和田長官会見要旨

最終更新日:2023年4月26日

日 時:2023年4月21日(金)16:15~16:33
場所:国土交通省会見室

会見事項

(2023年3月の訪日外国人旅行者数について)
  • 私から1点ご報告をさせていただきます。
  • 本年3月の訪日外国人旅行者数等についてでございます。
  • 資料の1ページと2ページをご覧ください。
  • 本年3月の訪日外国人旅行者数は181万7500人となりました。
  • 昨年3月と比べて約27倍、コロナ前の2019年3月と比べると、中国を除き、84%まで回復いたしました。
  • 続きまして資料3ページをご覧ください。
  • 本年3月の出国日本人数は69万4300人となりました。2月が53万7705人でしたので、2月と比べると約1.3倍となります。
  • 観光庁といたしましては、引き続き国内外の状況を注視してまいります。
  • 私からは以上です。

質疑応答

(問)二つお伺いします。
  • まず全国旅行支援について。政府は5月8日から感染症法上の新型コロナウイルスの続きを5類に変更します。政府の基本的対処方針や各業界策定の感染対策のガイドラインには5類への移行後には廃止されることになりますが、全国旅行支援の現場では、ホテルのフロントなどでのワクチン接種証明の確認などの扱いは5月8日以降どのようになりますでしょうか。また、5類移行に伴う観光活性化に向けた期待や課題についてお伺いします。
  • 二つ目はアウトバウンドについて。昨年10月の水際対策の大幅緩和から4月で半年が経ちました。インバウンドの回復基調と比べると、アウトバウンドの遅れが今も続いています。現状について受け止めと、課題点、また、政府としての取り組みや今後の見通しについてのご見解をお願いします。
(答)
  • まず一点目のお尋ねですけれども、全国旅行支援におきましては、基本的対処方針を踏まえまして、旅行の安全安心を確保する観点から、ワクチンの3回接種または陰性の検査結果をその利用条件としています。
  • この新型コロナウイルス感染症の取り扱いにつきましては、1月27日の新型コロナウイルス感染症対策本部におきまして、厚生科学審議会感染症部会の意見を聞いた上で、5月8日から5類感染症への移行と、これに伴う基本的対処方針の廃止という方針が示されています。
  • このため5類への移行が確定し、そして、基本的対処方針が廃止された場合には、お尋ねいただきました全国旅行支援の利用条件を廃止する予定としております。
  • それから期待や課題ということでございますけれども、5類移行後におきましては、観光を通じた国内外の交流の活発化による地域経済の活性化や、これまで厳しい環境に置かれていた観光業界の経営状況の改善等が一層期待できるものと考えております。
  • 二つ目のお尋ねのアウトバウンドに関してであります。
  • 本年3月の訪日外国人旅行者数が、2019年比の7割程度まで回復しているのに比べて、出国日本人数は4割程度にとどまっており、回復が遅れていると受け止めております。
  • これは、円安や燃料費の高騰、また、感染への不安などにより、海外旅行への機運が高まっていないことが原因だと感じております。
  • 観光庁といたしましては、インバウンド、そして、アウトバウンドを両輪とした双方向の交流促進が重要であると認識をしており、アウトバウンドの回復を図ることが、航空ネットワークの回復、また、インバウンドの拡大にも繋がると考えています。
  • そのため、観光庁では、業界団体や各国政府観光局と連携して、一層積極的な取り組みを進めるべく、3月15日に「アウトバウンドの本格的な回復に向けた政策パッケージ」を発表させていただいています。
  • 現在各政府観光局や旅行また航空業界などの関係者とも相談をしながら検討を進めているところです。
  • 一つご紹介を申し上げますけれども、海外旅行者数が減少している若年層の海外旅行を推進するため、観光庁と旅行業界、また、航空業界の若手15人で構成する検討会を設けて、具体策を検討してもらっているところです。
  • こうした検討を踏まえまして、ゴールデンウィーク明けをめどに、国民の皆様に海外旅行に行っていただけるようなメッセージの発信や具体的な取り組みの内容などを発表したいと考えております。
  • 引き続き関係者と調整を進めて、できることから速やかに実行していきたいと考えております。
 
(問)インバウンドが急回復を見せておりますけれども、持続可能な観光業を目指すということも大切になってくると。それを目指すにあたって期待される手立ての一つにアドベンチャーツーリズムとか高付加価値旅行者の誘致があると思うのですけども、アドベンチャーツーリズムなどの誘致に向けた具体的な取り組みや期待、課題について伺います。
(答)
  • アドベンチャーツーリズムでありますけれども、日本が誇る自然や文化資源を生かした観光コンテンツであることに加えまして、ご指摘のような持続可能な観光という、コロナ後の旅行者の意識変化に対応するものであり、大変意義があると考えています。
  • 加えて、外国人旅行者にアドベンチャーツーリズムは人気がありますし、長期滞在が多くて消費額も大きいという特徴があります。
  • ある市場調査レポートの数字では、世界のアドベンチャーツーリズムの市場規模は2018年で62兆円ということであるそうですが、2026年には173兆円にまで拡大するという予測もあります。
  • 今年の9月に、アドベンチャートラベルワールドサミット 2023が、アジアで初めて北海道で実開催をされる予定になっています。
  • 世界約60カ国から、バイヤーやメディアの皆様などが多数参加をする非常に重要な機会であります。今後の我が国におけるATの発展が期待をされると思っています。
  • 観光庁としましては、アドベンチャートラベルワールドサミットの開催を契機として、今後旅行者の皆様が安全安心を確保しながら、ATを楽しめる環境整備を図るとともに、このワールドサミットの開催の際に行われる北海道内外のエクスカーションツアーをはじめとするアドベンチャーツーリズムの磨き上げの支援を通じて、さらなる誘客の促進に取り組んでいきたいと考えています。
 
(問)知床遊覧船の沈没事故からまもなく1年となります。世界遺産もある知床は国内有数の観光地ですけれども、事故の影響でイメージダウンというのもあり、コロナ禍からの観光客の回復が他の地域よりも遅れてます。観光客に安心して知床を訪れてもらうためには何が必要と考えてらっしゃるっていうことと、観光庁としてどのような対策を考えているかお聞かせください。
(答)
  • 知床は世界自然遺産にも登録をされ、豊かな自然や生態系が残されており、誰もが訪れたいと考えている魅力的な観光地だと思います。
  • そのため観光庁としても、昨年度は、観光地や観光産業の再生高付加価値化事業により、ウトロ温泉の宿泊施設の改修等に支援をさせていただきました。
  • それから、地域の稼げる看板商品の創出事業によりまして、自然体験アクティビティ造成への支援を行わせていただきました。
  • 加えまして、先月になりますけれども、知床を含む東北海道地域につきまして、外国人高付加価値層の誘致促進を目指すモデル観光地として指定をしたところでありまして、今後、複数年にわたって集中的な支援を実施していく予定としております。
  • 今後は国内観光も、またインバウンド観光もともに回復傾向にございますので、知床地区においても観光需要をしっかり取り組んでいくことが重要だと考えます。
  • 観光庁としては知床ならではの魅力、これをさらに高め、そして内外に発信をし、高価値化を推進していけるように地域の皆様に寄り添って取り組みを進め、知床観光の早期回復に努めていきたいと考えております。
(問)近畿日本ツーリストが自治体から請け負っていた業務について、受託料を過大に請求していた件についてお伺いします。今日も静岡県の自治体から発表がされていまして、広がっている状況にもありますけれども、これについての受け止めと、観光庁として、今後の対応や、既に対応されているようなことがあれば教えていただければ。
(答)
  • 近畿日本ツーリストが東大阪市、それから、焼津市や掛川市から受託をしたワクチン接種業務に関して不正な請求を行ったという件についておたずねいただきました。ワクチン接種業務は観光庁の所管事業ではございませんけれども、国民の皆様からいただいた税金を活用したものでありますし、また、大手の旅行会社でありますので、こういった会社がコンプライアンスの遵守ができていないということについては、大変問題だと思っております。
  • 観光庁としては、他に同様の事案がないかも含め、事実関係の調査と、それからコンプライアンス遵守のための改善方策の検討について、本日、近畿日本ツーリストを呼んで直接指導をさせていただきました。誠に遺憾だと考えています。
  • 今後、同社の内部調査の結果などを踏まえまして、業界団体ともしっかり連携をして、同社および旅行業界全体のコンプライアンス遵守の徹底について、さらなる対応も含めて検討していきたいと考えています。
 
(問)確認ですが、指導というのは、業務改善命令みたいなことではなくて、口頭での指導という形なのかということと、あと、呼ばれたのは誰なのかというのが、差し支えない範囲でお伺いしたいのですが。
(答)
  • ワクチン接種業務は旅行業法上の業務ではありませんので、あくまでも、大手旅行会社としてコンプライアンスの徹底が十分なされていないということについての指導という意味でございます。具体的に申し上げますと、他にもコンプライアンスに違反するような事案がないか調査を徹底してほしいという意見、それから、こうした事態に陥った原因を早急に究明するとともに、今後コンプライアンスに反する事態が生じないように、万全な再発防止策を打ち出してほしいと、こういうお願いをしております。
 
(問)呼んだのは社長なんですか。それとも幹部ですか。
(答)
  • 担当課が呼んでいますので社長でございません。【注意:会見の最後に訂正あり。】
 
(問)先週の金曜日、14日に大阪のIR計画が認定された件に関してお伺いします。まず改めて、長官のこちらの件に対する受け止めをお願いします。
(答)
  • 大阪のIR区域整備計画については、IR整備法等に基づいて、外部有識者からなる審査委員会において、審査基準に従って約1年にわたる十分かつ丁寧な審査を行った結果、認定しうる計画と評価されたことを踏まえまして4月14日に認定をいたしました。
  • このIRが、日本の魅力を世界に発信する観光拠点となり、観光先進国の実現に寄与する存在となることを期待しています。
  • 今後、大阪IRの開業に向けて、IR整備法に基づいてカジノ免許の審査などが行われる予定ですが、観光庁としては、引き続き関係省庁などと十分に連携しながら、計画の実施状況評価において進捗状況の確認をしていくなど、適切に対応していこうと考えています。
 
(問)一旦これだけ大規模な施設を作るということもあって、収益性が大事になってくるわけですけれども、審査委員会の方から当日が公表された報告書の中には、来訪者数の推計の部分で、根拠が不明瞭だというふうに指摘されている部分があるとか、経済界の方からもカジノに偏重しすぎではないかといった、収益構造を課題視する声もありますけども、まずこうした意見が出ていることについて、長官がどのように受け止めてらっしゃって、また、再度推計するようなお考えもあるのでしょうか。
(答)
  • 経済効果に関しては、審査委員会による審査で、MICEの開催件数、それから、訪日外国人数、経済波及効果などについて、肯定的に評価をされるとともに、一部課題というか指摘もなされ、その上で、大阪のIR計画は、計画全体として認定しうる計画と、評価をされたものであります。
  • 国土交通省といたしましては、認定にあたって、推計に用いる各種データ等の精緻化に取り組むことや、カジノ事業の収益を十分に非カジノ事業へ投資することを条件として付しています。これは今後、毎年度実施することになっています計画の実施状況評価などにおきまして、適時良い状況を確認していきたいと考えております。
 
(問)もう一点IRに関してニュースになったことで、大阪の計画の中で事業者の方から出されたイメージ図とか動画の中で、実在する芸術作品のデザインが含まれていて、これに対しての著作権者の方から指摘があって、運営側がそれに対して謝罪をするといった件がありまして、この件について、長官の受け止めと、ここ、もしくは国交省もしくは観光庁から何かしらの対応がある予定なのかどうか。お願いします。
(答)
  • ご指摘の件につきましては、大阪府と大阪市において、詳細は引き続き調査中ということでありますが、4月17日に大阪府と大阪市が報道発表をされて、18日には、吉村知事が謝罪をされたと承知をしております。
  • デザインに関する著作権等の取り扱いについては重要な問題であると考えていますが、大阪府、それから大阪市等による今後の対応を注視するとともに、しっかりと再発防止を図っていただきたいと考えています。
 
(問)いまの質問に重ねてになってくるんですけど、IRの2点についてちょっとお伺いしたいと思います。改めまして、今回大阪が認定となって、長崎の認定の継続審査となっていると思うのですが、この判断がわかれたものは何だったというところについて、長官のお考えをお聞かせいただきたいのと、法令だと最大3ヶ所となっていますが、今後、2次募集について、現時点でまだ決まってないと思うんですけども、必要性について、お考えで構いませんのでお願いします。
(答)
  • まずは大阪については、既に公表させていただいた通りでございますけれども、長崎の計画につきましては、審査委員会において引き続き審査を行っているところです。審査を継続している理由については、まだ審査中であるためですね、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  • 今後についてでありますけれども、既に申請がなされている長崎につきましては、引き続き審査を継続していきたいと思っておりますが、それ以外については、現時点ではまだ動きましておりません。
 
※訂正について
(答)訂正をさせていただきたいのですけれども、近畿日本ツーリストの呼び出したのは社長が含まれておりましたので、訂正させていただきます。私が会っていないというだけです。失礼しました。
 
(問)一応確認で、観光庁に社長が来て、お会いされたのはどなたでしょうか。
(答)
  • 担当の参事官でございます。
 
以 上

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