平成14年7月25日 |
<問い合わせ先> |
総合政策局宅地課 |
宅地企画調査室 |
(内線25251、25253)
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TEL 03-5253-8111(代表) |
国土交通省では、平成14年2月に宅地関連情報提供研究会(浅見泰司座長)を総合政策局宅地課に設置し、宅地関連情報の提供方策について検討を行ってきた。この度、本研究会において標記報告が取りまとめられたので報告する。
なお、期を同じくして取りまとめられた社会資本整備審議会住宅宅地分科会宅地政策ワーキンググループ報告「宅地政策の転換の基本的方向のあり方に関する報告」(H14.7.15)においても、宅地市場条件整備の一環として、宅地関連情報提供システムの整備について検討すべきとされており、今後社会資本整備審議会住宅宅地分科会企画部会等において更に検討されることとなっている。
国土交通省としては、本検討報告の内容等を十分しんしゃくし、宅地市場の条件整備の一環として宅地関連情報提供体制の構築を推進すべく検討を進めて参る所存である。
報告のポイント
- 目的
消費者の安全性の確保、利便性の向上を図る。
- 具体的なあり方
- 提供の媒体・形式
電子化された宅地関連情報をGIS(地理情報システム)により提供することが適当である。
- 提供システムの設計・開発
システムの全体的な枠組み(システム設計、ルール作りなど)や全国的な標準を国が中心となって整備し、都道府県、市区町村、民間事業者など多様な主体へ引き継ぐことが可能となるよう、今後具体的に検討する必要がある。
- 情報の管理体制のあり方
多様な主体が情報を保有しているため、今後検討が必要である。
- 提供主体
基本的に住民に最も身近な行政機関である市区町村が行うことが望ましい。
- 留意点
災害危険性マップなどのネガティブ情報については、その回避方法や対処方法の情報も合わせて提供することが望ましい。
【宅地関連情報提供ガイドラインの制定に関する検討報告】の概要
- 背景及び目的
- (1)
- 自由な競争により適切な価格で供給される良質な住宅宅地の多様な選択肢の中から、自立した個人が自己のライフスタイル、ライフステージに合致した適切な居住を確保できるようにするためには、宅地に関する十分な情報が得られることが前提となる。
- (2)
- 特に、地盤の安全性や土壌の安全性などに関する情報は、阪神・淡路大震災の際に発生した液状化現象、千葉県内等で発生した軟弱地盤による不同沈下、あるいは工場跡地における土壌汚染の発覚等を受け、消費者ニーズが高まっている。このような情報は、国民の生命、生活、財産を守るために必要であり、公共性や、整備の緊急性・優先度が高いと考えられるため、提供可能性等を勘案した上で早急に提供を開始する必要性が高いといえる。
- (3)
- よって、宅地市場条件整備の一環として宅地関連情報提供体制を構築する必要があるといえる。宅地関連情報提供の推進により、消費者の安全性の確保、利便性の向上を図り、それによる円滑な住宅宅地取引に基づく土地流動化の促進、良質なストック形成、既存ストックの再生と循環を図ることが可能となると期待される。
【参考】
住宅宅地審議会答申(平成12年6月)において、「『所有』から『利用』へのニーズの転換」、「良質なストック形成」を新たな宅地政策の基本的方向として掲げ、宅地関連情報提供の体制整備に関して、
- 消費者のニーズに対応する「利用」重視の住宅宅地の選択は、宅地関連情報を十分に得られることが前提となることから、情報の収集・提供体制の早急な整備が必要である
- 良質なストック形成のためには、地盤の安全性、土壌の安全性、周辺環境の水準等消費者が求める様々な宅地関連情報を早急に提供する必要がある
と提言されている。
また、社会資本整備審議会住宅宅地分科会宅地政策ワーキンググループ報告(平成14年7月)においても、「宅地政策の新しい展開について」の中の重要な項目の一つとして取り上げられている。
- (4)
- 今後、本報告が、国における政策検討や地方公共団体における取組の参考となることを期待するものである。
- 宅地関連情報提供システムの具体的なあり方について
- (1)
- 利用者について
このシステムの利用者は主として宅地購入を希望する消費者を想定するが、一般の居住者や宅地開発を行おうとする宅地開発事業者、不動産仲介事業者などもこのシステムを利用することにより様々なメリットを得ることができると考えられる。
- (2)
- 提供媒体及び提供形式について
情報提供主体の体制や財政状況に合わせ提供媒体や提供形式を選択することとなるが、将来的には行政における情報システムが整備されること、また近年のインターネットなどの普及を勘案すると、電子化された宅地関連情報をGIS(地理情報システム)により提供することが適当と考えられる。
- (3)
- 宅地関連情報提供システムの設計・開発について
システムの設計・開発にあたっては、次のような点を考慮しつつ、システムの全体的な枠組み(システム設計、ルール作りなど)や全国的な標準を国が中心となって整備し、都道府県、市区町村、民間事業者など多様な主体へ引き継ぐことが可能となるよう、今後具体的に検討する必要がある。
- 宅地関連情報提供とは、土地資産取引市場の条件整備を行うものにほかならず、基礎的な部分については、統一的な約束事に基づいて、全国的に標準化された仕様での情報の提供がなされる必要があること。
- 一方、地域的な特性を反映しうるものとする必要があり、各地域の主体的な創意工夫を発揮しやすいシステムとする必要があること。
- また、このシステムがインフラとなって、将来、官民の多様なサービスの発展に結びつく余地を確保する必要があること。
- 他システムとの互換性を確保する必要があること。
- (4)
- 情報の管理体制のあり方
宅地関連情報は多様な主体が情報を保有しているため、これらの情報をどのように収集し、管理を行うことが適当か検討が必要である。
- (5)
- 提供主体について
情報の提供主体は、利用者の利便性を考慮すると、基本的に住民に最も身近な行政機関である市区町村が行うことが望ましい。しかしながら、市区町村単独では困難な場合には、都道府県が代替することや、複数の市区町村で協力し、広域行政として行う可能性も考えられる。
- (6)
- 将来的な発展について
システムの稼動後においては、国、地方公共団体、NPO、民間事業者、住民などの多様な主体が多様な情報を提供するという形態で発展していくことが期待される。特に、宅地購入希望者の観点からは、行政からの一方向的な情報提供だけではなく、一般居住者の持つ地域の情報を収集し「生きた」情報の提供が行われることが重要である。
なお、その際には、悪意をもった情報提供や意図的なものではないにしても間違った情報提供がなされることのないような手当を行う必要がある。
- (7)
- 留意点
災害危険性マップ、洪水ハザードマップ、活断層図などのいわゆるネガティブ情報については、民間では提供されにくいのが通常であるが、情報開示の公益性(法令の規定や、国民の生命・健康・生活・財産の保護等)がある場合には、行政の関与の下で情報提供を図っていく必要がある。
また、こうした情報については、専門的知識をもたない一般利用者を不必要に混乱させないような配慮が必要であり、危険性の情報提供だけではなく、その回避方法や対処方法の情報も併せて提供することが望ましい。
宅地関連情報提供ガイドラインの制定に関する検討報告
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