8月長官会見要旨

最終更新日:2026年8月25日

                                  日時:2026年8月19日(水)16:15~16:45
                                          場所:国土交通省会見室

冒頭発言

8月7日付で観光庁長官を拝命いたしました木村と申します。
前職の次長在任中も含めまして、皆さま方には大変お世話になっております。
今後とも引き続きお願い申し上げます。

(訪日外国人旅行者数等(2026 年7月)について)
本年7月の訪日外国人旅行者数および出国日本人数について報告をします。
本年7月の訪日外国人旅行者数は約344万人となり、前年同月と比べ0.1%増加しました。
また、本年1月から7月までの累計では、前年と比べ1.7%減の約2,453万人となりました。23の国・地域のうち、17の国・地域が7月として過去最高となりました。
本年7月の出国日本人数は、約119万人となり、前年同月と比べ1.2%減少しました。
また、本年1月から7月までの累計では、前年と比べ4.1%増の約814万人となりました。

(旅行・観光消費動向調査2026年4-6月期(1次速報)について)
日本人の国内旅行を対象とした、旅行・観光消費動向調査の2026年4月-6月期の速報について報告をします。
日本人の国内旅行消費額は、前年同期比で約11.7%増の、約7兆5000億円となりました。
本年1月から6月までの累計では、対前年同期比約9.1%増の約13兆5000億円となりました。
また、2026年4月-6月期の日本人国内延べ旅行者数は前年同期比で約3.3%増の約1億5000万人となりました。本年1月から6月までの累計では、対前年同期比約2.2%増の約2億7000万人となりました。
日本人国内旅行の一人1回当たり旅行支出は、約5万円、前年同期比で約8.2%増となっております。

(令和8年熊本地震について)
本年7月28日に発生した熊本地震による観光への影響と現状について申し上げます。
まず、今回の熊本地震により、お亡くなりになられた方々、並びに、そのご家族、また、すべての被災された皆さま方に、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。
観光庁においては、これまで、被災者を受入可能な宿泊施設の確保や被災地の観光の復旧・復興に全力で取り組んでいるところです。
各観光地での関係者や旅行業者への聞き取り等により、今般の地震による観光への影響について、情報収集・分析を実施しているところですが、宿泊施設等に被害がない地域を含め、宿泊施設や観光施設でのキャンセルが多数発生していることを確認しております。
特に熊本県では他県に比べて風評等による多数のキャンセルが発生しており、知事からも「これ以上、風評被害によるキャンセルを増やさないよう、『買って応援、食べて応援、そして、来て応援』を通して、熊本への息の長い支援につなげてほしい」という発言がされています。
また、熊本県「以外」の各県からは、宿泊施設、観光施設ともに、既に平常通り運営を行っている、との発信がなされています。
観光庁としては、こうした各県からの発信を踏まえ、各県の宿泊施設・観光施設に関する運営・営業状況等について、観光庁のウェブサイトを通じた正確な情報発信に加え、日本政府観光局からインバウンド向けの発信も開始しております。
本日、ご参集のマスコミ各社におかれましても、是非とも国民の皆様への周知、あるいは情報発信のご協力を何卒よろしくお願い致します。

質疑応答

(問)観光庁長官に就任された抱負として、注力したい施策があればお聞かせ下さい。併せて、訪日客に関しては2030年訪日客数6,000万人という目標が掲げられていますが、上半期は中国人客の大幅減少などの影響もあり、前年割れしています。この状況をどう捉え、今後どのような展望をお持ちでしょうか。
(答)
この1年、前任の村田長官の下、次長を務めさせていただきました。この1年間を振り返りますと、第5次観光立国推進基本計画の閣議決定、基本計画に基づく施策に必要な財源を確保するための国際観光旅客税の引上げ、訪日外国人旅行者の史上初めての4,000万人突破、民泊の管理適正化に向けた運用方針の見直し、こういった今後の観光政策を進めていく上で必要となる様々な取組を行い、私としては一定の成果を挙げられたと考えております。
村田前長官の下で進めてきたこうした取り組み、施策をしっかりと引継ぎ、観光を我が国の戦略産業として更に発展させるべく、国際観光旅客税の財源も最大限活用し、2030年インバウンド数6,000万人、消費額15兆円の目標達成に向け、基本計画で掲げた3本柱に基づく施策を着実に推進していくことに注力したいと考えております。
特に、我が国の観光を取り巻く環境や諸課題を踏まえ、地方誘客のより一層の促進、特に交通ネットワークの機能強化という観点に、関係部局とともに取り組みたいと考えております。それから混雑・マナー違反や民泊の適切な運営確保等の個別課題への対応、様々な国・地域からの誘客促進に向け、戦略的な訪日プロモーションの実施やコンテンツの造成、消費単価向上に向けた取組、国内交流・アウトバウンドの拡大に向けた施策の充実、DX化や省力投資の促進など観光産業の生産性向上、こういった施策に着実に取り組んでまいりたいと考えております。
インバウンドの目標に対する現状についての評価ですが、ご指摘の通り中国からの訪日客については、減少が続いている一方で1月から7月までの累計で東南アジア諸国は対前年比8.1%増、欧米豪諸国は6.6%増となるなど、多様な国・地域から多くの方々に日本にお越しいただいた結果、直近7月の実績は微増、本年1月から7月までの累計は微減と、ともに前年比ほぼ横ばいの状態となっています。
更に本年1月から6月までのインバウンド消費については、一人当たりの消費額、全体消費額ともにプラスとなる等、観光の質的な面での向上もみられており、全体としてみると、インバウンド市場は概ね堅調に推移していると考えております。
国際情勢を始め、観光に影響を与える事象は色々とあると考えておりますが、そうした事象による影響を低減し、基本計画で定められた目標を達成していくためには、引き続きインバウンド市場の多様化、消費単価の向上、地方誘客促進等の施策を着実に実施していくことが何よりも肝要であると考えております。
例えば、インバウンド市場の多様化については、マーケティングをしっかりと実施した上で欧米豪からの旅行者に訴求する戦略的なプロモーションやコンテンツの造成を行う等必要な施策をしっかりと講じていきたいと考えております。

(問)7月28日に発生した熊本地震について伺います。熊本県内の観光施設では臨時休業が相次ぎ、宿泊施設へのキャンセルも続出しました。地震による観光業への影響をどうご覧になっていますか。また、こうした震災では言葉が通じずに不安を感じる外国人観光客への対応が必要になりますが、避難誘導や情報伝達といった訪日客へのサポート態勢についての課題や、対策についてお聞かせください。
(答)
冒頭申し上げましたとおり、各観光地での関係者や旅行業者への聞き取り等により、今般の地震によって、宿泊施設や観光施設のキャンセルが多数発生している状況を確認しており、熊本県をはじめ九州各県の観光業に大きな影響を与えていると認識しているところです。引き続き、観光への影響について情報の収集・分析を実施してまいりたいと考えております。
こういった状況を受け、国交大臣からも、宿泊施設や観光施設の営業状況などに関する情報発信の充実・改善を進めるとともに、熊本県をはじめ各県のご要望や復旧状況を十分に勘案し、観光需要の回復のために必要となる支援の実施に向けた関係省庁との調整を急ぐよう指示をいただいており、現在必要な検討や調整を急ぎ行っているところです。
地震発生時の外国人観光客への対応ですが、外国人観光客向けの災害情報等の発信につきましては、災害時情報提供アプリSafety tipsや、JNTOのウェブサイト、それからSNSによる多言語での情報発信に努めているほか、外国人旅行者向けのコールセンターを24時間体制で運用し、外国人旅行者からのご質問などに対応しているところです。また、平素からの対応になりますけれども、災害時の自治体の外国人への対応態勢の整備についても必要な支援を行っているところです。
今後とも訪日外国人旅行者に対しきめ細かいサポートができるよう、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

(問)村田前長官のときに旅行振興担当参事官を設置され、そこから1年が経過しましたので、改めて旅行振興への長官のお考えを伺いたい。また、旅行業界に対するメッセージがあれば聞かせていただければと思います。
(答)
旅行振興担当参事官の担当は国内観光とアウトバウンドですが、まず国内旅行につきましては、国内観光消費の7割以上を占めており、また日本の文化・風土の魅力を再認識するきっかけになる等、大変重要な分野であると考えております。
また、アウトバウンドにつきましても、国際感覚の向上や国際相互理解の増進による諸外国との友好関係の深化に資する他、インバウンドと相互に連携し需要を創出することにより、我が国と諸外国を結ぶ航空ネットワーク等の国際交通ネットワークの維持・拡充につながるなど、こちらも大変重要な分野であると認識しております。
旅行振興担当参事官室が立ち上がり、1年が経過しましたが、参事官室を中心に、国内観光、アウトバウンドともに、振興のために様々な取組を行い、一定の成果が出ていると考えております。なにより、国内旅行やアウトバウンド振興を担当する組織があることにより、関係者に対し、国内観光、アウトバウンドともに施策をしっかりと進めていくという前向きなメッセージをお伝えできていると考えております。
本年3月に閣議決定した観光立国推進基本計画におきましても、3つの施策の柱の1つとして「国内交流・アウトバウンド拡大」を位置づけており、今後ともより一層、その振興に向けた取組を加速してまいりたいと考えておりますが、そのためには、旅行業関係者の方々の取組が大変重要となると考えております。今後とも関係者の方々と密接に連携して施策を進めて参りたいと考えておりますので、ご協力を何卒よろしくお願いします。

(問)震度7の地震が発生したことによって、熊本だけではなく日本全体のインバウンドへの影響も懸念されると思います。これについてどう受け止めているのか、あわせて現時点での影響があるかどうかについてもお伺いします。
(答)
地震の発生を受けた各国・地域の状況についてですが、日本政府観光局を通じて重点22市場の海外の旅行会社へ聞き取りなどを行っております。その結果ですが、東アジアで熊本県や九州地方への旅行を中心に訪日旅行のキャンセルが見られたものの、その他の地域におきましては、SNS上で心配や応援のコメントが見られる一方、訪日旅行に関して大きく話題となっている市場はなく、現地メディアの報道も、発災直後と比べると落ち着いているとのことです。
こうしたことから、日本全体におけるインバウンドの影響につきましては、現時点では限定的ではないかと考えておりますが、キャンセルの発生など、九州地方のインバウンドの状況については、引き続き注視が必要と考えているところです。

(問)第5次観光立国推進基本計画の主要施策の柱にもなっている「観光地・観光産業の強靱化」についてですが、宿泊産業の人材確保や生産性の向上またDXの推進などについて、現状の課題と今後の施策の方針について長官のお考えをお聞かせください。
(答)
宿泊分野の収益性、人手不足はご指摘の通り喫緊の課題であると考えており、その対応として、従事する方々の給与水準や待遇の向上を図ることは極めて重要であると考えております。そのため、宿泊産業の収益性を高め、その原資を確保することが重要であると考えております。
宿泊産業の人材確保や生産性向上、DXの推進に向けては、宿泊業界と連携の下、外国人材の活用も含めた国内外の人材の採用活動支援、宿泊施設における省力化に資する設備投資支援や取組事例の展開、宿泊事業者が地域内で連携して利用する設備の導入や改修の支援、DX技術を活用した各地域の課題解決モデルの構築といった取組を強化しているところです。
引き続き、こうした取組を充実させて、宿泊産業の収益性を高めることを通じ、従業員の方々の待遇向上や人材確保、観光産業の高度化を図ってまいりたいと考えております。
3月に閣議決定された第5次観光立国推進基本計画におきましても、今回の計画で初めて、計画の目標として宿泊産業の収益性を掲げさせていただきました。この目標の達成に向けてしっかりと取組を講じてまいりたいと考えております。

(問)国内外の観光客の移動手段として、特に地方を含めて、バスやタクシーの活躍があると思いますが、こちらへの期待をお伺いさせてください。あわせて、これまで国交省在任中にバス・タクシー業界との関わりがあれば教えてください。
(答)
国内外の観光客の方に、日本各地の魅力ある観光地を訪れていただくためには、観光コンテンツの開発や情報発信といった取組とあわせて、「観光の足」の確保を図っていくことも重要であると考えており、バスやタクシーに対しても、「観光の足」の一翼を担っていただく観点から大きな期待を寄せております。
注力したい施策として、交通ネットワークの機能強化をあげさせていただきましたが、現在、大臣がヘッドである国土交通省「交通空白」解消本部において、令和9年度までを集中対策期間として、新幹線・特急停車駅などの主要交通結節点から観光スポットなどへのアクセスや地域内周遊のための交通手段の確保・充実、利用者利便向上に向けて、各地域の実情を踏まえながらしっかりと取組を進めているところであり、今後も関係省庁や他の業界、それから省内関係部局とも連携しながら、「観光の足」の確保にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
私自身の経歴を申し上げますと、入省5年目の平成7年1月から平成8年3月まで、当時の自動車交通局総務課で係長をしていた際に、自動車ターミナル法の改正に携わった経験もあります。
また、平成20年7月から平成22年3月まで、同じく自動車交通局総務課の企画官をしていた際にも、タクシー特措法の制定や、バス、タクシーの低公害車補助等バス、タクシー関係の予算獲得に携わった経験があります。さらに令和4年6月から1年間総合政策局の地域交通担当の審議官をしていた際、地域交通法の改正や地域交通関係の予算の獲得等地域交通のリ・デザインに携わった経験があります。
こうした経験を観光庁でも、「観光の足」の確保にしっかりと活かしていきたいと考えております。

(問)7月に「飛鳥・藤原の宮都」の世界文化遺産登録が決定されました。長官は今回の登録をどのように受け止めていらっしゃいますか。また、世界遺産登録を契機として、インバウンドの地方誘客の促進、さらに地域経済の活性化につなげるためには何が重要だとお考えですか。
(答)
この度、「飛鳥・藤原の宮都」が世界文化遺産として登録されたことはインバウンド誘致の観点からも非常に意義があることだと考えており、観光庁としても大変喜ばしく思います。
世界遺産登録の効果を地方誘客や地域の活性化につなげていくためには、周辺の観光資源との連携強化や、地域の魅力を伝える人材の育成が極めて重要だと考えております。
このため、観光庁では、文化庁とも連携し、飛鳥藤原の周辺に存在する奈良の遺跡群や農村景観を活かした観光コンテンツの造成や、ガイドや観光資源の磨き上げに取り組む人材の育成を進めてまいります。
今後とも、地域資源を活用した取組を充実させるとともに、JNTOによる海外への情報発信等を通じて、世界遺産登録の効果が地域全体に波及し、インバウンドの誘客強化、地方への誘客促進にしっかりとつながるよう努めてまいります。

(問)国内旅行の消費額について、4-6月期は好調で、延べ旅行者数も増えていますが、この要因についてどう分析されていますか。また、最近はお盆時期を避けて、9月に旅行を分散させるような動きも活発化していると思いますが、9月以降の見通しについて教えてください。
(答)
旅行・観光消費動向調査の増加の要因ですが、旅行消費額は、前年同期比で11.7%増の約7兆5000億円となり、比較可能な2010年以降の4月から6月期の数値としては過去最高となっており、好調な状況が続いているものと受け止めております。
国内旅行消費額については、国内延べ旅行者数と旅行単価を掛けて算出しておりますが、今期はそれぞれが増加したところです。
国内延べ旅行者数につきましては、全体で1億5000万人、前年同期比が3.3%増の約480万人増となっておりますが、これは宿泊旅行が6.4%増となったことが寄与しております。
また、旅行単価につきましては、約5万円で前年同期比で約8.2%増、これは1人1回当たり約3,800円増となりますが、比較可能な2010年以降の4月から6月期の数値としては過去最高となっておりますが、これは宿泊費や飲食費などの上昇等が要因であると考えております。
観光庁としては、こうした流れを推し進めるための施策をしっかり講じてまいりたいと考えております。
9月以降の見通しですが、例えばお盆期間中の予約数を見ても、前年を上回っている状況と聞いており、こうした状況はしっかりと今後とも注視してまいりたいと考えております。

(問)観光庁では先月、民泊について従来の方針を転換して、いわゆるゼロ日規制ができるという通知をしましたが、訪日客は今後も増加が見込まれる中で、民泊のあり方についてどうお考えか伺います。
(答)
民泊につきましては、昨今の施行状況を踏まえ、地域の実情に応じ、例えば、閑静な住宅街や学校周辺など、多くの民泊が立地することが馴染まないエリアについては、「ゼロ日規制」を行える旨の通知を、先月、行ったところです。
民泊は増加するインバウンドの受け皿や、多様な宿泊機会の提供といった役割を果たしているものと認識しておりますが、当然のことながら、地域の生活環境を損なわずに運営されることが大前提だと考えております。
民泊を巡っては、適切な手続きが行われていない民泊や、騒音やごみ出し等の迷惑行為に対して適切な対応が行われていない民泊について指摘がされているところです。
民泊の適切な運営確保に向けて、ご質問のゼロ日規制を含め、本年1月の「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」に基づき、引き続き、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。

以上

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