和田長官会見要旨

最終更新日:2021年8月25日

日 時:2021年8月18日(水)16:15~16:36
 場所:国土交通省会見室

会見事項

(2021年7月の訪日外国人旅行者数)
  • 2021年7月の訪日外国人旅行者数は、対2019年同月比マイナス98.3%の51,100人となりました。
  • なお、6月の訪日外国人旅行者数と比べ、約4万人増加していますけれども、これは東京オリンピック・パラリンピック競技大会の関係者の入国があったことなどによるものであります。
  • 2021年7月の出国日本人数ですが、対2019年同月比マイナス97.4%の43,200人となりました。
  • 観光庁としては、引き続き、国内外の状況を注視してまいりたいと考えております。
     
(旅行・観光消費動向調査 2021年4-6月期(速報))
  • 本年4-6月期の旅行・観光消費動向調査の速報についてご報告させていただきます。
  • 本調査は日本人の旅行を対象としております。
  • 4-6月期の日本人国内旅行消費額は、1兆8,091億円となりました。前年同期と比較をすると80.1%の増でありますけれども、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年、2年前の4-6月期に比べますと、69.8%の減となっております。
  • このうち、宿泊旅行ですが、1兆2,783億円、それから日帰り旅行は5,308億円でした。
  • 本年4-6月期の国内旅行消費額は、2010年の現行調査開始以降、4-6月期としては昨年に次ぐ過去2番目に少ない額、それから全四半期でみると、昨年の4-6月期、本年の1-3月期に次いで過去3番目に少ない額となりました。
  • なお、本消費額は、国や都道府県・市区町村による支援を割り引いた金額で集計をしております。
  • 日本人国内延べ旅行者数は6,311万人となっています。前年同期と比較すると70.9%の増でありますけれども、感染拡大前の2019年4-6月期に比べますと、61.5%の減となっております。
  • このうち、宿泊旅行は3,077万人、日帰り旅行は3,234万人でありました。
  • 旅行者数につきましても、2010年の現行調査開始以降、4-6月期としては昨年に次ぐ過去2番目に少ない値、全四半期でみますと、昨年4-6月期、本年1-3月期に次いで過去3番目に少ない値となっています。
  • それから、1人1回当たりの旅行支出、旅行の単価ですけれども、こちらは28,666円となっています。この支出には、ツアーへの参加費、交通費、宿泊費、飲食費、買物代、娯楽等サービス費等が含まれております。
  • 感染拡大前の2019年4-6月期と比較をいたしますと、1人1回当たりの旅行支出は、21.5%減となっております。
  • 1人1回当たりの旅行支出が2019年4-6月期より下落した主な要因としては二つありまして、一つはパッケージツアー・団体旅行の減少、これは不特定多数の人との同一行動を避けるということだと思いますけれども、それが一点と、もう一点は交通費、特に長距離移動に伴う支出が減少したことが考えられます。
  • 足元、弱い動きとなっておりますが、今後の動向についても、引き続き注視してまいりたいと考えております。
  • 最後に地域観光事業支援についてですが、こちらの方はお手元に最新の状況をつけておりますので、お目通しをいただければと思います。

質疑応答

(問)地域観光事業支援について、交付決定が進む一方で、実際のこの支援、旅行割引事業が感染の再拡大を受けて一時停止されているような県が増えてきています。また、昨今の大雨で被害を受けている観光地などもあるのですけども、こうした宿泊事業者への支援が急務な一方で、割引事業が行えないということで、苦しい立場におかれているのではないかと推察されますが、この財政支援対象期間を先般年内に延長されていますけれども、感染状況と今後の落ち着きなどを見据えて、今後の支援のあり方、対象期間の延長など、具体的に検討されていることを教えてください。あと、併せて知事会などからは、感染が落ち着くことが条件なのでしょうけれども、対象地域の拡大というのを求めている声も上がっています。検討状況を併せて教えていただければと思います。

(答)
  • 地域観光事業支援につきましては、先月7月11日に全国知事会から緊急提言をいただいております。
  • これを受けまして、感染状況から未だ事業着手できていない都道府県もあることを踏まえまして、十分な事業期間を確保するため、予約・販売期間を12月31日まで延長したところです。これは7月30日、先月末に発表させていただいております。
  • その後も更に感染の拡大がみられておりますので、まずは政府全体で感染状況を早期に収束させることに全力で取り組む必要があると考えております。
  • 事業実施期間の更なる延長とか、支援対象範囲の拡大も含めた本支援の運用のあり方につきましては、感染状況を十分に注視するとともに、全国各地の声を考慮しながら、検討を行ってまいりたいと思います。
  • その後8月1日にも、全国知事会から緊急提言ということで、夏休みシーズンにおける都道府県境、それぞれの県境を跨ぐような旅行・移動は原則中止・延期というふうに仰っておりまして、その上で感染状況に応じて、近隣圏域での旅行も対象に加えてほしいというご要望をいただいております。
  • 先程申し上げたとおり、事業実施期間の延長とか、支援対象範囲の拡大を含めた本支援の運用のあり方については、まずは感染状況をみながら、そして全国の声を伺いながら、考えていきたいと思っております。

(問)コロナ後を見据えた中長期的な戦略についてお伺いします。日本の宿泊業は、かねてから他の産業に比べて、労働生産性であるとか賃金が低いといった構造的な課題を指摘されてきましたけれども、ポストコロナを見据えてそういった構造的な問題にどのように取り組んでいかれるのか、お考えをお聞かせください。

(答)
  • 宿泊業を含む観光関連産業は、ご指摘のとおり他の産業と比べて相対的に生産性が低いという課題があります。
  • このため、コロナ後の観光関連産業の立て直しに向けまして、サービスの高付加価値化や新規需要の取り込み等を通じた、まずは増収策という面と、またITやDX技術等も活用したコスト削減策、増収策とコスト削減策の両面での取り組みを促し、観光産業の労働生産性や賃金の向上につなげていく必要があると考えています。
  • いくつか例を申し上げますと、例えば増収策の面では、これは令和2年度第3次補正予算で「既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業」として550億円が計上されています。
  • 宿泊施設等の改修や廃屋撤去など、宿・観光地のリニューアルを強力に推進していくというようなことが一つ挙げられると思います。
  • また、コスト削減の面でありますと、専門家の派遣による顧客管理システム等の導入支援、それから非接触型チェックインシステムや決済端末の整備支援などによりまして、デジタル化の推進を進めていくというアプローチかと思います。
  • そして、これらに加えまして、増収面またコスト削減面の方策を実際に企画・実施する中核人材の育成が大事だと思っています。
  • 具体的に申し上げると、マーケット分析手法でありますとか、新商品開発等のノウハウを習得する「リカレント教育」の実施、また、世界レベルの宿泊施設におけるサービスの提供に必要な知識や教養を取得するための研修の実施等に取り組んでいるところです。
  • こういう取組を通じて、例えば実際に、神奈川県のある旅館においては、高付加価値化とICTを活用した経営を実践することによって、生産性を5倍に向上させた。
  • 北海道のあるリゾートホテルにおいては、リカレント教育を通じて学んだマーケット分析の手法を活用して、高級客室の増築等を実施して、過去最高の売上を更新している、というような事例があると承知しておりまして、こういった成功事例を今後、全国に積み上げていきたいと思っています。
  • 予算は、いただいた予算を活用してやっていますけれども、現在令和4年度要求についても検討を行っておりますので、こういったことも踏まえて考えていきたいと思います。

(問)国内旅行についてなのですけれども、先日の日本航空の決算会見でも国内線の回復について発言がありましたが、観光庁として今の国内旅行の現状をどう受け止めているか、教えてください。

(答)
  • 国内旅行については、やはりコロナの影響を受けて大変厳しい状況にあると思っています。
  • 特に実績についていろいろ見たり、また、いろいろな事業者から伺うと、昨年よりは少し改善されているというようなお話を伺いますし、また先程の統計でも見られますけれども、遠距離よりも近距離、近場に出かける方が増えているという状況かと思います。
  • 航空各社の発表は、どちらかと言うと遠距離の移動が前提になると思いますので、そういう意味では大変厳しい状況にあるのかなと思います。

(問)新潟県の妙高市で始められている旅行者への抗原検査の実施について、どういった効果が期待できるかということと、今後どう広げていきたいか、お考えをお教えください。

(答)
  • 妙高市の抗原検査については承知をしていないのですが、どういうものなのでしょうか。

(問)実証事業の採択を受けて、旅行者を対象に抗原検査を実施するということを拝見したのですけれども。

(答)
  • 検査を実施するということによりまして、旅行者自身も陰性であるということで安心して旅行が出来ると思いますし、また旅行先の地域でも安心してお客様をお迎え出来るということだと思いますので、その双方にとってメリットがあるのかと思います。
  • 具体的な効果については、いろいろと検証してみる必要があるとは思いますけれども。

(問)東京オリンピックの関係でお伺いします。無観客での開催となりましたけれども、2030年に6千万人のインバウンド誘客を目指す上で、今回の東京オリンピックはどういう効果があったのかということの分析をお願いいたします。

(答)
  • オリンピックが終わりましたけれども、世界中から日本にスポットライトがあたる一大イベントだと思います。これからパラリンピックも始まりますけれども、そうした一大イベントの機会に可能な限り、日本各地の魅力を世界にアピールできたらということで、いろいろと取り組んできました。
  • 例えば、大会特設のウェブサイトで情報発信をしたり、海外メディアでの日本の魅力を紹介する番組を放映してもらったり、また著名アスリートを起用したプロモーション動画のCM配信などをやって、世界に広く我が国の観光のプロモーションを行ってきたということであります。
  • また、残念ながら日本に来られなかった海外メディアの皆様に対しても、最新の訪日観光情報などを載せたニュースレター等で発信しておりまして、オリンピック大会を契機に日本への関心が高まるよう、我が国の魅力を各国で発信していただきたいということでやってまいりました。
  • 具体的な効果につきましては、日本政府観光局/JNTOにおいて、今後検証した上で、今後のインバウンド政策に活かしていきたいと思います。今はその検証を行っているところということかと思います。
 
(問)Go Toトラベルキャンペーンについて、また改めて伺いたいのですけれども、再開の見通しと、再開するに当たっての制度の改善とかで検討状況を改めて教えてください。


(答)
  • GoToトラベル事業についてですけれども、現在感染状況等を踏まえて、昨年末より一時停止措置ということで続けているところです。
  • 感染症の収束がなかなか見通せない現状でありますので、このGo Toトラベルは全国規模での移動が前提となりますから、その再開について中々見通しを立てることは今難しい状況にあると思っています。
  • 一方で全国の事業者等から再開に関する強いご要望をいただいておりますので、状況が整った段階で再開したいとの方針に変わりはありません。
  • Go Toトラベルの再開時には、いろいろ地域の声を十分に伺いながら、円滑かつ効率的な事業となるよう、現在検討を行っているところでして、確か先月7月20日の大臣会見で、大臣からも地域の観光地の皆様のご意見として、例えば平日の需要が少ないのでその平準化を図るとか、それからマイカーによる近場の利用が多かったので、公共交通をもう少し利用促進できるような方策が考えられないのかとか、それから中小事業者にももう少しメリットがある方策を考えられないのかといったご要望をいただいていますので、このような点も含めまして、円滑で効果的な事業となるように今検討しているという状況です。

(問)東京五輪の関係でお尋ねしますけれども、今回の7月の外国人は、日本に来た旅行者、五輪の関係者が増えたということですけれども、これは観光業にどのような影響があったのか。あるのか、ないのか、どのような評価なのか教えていただいてもよろしいですか。

(答)
  • 無観客であったということですので、全国各地にというわけには、なかなかいかなかったのだろうと思います。
  • そういう意味で、コロナ感染症の影響で、広く地域が潤ったというような状況にはないと思いますけれども、具体的なデータの分析はまだですので、定性的に申し上げると限定的だったということだと思います。

(問)何かそういう分析は、今後するのでしょうか。

(答)
・オリンピックに限った形でということは、今のところ考えていないと思います。
 
以上

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