1.現計画の実施状況 1.現計画の実施状況

運輸省においては、平成7年3月に閣議決定された規制緩和推進計画(3年計画)に盛り込んだ事項を着実に実施してきており、219事項のうち平成8年3月末現在で、全事項の約7割に当たる151事項を実施済み。また、平成7年4月の「緊急円高・経済対策」、平成7年12月の「当面の 行政改革の推進方策について」等を踏まえ、実施時期の前倒し・明確化、実施内容の具体化を図った。主な事項についての措置状況は以下のとおり(8年度以降引き続き措置の具体化を図るものを含む。)。なお、運輸省において平成5年4月以降自主的に進めてきた許認可等件数(平成4年3月31日現在(1,966件)を3年以内に2割削減するとの基本方針については、本年3月の関係省令の改正・公布により達成。

(1)トラック事業等

トラックターミナル及びバスターミナルに係る規制の見直し(今通常国会に自動車ターミナル法の一部を改正する法律案を提出済)

自動車ターミナル事業に係る参入規制について、免許制を安全性及びターミナル機能を確保する観点から審査を行う許可制に緩和。

工事施行に関する手続、使用料金、専用自動車ターミナルに関する規制の簡素化を図った。

事業用自動車のリース取引に係る規制緩和

リースによる車両保有について、事業開始後3年間を経過した者に限りファイナンスリースによる保有のみを認めていたが、これらの制限を撤廃し、メンテナンスリースによる保有も認めることとした。

トラック事業の営業区域の拡大

現在11の拡大営業区域を設定しているところであり、本年4月1日に山陽圏に山口県を、阪神圏に京都府を追加することにより2営業区域の拡大を図った。

今後については、運行管理の実態等を把握し、適正に行えることを確認した上で、将来的に営業区域をブロック単位に拡大する。

トラック事業の運賃・料金規制の緩和(原価計算書の添付不要範囲の拡大による運賃・料金設定の弾力化)

平成8年度中に、運賃改定の事前届出の際に求められている原価計算書の添付について、それを不要とする範囲を拡大する。具体的には、一定範囲の値下げについても、届出に際し、原価計算書の添付を不要とする。

トラック事業の最低車両台数基準の引下げ

地方運輸局における最低車両台数規制について、将来的に全国一律5台となるよう引き下げていく観点から、本年4月1日に最低車両台数基準の地方運輸局間の格差を是正した。具体的には、全国の市町村の44%について、最低車両台数基準の引下げを行った。

今後については、運行管理の実態等を把握し、適正に行えることを確認した上で、5台に向けて段階的にその基準を引き下げる。

(2)バス事業、タクシー事業等

 
タクシー事業の需給調整の透明化、運用の弾力化

需給動向の算定方法、算定結果等を明らかにし、需給調整の透明化を図る。また、需給動向の算定結果の上で、供給過剰である場合であっても、それがあらかじめ示された一定の範囲内であれば、地域の実情に応じて、免許等の処分を行いうるよう運用の弾力化を一層進める。(8年度、措置の具体化)

乗合タクシーの積極的推進

乗合タクシーの許可等について、フリー乗降制の導入、デマンドルート化等多様な運行形態が可能となるよう、従来の運行形態にとらわれることなく、個別事案に即し弾力的な処理を実施。

レンタカーに関する規制の見直し

事業の活性化を図る観点から、許可基準の緩和、手続の簡素化等を実施。

自動車リースに係る規制の緩和

リース許可申請について、各事務所の所在地を管轄する陸運支局別の許可から本社の所在地を管轄する陸運支局長のみの許可で足りることとした。

(3)自動車の登録・検査

自動車の検査及び点検整備の見直し

昨年7月より、国による検査におけるいわゆる「前検査・後整備」の実施を可能としたほか、定期点検項目の簡素化、車齢11年を超える自家用乗用自動車等について車検期間の延長、自家用乗用自動車の6カ月点検の廃止等を実施。

自動車検査証の有効期間の検討

トラック等営業用車両、自家用自動車、レンタカー等の車検期間の延長について、平成8年度に学識経験者、ユーザー代表等の関係者からなる調査検討会において検討。

農耕用トラクター等大型特殊自動車の車検期間の延長等について、車種ごとに使用実態、事故実態等を調査し、その結果を踏まえ、必要な措置を講ずる。(8年度目途)

(4)鉄道・軌道事業

旅客鉄道運賃の価格設定方式の見直し

昨年1月に設置された「旅客運賃問題研究会」での検討を経て、同年8月より「旅客鉄道運賃ワーキンググループ」における計9回にわたる検討の末、本年2月23日に結論を得たところであり、その具体的内容は

  • 総括原価方式の下での上限価格制の導入

  • ヤードスティック方式の強化

  • 複数平年度化等の原価計算方式の改善

  • 関係諸手続の簡素化

  • 算定方式、事業内容などの情報公開

等を制度化するとともに、いわゆる上限価格制について、今後の鉄道事業環境の変化等を勘案しつつ、引き続き検討することとなっている。

運輸省として、この結論に基づき、対処。

(5)海上運送事業等

内航海運業の船腹調整事業の対象からモーダルシフトの担い手となるコンテナ船、RORO船を除外する等船腹調整事業の計画的解消

コンテナ船、RORO船について平成10年度末までに船腹調整事業の対象外とし、その他の船舶については、荷主の理解と協力を得ながら、5年間を目途に所要の環境整備に努め、その達成状況を踏まえて船腹調整事業への依存の解消時期の具体化を図る。(8年度以降逐次実施)

内航海運の運賃協定について、原則廃止の方向での見直し

内航海運の運賃協定については、デイリーサービスの確保の観点から実施されている沖縄及び先島航路運賃同盟を除き、それぞれの性格等を踏まえ、平成8年度から平成10年度までに廃止する。この場合、内航タンカー運賃協定及び内航ケミカルタンカー運賃協定の廃止については、併せて荷主の優越的地位の濫用の防止のための新たな措置を講じていく。(8年度〜10年度末)

(6)航空運送事業等

国内航空運賃における幅運賃制の導入

運賃の多様化と航空事業者による経営効率化促進の観点から、航空事業者が路線ごとに標準原価を最高額とする一定の幅で包括的に認可を受け、その幅の中で自主的に運賃設定することを認める幅運賃について、平成7年12月に導入。

国内航空路線のダブル・トリプルトラック化による複数社運航の推進

安全運航の確保を基本とし、空港の整備状況等を勘案しつつ推進しており、平成7年度に大阪−福岡線、大阪−那覇線、名古屋−福岡線の3路線においてトリプル化を実施。全旅客数に占める比率は75%。

耐空証明等航空機の安全確保に資する規制の見直し(9年度、今通常国会に航空法の一部を改正する法律案を提出済)

航空機の安全性等に係る国の証明制度について、民間事業者の能力、輸出国の証明を活用することによる国の検査の省略可能な範囲を拡大。

航空機の安全性、騒音及び発動機の排出物について、国の証明を一本化。


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