和田長官会見要旨

最終更新日:2022年10月24日

日 時:2022年10月19日(水)16:15~16:45
場所:国土交通省会見室

会見事項

(2022年9月の訪日外国人旅行者数について)
  • 2022年9月の訪日外国人旅行者数は、206,500人となりました。
  • 8月が169,800人でしたので、8月と比べると22%の増加ということになります。
  • そのうち、9月の観光目的での入国者数は、19,013人となりました。
  • 8月が10,826人ですので76%の増加ということになります。
  • また、2022年9月の出国日本人数は、319,200人となりました。
  • 観光庁としては、引き続き、国内外の状況を注視してまいります。
  • 私からは以上です。

質疑応答

(問)まず、総合経済対策の関係ですが、総合経済対策に盛り込む観光政策の方向性についてお伺いします。水際対策も緩和されて、これからインバウンドの消費回復なども見込まれると思いますが、それに対しての集中的な取り組み、また、宿泊施設のリノベーション支援など具体的な施策についてお伺いできればと思います。
(答)
  • 総合経済対策につきましては、今月中のとりまとめに向けて、今、検討を進めているところでありまして、その具体的な内容については現段階ではまだ十分なコメントができない状況でありますが、今月11日の観光立国推進閣僚会議におきまして、総理から、総合経済対策に関しまして2つのご指示がありました。
  • 1つ目は、インバウンド消費5兆円超の達成を目指し、集中的な政策パッケージをまとめること、それから2点目は、持続可能で高付加価値な観光産業の実現を目指し、宿泊施設のリノベーション支援の取り組みを加速させること、でございます。
  • 観光庁としては、総理のご指示等も踏まえまして、引き続き関係者のご意見を伺いながら、必要な政策をしっかりと検討して参りたいと思います。
 
(問)2問目になります。全国旅行支援について、今のところ12月までの支援というのが決まっていますが、それ以降、年末以降の支援継続の必要性ですとか、方向性が何か見えているものがありましたらよろしくお願い致します。
(答)
  • 全国旅行支援は、今月11日から開始をしたところでありますけれども、当面本年12月下旬まで実施をすることとしています。
  • 年末以降の対応を含め、今後の取り扱い、取り組みについては感染状況や需要動向を踏まえつつ、適切に対応していきたいと考えています。
  • 観光庁としては、引き続き観光を巡るその時々の情勢に応じて、観光に関係する皆様の声も伺いながら、必要な支援を継続的に実施できるよう適切に対応して参ります。
 
(問)全国旅行支援の関係でお伺い致します。11日から始まって1週間経ったところでございます。当日から、予約殺到などによって、旅行会社によっては自治体の予約枠がすぐ埋まったりして、結構場所がとれないという声があったりとか、また、自治体によって手続きが煩雑で、制度が複雑で、旅行会社の利用開始が遅れたりしています。こうした状況について、長官としてはどのように捉えられているのか、という点と、人の往来もかなり増えていると思いますけれども、観光地でのトラブル等というのは把握されていますでしょうか。この2点お願いします。
(答)
  • はい、まず1点目のお尋ねでございます。全国旅行支援につきましては、制度の骨格は国が一律に定めた上で、具体的な運用については、事業主体である都道府県において、地域の需要動向、また、感染状況に応じて、柔軟に対応できる仕組みとしています。
  • そして、その上で、観光庁と致しましては、旅行者の理解を確保するために、事業者ごとに販売できる期間に大きな差が生じないよう、販売実績等に応じて関係事業者への予算配分などを随時見直すよう、全都道府県に通知をするなどの対応を行ってきました。
  • また、旅行事業者が各都道府県と個別に連絡をとらずとも、一括して申請等処理することができるように、国としても統一的な事務処理が可能な体制作りを支援するなど、円滑な運用が図られるように取り組んでいるところであります。
  • 観光庁としても、引き続き都道府県と連携しつつ、旅行者や現場の方々が、できる限り円滑に全国旅行支援をご利用いただけるよう適切に対応して参りたいと考えています。
  • それから、トラブルということでございますが、全国各地では全国旅行支援や水際対策の緩和による観光需要の回復に大きな期待が寄せられておりますし、現に、観光地もにぎわいを見せているというような報道などがなされているところでありますが、一方で、観光事業者や受入地域の中には、人手不足感の高まりなどを懸念する声もあることを承知しております。
  • 私ども観光庁においては、旅行業、それから、宿泊業の関係団体、また、京都、箱根、鎌倉、といった自治体の皆様にヒアリングを行いましたけれども、現時点で具体的なトラブルが発生したということはない、と伺っております。
  • 引き続き各地における状況、これをしっかり注視をしながら、観光需要の本格的な回復に対しまして、オーバーツーリズムなど未然防止を図るとともに、持続可能な形で、観光による地域活性化が図られるように取り組んでいきたいと考えています。
 
(問)全国旅行支援についてお伺いしたいのですが、現在の、全国旅行支援が始まって、また、水際対策も緩和された中で、国内の旅行需要、現状をどう捉えているのかを教えていただきたいです。あと、先ほどもおっしゃっていたのですが、宿泊業や飲食店などから、人手不足、従業員が集まらないという声もありますが、その点についてどういう認識で、何か対策などをもし考えているのであれば教えていただきたいです。また、昨日の大臣会見で、斉藤大臣が便乗値上げについては減点対象にするとおっしゃっていましたが、1日しか経っていないですが、何か自治体から報告などあれば教えていただきたいです。
(答)
  • 1点目でありますけれども、国内の需要ということでありますが、主に全国旅行支援の開始ということで、1週間あまり経った状況でありますが、先ほど申し上げましたとおり、多くの観光地で昨年の同時期よりも多くの旅行者で賑わっていると承知しております。
  • 具体的に、旅行会社や交通モードの皆様に伺ったところ、一部の旅行会社では全国旅行支援開始後の販売予約実績が、コロナ前の同時期を超えるなど、売り上げが好調に推移していると聞いております。
  • また、鉄道や航空便につきましては、昨年同時期や全国旅行支援開始前に比べると、利用者が増加していると聞いております。
  • 観光庁としましては、全国旅行支援の円滑な実施を図るとともに、より多くの旅行者の方々に制度をご利用いただけるよう、引き続き都道府県とも十分に連携をしながら、適切に対応していきたいと思っております。
  • 2つめの人手不足の問題であります。宿泊事業者が大きいかと思いますけども、観光需要の回復等に伴いまして、人手不足感が高まりつつあるという状況にあると伺っております。
  • 特に、接客や清掃、こういった分野での人手不足が見られると聞いております。
  • こうした人手不足に対しましては、各事業者において従業員のマルチタスク化やDXの活用による生産性向上、その他、パート等を含む従業員の方の新規募集、それから、人材派遣会社への派遣依頼等の対応がなされていると聞いております。
  • このほか、担い手確保の観点からは、官民で連携しながらということになりますけれども、事業の高付加価値化や生産性向上等による収益力向上を図って、従業員の皆様の職の改善を図っていく、一番わかりやすい例で言えば給料を上げていくということだと思います。あと、非常に厳しい労働環境に置かれていると思いますので、そういった労働環境を改善していくことによりまして、雇用を確保していくことが重要だと思います。
  • このような形で、国内人材の担い手確保を進めながら、それでもなお、足りない部分があれば、足りない部分があると思いますけれども、外国人材の活用を図る必要があり、観光庁としても必要な環境整備に取り組んでいきたいと考えております。
  • 便乗値上げの方は、昨日大臣会見でもお尋ねをいただいておりますけども、その後、都道府県の方から不当な価格設定があったという報告はいただいておりません。
 
(問)全国旅行支援に関することで、先ほどから宿泊事業者に関するお話が出ておりますけれども、旅行支援が始まって間もない頃に、宿泊予約の状況を一括して管理するシステムの、大手のところで、システム障害が起きてオーバーブッキングが発生したりするという事態が起きたというふうに聞いているのですが、こちらは、長官は認識などされ、何か対応等あるかどうかお伺いできますでしょうか。
(答)
  • 株式会社シーナッツが提供する、予約販売管理業務システム「TLリンカーン」について、システム障害が発生をしてオーバーブッキングによって旅行者にも不利益が生じていると、そういうような事態が生じていると聞いております。
  • このTLリンカーンを導入している宿泊施設は全国で5,100あると、この5,100の宿泊施設においてはオーバーブッキングとなっているお客様への予約状況に関する連絡や新たなオーバーブッキングが起きないように対応を行っていると聞いております。
  • 観光庁としても、例えば、オーバーブッキングのままだと、オーバーブッキングに気がつかないで旅行者の方が現地に行ってしまう、ということもありうるものですから、オーバーブッキングにより旅行者の方への不利益が生じることがないように、業界団体を通じて全国の宿泊施設に対して、お客様への予約状況に関する丁寧な連絡、また、適切な新規予約対応を徹底するようにお願いをしていくところであります。
 
(問)そういった対応も重要かと思うのですけれども、そもそもこの旅行支援を打ち出す際に、各都道府県や事業者への情報の周知徹底などといったところで、長官は十分だったという風にお考えですか。結構、現場の方で、相当混乱が今回起きているのですけれども。
(答)
  • 全国旅行支援については、先程も申し上げましたとおり、制度の骨格は国のほうで一律に決めさせてもらって、具体的な運用については、できる限り事業主体である都道府県の柔軟な対応ができるようにということで、仕組みを作らせていただきました。
  • できる限り都道府県が柔軟に対応できるようにと、こういう趣旨であったのですけれども、いろいろな課題が生じているわけですから、そこは都道府県ともしっかり連携をして、利用者の方々に円滑にご利用いただけるように、我々としても様々な告知をしたりというような取組みを進めているところであります。
 
(問)明日20日からは、遅れて東京都でも始まりますけれども、いよいよ大きな市場で始まるということで、東京都のほうとはこれまでどのような準備をされてこられて、明日始まるにあたって、どのような今状況で、十分な体制で始められるのかどうか、今のところのお考えをお聞かせください。
(答)
  • 先程申し上げましたとおり、事業者への予算配分のあり方とか、それから、統一的な事務処理窓口との連携などについて、私どもから事務連絡を流させていただいて、これは東京都も含む各都道府県に事務連絡を流させていただいていますので、運用の課題については、東京都の方でも承知いただいてるのではないかと思います。
  • 東京都も明日から始まるわけですので、通知の内容をしっかりと踏まえて、事業開始に備えていただくとともに、他の道府県の事例を参考にしながら、円滑に事業を実施していただきたいと考えています。
 
(問)今のに関しまして、明日から東京都が目的地としての旅行が始まるわけですけども、これは文字通り全国が対象になりますが、それによっての更なる需要喚起とか効果の期待、東京都が加わることへの期待などをお聞かせいただければと思います。
(答)
  • 鉄道会社、それから航空会社の皆さまから、逐次、需要の動向を伺っておりますけども、東京発の需要に比べて、地方から東京に向かう方の需要が弱いというようなお話を、鉄道・航空両方から伺っております。
  • そういう意味で、東京着の旅行支援を開始するということになると、双方向で需要が回復してくることを、私どもとしても期待しているところであります。
 
(問)インバウンドについて2点ほど伺いたいのですけれども、冒頭にお話のあった、岸田総理がインバウンド消費を速やかに5兆円超を達成するというお話があったのですけれど、現時点の状況を見て、5兆円超を達成できる時期ですね、いつ頃できそうかという想定みたいな目途がありましたらお伺いできますでしょうか。それが1点目で、もう一つ、年度内に観光立国の基本計画を策定するということですけれど、今現時点で30年に訪日外国人旅行者数が6,000万人という目標があるのですけど、こういう目標が維持すべきか実現可能なのか、そのあたりの考え方を併せてお伺いします。
(答)
  • まず1つ目のお尋ねでありますけれども、インバウンド消費については先程申し上げた総理のご指示を踏まえて、いま、円安のメリットというのがありますので、それを活かしてできる限り速やかに5兆円超の達成を目指して、集中的に取り組んでいきたいと思っています。
  • また、達成に向けては、消費単価の向上というのが大事だと思います。
  • そのために、観光地や観光産業の再生高付加価値化や、観光コンテンツの魅力の向上、高付加価値なインバウンド観光地づくりなどにしっかり取り組んでいく必要があると思っています。
  • 2つ目お尋ねの目標についてでありますけれども、今度議論していく観光立国推進基本計画は、総理からのご指示では、世界的な旅行需要の回復が見込まれ、そして、大阪関西万博が開催される2025年をターゲットに新たな基本計画を策定するようにというご指示を頂いています。
  • そして、この新たな計画は2025年からですと言われておりますので、2030年の目標について現時点で、具体的にいくつの数字に書き換えるというようなことは念頭に置いておりません。
  • この基本的な考え方は、2025年にコロナ前の水準にインバウンド観光を戻していくという考え方だと思っておりますけれども、具体的にどういう内容にするのか、また、目標をどうするのかということについては、観光分科会の議論を速やかに再開して有識者等と議論していきたいと考えています。
  • 2030年目標はどうしたのか、ということなのですが、この先長期的なインバウンドの動向を見通すということが、なかなか厳しい状況でありますので、現時点で達成できるとかできないとかというコメントは差し控えたいと思います。
 
(問)補足ですが、最初の5兆円超の達成というのは、25年が目途になってくるということでしょうか。
(答)
  • 基本的には2025年にインバウンド観光をコロナ前の状況に戻すというのが基本的な考えだと思いますが、円安環境という、ある意味インバウンドの追い風になっていますから、2025年よりもできる限り前に倒して達成できるように、我々としては取り組んでいく必要があると思います。
 
(問)今日、日本政府観光局の方で発表された外国人旅行者の数を見ますと、コロナ禍以降で初めて旅行者が20万人上回ったということになったと思います。これに関して、今月11日には大幅に更に水際緩和もされて街中を歩く外国人旅行者の方も更に増えているなという印象を持つのですけれども、今後の見通しみたいなところを少しお伺いできないでしょうか。
(答)
  • 具体的な数字がどのぐらいになるかというのは、ちょっと我々も今の時点で申し上げることは難しいと思います。
  • ただ、いずれにしても、8月から9月で、先程申し上げましたとおり、20%以上伸びていますし、10月からは大幅な水際対策の緩和というのがありますので、10月の数字がどう出るか、これは11月の中旬に発表になると思いますので、その数字を注視していくところであります。
 
(問)20万人上回ったというのが、この2年間ずっと行けなかった部分だったと思うのですけれども、これに関する見解というのはいかがでしょうか。
(答)
  • 総理や官房長官も仰っていますが、こまめな感染拡大防止と社会経済対策の両立という観点で、水際対策のあり方をずっと議論してきたわけでありますが、ようやく大幅な緩和が10月11日から実現できたなと思いますので、インバウンド観光にとっては、非常に大きなインパクトがあると思います。
  • そういう意味で、10月、たしかに街を歩いていると、また、報道を見ていたりすると、外国人観光客の姿が多く見られるようになったと思いますので、どのくらいの数値が出るか、私たちも注視していきたいところであります。
 
(問)今、全国旅行支援で大変旅行需要が盛り上がっているのですけれども、逆にこれだけの予算を使い切ってしまうと、後で反動減が出てくるのではないかという懸念もあるようですけれども、今後の見通しなど、たとえば、全国旅行支援が終わったあとに、需要減に対して何か対策などをお考えでしたらお願いいたします。
(答)
  • 今、全国旅行支援が始まったばかりでありますので、これを12月下旬までとりあえずやっていこうというところまで決めています。
  • 今の旅行支援の実施状況、これによってどのように需要が変化するのか、また、コロナの感染状況が今後どうなっていくのか、こういうことを踏まえながら、需要喚起策のありかたを考えていかないといけないと思っております。
  • そこの中には、今のように、国の予算を活用してやるやり方もありますし、既に始まっていますが、「平日もう1泊キャンペーン」という、民間の皆さまと連携して平日に行く商品をあつめてぜひこれを使ってくださいというようなやり方もあります。
  • いろいろなやり方があると思いますので、今後の状況を注視しながら、具体策を考えていきたいと思っています。
 
(問)アウトバンドのほうですが、円安とか燃油サーチャージとかもあり、大幅な緩和をした後も、なかなか伸び方が現時点で厳しいような声が聞こえるのですけれども、その点についてはどのように見ていらっしゃいますでしょうか。
(答)
  • ご指摘のとおり、アウトバウンドに関しては、円安だったり燃油費の高騰もあって、マイナスの面もありますし、一方で水際対策緩和というプラスの面もあります。
  • 8月と比べて9月は減ってはおりますが、8月は夏休みがありますので、非常に皆さん旅行しやすい環境だったということなのだと思います。
  • なので、9月以降の数値がどうなっていくのか注視していきたいと考えております。
 
以 上

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