和田長官会見要旨

最終更新日:2022年9月27日

日 時:2022年9月21日(水)16:15~16:40
場所:国土交通省会見室
 

会見事項

(2022年8月の訪日外国人旅行者数について)
  • 2022年8月の訪日外国人旅行者数は、対2019年比マイナス93.3%の169,800人となりました。
  • 2022年6月10日から開始した外国人観光客の受入れについて、8月の観光目的での入国者数は、10,826人となりました。
  • 2022年9月の観光目的での新規入国希望者数は、20,845人となっています。
  • また、2022年8月の出国日本人数は、対2019年比マイナス81.7%の386,400人となりました。
  • 観光庁としては、引き続き、国内外の状況を注視してまいります。
 
第14回観光庁長官表彰受賞者の発表について
  • 観光庁では、観光の振興・発展に貢献し、その功績が顕著な個人及び団体等に対して、毎年、発足日である10月1日にあわせて「観光庁長官表彰」を実施しており、今回で14回目となります。
  • 観光関連産業は、新型コロナにより最も深刻な影響を受けている産業の一つですが、今年は、ウィズコロナ・ポストコロナを見据えた前向きな取組、持続可能な観光地域づくり、デジタル技術の積極的な活用等の観点から、有識者のご意見を踏まえて、6件に表彰状を、1件に特別感謝状をお贈りさせていただくこととしました。
  • 個別の取り組みの内容は、お手元に資料をご用意しましたので、お目通しをいただければと思います。
  • コロナ禍の厳しい環境においても、自らの事業にとどまらず、地域や国全体の観光振興・発展のために取り組んでおられる観光関係者に光が当たり、勇気をもって苦境に立ち向かう皆様が少しでも増えればと考えております。

(地域観光事業支援について)
  • また、お手元に地域観光事業支援の最新の状況についてもご用意しましたので、お目通しをいただければと思います。
  • 私からは以上です。

質疑応答

(問)2点お伺いさせていただきます。まず1点目は水際対策の関係なのですけれども、現在政府の方で10月にも入国者数の制限だとか、ビザ取得義務の撤廃、個人旅行の解禁というところまで、一部報道が出ているのですけれども、現状全て規制を撤廃するということは視野に入っているということなのでしょうか。検討の方向性などが決まっておりましたらお伺いしたいというのが1点目。2点目が国内の方なのですけれども、海外からの水際対策が緩和されるとなった場合に、国内で旅行支援を再開しない意義というところもまた薄まってくるのかなと思うのですけれども、水際と国内旅行支援、観光促進策ですね、国内のほうを先にやることになるのか、もしくは国内の方はもう少し様子を見るのかとか、そのあたりの検討状況についてお考えをお願いします。

(答)
  • まずは水際対策の方からお答えをさせていただきます。
  • ご指摘の入国者数制限とか、ビザ取得義務の撤廃、そして個人旅行の解禁など水際対策の緩和を検討されているとの報道があることは承知しております。
  • 今後の水際対策に関する政府全体の方針は、先日12 日、松野官房長官が会見でご発言をされているとおり、入国者総数の上限や外国人観光客の入国制限、査証免除の扱いを含めて、感染拡大防止と社会経済活動のバランスを取りながら緩和を進めていくというのが基本的な考え方であります。
  • また、ご指摘いただいたビザの取得義務の撤廃、個人旅行の解禁などはインバウンドの本格的再開に向けての課題であると認識をしております。
  • 観光庁といたしましては、旅行業界等からこうした水際対策のさらなる緩和について強いご要望をいただいておりますので、これをしっかりと受け止めて、水際関係省庁にお伝えをしつつ、政府の一員として今後の水際対策のあり方について引き続き検討していきたいと考えております。
  • それから、国内の方でありますが、以前からお話ししているとおり、全国旅行支援につきましては、厚生労働省の専門家会議による分析評価を踏まえつつ、総合的に感染状況を見極めた上で、感染状況の改善等が確認をできれば速やかに実施して参りたいと考えております。
  • 今後の観光需要喚起策につきましては、今後の観光需要の動向等も踏まえて、臨機応変に対応してまいりたいと考えております。
 
(問)補足なのですが、国内観光需要の喚起策については、水際対策との順序と言いますか、関係についてはどのようにお考えでしょうか。

(答)
  • 特に順序というものは、決まっているものはありません。
  • 前に申し上げたと思いますが、水際対策というのは、ある意味、制限をかけているということに比べて、国内の方は別の移動制限をかけているわけでもないし、自粛をお願いしているわけでもありません。
  • そういう意味で、国費を使って全国的に需要を底上げするということについて、感染状況との関係でどう評価するかという問題だと思います。
  • ただ、いずれにしても、今回どちらを先にやるとか、そういうルールがあるとは思っていませんので、感染状況などを確認した上で検討をしていきます。

(問)国内の話なのですけれども、もうすぐ県民割の期限が迫っていると思うのですけれど、こちらの方の検討状況はどうなっているのでしょうか。

(答)
  • 県民割の延長につきましては、足元の感染状況や需要動向のほか、県民割が全国的に引き続き活用されている状況や、全国旅行支援の開始時期等の検討状況をしっかり踏まえつつ、適切に判断していきたいと考えています。

(問)旅館業法の改正が検討されているとのことですが、長官の所感をお願いします。

(答)
  • 旅館に対する所管というのが、どこの役所が所管をしているかという問題があって、私どもは旅行観光の観点から旅館について色々と見させていただいていますし、一方で厚生労働省が衛生という観点で所管をしているというものでございまして、今回の旅館業法の改正というのは、衛生面の、むしろ、厚生労働省側の方からの改正というものであります。
  • その前提で、現在検討中の旅館業法の改正につきましては、宿泊者にも感染防止対策にご協力をいただいて、旅館やホテルにおける感染症の蔓延を防止することを目的とするというものでありまして、宿泊業界の声を踏まえたものと認識をしています。
  • 観光庁におきましても、新しい旅のチケットとして感染リスクを避けた新しい旅行を推奨しているところでありまして、今般の改正はその趣旨にも沿ったものと考えています。

(問)訪日外国人旅行者数の推移の関係で、足元3ヶ月連続で前の月を上回るという結果になりました。「外国人旅行者」ですので、単純に観光客が増えたという形ではないかと思うのですが、増加傾向にあるというこの状況、水際の緩和が今年に入って徐々にされていることも背景にあるかと思うのですが、これに対する所感をお願いします。

(答)
  • まさにご指摘のとおり、水際対策の緩和を少しずつ進めてきております。
  • これに伴いまして、観光目的での入国希望者数も増え、そして実際に観光目的で入国をされる方も増えてきているということであります。
  • この先にさらに増やしていく、本格的にインバウンドを回復していくためには、先ほどご質問いただきましたように、入国総数の問題とかそれからビザの問題、個人旅行の解禁問題、こういったところに課題があると認識していますので、先ほども申し上げましたとおり、感染拡大防止と社会経済活動のバランスを考えながら政府全体で検討していく問題だと思います。

(問)水準感というのは、前の年の毎月だと250万人ぐらいという形で、そういう水準にはなるかと思うのですけど、水準感というのは、長官はどのように見ておられますでしょうか。

(答)
  • まだ、添乗員付きパッケージツアーというところで始まったわけなので、本格的なコロナ前のインバウンドの数に比べれば、それはないとは思いますけれども、やはり受け入れ側の地域の方々の安全安心を確保しながら、そういった安心感を醸成しながら、インバウンドの受け入れを進めていくことが重要だと思っていますので、数の問題よりもまずは安心感を醸成しつつやっていくことが大事だと思います。

(問)コロナの前は、いわゆる地域によってはオーバーツーリズムというような問題もあったかと思います。一気に訪日観光客が3000万人近い2019年の水準になるとは思えないと思いますが、とはいえ、コロナをきっかけにサステナブルツーリズムみたいなところも注目されているかと思うのですけども、このサステナブルツーリズムをめぐって、持続可能な観光のあり方みたいなところを長官はどのように見ていて、どのように施策を進めていきたいとお考えでしょうか。

(答)
  • 今後観光の復活、復興というのですかね、こういうものを考えていく上で、特に大事なのが持続可能な観光ということだと思います。今、ご指摘いただいたようなオーバーツーリズムの問題、これはオーバーツーリズムの未然防止を掲げながら、そして住民の理解も得ながら、住んでよし、訪れてよしの観光地域作りを進めていくことは大事だと思いますし、その他にもいろいろな意味があります。
  • 例えば、CO₂の排出を可能な限り抑えて観光していただくことも推進しなければいけませんし、各地にある自然環境や文化、地場産業の保全を図りながら観光していただくということもあります。
  • また、補助金というのはどうしても一過性になってしまいますので、一過性の補助金頼みではなく持続的な誘客戦略や消費戦略を地域で考えていただくような仕組みづくりも考えていかなければならず、そういったものを含めて持続可能な観光と我々は捉えております。
  • 地域の皆さんに持続可能な観光に積極的に取り組んでいただけるように、我々としても様々な施策を考えていかなければいけないと考えています。


(問)コロナをきっかけに足元の外国人観光客が蒸発するような形でしたが、改めてここを取り直す、また、考えるようなタイミングについては、どう感じられておりますでしょうか。

(答)
  • 1つのきっかけではあると思います。
  • しかしながら、世界全体で例えば環境に対して意識の高まりはありますし、今の時代に求められているという点で、持続可能な観光、「観光SDGs」とも言えると思いますけれども、そういった取り組みを我々としても積極的に進める必要があると思います。

(問)水際対策について補足でお伺いします。今、水際緩和が取り沙汰されていますが、さらに緩和されていくことによって、日本国内にどのようなメリット等が期待されているか、長官自身の認識も含めてお伺いさせていただければと思います。

(答)
  • 私ども、観光業界の皆様、それから色々な地域の皆様とお話をさせていただいていますが、やはり地域の活性化のためにはインバウンドの本格的な回復が必要であり、そのためには、ぜひとも先ほどからお話に出ている水際対策のさらなる緩和をお願いしたいというご要望いただいております。
  • 我々としても、仮に水際対策のさらなる緩和が進めば、それはインバウンドの増加に繋がると思います。
  • ただ、政府全体としてのスタンスは、先ほど申し上げました通り、感染拡大防止と社会経済活動のバランスということですので、バランスを踏まえながらどういった水際緩和の対策が適切であるのか、そういったところを議論しているところであります。

(問)インバウンドの増加の部分で、いくつかトピックがあるかと思います。例えば、円安局面ですので、消費というところでも期待できますし、先日、木原官房副長官がテレビの番組の中でおっしゃったように、秋冬の観光シーズンが来ますので、そこに誘客していくというようなお話もありますが、そのあたりはいかがでしょうか。

(答)
  • インバウンドという点でいえば円安になればお得感がでますので、当然、インバウンドの観光には追い風になると思います。
  • それから、旅行シーズン、色んなシーズンがありますからシーズンに合わせた観光というものが当然あると思います。
  • そういう意味でタイミングにもよるとは思いますが、色々なメリットは生じているものと思います。
 
(問)折しも、この週末にインバウンドの外国のバイヤーさん等も集まるような大規模なフォーラムがありますが、3年ぶりにリアル開催されるということについての期待感は、長官自身ございますでしょうか。

(答)
  • 「ツーリズムEXPOジャパン2022」は2年ぶりの開催となり、そして東京では4年ぶりの開催と承知しております。
  • これは世界最大級の旅の祭典ということでございます。
  • エキスポには国内外から多くの観光関係者が出展をするとともに、ポストコロナに向けたシンポジウムや商談会などが多く開催されるということであります。
  • 私も参加させていただきますが、そういった場でポストコロナにおける観光のあり方を、関係者で様々議論いただいて、有意義なものになればと期待しているところです。

(問)今の水際の関係ですが、色々な業界から水際を緩和して欲しいと強い要望があるとおっしゃっていましたが、ワクチンの3回接種という制限は今もまだありますが、これについて、G7並みという意味では、まだちょっと厳しいかなと思いますが、このワクチン3回接種も少し緩和して欲しいというような声も届いているのでしょうか。また、それについても、個人的なお考えで言いにくいかもしれませんが、いかがでしょうか。

(答)
  • ワクチン3回接種について、私は直接伺ったことはありません。
  • この在り方に関しては私どもの観光庁というよりも、むしろこの医学的な見地でありますので、厚生労働省さんの方にお尋ねいただければと思います。

(問)つまり、ワクチン3回接種というのが、インパウンド増やす上で何か障害の1つになっているとか、ここがなかなか1つのまだハードルだよね、というような認識なのかどうか、いかがでしょうか。

(答)
  • 色々意見があるかと思います。ワクチンを緩めればインバウンドが増えるというご意見もあるでしょうし、それに伴って感染拡大リスクが高まってかえって逆効果になるのではないかという意見もあるでしょうし、その辺りは、専門的な見地でご検討いただくのが良いのではないかと思います。

(問)全国旅行支援は、そもそも需要喚起策だと思いますが、改めて意義を伺いたいと思います。この間、かなり国内の旅行は増えつつあるかと思います。だいぶオミクロンに対する皆さんの警戒感や、ワクチンの広がりなどもあるかと思いますが、そうした中でも、まだ全国旅行支援が必要であるとするならば、そのあたりの意義はどういうところにあるとお考えでしょうか。

(答)
  • 観光業はコロナの影響を最も受けた業界の1つだと思います。そういった中で、現在少しずつ需要が戻ってきているという状況だと思いますが、まだまだこのコロナ前までは回復をしていない状況にあると思います。
  • さらにどうしても旅行シーズンに需要が偏ったり、また土日に偏ったりということがありますので、そういう意味で引き続き需要喚起の必要性はあると考えており、そういった意味で、私どもの全国旅行支援を使って、いろいろな形でご旅行いただきたいというのが私どもの考えでございます。
 
 以上

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