和田長官会見要旨

最終更新日:2022年8月24日

日 時:2022年8月19日(金)16:15~16:35
 場所:国土交通省会見室

会見事項

(地方における高付加価値なインバウンド観光地づくりについて)

  • 観光庁としては、これまでのインバウンド観光の実績等を踏まえて、本格的なインバウンドの回復を見据え、より一層の消費額の拡大や地方への誘客促進に取り組んで行くこととしています。
  • とりわけ観光消費の旺盛な高付加価値旅行者の地方への誘客は、消費額の拡大のみならず、地域の多様な産業への経済波及効果や、地域の自然・文化・産業等の維持・発展への貢献、地域の雇用の確保など持続可能な地域の実現や地方創生にも寄与すると考えられます。
  • そのため、観光庁では、高付加価値旅行者の地方への誘客に必要な課題や必要な対応について、ウリ・ヤド・ヒト・コネ+アシの5つの観点から、5月末に「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくりアクションプラン」として取りまとめたところです。今後、10ヵ所程度のモデル観光地を選定し、施策を集中的に実施していくこととしています。
  • この総合的な施策を集中的に講じるモデル観光地の公募を8月22日より開始することといたします。
  • 公募においては、世界的価値となり得る地域資源の候補が存在すること、地域経営体制の構築に向けた機運が醸成されていることなどを申請要件としております。詳細は、お配りしたプレスリリースに記載の特設Webサイトをご覧ください。
 
(2022年7月の訪日外国人旅行者数等)
  • 2022年7月の訪日外国人旅行者数は、対2019年比マイナス95.2%の144,500人となりました。
  • 2022年6月10日から開始した外国人観光客の受入れについて、7月の観光目的での入国者数は、7,903人となりました。
  • 2022年8月の新規入国希望者数は、12,354人となっています。
  • 2022年7月の出国日本人数は、対2019年比マイナス83.3%の277,900人となりました。
  • 観光庁としては、引き続き、国内外の状況を注視してまいります。
 
(旅行・観光消費動向調査の結果(2022年4-6月期速報)について)
  • 8月17日に公表しました4-6月期の旅行・観光消費動向調査の速報について報告します。
  • 4-6月期の日本人国内旅行消費額は、4兆4,190億円となりました。前年同期と比較すると138.1%の増ですが、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年4-6月期に比べますと、26.3%の減となっております。
  • 日本人国内延べ旅行者数は、1億1,722万人となりました。前年同期と比較すると89.3%の増ですが、感染拡大前の2019年4-6月期に比べますと、28.6%の減となっております。
  • また、日本人国内旅行の1人1回当たり旅行支出は、37,697円となりました。この支出には、参加費、交通費、宿泊費、飲食費、買物代、娯楽等サービス費等が含まれております。
  • 感染拡大前の2019年4-6月期と比較しても、1人1回当たり旅行支出は、3.2%増となっております。
  • 今後の動向については、引き続き注視してまいりたいと思います。
 
(地域観光事業支援について)
  • また、お手元に地域観光事業支援の最新の状況についてもご用意しましたので、お目通しをいただければと思います。
  • 私からは以上です。

質問事項

(問)訪日外国人観光客の受け入れ再開から2ヵ月が経過しました。さきほど人数のご説明はいただきましたが、外国人観光客の感染状況や現状混乱が起きていないか等、現時点の状況を教えてください。またコロナ禍の中、入国制限がある中で順調に伸びているとは言えない状況だと思いますが、現在受け入れの進捗状況についてどのように受け止めているかお願いします。
 
(答)
  • 観光庁といたしましては、現時点において観光目的での入国者の陽性者や受け入れ地域との間でトラブル等が発生したという情報は聞いておりません。
  • 現時点での受け止めについてですが、現在「第7波」で感染拡大が続いている中ではありますが、本格的なインバウンド回復に向けては、受け入れ地域の皆様の理解と安心感の醸成を図りながら進めていくことが重要だと考えておりまして、まさに現在そのプロセスにあるものと考えています。
 
(問)7月下旬に国交省の検討会などで赤字のローカル鉄道の見直しに関する提言が出ました。観光庁から見た場合にローカル鉄道はそれ自体が観光資源であったり、観光客が移動する重要な交通機関であるという側面もあるかと思います。観光庁としては赤字ローカル鉄道に対して国交省とは異なる見方があると思います。今後どのような立場で議論に参加していくのか、お願いします。
 
(答)
  • 鉄道は外国人旅行者を含め誰もが手軽に利用することができる移動手段です。
  • また近年は観光列車の運行をはじめ移動そのものが観光資源となっている例も増えています。
  • 特に地方の観光振興を推進する上で、鉄道の役割が重要であると考えています。
  • 観光庁としても鉄道を活用した観光、また、車両の整備やICカード化などを含めた外国人の受け入れ環境を支援してきたところです。
  • また、今ご指摘がありましたとおり多くのローカル鉄道が人口減少やマイカーへの転移等から利用者が大幅に減少し、危機的状況におかれているのも事実です。
  • 利便性と持続可能性の高い公共交通に再構築していくため国土交通省において検討会が設置され先日提言がとりまとめられたと承知しています。
  • 観光庁といたしましては、引き続き各観光地への円滑な移動手段を確保することが重要と考えております。
  • 今後提言に沿って鉄道局、また沿線自治体、鉄道事業者が中心となって公共交通の再構築に向けた取り組みが進んでいくことになりますが、私どもの立場としては鉄道を活用した観光振興に取り組む地域をしっかりとご支援させていただきたいと考えております。
 
(問)訪日外国人観光客の数がまだ増えきらないと思いますが、その理由についてどのように考えていますでしょうか。
 
(答)
  • 様々な理由があると思います。
  • 内外の感染状況もそうですし、水際対策についての様々な課題があるだろうと思います。
  • 本格的なインバウンドの回復や、これはアウトバウンドも含めてだと思いますが、本格的な回復に向けては旅行業界等から水際対策について課題があるので、水際対策の緩和にむけて検討を進めてもらいたいというご要望を受けています。
  • 私どもはそれをしっかりと受けとめて、水際対策は政府全体で適切に判断していくということになりますから、我々も政府の一員としてしっかりと検討していきたいと考えています。
 
(問)先週くらいに成田空港を取材しまして、日本の入国の手続きが難しいという声をいくつか聞きました。こうした状況についてはどのように思われますでしょうか。また、水際対策が厳しいということで、日本に入らずに乗り継ぎにしか利用しない客がすごく増えているという状況なのですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
 
(答)
  • 水際対策のありかた、これは感染拡大防止と社会経済活動回復のバランスをとりながら段階的に緩和をしていくということで、これは総理も官房長官もおっしゃっているわけですが、これが政府の方針です。
  • そこで様々な課題に対して感染状況を踏まえながらしっかりと検討していくというのが、私どもの考えです。
  • また、三国間流動の話をいただきました。
  • 私どもで実態がわからないので、航空局を通じて日本の航空会社に確認をさせていただきました。その結果でありますが、アジア北米間の需要が増加をしているというのは確かでございます。
  • ただこれは旅行やビジネスの需要というよりも、家族訪問や留学等の三国間需要を日本の航空会社が積極的に取り込んだ結果であるというふうに聞いております。
  • したがって、水際対策との関係というのは私どもとしては不明なところがありますが、我々の水際対策への基本的な考え方は先ほど申し上げた通りでございまして、これから政府全体でしっかりと考えていきたいと思っています。
 
(問)いつ頃緩和したいかということも政府全体で、ということになるのですか。
 
(答)
  • その通りです。
 
(問)さきほど7,903人という数字への受け止めについてお話しされましたが、これは順調かどうかということに関しては、今のところの受け止めをお願いします。
 
(答)
  • 順調かどうかというよりも先ほど申し上げた通り、インバウンド、我々観光庁の立場としては回復をしたいという気持ちはありますけれども、感染拡大の防止と社会経済活動のバランスの中で考えていかねばならない、我々の立場としてさらに申し上げるとすると受け入れ地域の安心感をしっかりと確保しながら進めていかねばならないということで、いまのような添乗員付きパッケージツアーに限った受け入れから始めたということでありますので、そういったステップを踏んでいくことが大事だと考えています。
 
(問)入管の出入国管理統計などを見ますと、1日あたり2万人の入国制限に関するところで7月に関しては全体の入国者数が1日あたり1万4000人という数字が出ていました。まだちょっと2万人と比べると7割というところで、このあたりの受け止め、増えてきてはいますがいずれ2万人を突破すると入国制限の緩和ということになってくると思いますが現状についてどのように受け止めていますでしょうか。
 
(答)
  • 2万人の中にはビジネスの方もいらっしゃいますし留学、それから実習生の方、そして日本人の旅行者、外国人の旅行者、いろいろな方がいらっしゃるので全体がどうかというところは私の立場でコメントをするのは難しいのですが、観光という立場では、これはインバウンド観光とアウトバウンド観光の両方があるのですが、こちらのほうの観点で今後どうなっていくのかというのはしっかりと見極めていかないといけないと思います。
  • これは感染状況や内外の水際対策の状況によっていろいろと変わっていくものと思いますので、しっかりと注視しながら政府全体の議論に参画していきたいと考えています。
 
(問)インバウンドの関係で、これは観光立国推進基本計画についてですが、その中では今方針、新しい計画の策定がとまっている状況だと思います。最新の計画の中では年間6000万の観光客数を、2030年までに6000万人という目標があります。こちらの目標が今も堅持されているのかということと、この目標というものが新しい基本計画の策定というのが行われていくと思いますが、こちらの検討状況についてもお願いします。
 
(答)
  • 観光立国推進基本計画は私ども、交通政策審議会の観光分科会という場で議論をしています。
  • すでに5回開催をして有識者の皆様がたのご意見を伺ってきています。
  • 改定のタイミングではあるのですが、ご指摘のとおり現時点ではもう少し様子を見たうえでということにしていますが、これはどうしてもインバウンドにかかる施策や目標を盛り込んであるものですからコロナによってほぼインバウンドがゼロに近い状態、状況まで落ちていますのでもう少し中長期的なインバウンドの動向を見通すことができる段階でこの議論をしていきたいと考えているところです。
  • 我々としても可能な限り早く改定をしたいという気持ちは当然持っておりますが、見通しが少したちにくいものですから、もう少し様子を見たうえで、というふうに思っています。
  • それから2030年に6000万人の目標でありますが、現在の基本計画はいきている状態でありますので、目標を掲げていることには変わりはありませんが、これを見直すかどうかについては、その見直しの必要性を含め有識者のご意見を伺って皆さんと議論していきたいというふうに考えています。
 
(問)今の水際対策の緩和についてなのですけれども、感染状況を踏まえて政府全体で判断されるということですが、今「第7波」と言われている感染状況の中で、やはり「第7波」がある程度収束しない限りは、緩和の判断が難しいという、収束してからの判断になるという認識でよろしいでしょうか。
 
(答)
  • それは私の立場から申し上げることはすごく難しいと思います。
  • 我々としては、感染拡大の状況の中でも議論はしっかりしたいと思っていまして、いろんなお話はさせていただいておりますけれども、それをどう判断するかは政府全体のお話なので、申し訳ありませんが、私からのお答えは控えさせていただきます。
 
(問)昨日東京都が、都内観光の旅費助成事業を9月1日から再開するというふうに発表されました。明るい兆しかなと思うのですけれども、どのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
 
(答)
  • 私どもも報道でそれは承知しております。
  • 「もっとTokyo」という事業ですけれども、都の独自財源で、都民の方が都内の旅行をされる際に都が支援をするという事業なので、現在国の財政的な支援によって、各県が実施しているいわゆる県民割事業と同じ、類似の事業でありまして、国の取組みの方向性と異なるのものではないと考えております。
  • 県民割に関しては、実際に国の支援をさせていただいているのですが、全国旅行支援は全国を対象にした、しかも全国一律に需要の底上げを図るというものなので、全国の感染状況を注視しながらという考え方で、今観光庁で注視している状況だと思います。
 
(問)IRについてお伺いします。現在候補地として、長崎のハウステンボスが国の審査を受けているところかと思うのですけれども、HISが香港のファンドなどに株式の譲渡を検討しているという情報があります。もし株式が譲渡された場合に、国の申請プロセスに何か影響があるのかどうか、もしあるとすれば具体的にどういう事が想定されるのか教えて下さい。
 
(答)
  • その件に関しては報道で承知をしておりますけれども、従来より審査中の区域整備計画に関するコメントは差し控えさせておりますので、大変申し訳ございませんが、差し控えさせていただきたいと思います。
 
(問)県民割が今実施しているのが8月末までとなっていますが、その先の継続などと全国旅行支援を始めるのか、その判断は現状どうなっているか教えてください。
 
(答)
  • 県民割は、仰るとおり8月末までとなっています。
  • それを延長するかどうかにつきましては、足元の感染状況とか需要動向の他、県民割が全国的に引き続き活用されている状況をしっかりと踏まえながら、考えていきたいと思っております。
  • 期限も段々迫ってきていますので、様々な要素を考慮して、適切に判断をしていきたいと思っております。


以上

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