国土交通省
 燃料電池プロジェクトチーム報告書について
 
〜日本発プロジェクトX「地球再生のためのエンジンを開発せよ」〜
ラインBack to Home

平成14年5月27日
<問い合わせ先>
総合政策局環境・海洋課
(内線24312、24322)
TEL:03-5253-8111(代表)

 

  1. 燃料電池に対する基本認識
     燃料電池は、実用化・普及が期待される我が国の重要な技術である。
    1. 運輸・民生部門における二酸化炭素の排出抑制に寄与する。
    2. 燃料供給源の多様化によりエネルギー安全保障の確保に資する。
    3. 産業競争力強化、新規産業・雇用創出が期待できる。

     燃料電池と水素エネルギー利用技術は、現在の産業構造、エネルギー需給構造から、我々の生活様式、社会システムに至るまで、革命的ともいえる根幹からの変更を迫る可能性のある技術である。

    1.  燃料電池自動車500万台が導入されれば、その発電容量は、我が国の電気事業者の発電設備と自家発電設備のすべて合計した発電容量(2000年度末2.6億kW)を凌ぐものとなる。
    2.  マーケット規模は、関連産業まで含めると2020年頃までの累積で100兆円にも達するとの見方もある。

     燃料電池の技術開発について、日米欧が激しい開発競争を展開している。

    1.  各国の自動車メーカー、定置用メーカーは2003〜04年の市場投入を目指し、開発を加速化している。現地視察においても、未来の足音を明確に感じることができた。
    2.  2005年頃までの開発競争の結果が、市場における将来の競争優位を左右する可能性もある。

     副大臣プロジェクトチームとして、我が国における燃料電池の実用化・普及を加速化させるため、今後、拡充・強化すべき施策を提言する。

    1.  2020年の導入目標、燃料電池自動車500万台、定置用燃料電池1000万kW の前倒し達成する決意で取り組むべき。
    2.  各省の平成15年度予算要求への反映や包括的な規制の再点検などの施策に反映されることを期待する。

  2. 燃料電池プロジェクトチームの提言
    (1)戦略的技術開発の推進
     「固体高分子形燃料電池/水素エネルギー利用技術開発戦略」に基づき、産学官の適切な役割分担の下、戦略的に技術開発を推進する。特に、水素エネルギー利用関連の技術開発については、拡充を行うべき。
    •  水素安全技術の確立、圧縮機等の国産化、車両搭載型超高圧タンク開発、水素貯蔵技術開発の加速化、液体炭化水素燃料の車上改質技術の加速化、等

    (2)実証試験、先進的モデル事業の推進

     <燃料電池自動車>
     本年度から実施の水素供給ステーションの実証を含む大規模公道走行試験に加え、以下のような事業を推進すべき。
    • バス等による実証試験
    • 水素供給ステーションの増設、段階的整備
    • 安全性の確保を前提に試験走行のための大臣認定手続の柔軟運用
    • 2005年目途に自動車の型式認定が可能となる保安基準の整備
    • 将来における「燃料電池自動車レース構想」

     <定置用燃料電池>
     本年度から実施の固体高分子燃料電池コージェネレーション・システムの実証試験に加え、更に以下のような事業を実施すべき。
    • 大量普及時における適切な系統連系の確保のための検討
    • バイオマスから取り出したメタンガス利用燃料電池の更なる導入促進

     <地域特性を活かしたモデル事業の推進>
    • 「北海道プロジェクト」(公開型実証試験、地域の産業集積の確立等)

    (3)普及啓発の推進
     従来から実施しているシンポジウム・展示会に加え、燃料電池の一日も早い実用化・普及のため、新たな手法を用いた普及啓発を推進すべき。

    • シンボルマークや商品名(ネーミング)の工夫
    • 総合学習用教材の作成
    • 学生による試作燃料電池自動車競技大会の開催
    • 愛知万博等の様々な場を活用したモデルサイトの整備
    • エネルギー自立型住宅のモデル設置
    • 将来における「燃料電池自動車レース構想」(再掲)
    • 燃料電池自動車及び定置用燃料電池の安全・環境面からの総合的な評価と普及啓発
    • 環境学習施設や集会施設での定置用燃料電池の設置・デモンストレーション

    (4)ソフト面のインフラの整備

     <国際標準化対応>
     安全性・信頼性等の試験評価手法の確立等を行うミレニアム・プロジェクトについて、国際標準化対応のため、拡充をすべき。

     <安全性の確保を前提とした包括的な規制の再点検>
     我が国において世界に先駆けた燃料電池の早期実用化を図るとの総理指示を踏まえ、2005年を目途に、安全性の確保を前提としつつ、燃料電池関連の包括的な規制の再点検を推進すべき。
    • 安全性の確保を図るためのデータ収集
    • 規制の再点検に必要となる官民の協力体制の整備
    • 規制の再点検に必要な種々の実験を実施する際の支援

    (5)その他

    • 導入への各種インセンティブの付与等、導入促進のための支援

【参考】

 表1〜7をご覧いただくためには、Adobe Acrobat Readerが必要です。右のアイコンをクリックしてAcrobat Readerをダウンロードしてください(無償)。
 Acrobat Readerをダウンロードしても、PDFファイルが正常に表示されない場合はこちらをご参照下さい。

アクロバットリーダーホームページへ
(ダウンロード)


All Rights Reserved, Copyright (C) 2002, Ministry of Land, Infrastructure and Transport