髙橋長官会見要旨

最終更新日:2023年9月29日


日時:2023年9月27日(水)16:15~16:38
場所:国土交通省会見室

冒頭発言

(2023年8月の訪日外国人旅行者数について)
  • 私から今日は3つ申し上げます。
  • 1つ目は、インバウンドとアウトバウンドです。
  • 本年8月の訪日外国人旅行者数は、215万6,900人となりました。
  • 3ヶ月連続で、単月の旅行者数が200万人を超えています。
  • 昨年8月の数字と比べますと、約13倍、コロナ前の2019年同じ8月と比べますと、単月で86%まで回復を致しまして、コロナ後、初めて単月の回復率が8割を超えたところです。
  • また、中国を除いた数字で比べますと単月で118%の回復となっています。
  • 出国日本人者数でございますが、120万1,200人の方が本年8月出国をされています。
  • 昨年8月と比べて約3倍、同様にコロナ前の2019年8月と比べると57%の回復となっており、改善傾向が続いていると考えています。
 
(アメリカ・ニューヨークでの観光レセプションについて(結果報告))
  • 2つめは、アメリカ・ニューヨークでの観光レセプションについてのご報告です。
  • 先週9月21日(木)、国連が開催されて、世界の注目が集まったニューヨークにおいて、訪日観光レセプションを開催し、斉藤国土交通大臣と出席してまいりました。
  • 「これまでにない体験」をテーマに、アドベンチャー、日本食、文化等それぞれの新しい日本の魅力を発信し、訪日観光の促進、さらには日米間の双方向の観光交流の拡大を強く訴えたところです。
  • 斉藤大臣より、米国政府の要人並びに米国発のアウトバウンドに大きな影響力をもつ米国観光関係者あるいはメディアの皆様が注目する中、日米双方の交流拡大を集中的かつ強力に推進すべく、2024年を「日米観光交流年」と定めることが発表されました。
  • さらには、岸田総理大臣よりビデオメッセージにて、日米で協力して日米観光交流年を盛り上げて行きたい旨のご発言をいただいています。
  • 私も、ビールさんという商務省旅行・観光担当次官補代理と会談を行い、交流年を活用して日米双方向の交流を一層拡大していくことで、認識を統一したところであります。
  • また、レセプションではJNTO、JATAはもとより、元メジャーリーガーの松井秀喜さんや、アメリカの著名な旅行雑誌編集長、影響力のあるテレビパーソナリティの方々から、日米の観光の魅力を発信いただきました。
  • 結果、参加いただいた200名もの米国の観光事業者、メディア、政財界の方より大変な好評をいただけました。
  • 引き続き、米国をはじめ各国との双方向の観光交流の拡大に取り組んでまいります。
 
(オーバーツーリズム対策会議について)
  • 3つ目は、オーバーツーリズムの未然防止・抑制に関する関係省庁対策会議についてのご報告です。
  • 先月、岸田総理が「オーバーツーリズムへの懸念についてもこの秋にも対策をとりまとめていきたい」とご発言されたことを受けて、私が議長を務めます実務レベルの対策会議を設置し、9月6日(水)に第1回会議を開催したところです。
  • 次回、第2回会議については、今週9月29日(金)に開催しますので、お知らせします。
  • 第2回会議においては、地域の関係者の皆様からのヒアリングを行いたいと思っています。
  • また、観光庁よりオーバーツーリズムの未然防止・抑制にかかる施策の柱建てをお示しするとともに、関係省庁より施策案を発表いただき意見交換を行う予定です。
  • 引き続き、今年秋の対策とりまとめに向けて、関係省庁あるいは地域の皆様と連携しながら議論を進めてまいります。

質疑応答

(問)オーバーツーリズムの件につきまして、秋にもというお話がありましたが、今後の具体的なスケジュールを教えていただきたいということと、長官自身がどのような対策が必要だとお考えになっているか、教えていただけますでしょうか。
(答)
  • まずご指摘のスケジュールについてお答えします。
  • 冒頭申し上げました通り、今週29日に第2回の関係省庁の会議を開催することとしています。
  • 今回、観光庁より施策の柱立てをお示しした上で、具体の施策案について関係省庁と議論を行います。
  • その際、地域の関係者の方にも代表でヒアリングさせていただきますので、その内容をふまえ、第3回における議論、この秋の取りまとめに向けて検討を進めてまいりたいと思います。
 
(問)3回目が最後になるという意味でしょうか。
(答)
  • 現在、何回ということを、確定している訳ではないですが、私の心積もりとしては、先ほど申し上げましたように第2回は関係省庁と議論をし、地域の皆様からヒアリングをし、その内容も踏まえて、第3回で関係省庁会議としての取りまとめを行うということを念頭にやっていきたいと思っています。
  • 対策についてもお答えします。
  • これは前回も申し上げた背景ですが、急速な旅行需要の回復により、多くの観光地が賑わいを取り戻す中、一部の観光地では、過度の混雑や、一部の旅行者によるマナー違反行為により、地域住民の生活への影響や、旅行者の満足度の低下への懸念が生じていると承知しています。
  • こうした課題に対しましては、典型的には、例えば、看板やデジタルサイネージの設置など、旅行者に対するマナー啓発の取組、混雑の抑制・緩和を図るために、交通手段をはじめとする受入環境の整備・増強、料金設定や規制なども含めて需要を適切にマネジメントする取組、また、比較的空いている場所・時間帯等への需要の分散・平準化を図る取組の実施、こういったことが、有効な処方箋になってくるのではないかと考えています。
  • その際、生じている具体の課題は、観光地が置かれている状況によりそれぞれ異なるものですので、地域それぞれの実情に応じた適切な対策を地域の皆様に講じていただけるように、国としても、これらの促進に必要な後押しを行うべく、検討を急いでまいりたいと思います。
  • また、いわゆるオーバーツーリズムの未然防止・抑制には、地域で観光を担う自治体やDMOをはじめとする皆様が、地域住民の方々と協働したり、積極的に働きかけたりすることも重要です。
  • 私どもも、こうした地域の皆様による取組に対して、しっかりと後押しをさせていただきたいと思います。
 
(問)またもう1点、別の件でお伺いします。東京電力福島第一原発処理水の海洋放水が始まって1か月ほど経ちましたが、旅行業界への影響の現状につきまして、最新の調査の状況と今後の見通しについて教えていただけますでしょうか。
(答)
  • まず、国内の宿泊事業者、あるいは旅行業者の皆さんの現時点の影響について聞き取りを行いました。
  • 各地を訪れる日本人の旅行者の方々に関しては、キャンセルが生じていない宿泊施設が多いとお伺いをしています。
  • また、福島県庁に私どもからお伺いをしても、現時点において、県内の業界団体から特段のキャンセルなどの影響があるとは聞いていないというお答えを頂戴しています。
  • 次に中国からのインバウンドの状況について申し上げます。
  • 9月25日時点で、中国の現地の旅行会社へ、9月29日から始まる中秋節、国慶節の期間の予約状況について聞き取りを行いましたところ、出発予定の旅行の件数が2019年の同時期の件数を既に超えていると回答するケース、またキャンセルと新規予約とがそれぞれ発生していると回答するケース、また、一定程度のキャンセルが発生したと回答するケースなどが混在しています。
  • 影響の有無、大小については旅行会社ごとに異なる状況となっていると承知しています。
  • こうした状況を踏まえ、現時点では影響は限定的ではないかと捉えていますが、今後の見通しについて、この段階で予断をもって申し上げることは控えたいと考えています。
  • いずれにしても、私どもとしては引き続き各種動向を注視してまいりたいと考えています。
 
(問)今の質問に関連してですが、調査の中で、旅行会社ごとに状況が違うというお話がありましたが、これは例えば旅行する世代や地域など、何かその調査の中で傾向が出ているのかということと、やはりこれから観光立国を目指すうえで、特にこれから始まる国慶節への期待というのは、長官としてどのように見ているのか、2点お伺いできればと思います。
(答)
  • 日中間の航空便数の回復に遅れが見られる中、8月10日からの中国における日本への団体旅行解禁の効果もあり、8月の中国からの訪日者数は、前月7月の31万人から、8月の数字は約16%増加して約36万人となるとともに、コロナ前の2019年の同じ月からの回復率につきましても、前月7月の回復率の約30%を上回り、8月は約36%となっています。
  • 今年の初めより、この回復傾向が継続をしていると考えています。
  • このような中、観光庁におきましては、日本政府観光局(JNTO)を通しまして、現地の旅行会社に対する聞き取りを実施するなど、最新状況の把握に努めています。
  • 9月25日時点で、9月29日から始まる中秋節、国慶節の期間の予約状況について聞き取りを行いました結果、聞き取りの対象の旅行会社の中には、出発予定の旅行の件数が、2019年の同時期の件数を既に超えていると回答するケース、また、キャンセルと新規予約とがそれぞれ発生していると回答するケース、あるいは一定程度のキャンセルが発生したと回答するケースなどが混在しています。
  • 影響の有無、大小については旅行会社ごとに異なる状況となっていると承知しています。
  • 先ほどご指摘の、地域とか世代でどうかということですが、いろいろな地域において聞き撮りを行い、その中には当然いろいろな世代の方が含まれるものと考えていますが、基本的には総じてこのような状況が混在しているというふうに承知しています。
  • 先ほどの幹事社様のご質問に対して、さらに加えてお答えをしますと、訪日中国人の旅行形態の約7割を占める個人旅行に関しては、主に個人旅行客向けの商品を扱う中国大手のオンラインの旅行会社からはキャンセルが相次ぐ状況にはなく、変わらず予約を受けていると聞いています。
  • また、9月の15日から17日の間で広東省が主催をします、広東国際旅游産業博覧会というものがございます。
  • こちらに日本政府観光局(JNTO)が一般向けブースでの出展を行いましたところ、例年と同程度、約3万人もの来場者に訪れていただいたという状況です。
  • なお、航空便数の回復の遅れも影響したこの期間の航空運賃の高さが客足の伸びに影響を与えている、との声もお伺いをしており、訪日旅行には様々な要因が作用していることを想定しています。
  • 以上を踏まえ、現時点では影響は限定的ではないかと捉えていますが、今後の動向や見通しについて、この段階で予断を持って申し上げることは差し控えたいと思います。
  • いずれにせよ、引き続き中国からの旅行客の皆さんの動向、あるいは実績を注視するとともに、訪日のプロモーション活動を初め必要な取組をしっかりと進めてまいりたいと思っています。
 
(問)9月11日から14日まで、アドベンチャートラベルワールドサミット(ATWS)がアジアで初めて北海道で開催されました。アドベンチャートラベルは長期滞在で高単価の消費が期待できるため、北海道では、これを契機にアドベンチャートラベルの定着が期待されています。アドベンチャートラベルワールドサミットを開催しての成果と、今後の課題をどう考えているか、また観光庁として今後、国内でのアドベンチャートラベルの普及に向けてどのように取り組むお考えかお聞かせください。
(答)
  • アドベンチャーツーリズムは、我が国が誇る自然・文化などの地域資源を活かせる重要な観光コンテンツであり、インバウンドの滞在日数の増加や、地方分散、観光消費額の増大などに大きな役割を果たすものと期待しています。
  • 2年前の2021年の北海道開催はオンラインでの開催でしたが、今回、アジアで初めてのリアル開催が実現し、世界64の国と地域からバイヤーやメディア等、約750人が参加されました。
  • 今回、ATWSの一環として、北海道内外の自然・文化の魅力を深く楽しめるツアー、深くというのは非常に大事なことだと思っておりまして、日本の地域の本当の魅力を深く掘り下げて、深い観光交流あるいは体験ができるという意味で心を込めて申し上げましたが、深く楽しめるツアー53本が催行されました。
  • これらのツアーを通して、海外の有力バイヤーの皆様などに、豊富な地域資源を有する我が国の魅力を体感いただき、我が国がアドベンチャーツーリズムの有望な旅行先であると実感いただけたと考えています。
  • 他方、我が国でアドベンチャーツーリズムを進める上で、質の高いガイドの確保や、魅力あるコンテンツや滞在プログラムの磨き上げがまだまだ必要であると認識したところ、今後、主催者であるATTAからもフィードバックをいただきながら、取り組んでいきたいと思っています。
  • このような中、今大会の主催者であるATTAとATWS北海道実行委員会において、アドベンチャーツーリズムの発展に向けて引き続き協力して取り組んでいくことを謳った、共同のステートメントがとりまとめられました。
  • 観光庁としても、この共同ステートメントも踏まえ、ATTAや北海道など各地域と連携し、JNTOと共に引き続きアドベンチャーツーリズム関連の取組を全国で進めてまいります。
  • 例えば、環境と観光と地域の好循環の仕組みづくりを支援する事業では、伴走支援としてコーチングを行い、ガイドの確保・育成や、アドベンチャーツーリズムとしてふさわしいコンテンツへの磨き上げを専門家とともに実施しています。
  • また、インバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた様々な事業の中でアドベンチャーツーリズム関連の事業を支援しています。
  • こうした取組を通じて、アドベンチャーツーリズムの普及を図り、世界の観光旅行者の来訪・滞在、そして深く日本の良さを知っていただき、地方部をはじめとした全国各地の観光交流、消費機会の拡大につなげていきたいと思います。
以 上
 

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