和田長官会見要旨

最終更新日:2023年6月30日

日 時:2023年6月28日(水)16:15~16:30
場所:国土交通省会見室

会見事項

(G20観光大臣会合について(結果報告))
  • 私から3点ご報告をさせていただきます。
  • まず、先週6月21日(火)、インド・ゴアにおいて開催されたG20観光大臣会合に出席して参りました。
  • 本会合では、G20各国の観光大臣等が出席し、「SDGs達成のための手段としての観光」をテーマに議論が行われました。
  • 日本からは、環境に優しい観光に限らず、地域社会・地域経済の持続可能性を高める観光を含めた広い意味での「持続可能な観光」を各国、それから官民で連携して進めていくべきであることを発信しました。
  • 会議の総括として、グリーンな観光、デジタル化など5つの優先分野について、課題や推奨される取組等を整理した「ゴア・ロードマップ」が取りまとめられました。
  • その他、会合期間中、議長国であるインドとの会合などを行い、二国間並びに世界の観光交流の促進に向けた意見交換を行いました。
  • 観光庁としては、引き続き、全世界の模範となるような持続可能な観光の取組を推進するとともに、G20諸国等とも連携をして双方向の人的交流の拡大に取り組んで参ります。

(「平日旅行の促進」の取組について)
  • 2点目は「平日旅行の促進」についてです。
  • こちらにポスターを置かせていただいております。
  • 観光庁では、週末や連休等に集中する旅行需要の分散化を図るべく、昨年10月から官民で連携して「平日にもう1泊」キャンペーンを実施し、平日の旅行需要の喚起に取り組んでまいりました。
  • 今般、国内外の旅行需要の本格回復を受けまして、旅行需要の平準化を一層促進するため、本キャンペーンの取組をより充実させることと致しました。
  • 具体的には、平日のお得感の充実や旅行会社のホームページでの露出の強化を観光関係者に呼びかけるとともに、新たな平日旅行PR動画の公開、専用のInstagramアカウントの新規開設を行います。
  • 国民の皆様には、「平日にもう1泊」キャンペーンをご利用頂き、ぜひ平日の旅行をお楽しみ頂きたいと思います。
 
  • 来週7月4日付けで観光庁長官を退任し、国交省を退職することとなりました。
  • 記者の皆様には、この会見の場をはじめ様々なところで大変お世話になりました。ありがとうございました。

 

質疑応答

(問)先ほどもお話しがありましたG20観光大臣会合ですが、具体的にどのような成果があったとお考えなっているか、改めてご説明いただけますでしょうか。
(答)
  • 冒頭申し上げましたけれども、グリーンな観光というのは、とかく環境に優しい観光に偏りがちでありますけれども、日本からは地域社会や地域経済の持続可能性も高めるような広い意味での「持続可能な観光」、これを進めていくべきであると主張いたしました。
  • G20観光大臣会合では、環境、社会、経済など包括的な観点から関係者が一体となって観光政策に取り組む必要性について共通理解が得られました。
  • こうした共通理解のもとで、持続可能な開発目標、SDGsの達成に向けまして、グリーンな観光、それからデジタル化、観光人材のスキルアップ、観光零細企業対策、観光マネジメントの5つの優先課題について、観光分野の行動指針となる「ゴア・ロードマップ」が取りまとめられたところであります。
  • また、インドや韓国など今後の双方向の人的交流を拡大しようとしている国や、持続可能な観光の推進に関して連携が必要なUNWTOとの間で、ハイレベルで率直な意見交換が行われたと思っております。

(問)2点目ですが、ご退任されるとのことで、在任期間の2年間、コロナ禍で観光業がどん底であったところからようやく足元が復活してきたというところまで、担当されてきたというところですが、この間振り返ってどのように感じてらっしゃるかということと、これからの観光政策の課題についてどのように考えているかということを伺えますでしょうか。
(答)
  • 2年間在任をしたわけですが、その前半の最大の課題は、やはりコロナへの対応ということだったと思います。
  • 感染拡大防止と社会経済活動のバランスを取りながら、県民割の段階的な拡大とか、それから全国旅行支援、これをいつから開始をするか、という非常に難しい判断を迫られていたと思います。
  • あわせて、コロナ後をしっかりと見据えながら、宿の高付加価値化、また、デジタル化の支援など深刻な影響を受けている観光関連産業を多面的に支援をする。そのような支援方策を用意するところに尽力をしてきたと思います。
  • 昨年の10月からようやく水際対策も緩和され、そして全国旅行支援も開始ができたわけであります。
  • ようやく需要の回復も本格的に進みつつ状況にあると思います。
  • そうした中で、旅行者の意識の変化や、観光産業が抱えた構造的な課題が顕在化してきたわけですけれども、そのようなことも踏まえながら、今後の観光政策の方向性を定める「観光立国推進基本計画」を3月に決定をいたしました。
  • かねてから申し上げている3つのキーワードと3つの戦略を、この計画の中に落とし込めたのではないかと思います。
  • 今後は、持続可能な観光の推進を図りながら、全国各地で成功事例が創出されるように、新体制のもとで取り組んでいっていただければと考えております。

(問)全国旅行支援についてお伺いします。一部の都道府県で7月以降も実施する動きが見られますが、今日時点で把握している7月以降も実施する都道府県を教えていただきたいのが1点と、また、旅行支援が果たしてきたこれまでの役割についての評価、あわせて予算消費の地域的な偏りや団体旅行枠が余っていることなど、課題認識にお聞かせください。
(答)
  • お手元に「全国旅行支援に係る各都道府県の終期の一覧」を配らせていただきました。
  • 本日正午時点で、30道県が7月以降も全国旅行支援を続けるということと承知をしております。
  • 昨年の10月から開始した全国旅行支援でありますが、非常に多くの方にご利用いただき、昨年の10月から今年の4月までの日本人の国内宿泊者数は、コロナ前と比較して同水準以上となっています。
  • 我々といたしましては、この支援による需要喚起の効果が見られていると受け止めています。
  • 地域差の問題などについてでありますけれども、各都道府県による事業実施に当たっては、予算配分の考え方や、地域における旅行需要の動向などにより、事業実施期間に若干の差が生じていると思っております。
  • 個人旅行に比べて、団体旅行の需要の回復が遅れている地域もありますので、一部の都道府県では、団体旅行枠の予算が7月以降も残る見込みとなっています。
  • 今後も各都道府県の事情に応じながら、7月以降も団体旅行を中心に全国旅行支援を継続し、地域における旅行需要の喚起を図っていきたいと考えています。

(問)7月以降も30道府県では継続で、これから夏で旅行を考えている人も多いと思うけれども、国民への利用の呼びかけみたいなものがあれば一言いただけますでしょうか。
(答)
  • 本日ポスターに掲げさせていただいているように、平日を中心に旅行に行っていただきたいとも思います。もし、全国旅行支援が使える都道府県であれば、ご活用いただいて、ぜひ旅行に出かけていただければと思っております。

(問)先ほど発表のありました、平日にもう一泊のキャンペーンなのですが、平日にもう一泊といえどやはり企業によってはなかなか平日に休みがとれないというところも多いと思います。そのような企業に対してどのように観光庁としては呼びかけていきたいとお考えでしょうか。
(答)
  • 観光庁ではこれまでも、休暇を取得して旅行を楽しむことを積極的に促進をするポジティブ・オフ運動というのを進めてきており、多くの企業にご賛同いただいているところです。
  • また、コロナ禍を経て、テレワークの普及など、働き方にも変化が見られていますけれども、これを旅行機会の創出や、また旅行需要の平準化の機会と捉えて、ワーケーションやブレジャーと言っていますが、これはビジネスとレジャーの組み合わせ単語ですけれども、そういう取り組みを推進しているところです。
  • また、自治体のレベルにおきましても、例えば愛知県では、家族の休みに合わせて子供も活動できるラーケーションの日が創設されるなど、休暇取得の促進に向けた取り組みが進められていると承知をしています。
  • このような働き方の行動変容の機会を生かして、より一層、関係省庁とも連携をしながら、平日にも休みやすい環境を整えていきたいと考えています。

(問)もう1点お伺します。今、現状、土日であったり休日の混雑が目立っているということなのですが、オーバーツーリズムとの関連性については、どのようにお考えでしょうか。
(答)
  • 一部の地域で、また一部の日に限って、多くの旅行者が訪れているというようなところもあります。
  • そこで、今こういう「平日にもう1泊」キャンペーンという取組もやっているわけですけれども、今後旅行者が増えていく、これはインバウンドも日本人も一緒ですけれども、平日に旅行に行っていただくことによりまして、このポスターのように「平日なら絶景独り占め」、「平日ならお得に旅行できます」といったようなことをメッセージとしてお送りしながら、オーバーツーリズムを避けながら、皆さんが旅行を楽しんでいただけるような環境を整えていきたいと思っています。

(問)インバウンド需要についてですが、現時点でコロナ前水準に戻っている地域とそうでない地域というので、格差が生まれているとも言われていますが、この地域格差が生まれてしまっていることの課題、今、どう受け止められているかということと、何か対策を打っていくことを考えられているか、お伺いできればと思います。
(答)
  • 先ほど申し上げた観光立国推進基本計画をまとめるにあたって、地方への誘客、また、その消費額の拡大、こういったところにしっかりと気を配りながら、需要の回復を進めていくべきという考え方で観光庁としては取り組んでいるところです。
  • 実際のデータを少し調べてみましたけれども、本年3月の外国人延べ宿泊数を見てみますと、三大都市圏のコロナ前と比べた回復率が92%になっていますが、一方で、3大都市圏を除いた地域の回復率が58%になっています。
  • そういう意味で、やはり地方誘客の促進というのが課題になっていると思います。
  • 私どもといたしましては、地方にもたくさん魅力的な観光資源があるわけでありますので、インバウンド旅行者の地方への誘客などをしっかりやっていかなければいけないと思っています。
  • そこで、例えばこの間、「観光再始動事業」を発表させてもらいましたけど、やはり地方を中心にするとか、それから、観光消費が旺盛な高付加価値層を誘致するためのモデル観光地を11地域作りました。これも地方を中心に選ばせていただいています。
  • それから、日本政府観光局、JNTOのプロモーションも、地方を中心に、地方を重点的にプロモーションをしてもらうというようなことも進めています。
  • こういった形で、地方誘客の促進とか、地域活性化に向けてしっかり取り組んでいきたいと思っています。
以 上










 

組織情報