和田長官会見要旨

最終更新日:2022年5月25日

日 時:2022年5月18日(水)16:15~16:40
 場所:国土交通省会見室

会見事項

(2022年4月の訪日外国人旅行者数等)
  • 2022年4月の訪日外国人旅行者数は、対2019年比マイナス95.2%の13 万9500人となりました。
  • 2022年4月の出国日本人数は、対2019年比マイナス92.2%の12万9200人となりました。
  • 観光庁としては、引き続き国内外の状況を注視してまいります。
 
(旅行・観光消費動向調査の結果(2022年1-3月期速報))
  • 本年1-3月期の旅行・観光消費動向調査の速報についてご報告させていただきます。
  • 本調査は日本人の旅行を対象としております。
  • 1-3月期の日本人国内旅行消費額は、2兆2,032億円となりました。前年同期と比較すると、35.4%の増ですけれども、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年1-3月期に比べますと、47.7%の減となっています。
  • 本年1-3月期の国内旅行消費額は、2010年の現行調査開始以降、1-3月期としては昨年に次いで過去2番目に少ない額となりました。
  • 日本人の国内延べ旅行者数は、6,141万人となりました。前年同期と比較すると22.2%の増ですが、感染拡大前の2019年1-3月期に比べますと、49.2%の減となっております。
  • 旅行者数についても、2010年の現行調査開始以降、1-3月期としては昨年に次いで過去2番目に少ない値となっています。
  • 日本人国内旅行の1人1回当たり旅行支出、旅行単価でございますが、35,879円となりました。この支出には、参加費、交通費、宿泊費、飲食費、買物代、娯楽等サービス費等が含まれております。
  • こちらのほうは感染拡大前の2019年1-3月期と比較しても、1人1回当たりの旅行支出が、2.9%増加しております。旅行した人の単価は上がっているということでございます。
 
(地域観光事業支援について)
  • また、お手元に地域観光事業支援の最新の状況についてもご用意しましたので、お目通しをいただければと思います。
  • 私からは以上です。

質疑応答

(問)昨日公表された訪日客受け入れ実証実験のツアー事業についてお伺いします。パッケージツアーの訪問先の行程や旅行の日程、参加人数の規模など具体的な制度設計についてお聞かせください。これに関連して、その後本格的な訪日客受け入れ拡大について、その時期や人数のメドがあればお聞かせください。

(答)
  • 訪日観光実証事業の詳細でございますが、現在観光庁におきまして、日本旅行業協会等と連携の上、調整しているところでございます。現時点での見込みといたしましては、実施規模は1ツアーあたり4人以下で合計10~15程度のツアーを予定しています。総勢で50名程度になる見込みです。さらなる詳細につきましては、引き続き検討しているところです。
  • 2点目のおたずね、訪日観光の再開についてですが、水際対策の全体の中で国内外の感染状況や主要国の水際対策の状況、検疫体制等も踏まえて今後政府全体で検討していくものでございます。そのうえで、観光庁といたしましては、まずは訪日観光再開に向けて、受け入れ地域の皆様の理解や安心感の醸成をはかるため、昨日発表した訪日観光実証事業における検証や、旅行会社や宿泊事業者等が留意すべき留意点をまとめた「ガイドライン」の策定にしっかりと取り組みたいと考えております。

(問)続きましてGoToトラベルについてお伺いします。再開の考えは現時点でおありでしょうか。その際、再開の時期の見通しがあればお聞かせください。今、ご説明のあったように訪日客については、実証事業をはじめとして、国外からの人の流れを今後活発化させていこうとする一方で、国内では、GoToトラベルは、現状停止していてある程度制約が残るということの整合性についてはどのようにとらえていますでしょうか。

(答)
  • まずGoToトラベル事業についてですが、GoToトラベルの再開につきましては旅行者と地域の双方の安全安心をしっかり確保する必要があり、感染状況が開始の時点で落ち着いていることが大前提となります。このため、引き続き感染状況などを見極めつつ、関係省庁や専門家のご意見を伺って、注意深く検討していく必要があると考えています。
  • それから、水際対策との整合性の点でございます。インバウンド観光につきましては、現在認められていない観光目的での外国人の日本入国をどのように解除していくのかという入国制限の問題であります。この問題を含む水際対策の緩和については、国内外での感染状況や、主要国の水際対策の状況、また検疫体制等を踏まえて、政府全体で段階的に緩和を図ろうとしているものであります。一方、国内観光の方でございますが、現在移動や旅行の自粛を国として規制をしているわけではありません。そのうえで、地域の感染状況を踏まえながら、観光関係者等の支援のため、可能な範囲で観光需要喚起策を講じているところございます。しかしながら、GoToトラベル事業については全国的な移動を対象にして全国一律に緩和、底上げを図るというものでありますので、全国の感染状況を見極める必要がありまして、注意深く検討していくということであります。いずれにせよ観光庁といたしましては、GoToトラベル事業について適切な時期が来たならば迅速に実施できるよう必要な準備をすすめていくというところです。

(問)IR関係でお願いします。先月28日に整備計画の申請が締め切られ、大阪と長崎が名乗りをあげました。今後審査会において本格的に審査が進められるということになりますが、可能な範囲で現在の進捗状況と今後の見通しについてお伺いさせていただきます。また、日本型IRの実現に向けて、国としてどのように主導的な役割を果たしていくのか、長官のお考えをお願いします。

(答)
  • まず審査委員会の会議については、認定のための審査基準等を定めた「IR整備のための基本的な方針」におきまして、率直な意見の交換や意思決定の中立性を担保することを目的として、認定審査終了まで公開しないこととされております。4月27日付で大阪、長崎の両地域からの区域整備計画を受理したところでありますが、今述べました方針の趣旨を踏まえて、委員会の開催も含めて審査についてのコメントは差し控えさせていただきます。また、認定の時期につきましても、審査委員会において、多岐にわたる観点から、期限を区切ることなく、慎重かつ十分な審査を行っていただくことが必要であることから、現時点でお示しすることが困難でございます。
  • 二点目の質問でございますが、IRは、長年、我が国の観光の弱点とされてきた長期滞在の促進また消費単価の拡大等の解決に資するなど、観光立国の実現に向け、コロナ後も見据えて、中長期的な観点から取り組むべき重要な施策の一つと考えております。
  • 今後の区域整備計画の認定審査にあたっては、国際競争力の高い、魅力ある滞在型観光を可能とすることができる「日本型IR」の実現に向けて、審査委員会において、両地域の区域整備計画をしっかりと評価いただくことが重要と考えております。

(問)観光目的での入国に関してなのですけれども、円安で、インバウンドには追い風という状況だと思うのですけれども、今後の景気への起爆剤として、今後のインバウンドへの期待というのを改めて伺えればと思います。

(答)
  • 訪日観光の再開については、観光事業者の皆様から大変強い期待をいただいており、要望もいただいております。
  • 政府全体の水際対策については、感染拡大の防止策も含めて、色々な観点から検討していく必要があると思いますので、そちらの方は政府全体で検討されるというふうになりますけれども、私達観光を所管する立場としては、私どもの考え方、また、各事業者の皆様のお考えも含めてご説明をして議論、協議しているところであります。
  • いずれにいたしましても、まずは、昨日発表させていただいた実証事業、これをしっかりと取り組んで、訪日観光再開に向けて、しっかり環境を整えたいと思っております。

(問)業界からの期待感という点についてはどのように感じていらっしゃるのでしょうか。

(答)
  • それはもう、何度も繰り返しご要望をいただいておりますので、私共も大変重く受け止めております。

(問)今、地域観光事業支援のブロック拡大については、今月末まで延長されましたけれども、Go To トラベルが再開されないということは、逆に県民割が延長になるというような可能性はございますでしょうか。

(答)
  • 今後の観光振興策については現在検討しているところでありますけれども、県民割事業を延長するかどうかというのと、Go To 事業とは別に考えています。
  • 従いまして、今後の感染状況を踏まえて、どんな需要喚起策を講じていくか、いま、考えているところであります。

(問)先ほど長官から言及がありました観光業界からの要望の中で印象的だった言葉として、既に、欧米とかでは国際往来が始まっていて、そことの状況的にも日本との差が大きいので、日本の観光業界の国際競争力が低下する恐れがあるという懸念が示されておりましたけれども、その点について長官のご説明お願いいたします。

(答)
  • 先ほど申し上げましたとおり、水際対策のあり方全般は政府全体で検討して行くものと思われますけれども、私ども観光所管する立場としては、観光業界の皆様等からの要望も重く受け止めて、水際関係省庁と協議を重ねているところであります。
  • 一方で、我が国の魅力は、コロナ禍によって失われたわけではありませんし、またシンクタンクなどによる外国人を対象とした調査によりますと、日本はコロナ後に訪れたい国の最上位に位置付けられているという結果もあります。
  • またこのコロナ禍の間に、今までのインバウンド政策での取組を振り返って、今後のインバウンド戦略を考えることができたと思っておりまして、既に可能なものは取り組みに着手しているところです。
  • 例えば、高付加価値層のお客様をどう呼び込むかとか、観光地の高付加価値化とか、こういったもに着手をしているところであります。
  • 今後の訪日観光再開後には、効果的なプロモーションを行って、再び世界各国から多くの皆様に日本を訪れていただけるように、各省庁とも連携をしながらです、戦略的に取り組んでいきたいと思っております。
  • 例えば、消費額の増加や、地方部への送客の促進、持続可能な観光の推進などに配慮しながら、地域の観光コンテンツの魅力向上や受入れ環境の整備に取り組むとともに、戦略的な訪日プロモーションを含めた総合的な観光戦略に取り組んで行きたいと思います。

(問)もう1点インバウンド関連で、インバウンドの受入れに不可欠な存在として、通訳案内士の皆さんがいると思うのですけれども、長引くコロナ禍の中で、業界的にかなり厳しい状況と言うことで、先般要望も来られていると思います。行政として、通訳案内士の方にどういった支援ができるか、また考えているのか、お伺いできればと思います。

(答)
  • 通訳案内士の方々は、高度な外国語能力に加え、観光に関する質の高い知識とホスピタリティ力をお持ちでございますので、今後、我が国のインバウンド観光を支える、いわば人的インフラともいうべき存在だと思います。
  • 大変苦しい状況に置かれていますので、なんとかご支援したいと考えております。
  • このため、まず政府として、業種横断的ではありますけれども、事業継続の観点から、昨年11月にとりまとめられた経済対策として、個人には最大50万円が支給される事業復活支援金を盛り込んでおり、通訳案内士の方々にもご活用いただいているところであります。
  • 観光という観点からのご支援として、通訳案内士の方々の就業機会を確保する観点から、通訳案内士を今後のインバウンド対応の研修講師という形で観光地の宿泊設備等へ派遣する事業を令和2年度から実施をしており、今年度も継続する予定です。
  • さらに、本年4月にとりまとめられた「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」に基づく新型コロナウイルス感染症対策予備費においても、観光事業者等への支援の一環として、観光地におけるインバウンド対応を強化するための通訳案内士を講師とした研修の実施を盛り込んでいるところであります。
  • 観光庁としても、来たるべきインバウンドの復活をお支えいただく通訳案内士の方々が、役割を自由に担うことが出来るように必要な取組を進めてまいります。

(問)訪日客の関係では、先ほどご発言の中で受入地域の理解という話がありました。そのほか、訪日客の増加による入国時の検疫体制の懸念など色々課題が考えられると思うのですけども、どのあたりが一番クリアすべき課題だとお考えでしょうか。

(答)
  • やはり、感染拡大の防止と経済社会活動のバランスをどう考えるか、というのが、一番大きなテーマになると思いますし、そのためには、受入地域の皆様の理解や安心感の醸成というものを、しっかりはかりながら、インバウンド再開に繋げていくということが大事だと思っています。
  • 昨日発表させていただいた実証事業を実施する、という判断をしたのも、そうした観点からでありますし、また、実証事業の実施にあたっても、最大限の安全安心を確保する必要があると考えておりまして、例えば、非指定国からのワクチン3回目接種者に限って参加していただくとか、様々な要件を考えて、今回の実証事業を実施しようと思っております。
  • 繰り返しになりますが、やはり、感染拡大の防止と社会経済活動のバランス、これを十分に配慮しながら、私どもの取組を進めたいと考えております。

(問)検疫体制はどうでしょうか。人が増えたら、入国時に一人ずつ受ける、検査の体制がまだ人が少なくて渋滞してしまうというか、そういう課題とかはいかがでしょうか。

(答)
  • そういうご指摘もいただいておりますけれども、それは現在、政府全体や水際省庁を中心に検討されている課題だと認識しております。

(問)外国人観光客の実証事業ですが、地域の理解が必要だというところを踏まえると、今回実証実験をどのような行程でおこなうのかというのは地域の事業者とか、そういうところにも一定の公開とかをした上で進めていくというようなお考えでしょうか。
 
(答)
  • 基本的には、旅行先の地域のご理解というか、知事の方針というか、そういうものをいただいた上で、旅行先を検討していこうと思っていますので、そういう前提のもとで今調整を進めているところです。

(問)今月中開始ということですけれども、期間が限られている中で、例えば来週のいつごろから、その入国を、一番早いところでやりたいとか、そのスケジュール感というのは今どこまで決まっていますでしょうか。

(答)
  • もちろん来週になるとは思いますけれども、具体的に何日というところまでは、まだ決まっておりません。
  • 昨年実施予定としていたモニターツアーという計画があって、それをベースにしながら大至急調整をしているところでありますので、現時点ではまだ確定的なものは決まっておりません。

(問)訪日再開の件なのですけれども、受入地域の理解や安心感の醸成を再開に繋げることが大事だということなのですけれども、実際に再開するとなったときにはどういう形でやれば、そういった理解や安心感の醸成に繋げられる形で再開できるというふうに、昨年末の時点だと、団体観光から徐々にというお話もありましたけれども、そのあたりのイメージについては、どのようにお考えでしょうか。

(答)
  • まずは、実証事業を踏まえたガイドラインというものを作って、そこで、感染拡大防止策をどのような形で守っていただくのがいいか、これは旅行者の方に当然ご協力をいただかなければいけないので、どういうタイミングでどのようなな言い方をすればご理解を得られるのかとかですね、それから、万一、陽性者が出たときに、保健所、または病院などにきちんと連絡をしていただく必要があるわけですが、そういう連絡体制がきちんと講じていただけるかなど、そういったことを確認しつつ、ガイドラインを作ると。そのガイドラインをしっかり守っていただくということがまず前提なのだろうと思います。
  • その先、実際に訪日観光の再開ということになれば、その再開の時にどういうことを、水際関係省庁と調整をする必要があると思いますけど、どういう形で訪日観光をあけていくかというのは、まだ具体的なものは決まっておりませんので、今後検討していく課題かなと思います。

(問)ガイドラインというのは今月中に作るというスケジュールでしょうか。

(答)
  • はい、できる限り今月中に作りたいと思っています。

(問)GoToトラベルに関してなのですけれども、国会でも名称変更について質問が出た日があったと思いますが、GoToトラベルの名称変更については検討されていらっしゃるのでしょうか。

(答)
  • 色々なご指摘をいただいていますので、その一つかなというふうには思いますが、現時点では「新たなGoToトラベル事業」という言い方をしております。

(問)では、検討されていないという理解でよろしいですか。

(答)
  • 色々な意味で検討してますが、まだそこは確定しているものがないということです。

(問)実証ツアーの件で一つだけ。いわゆる旅行会社が担うという形になっていくので、ツアーに参加される方の行動管理は、基本的に政府全体というより、旅行会社の方が担っていくというような認識なのでしょうか。

(答)
  • 添乗員の方が必ずついておられますので、添乗員の方、それから広い意味での旅行会社が管理責任を持っていただくということになるかと思います。

(問)今の質問に関連質問なのですけども、日本の場合には、大変感染対策ルールが厳しい状況ですけれども、例えば外国人観光客の方たちがそういった日本人の目からみて、ルールが守られていない場合に、さきほど旅行会社の方で責任を持って、というふうにおっしゃられましたけれども、ルール違反等があった場合にはどのような対応をされるでしょうか。

(答)
  • 基本的には、日本に入国される際に、これ検疫の方で誓約書というのを出していただいております。この中でマスクの着用を含めた感染防止策をお願いしますという形をとっていますので、それを使ってお願いをしていくということになると思います。
  • それを前提としながらですね、まさに、ここは実証事業で確認をしていこうと思っていますが、そういったものをどうやって守っていただけるのか、どういう言い方をしたらというのを含めてですけれども、守っていただけるような方策を探りたいと思っております。

(問)冒頭の方で「15のツアーで50人程度」ということですが、この募集なのですが、この募集の主体は民間の旅行会社であって、全てそこで責任を持つという理解でよろしいでしょうか。

(答)
  • はい、そのとおりです。

(問)関連しまして、外国の方の参加者はどういった方になるのか、全くの旅行を希望する一般の方なのか、それとも政府関係者みたいな方になるのか、相手国の旅行業界みたいな業界系の人になるのか、どのような方の参加になるのでしょうか。

(答)
  • 外国の旅行会社の方が基本だと思います。こういう旅行会社の方々は、一般旅行者の意識も当然ご存知でありますので、旅行会社の方々に来ていただいて、実証事業に参加していただくという形を予定しております。
 
以上

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