10月長官会見要旨

最終更新日:2026年10月26日

                                日時:2026年10月21日(水)16:15~16:45
                                        場所:国土交通省会見室

冒頭発言

(訪日外国人旅行者数等(2026 年9月)について)
本年9月の訪日外国人旅行者数及び出国日本人数について報告します。
本年9月の訪日外国人旅行者数は、約310万人となり、前年同月と比べ5%減少しました。23の国・地域のうち、7の国・地域が9月として過去最高を記録しました。
また、本年1月から9月までの累計では、前年と比べ2.9%減の約3,073万人となりました。9月に3,000万人を突破するのは昨年に続き2回目となります。
本年9月の出国日本人数は、約148万人となり、前年同月と比べ6.3%増加しました。
本年1月から9月までの累計では、前年と比べ3.2%増の約1,121万人となり、昨年同様9月で1,000万人を突破したところです。

(インバウンド消費動向調査2026年7-9月期(1次速報)について)
インバウンド消費動向調査2026年7-9月期の1次速報の結果について報告します。
2026年7-9月期の訪日外国人旅行消費額は、前年同期比で3.2%増の約2兆2千億円と推計され、第3四半期としては過去最高となったところです。
訪日外国人1人当たりの旅行支出は、前年同期比で6.1%増の、約23万4千円となり、こちらも第3四半期としては過去最高となりました。
なお、訪日観光支出がもたらす波及効果は旅行消費額のおおむね2倍程度で推移してきておりますので、これを踏まえますと、7月-9月期の訪日観光支出がもたらす波及効果は約4.4兆円程度と推計されます。

質疑応答

(問)九州ふっこう応援割が10月から始まったが、現時点での利用状況をどのように評価しているでしょうか。また、地震による風評被害や旅行需要への影響は、どの程度回復していると見ているか教えてください。
(答)
今月1日より開始した「九州ふっこう応援割」の利用状況につきましては、主要な旅行会社などへの聞き取りによると、「発売開始前から旅行者からの問合せが寄せられたほか、販売開始直後から多くの予約が入り、早期に販売上限に達した」との声を聞いており、総じて堅調に利用が進んでいるものと認識しております。
また、本事業に対する国民の皆様の関心が高いことは、本事業の目的である九州地域の観光需要の早期の回復・喚起が図られることにつながるという点におきまして、観光庁としても望ましいことと考えております。
地震による風評被害や旅行需要の回復状況につきましては、本事業が今月から開始されたばかりであり、実施主体である各県の執行状況やその効果を含めた旅行需要の動向をよく検証する必要があると考えておりますが、現段階での九州ふっこう応援割の利用状況や旅行会社からのヒアリングなどを踏まえると、旅行需要は回復傾向にあると考えています。
引き続き各県における予算の執行状況等を踏まえた需要の動向について注視してまいりたいと考えています。

(問)外国人旅行者向けの消費税免税制度が11月からリファンド方式に移行します。改めて移行の意義、買物消費への影響の見通しを教えてください。また、移行直前の今、販売店のシステム対応や出国時の混雑・不具合への備え、旅行者への周知など、準備の状況をどうみているかもあわせて伺います。
(答)
ご指摘のとおり、消費税免税制度については、11月より、消費税を一旦課して販売した商品について、空港で海外への持ち出しを確認の上、免税額を返金する、いわゆるリファンド方式へ移行となります。
消費税免税制度を巡りましては、従来より、免税購入品が国外に持ち出されることなく、国内で不正に転売や消費されるという実態や疑念が生じているところです。 こうした行為は消費税免税制度の趣旨や意義を損なうものであり、あってはならないと考えていますが、リファンド方式の導入により、制度の適正な運用が図られるものと期待しております。
また、こうした対応により、制度に対する国民の皆様の理解が醸成されることにより、インバウンド消費を下支えしていく上で不可欠な消費税免税制度の継続・充実につながることになるものと考えております。
このため、リファンド方式の導入は、消費税免税制度の運用において大変大きな意義を有していると考えています。
リファンド方式に移行後は、免税手続にも変更が生じることにはなりますが、買物消費に影響が出ないよう、円滑な制度移行に向けて努めているところです。
その移行に向けた準備状況を具体的に申し上げますと、まず、説明会の実施等により、観光庁から免税店向けに周知を行っているところです。免税店側のシステム対応につきましては、各社ともに制度改正に向けて予定通り進んでいると業界団体から伺っております。
また、空港等での手続のためのキオスク端末の設置につきましても、各地の税関と空港会社の間で順調に設置準備が進んでいると承知しております。
さらに、出国時の混雑防止のための空港等での注意喚起など、旅マエ、旅ナカ、出国前の各段階に応じた旅行者向けの周知も行っているところです。
こうした取組を通じて、引き続き関係省庁や事業者とも連携しながら、円滑な制度移行に向けた対応を進めてまいりたいと考えております。

(問)10月1日から、全事業者のカスタマーハラスメント対策が法的義務となりました。日本旅館協会がカスタマーハラスメント防止対策マニュアルやポスターを公表するなどの動きもみられますが、宿泊業や旅行業など、観光業界での対策に向けた動きについて、観光庁が把握している状況とそれに対する受け止めをお願いします。
(答)
本年10月1日から、改正労働施策総合推進法に基づき、全ての事業主に対し、カスタマーハラスメント対策を講ずることが義務付けられているところです。同法に基づき、宿泊・旅行業界におきましても、カスタマーハラスメント対策マニュアルの作成や基本方針の策定、講師を招いた会員向けの研修会の実施などの取組が進められていると承知しています。
観光業界において、従業員が安心して働ける職場環境を整備することは、人材の確保・定着の観点からも極めて重要であると認識しており、観光庁としても、制度の所管官庁である厚生労働省や業界団体とも連携し、カスタマーハラスメントの防止に向け、必要な対応を講じて参りたいと考えております。

(問)来年は、国連が定めた「持続可能で強靭な観光国際年2027」に当たります。国際年に向けた今後の具体的な取り組み方針などがあればお聞かせください。
(答)
ご指摘のように来年2027年は「持続可能で強靱な観光国際年」であり、世界的に、持続可能な観光や観光レジリエンスに関する取組の強化、これら取組を通じた観光人材の育成等が期待されています。
本年は国際年に先立つ準備期間であり、世界観光機関は、各加盟国における国際年に関する活動の強化のため、そのプラットフォームとなる「ナショナルコミッティー」の設置を各国に推奨しています。
これを踏まえ、我が国では、先月25日、官民学で構成される「ナショナルコミッティー」を世界に先駆けて設置し、国際年に向けた取組を始動させたところです。また同日、機運醸成のため、世界観光機関と連携し、セミナーも開催いたしました。
観光庁としましては、このナショナルコミッティーを活用し、国際年における我が国の活動の準備、実施、フォローアップを行うとともに、持続可能で強靱な観光に関する認識の向上、幅広い関係者の関与の促進・連携の強化を図ってまいります。この効果的な実施に向け、国内における国際年の活動の登録と公式ロゴマークの使用承認を行うこととしており、本年12月ごろから観光庁ウェブサイトにて受付を開始する予定です。
今後とも関係者と密接に連携しながら、国際年の機運醸成と我が国における持続可能で強靱な観光の推進に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

(問)企業を狙った不正アクセスの関連でお伺いします。近年不正アクセスなどで個人情報が流出、あるいは流出した恐れがあるとする事案が相次いでおります。観光業界に関連するものとして、例えばカーシェアリングサービスの「タイムズカー」や、HIS、航空券予約のスカイチケット、鉄道会社など観光産業に関わる企業への影響も懸念されているかと思います。こうした被害への受け止めと注意喚起、対応、今後の対策などについて、ご見解をお願いいたします。
(答)
ご指摘の通り、昨今、企業を狙った不正アクセス等により、観光関連事業者を含む様々な事業者において、個人情報の流出の可能性が疑われる事案が相次いで発生しております。
利用者の方々は、事業者を信頼して、パスポートやクレジットカード情報、連絡先等の個人情報を預けておりますので、このような情報漏洩事案は利用者の不安を招くとともに、観光産業全般に対する信頼を損ないかねないものであり、早急な対応が必要であると考えております。
各事業者に対しましては、各々の所管部局において、必要な対応が講じられていると承知しています。ご指摘のありました事業者のうち、観光庁が所管している第1種旅行業者である株式会社エイチ・アイ・エス及び旅行予約サイト「スカイチケット」を運営する株式会社アドベンチャーからは、事案の発生を受け、個人情報の保護に関する法律等関係法令に基づき、個人情報保護委員会に対する報告を行うとともに、影響を受ける可能性のある旅行者への連絡を順次進めており、更に、原因究明及び再発防止に向けた対応を進めているとの報告を受けています。
観光庁としましては、両社に対し、適切な利用者対応を求めたほか、昨今の大規模な個人情報の流出の可能性が疑われる事案を踏まえ、旅行業事業者に対して、改めて、関係法令の遵守、個人情報の管理体制や取り扱い状況の点検等個人情報の適正な取扱いの徹底や再発防止に万全を期するよう通知を発出したところです。併せて、旅行業事業者に加えて宿泊業事業者に対しましても、内閣官房国家サイバー統括室から発出されたサイバーセキュリティ対策にかかる具体的な注意喚起についての周知を行ったところです。
引き続き、本事案の今後の状況を注視するとともに、政府全体の方針を踏まえ適切な対応を講じてまいりたいと考えています。

(問)東京23区において、住宅宿泊事業法に基づく民泊に関し、自治体が規制や運用の見直しを行う動きが相次いでいます。背景には、観光庁が7月に発出した通知もあると思いますが、これら一連の動きに対する受け止めをお願いします。また観光庁として今後、地域住民との共生や民泊運営の適正化に向けて、どのように取り組んでいくのか、お考えをお伺いできますでしょうか。
(答)
民泊は地域住民の方々の生活環境を損なわないように運営されることが大前提だと考えており、自治体がそれぞれの地域の実情に応じて、必要な対応を行える環境を整えていくことが重要であると考えております。
7月には、地域の判断で事実上の立地規制を可能とする、いわゆる「ゼロ日規制」などに関する通知を発出したところです。ご指摘の東京23区を始め、すでに一部自治体においては各地域における民泊の在り方や規制についての検討が進められていると承知しておりますが、それぞれの地域の実情に応じて規制のあり方の検討を深めていただきたいと考えています。
民泊の管理・運営の適正化に向けた対策については、今申し上げましたゼロ日規制の対応を含め、本年1月に関係閣僚会議で決定された「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」に盛り込まれておりますので、この計画に基づき、関係省庁や自治体と連携して必要な取組を進めてまいりたいと考えております。

(問)本日発表のあった訪日外国人旅行者数について、前年比で5%減という結果になったかと思いますが、この数字に対する評価をお伺いできますでしょうか。
(答)
本年9月の訪日外国人旅行者数は約310万人となり、前年同月比で5%減少しました。
23の国・地域のうち、7の国・地域が、9月として過去最高となっております。
一方で、16の国・地域で前年同月比で減少しましたが、その要因について一概には判断できませんが、主な減少要因としては、一部の国で、前年同月と比較して航空便数が減少したこと、祝日の日程のズレがあったことに加え、航空便の燃油サーチャージ価格が上がったことなどが挙げられております。
常々申しておりますが、祝日のズレや、航空運賃によって、インバウンドの数は左右されますので、短期的に見るというよりも、より長い期間における傾向を注視していくことが重要であると考えております。
観光庁としましては、引き続き、様々な国・地域からの訪日を促進すべく、戦略的なプロモーションの実施などに取り組んでまいります。

(問)中国の国慶節が終わりました。今年は中秋節と重なり、最大13連休となりました。連休中の訪日状況について、航空便の運航状況や事業者への聞き取りなど、現時点で把握している傾向を教えてください。また、中国市場に回復の兆しは見えていますか。
(答)
中秋節を含む本年9月の中国からの訪日客数は約43万人と、前年同月と比較して44.5%の減少となり、引き続き減少傾向が続いております。
また、国慶節における中国からの訪日客数の動向につきましては、10月の実績を踏まえる必要があることから、現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思います。
9月の中国からの訪日旅客の対前年同月比の減少率については、44.5%の減少となりましたが、昨年12月以降で、減少幅としては最も小さいものとなっております。
これについては、昨年10月にありました中秋節の休暇が、今年は9月であったこと等を勘案し、現段階で直ちに回復傾向にあるとまでは言えないと考えております。
観光庁としては引き続き、中国からの訪日の動向について注視するとともに、様々な国・地域からの訪日の促進や消費単価の高い旅行者の誘致等に取り組んでまいりたいと考えています。

(問)住宅宿泊事業法が施行されて今年で8年が過ぎました。コロナ禍もありましたが、長官は現状をどのように受け止めていますか。また、訪日外国人の増加に寄与しているのか、当初思い描いたようなホームステイの交流や空き家の活用に繋がっているのかどうか等、教えてください。
(答)
住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法は、2018年に施行されておりますので、一定の期間が過ぎているところです。既存ストックを有効活用し、今後のインバウンド増加に向けた宿泊施設を確保する観点のみならず、当時、明確なルールがない中で民泊の実態が先行し、安全・衛生面の確保や、近隣トラブルなどの問題が発生していたことを踏まえ、一定のルールを定め、適正な規制の下で地域の実情にも配慮しつつ健全な民泊の普及を図ることとしたものです。
2018年の施行から8年が経過し、インバウンドは4,000万人をこえるなど、宿泊需要を巡る環境は大きく変化しているところです。 こうした旺盛な需要を背景に、近年、民泊は大きく増加し、民泊に馴染まない地域への立地、騒音などの迷惑行為に対して適切な対応が行われない民泊の増加などが指摘されています。
このような施行状況を踏まえ、7月には、地域の実情に応じて「ゼロ日規制」を行える旨の技術的助言を発出いたしましたが、何よりも重要なのは地域の判断で、より適切に規制を行える環境を整備することであると考えております。施行状況に応じ、こうした制度の見直しを随時図っていきたいと考えております。
繰り返しになりますが、民泊は地域の生活環境などが損なわれずに運営されることが大前提です。引き続き、民泊の適正な運営の確保に取り組んで参ります。

(問)東京23区の取材では、家主不在型民泊の苦情が多いと聞いておりますが、民泊の事業をすることによって、既存ストックの活用は進んだのか、家主が居住する民泊もあるので、ホームステイのような交流も進んでいるのか、現状について教えてください。
(答)
民泊につきましては、現在4万3000件が全国で運営をされており、それに対する評価、使い方は、地域によって異なっていると考えております。
当然、ホテル等が少ない地方においては、民泊の果たす役割は大きいと考えておりますので、先ほど申し上げたように重要なのは、それぞれの地域で住民の皆様の生活を一番良く分かっておられる地方公共団体の方々が、地域の実情に応じて必要な対策を取れる環境を整えていくことが重要だと考えております。
7月に各地域の実情に応じて、いわゆる立地規制を可能とするような「ゼロ日規制」などを行うことについての通知を出しましたが、これを踏まえて、早速東京23区では様々な規制の強化についての検討なども行われております。
そういった形で民泊の適正な管理を行いつつ、しっかりと民泊の役割を発揮できるように努めていくことが重要ではないかと考えております。

(問)昨年に引き続き、9月のタイミングで訪日者数3,000万人を突破しましたが、このスピード感に関してどのように受け止めていますか。
(答)
冒頭申し上げましたが、1月から9月の訪日外国人旅行者数で、9月に3,000万人突破し、これは史上2回目となります。
加えて、1月から9月までの累計では、中国以外に我々が重点的に動向を見ている22の国・地域で、前年同期と比べ、中国以外では全て増加しているという状況になっております。
中国市場におきましては、1月から9月までの累計で、前年同期比で約55%減少していますが、こうした大幅な減少にも関わらず、インバウンド数全体では微減となっているという状況ですので、引き続き堅調な訪日需要があると認識しております。
月毎のインバウンド数の増減につきましては、様々な要因が関係するため、より長い期間における傾向を注視していく必要があるという状況ですので、今の段階で、年末についての見通しや予測を立てるのは少し早いと思っております。

(問)先月末のツーリズムEXPOジャパンに合わせて、海外から様々な観光関係の要人が来日しました。木村長官も意見交換をされたと思うが、その中で印象的だったことや、何かポイントや、気になったことがあればコメントをいただきたい。
(答)
本年の「ツーリズムEXPOジャパン」は、来場者が18万人を超えました。今年のテーマは「進化する旅のカタチ」で様々な旅のスタイルを訴求・紹介するものでしたので、国内、アウトバウンド、インバウンドの観光の振興には大変大きな成果を上げたと考えております。
ご質問がありましたように、私自身、観光大臣会合(ラウンドテーブル)や、訪日中の各国の観光大臣の皆さまと会談を行って、大変有意義な時間を過ごすことができました。
会談をして感じたのは、日本に対する期待が大変高いということです。特に直行便が就航していない国については是非日本との直行便を開設して、日本からの旅行者をもっと増やしたいというご意見が多かったように思います。
今、全体でも各国ごとに見ても、日本に来られる外国人の方が、それぞれ各国に行く日本人よりも多い状況にありますので、各国の大臣はもっと日本人に来て欲しいといった声が非常に多かったと思います。

以上

組織情報