなる除去費の負担の軽減を目的としたものでありますので、新たな宿泊施設の建設につきましては、市場において採算性がとれるように整備されることが重要であると考えていることから、新たな施設整備に要する費用については補助対象とはしていないのが現状でございます。
観光振興を通じた地域の活性化は、観光立国としての重要な目標の一つでありますので、このような事業を通じ、しっかりと地域の活性化にも取り組んでいきたいと考えております。

(問)上半期1月から6月のアウトバウンドについてこのままいけば前年同期比以上になり悪くはない調子だと思う一方で、観光庁は海外旅行の推進をしているが、物価高や円安を踏まえて、この夏をどう分析しているか。少し厳しくなるという声が旅行代理店などからあるが、観光庁がどう見ているか教えてください。
(答)
アウトバウンドについて、様々な見通しが出されていることは承知しております。観光庁といたしましても、主要な旅行会社から状況の聞き取りなどをしておりますが、海外旅行については、各社によって状況は異なるものの、例えば、燃料費高騰の影響やシルバーウィークへの分散傾向が見られるといった声があるのも事実です。
一方で、夏休み中の取扱額は前年よりも増加する見込みという声も聞いております。
観光庁としましては、7月から主要な一般旅券いわゆるパスポートの手数料の引下げが始まっておりますが、これを通じてパスポートの取得が容易となること、これにより若年層を初めとする国民の海外渡航を通じた国際交流の促進に繋がることを期待しております。
また6月16日には、外務省・日本旅行業協会、駐日外国政府観光局協議会(ANTOR-JAPAN)と共同で、アウトバウンドの機運醸成のためのイベントを実施しました。
観光庁としましては、今後も関係省庁や団体、各国・地域とも密接に連携しながら、海外旅行の魅力を伝えていくことや、機運醸成などの取組も含めて、いろいろな取組を実施してまいりたいと考えております。

以上

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