和田長官会見要旨

最終更新日:2022年1月24日

日 時:2022年1月19日(水)16:15~16:39
場所:国土交通省会見室

会見事項

(2021年12月及び年間の訪日外国人旅行者数等)
  • 2021年の訪日外国人旅行者数は、対2019年比マイナス99.2%の24万5,900人となりました。
  • 12月単月では、対2019年同月比マイナス99.5%の1万2,100人となりました。
  • 2021年の年間出国日本人数は、対2019年比マイナス97.4%の51万2,200人となりました。
  • 12月単月では、対2019年同月比マイナス97.1%の4万8,900人となりました。
  • 観光庁としては、引き続き、国内外の状況を注視してまいります。


(地域観光事業支援について)

  • 地域観光事業支援の最新の状況についてもご用意いたしましたので、お目通しをいただければと思います。
  • 私からは以上です。

質疑応答

(問)今ご紹介いただいた21年の訪日外国人数について過去最少となったことの受け止めと、2030年の訪日客6000万人消費額15兆円という政府の目標があると思うのですけれども、ここについての改めて認識と、達成可能性についてのご認識をお願いいたします。
(答)
  • 2021年の訪日外国人旅行者数は24.6万人でございますけれども、これはJNTO、始めたときは特殊法人の国際観光振興会でございますけれども、1964年に訪日外国人旅行者数の公表開始以来最低の総数となりました。
  • これは、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大という、観光にとっては大変大きな環境の変化でありますけれども、これに伴って国際的に観光需要が蒸発をしたという結果でございます。
  • 一方で、インバウンドの重要性に変わりはありません。
  • 新型コロナウイルス感染症による訪日外国人旅行者の意識の変化等も踏まえまして、ポストコロナにおけるインバウンドの回復、増加に向けて、しっかりと準備を整えていくことが重要だと認識しております。
  • それから2030年の政府目標の達成可能性についてでありますけれども、2030年の訪日外国人旅行者数6000万人等の目標は、「明日の日本を支える観光ビジョン」におきまして、有識者のご意見を伺いながら、2016年3月に定めたものでございます。
  • このビジョンに掲げる観光先進国に向けた様々な取組みの結果、2019年まで訪日外国人旅行者数は飛躍的に増加をしてきましたけれども、ただいま申し上げました通り、感染拡大によりまして、インバウンド需要が蒸発して厳しい状況が続いているという状況です。
  • 現在もオミクロン株の影響によりまして、水際措置が強化され、外国人の入国が原則禁止されているなど、現状において中長期的なインバウンドの動向を見通すことは極めて難しい状況となっています。
  • このためポストコロナ期においても、インバウンドの重要性には変わりはありませんけれども、2030年の政府目標の達成の可能性について、現時点においてコメントするのは難しいというふうに認識をしております。

(問)本日、東京等1都12県へのまん延防止等重点措置の適用が、この後決まる予定となっておりますが、オミクロン株の出現で観光業界へ再び逆風が吹いているこの現状について、観光庁としての受け止めと、対応方針を教えてください。
また、GoToトラベルの方も再開が見通せなくなっておりますけれど、このことについてのご認識と、あと例えばゴールデンウィーク後は都道府県による事業とするといった制度設計とかスケジュール感についての影響とか、変更の必要性、これについてもご認識をお願いいたします。

(答)
  • まず、受け止めのところですけれども、昨年10月1日に緊急事態宣言が解除された後、旅行需要は回復傾向にありました。
  • しかしながら、オミクロン株の感染が急拡大しており、既にコロナによる影響が長期化・深刻化している観光関連事業者への影響がさらに大きくなってくるということで、この影響をさらにしっかりと注視していく必要があるというふうに受け止めております。
  • それから、GoToトラベルを含め、今後の観光需要の喚起策でありますけれども、旅行者と地域の双方の安全・安心をしっかりと確保する必要がありますので、感染状況がその時点で落ち着いていることが大前提でございます。
  • 現在は、国内各地において感染の急拡大が見られる状況にあります。
  • このため、GoToトラベル事業の開始時期などについては、国内において感染例も急増しているオミクロン株の状況や、その評価を含め、今後の感染状況などを見極めつつ、専門家のご意見を踏まえて検討していきたいというふうに思っております。
  • 現時点では、基本的には昨年11月19日に発表させていただいた内容を前提に進めていきたいというふうに思っておりますが、これも今後の感染状況を見極めながらだというふうに思っております。

(問)HISの子会社など、GoToトラベル給付金に関する不正申請があったということで、昨年12月末に調査結果が公表されました。これについての受け止めを改めて教えてください。また、当該事業者に対する観光庁としての対応ですとか、今後の再発防止策、それから捜査当局との連携などについての進捗もありましたらお願いいたします。
(答)
  • まず受け止めでありますけれども、GoToトラベル事業の給付金は国民の税金を活用したものでありますから、給付金の不正受給が発生したことは極めて遺憾でありますし、決して許されるものではないというふうに思っております。
  • その上で、まず本件についての対応でございますけれども、観光庁としては、当該事業者の新たなGoToトラベル事業への参加を停止するほか、関係者に不正に受給した分の返還請求を予定しているところであります。
  • HISの子会社以外も含めて必要な調査を継続しておりますので、それを踏まえながら、そして刑事告発も視野に入れて、警察と適切に連携をして対応しているところであります。
  • 再発防止策についてでありますけれども、不正利用の疑いのある案件の調査対象の拡大、また、給付金支払いに係る審査の厳格化、審査体制の強化など、必要な対策を新たなGoToトラベル事業の開始までにしっかり講じていきたいと思っております。
  • それからもう一点、旅行業及び宿泊業の団体に対してですけれども、やはり民間の団体の皆様にも、自ら内部統制の強化、またコンプライアンスの向上に取り組んでいただく必要があるというふうに考えております。
  • そうした観点から、昨年末にコンプライアンスの徹底等についての注意喚起文書を発出しており、業界団体からは、再発防止のための取組方策を今月25日までに報告していただくことになっています。まずは、その中身をしっかりと確認したいと考えています。
  • 観光庁としては、コンプライアンス遵守に向けた業界自身の取り組みを促しながら、制度の適切な運用に取り組んでいきたいと考えております。

(問)GoToトラベルの不正受給の関係で、昨日HISから改善報告書が出されていると思うのですけれども、これに対する受け止めと、新たなGoToトラベルに関しては、HISについては今後の対応を見極めてから判断するというふうな回答だったと思うのですけども、それについての対応をお願いいたします。
(答)
  • 昨日、HISから観光庁に対して、ガバナンスの改善策について報告がありました。
  • 今般のGoToトラベル事業に係る不正受給案件については、HIS側としては、コンプライアンス意識の欠如でありますとか、親会社への報告等の欠如、また親会社の子会社等への不十分な監督体制といったことが原因というふうに分析をされております。
  • このことは、観光庁としても、HISの子会社等への管理監督が不十分であったと言わざるを得ないと思います。
  • また、改善策として、リスク・コンプライアンス委員会におけるコンプライアンス施策の実施、また、親会社への報告基準の明確化、親会社の監督体制の強化等について示されておりました。
  • 観光庁としては、改善に向けた一定の取組みが示されたものというふうに認識をしておりますけれども、まずはこれらの改善策を速やかに実施していただきたいというふうに考えております。
  • その上で、今後は示された改善策が、HIS及び関連会社において十分に徹底されるかどうかについても注視していきたいと考えております。
  • また、今般の不正受給事案の事実関係についても、継続調査にしっかり取り組んでいただいて、その結果の報告を受けたいというふうに考えておりますので、その結果を踏まえて、HISのGoToトラベル事業への参加の停止についてどうするかを考えたいというふうに思っております。

(問)引き続き事実関係については、継続調査を求めるという理解でよろしいでしょうか。
(答)
  • そうです。求めています。

(問)HISの関連に続いてなのですが、事実関係の調査はこれから進めていくということですけれども、先ほど話のあった刑事告訴の視野というのは、事実関係のどういうところが見えてきたら、最終的にするかしないかという判断に繋がってくるのかというところについてはどのように見ていますでしょうか。
(答)
  • 個別案件、かつ捜査事案でありますので、個別の回答は差し控えさせていただければと思います。

(問)オミクロンの感染拡大の観光業界の部分になるのですけれども、現状ではGoToトラベル事業というのはできる状況ではないということですけれども、それ以外の観光庁としての支援策などとして、現状、観光客の直前のキャンセルだったりとか、そういうのも出ているとは思うのですけれども、需要低迷に対してどういう支援ができるというふうに考えていますでしょうか。
(答)
  • 需要喚起策についてということですか。

(問)そうではなくて、それ以外の部分で、例えば観光業界のキャンセルとかにかかるような、補助とか求める声も業界団体の一部からは出ていたりとかすると思うのですけれども、喚起策以外の部分で何かできる部分というのはあるのでしょうか。
(答)
  • 需要喚起策以外という面では、経済対策などでもいろいろな施策が盛り込まれていますので、そういうことをしっかりやっていくということかなというふうに思います。
  • いくつかご紹介すると、まずは観光産業の変革という点だと思いますけれども、宿泊施設、それから観光地のリニューアル、1,000億円というこれまでにない規模での支援が盛り込まれております。
  • こういうものを使っていただいて、サービスを向上させて、お客さん、または消費額の増加の取組みを進めてもらうとともに、生産性の向上とかデジタル化の推進など、取り組んでいただきたいというふうに思っています。
  • それからもう一点は、豊かさを実感できる地域、いわゆる稼げる地域にしていくといった取組みでありますけれども、こちらの方も経済対策に盛り込まれていますが、地域の関係者が広く連携して行う、地域独自の観光資源を活用した稼げる看板商品の創出のほか、持続可能な観光に関する取組みなども進めていきたいというふうに思っています。
  • そういういろいろな需要喚起以外の面、こういうものをしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思っています。

(問)今の(回答)に関連して、地域観光事業支援も需要喚起策の一つなので、需要喚起をこれまでしてきたと思うのですけども、今日配っていただいた通りで、停止しているようなところも見られます。これから感染拡大するに従って、停止する、停止という判断をする都道府県も増えてくるのではないかと思います。そういう意味では、例えば昨年実施したような感染防止対策への支援のような、こういう形での検討をしている支援策、新たな支援策として何か検討をしている状況があれば教えてください。
(答)
  • 感染防止対策支援、これは昨年実施いたしましたけれども、既に全ての都道府県で交付決定が行われています。
  • そして事業主体である都道府県の方からは、支援額が不足しているという声は、私どもは伺っておりませんので、現時点で改めて同じ支援を行うということは考えておりません。
  • ただ、いずれにしても、関係業界の意見を伺いながら必要な対策を進めていきたいというふうに考えています。

(問)話題が変わりまして、訪日客のところについて改めて伺えればと思うのですけれども、訪日観光は現状オミクロンの感染拡大で再開が見えないと思うのですけれども、再開に向けた全体としての課題というか、まずは感染を落ち着かせるということが第一だとは思うのですが、どのような課題があるという認識なのか、またそれを解消するための対応として、どのようなことがあるのか長官のお考えをお聞かせください。
(答)
  • まずは水際対策については、オミクロン株の感染状況などがありますので、今の外国人の新規入国停止等の措置が今年の2月末まで継続するということになっています。
  • これがどうなっていくのかなかなか見通しを今申し上げられる状況にはないのですけれども、今後、インバウンド観光の再開に備えまして、外国人旅行者の方々に日本の魅力を十分に実感いただけるように、必要な準備をしっかり整えておくということが大事だと思います。
  • 具体的に申し上げると、まずは観光施設等での多言語化とか、キャッシュレスとか、それからWi-Fi環境など外国人の受入環境整備とか、世界的に関心が高まっているサステナブルツーリズムに資する体験型コンテンツなど、外国人の方に訴求するコンテンツの発掘をしたり、また高付加価値なインバウンド観光地づくりに向けた宿泊施設の充実とか、人材育成とか、それから、コロナ後の需要の変化を踏まえたプロモーションとか、様々やることはあると思いますので、そういうことを我々は今しっかり検討しておくということが重要だと思います。

(問)再開に向けた取組みとしてモニターツアーを実施するというようなことを、昨年発表されて、年内にということでしたけど、これもまだ実現ができてないのですけれど、やはりこちらもまだ見通せない状況でしょうか。
(答)
  • 今のような状況ですので、現時点でいつというのは申し上げられない状況にあります。

(問)先ほどの回答の中で一点確認させていただきたいのですけれども、30年の6000万人、これに関しては、インバウンドの重要性は変わりないけれどもコメントするのは難しいということで、もちろん有識者も交えて作ったもので、計画自体は変わっていなくて、これは堅持するのだけれども変わる可能性もあるという、そういう理解でよろしいのでしょうか。
(答)
  • インバウンドの重要性は全く変わりがないと思っています。
  • ただ、2030年に6000万人という目標の達成可能性について、今申し上げるのが難しいというふうに申し上げたつもりです。

(問)先ほどのHISの関連でお尋ねしたいのですけれども、継続調査はHISに求めているということで、これは期限を区切って報告を求めているのでしょうか。
(答)
  • 調査については、今月中を目途にご報告をいただくことにしております。

(問)GoToトラベルの再開についてですけれども、GoToトラベルについては、当初東京を除外してからスタートした経緯もございますけれども、今回オミクロン株の感染拡大を受けて、一部地域を除いて感染状況が落ち着いたところから再開するという可能性というのはあるのでしょうか。それとも全国一律というのは前提ということでよろしいのでしょうか。
(答)
  • GoToトラベル事業というのは、やはり全国規模での移動を前提にしているものでありますので、旅行者とそれから旅行先の地域の皆さんの両方の安全・安心をしっかり確保する必要があるというふうに思います。
  • そういう意味で、全国の感染状況がその時点で落ち着いている必要があるというふうに考えております。
  • 一昨年、GoToトラベル事業が様々な感染状況を踏まえて、部分的に止めたりというふうにしていますけれども、その後昨年の4月以降は地域観光事業支援という新しい仕組みができました。
  • これに基づいて感染の落ち着いた地域で旅行振興をやっていただいているわけでありますけれども、このような形で地域の実情、感染状況とかに応じて、旅行需要の喚起策が取れるようになっていますので、こういうものを活用していただきながら、旅行振興策を各都道府県の判断でやっていただくというようなやり方がいいのではないかなというふうに思います。

(問)確認ですけれど、全国一律というのがあくまで前提という理解でよろしいですか。
(答)
  • 原則、全国一律ということだと思います。

(問)ワクチン・検査パッケージについてなのですけれども、一旦、原則的に停止というふうな発表がございまして、その後で各都道府県知事の判断によっては、そのまま大丈夫であるというふうな発表もあったのですけれども、それに関して、旅行会社や宿泊業者の方の中にはかなり戸惑って、どういうふうに判断していいのかがわからないというふうにおっしゃっている方もいるのですけれども、観光庁として何か方針があればお示しいただきたいと思います。
(答)
  • 今日の対策本部で決定をするということだと思いますけれども、旅行会社や宿泊事業者の皆さんがどういう点で困惑されているのかというところが、まだ私の方は聞いていないのですけれども、基本的には都道府県知事さん、これも私が報道ベースで承知する限りでは、原則ワクチン・検査パッケージは停止するけれども、知事の判断によっては、停止しないこともできる、こういうことですよね。
  • ですので、それぞれの地域に応じて取扱いが決まるということだと思いますから、具体的なあり方は、都道府県各地の公表、それから周知のあり方によってくるのではないかなというふうに思います。
  • いろいろ戸惑いがある点がもしあれば、我々の方としても何らかの対応を考えますけれども、現時点でどういうふうにするかは決まっておりません。

(問)インバウンドの2030年の目標の件なのですけれども、現時点でこの目標というのを変えることを考えてらっしゃるのかどうかはいかがでしょうか。
(答)
  • この目標自体は2016年3月に決めたものでありますので、この目標は現時点では生きています。
  • 一方で、これがどうなっていくのかについては、現時点ではなかなか見通しにくい状況にあると思いますのでもう少し感染状況が落ち着いて、中長期的なインバウンドの動向を見通せる状況になったタイミングで、この目標を修正する必要があるのかどうかも含めて、有識者等のご意見を伺ったり、関係者と議論をしたりということはやっていきたいと思います。
 
以上

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