和田長官会見要旨

最終更新日:2023年5月22日

日 時:2023年5月17日(水)16:15~16:40
場所:国土交通省会見室

会見事項

(2023年4月の訪日外国人旅行者数について)
  • 私から2点ご報告をさせていただきます。
  • まず1点目が、本年4月の訪日外国人旅行者数等についてです。
  • 本年4月の訪日外国人旅行者数は、194万9,100人となりました。
  • 昨年4月と比べ、約14倍、コロナ前の2019年4月と比べると、67%まで回復しました。
  • 本年4月の出国日本人数は、56万200人となりました。昨年4月と比べ約4.3倍ですが、コロナ前の2019年4月と比べると、まだ34%の回復にとどまっています。
 
旅行・観光消費動向調査の結果(2023年1-3月期速報)について
  • 2点目の旅行・観光消費動向調査の結果(2023年1-3月期速報)についてです。
  • 2023年1-3月期の日本人国内旅行消費額は、4兆2,331億円となりました。
  • 前年同期比1.8倍、2019年同期比0.5%増であり、2020年以降初めて新型コロナウイルス感染拡大前の水準を上回っております。
  • 日本人の国内延べ旅行者数は1億13万人、前年同期比55.2%増、2019年同期比17.1%減となっております。
  • また、日本人国内旅行の1人1回当たり旅行支出は42,277円、2019年同期比21.2%増となりました。
  • この支出には、参加費、交通費、宿泊費、飲食費、買物代、娯楽等サービス費等が含まれております。
  • 旅行単価は、2022年1月以降、コロナ前の2019年同期よりも増加が続いております。
  • 今後の動向については、引き続き注視してまいりたいと思います。
  • 私からは以上です。

質疑応答

(問)二つご質問します。一つ目は外国人訪日客数についてですが、訪日外国人客数は増加してコロナ前と比べて66%水準まで回復、一方で出国日本人数のほうは、減少し、しかも、コロナ前と比べた回復率も低下いると。このあたりの状況について、ゴールデンウィーク期間の足元の状況も含めてトレンドとしてどのように評価されているのか伺います。二つ目は各地に観光客が急速に戻ったことで京都などではすでにオーバーツーリズムの問題が顕在化しています。国として改めて対応をとるお考えがあるかどうかもお願いします
(答)
  • まず1点目のご質問でございます。
  • 訪日客数につきましては、個人旅行を解禁した昨年10月以降、毎月の訪日数の回復率は増加をしておりまして、堅調に回復をしてきていると受け止めています。
  • 観光庁としては引き続き日本政府観光局(以下、「JNTO」)を通じて航空会社等との共同広告の実施による復便等の促進、それから国・地域ごとの特性やポストコロナの旅行ニーズを踏まえたきめ細やかなプロモーションなどに取り組むとともに、まだ中国からのお客様が回復しておりませんので、中国に対しては、まずは、海外団体旅行の取り扱い禁止措置の解除に向けた働きかけを行っていきたいと思っています。
  • それから、インバウンドの誘致促進にあたっては、2点目の質問もございましたけれども、オーバーツーリズムの未然防止という観点から、特に地方誘客に重点を置いたプロモーションを実施するとともに、高付加価値層の誘客に力を入れるなど工夫をしながら、取り組みを進めたいと思っています。
  • いずれにしても訪日客数だけではなくて消費額も含めてあらゆるデータや状況を注視していきたいと考えています。
  • それから、アウトバウンドのほうですが、こちらの方は依然としてインバウンドに比べて回復が遅れている状況にあると受け止めています。
  • 先に決定をいたしました観光立国推進基本計画において、2025年に向けた目標として、日本人の海外旅行者数のコロナ前の2019年水準超えを設定しているところです。
  • こうしたことを踏まえまして、先日5月10日に、今こそ海外!宣言を出させていただきましたけれども、その他当面の重点デスティネーションを発表して、海外旅行者数の増加に向けて旅行・航空業界、そして各国・地域の政府観光局などの皆様と連携をして様々な取り組みを打ち出して実施することとしております。
  • 観光庁といたしましては、インとアウトの双方向の人的交流の拡大を図るために、今後の旅行動向などを注視しつつ、関係業界等と連携をして、引き続き積極的に取り組んでいきたいと考えております。
  • 2点目のお尋ね、オーバーツーリズムについてのお尋ねについてです。国内外の観光需要の回復に伴いまして、ゴールデンウィークを含めまして、多くの観光地が賑わいを取り戻しつつあります。
  • 一方で、一部観光地では、コロナ禍では見られなかった混雑や、マナー違反による地域住民の生活への影響や、旅行者の満足度の低下への懸念も生じてきていると受け止めております。
  • こうした地域では、例えば、デジタル技術を活用して、混雑状況を可視化することで、比較的空いている時間や場所に観光客を誘導するような取り組みであるとか、不適切な写真撮影や線路への立ち入り等を禁じるために街中の掲示やSNSを通じたマナー啓発の取り組みなど様々な取り組みが進められています。
  • 観光庁といたしましては、このような混雑回避対策や、マナー違反の防止をはじめ、オーバーツーリズムの回避のために地域が取り組む対策の支援を行っています。
  • また地域の関係者が一体となって「住んでよし訪れてよし」の持続可能な観光地域づくりを行うための指標である日本版の「持続可能な観光のガイドライン」の実践普及を推進しているところです。
  • またプロモーションの面でも少し工夫をしていく必要があると思っていまして、日本の地方に存する多様な観光資源の発信を通じてインバウンドのお客様を地方に誘客をすることも重要であると考えています。
  • 例えば、地方を中心に全国各地での特別な体験など、日本各地の魅力を全世界に発信する観光再始動事業や観光消費の旺盛な、いわゆる外国人富裕層の地方への誘客に向けた高付加価値なインバウンド観光地づくり、それから、JNTOによる情報発信、こういった取り組みを集中的に行ってまいります。
  • 観光庁としては、やはり旅行者と地域住民の皆様、その双方にとって満足度が得られるように、観光需要の分散や持続可能な観光地域づくりに資する観光政策を進めていきたいと考えております。
 
(問)訪日外国客がだいぶ戻ってきたと思いますが、完全に2019年水準に戻るためにはどれくらいの期間、いつ頃になるのかということと、中国の観光客がなかなか戻らないということですが、2019年水準までに戻ると長官は見ているのか、戻るとしたらいつ頃になるのか、見通しをお願いします。
(答)
  • 中国についてのおたずねですが、コロナ前には訪日旅行者数が一番大きかった、約3割くらいだったと思いますが、3割くらいを占めていた中国についてまだ海外団体旅行の取り扱い禁止措置が解除されていません。
  • したがって、これは観光庁のほうで主体的に決められる話ではありませんので訪日客数がいつ戻るかというのはなかなか想像するのが難しい状況にあると思っています。
  • ただ、我々、先ほど申し上げた観光立国推進基本計画では2025年までに訪日者数の2019年水準超えを目標として設定させていただいておりますので、基本計画に定めた施策を着実に実施し、インバウンドの回復、そして、地方への誘客をさらに加速するように取り組んでいきたいと考えています。
  • 中国についてでありますけれども、3月から4月にかけて、約4割お客様が増えております。ただ、コロナ前の4月と比べるとまだ15%程度の回復状況になっています。
  • 今回増えた要因についてですが、私どもとしては、主な要因としては、航空便の増便というものがあると考えています。
  • ちょうど3月の最終週から夏ダイヤに切り替わっていますけれども、これによって冬ダイヤの一番最後のところから比べると、航空便が約3倍に増えているということで、3月よりも多くのお客様が来られたと思っています。
  • 今後の状況をよく注視しながら取り組んでいきたいと思っています。
 
(問)昨日日本旅行が全国旅行支援の関係で不正請求があったということで愛知県で記者会見、発表をしています。近畿日本ツーリストも先日、コロナ関連の業務とはいえ過大請求を行ったことが明らかになっていて、ここ最近、旅行会社でこうした不正が相次いで発覚しています。これに関する観光庁のこれまでにとられた、とられていたとすれば、どのような対応をとっているのか。また、再発防止策として検討されているものがあればお願いします。
(答)
  • 昨日、日本旅行の社長がこられまして、報道に出ております愛知県の全国旅行支援の事務局受託業務において人件費を水増し請求していたということについてのご報告をいただきました。
  • この、全国旅行支援事務局の受託業務の原資は、国民の皆様からいただいた税金でありますし、過大請求は断じてあってはならないと思っております。
  • 大変遺憾に思っております。
  • また、旅行業界を代表する立場の企業が、こうした事案に関与するということは業界全体の信用の低下に繋がると思っております。
  • 従いまして、昨日、日本旅行に対しまして、私から3点をさせていただきました。
  • 1点目は、まず愛知県の事案につきまして、引き続き事実確認を進めるとともに、今後の取り扱いについて愛知県とよく相談していただきたいという点。
  • 2点目は、他にも受託事業があると思うので、同様の事案がないか徹底的に調査をしていただきたいという点。
  • それから3点目に、こうした事態を陥った原因を早急に究明するとともに、今後コンプライアンスに違反する事態が発生しないように再発防止策を検討していただきたいと、この三つをお願いしました。
  • それから、旅行業界でいろいろな事案が出てきていることも踏まえまして、日本旅行業協会(以下、「JATA」)にも2点お願いをしております。
  • 1点目が協会の全会員に対して、受託業務の総点検を実施していただきたい点、それから、2点目に総点検の結果も踏まえてコンプライアンスのさらなる徹底に必要な方策の検討をしていただきたいという点。これをお願いしたところです。
  • 観光庁といたしましては、今後、日本旅行の内部調査の動向等を踏まえつつ、業界団体としてもしっかり連携をして、日本旅行、そして、旅行業界全体のコンプライアンスの徹底について検討していきたいと思っています。
 
(問)総点検というのは、自分の会社で受託している同様のコロナであったり旅行であったり、公金に関わる業務について、このような、同じような事案がないかということを自らチェックすると、そういうようなイメージでよろしいでしょうか。
(答)
  • その通りです。
 
(問)それは何日付け、今日付けというかたちでしょうか。
(答)
  • お願いしたのは昨日です。
 
(問)JATAに対しても。
(答)
  • はい。
 
(問)今回、日本人の国内消費というところで見ますと、消費額ベースで言うと今回4兆2300億円余りで、これがコロナ前、4年前の1-3月と比べても0.5%上回ると、はじめて、四半期ベースでいうと上回るというかたちになったかと思います。それ自体は、喜ばしいことだと思うのですが、一方で、日本人の、なかなか、旅行に行く総数自体がちょっとまだ、戻っていないという中での、単価が上がっているから消費額が押し上げられたということなのだと思いますが、そのあたりの分析などがありましたらお願いします。
(答)
  • 先ほどご報告申し上げた1月から3月期の日本人の国内旅行消費額ですが、これは旅行者数×単価になりまして、ご指摘のとおり、旅行者数については0.83ですから17%の減で単価のほうが20%増の1.21、これを掛け合わせると1.005という数字が出てきます。
  • 旅行者数については純粋な観光・レクリエーション目的の方に加えて帰省や知人訪問、業務出張といったものがすべて諸々含まれています。
  • 観光目的のお客様自体は増えているのですが、帰省や知人訪問の方、それから業務出張の方というのが相当まだ戻ってきていない。
  • こういったものを全部混ぜ合わせると旅行者数が17%減ということになっています。
 
(問)旅行者数の総数としては戻ってきていて、ということでしょうか。
(答)
  • 観光・レクリエーション目的という意味では戻ってきているということです。
 
(問)現在「平日にもう1泊キャンペーン」を実施されていると思います。本日発表のあった通り、インバウンドですとかビジネスの需要は戻りつつあるかと思います。そのような中でも、平日の利用を促すというのがどうゆう重要性があるのか、オーバーツーリズムなど問題が背景にあるかとは思いますが、このあたりのお考えを教えてください。
(答)
  • これはコロナ前からの課題でありますけれども、旅行の多くが週末とか、大型連休、そしてまた年末年始に集中をしていて、旅行需要の平準化というのは、観光産業を抱える構造的な課題であります。
  • 需要の平準化を図ることは、旅行者の満足度の向上やさらなる旅行需要の喚起、そしてご指摘がありましたオーバーツーリズムの未然防止の他に、観光産業に従事する労働者の方々の通年雇用化、正規雇用化といった観点からも重要だと考えています。
  • そのため現在官民で連携をして、「平日にもう1泊キャンペーン」を実施しているところでありまして、今後も観光関連事業者の皆様と協力をして、平日の旅行需要の喚起に努めていきたいと考えています。
 
(問)先ほど日本旅行さんの不正請求の関係で長官の方から業界団体に総点検のお願いをされたと伺いました。この関係ですが、業界団体の方で各社さんが調査した結果を取りまとめて、観光庁に報告するということになるのでしょうか。また期限等示されているようであれば教えていただけますでしょうか。
(答)
  • 取りまとめ方はご相談だとは思いますが、いずれにしてもJATAに入っている会員の皆さまに総点検をしていただきたいというお願いをさせていただたいたものであります。
  • 期限について、どのくらい時間がかかるのかということですが、例えば報告書類が正しいものであったとしても、それが事実ではない場合ということあると思いますので、いろいろな方のヒアリングをしていただかなければいけないと思います。
  • そういう意味で、今の時点でいつまでというのは、なかなか申し上げにくいと思いますが、可能な限り速やかに実施をしていただきたいと思っております。
 
(問)訪日客数に戻るのですけれども、先程中国に関する質問が出ましたけれども、中国を除きますと、計算すると8割強の戻りになっていて、そこに対してはどのように評価されているのかというのを1点お伺いしたいのと、1月~4月が670万人になって、このペースでいくと年間2000万人を大幅に上回るのかなというのも推察できるのですけれども、年間としてどのくらいまでいきそうかという見通しとかをもしお持ちでしたらお聞かせください。
(答)
  • 中国を除くと84%になると思います。
  • そうした意味で先程申し上げましたとおり、堅調に回復してきているのだろうと思います。
  • それで、中国を除いた国々との間では、先程申し上げましたけれども、まだ航空便の復便というのが完全ではないという状況ですので、まずは復便していただいて日本にきていただくためのアシをしっかり確保しなきゃいけないという点と、各国各地域に対するきめ細かなプロモーションをしっかりやって、日本に興味関心を抱いていただくことが重要だと思っています。
  • そして、今後どうなっていくのかというのは、なかなか読みにくいところが実はあって、数だけではなくて、先程申し上げましたとおり消費額とか各有名な観光地での混雑状況とか様々なものを見ながら、相対的にやっていきたいと思っていまして、まさにそれが今般作った新しい観光立国推進基本計画の考え方でありますので、いろいろなものを見ながらこれから対策なりを進めていきたいと考えております。
 
以 上

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