国土交通省
 不正な自動車検査についての全国の調査結果
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平成14年6月21日
<問い合わせ先>
自動車交通局
 技術安全部技術企画課

(内線42202、42212)

TEL:03-5253-8111(代表)

 

 本年5月27日、関東運輸局において、1道路運送車両の保安基準に適合しない着色フィルムを貼付した自動車を合格処分とした事案並びに2並行輸入自動車の新規検査及び予備検査の際に道路運送車両法施行規則で義務づけている自動車排出ガス試験成績書が未提出のまま合格処分とした事案が確認されたところです。
 国土交通省としては、本件を重大に受け止め二度とこのような事態が発生しないよう、全国の検査担当職員に対して同種事例の有無に関し調査を実施するとともに再発防止対策の確立に取り組んできたところですが、このたび、その結果が次のとおりまとまりました。

  1. 調査方法
     (1)調査対象職員及び調査対象期間
    •  全国の自動車検査官(関東運輸局は、検査を補助する職員を含む。)   
    •  平成11年4月から現在まで   
    •  調査は、調査票による記入方式又は対面による聞き取り方式による

    (2)調査内容
     日常、威圧的な言動を行う受検者からの強い要求を受けて、1保安基準に適合しない自動車を合格処分とした事例及び必要な検査を行っていないにもかかわらず合格処分とした事例、2関係法令により検査時に提出が義務づけられている書面が未提出のまま合格処分とした事例の有無等

  2. 調査結果
     調査の結果、全国で194人の検査担当職員が関与し、約990台の自動車が合格処分となっていたことが確認されました。
     その内訳は、1.(2)1については、関東運輸局(159人)、中部運輸局(25人)及び近畿運輸局(2人)において186人の検査担当職員が関与し、約790台の自動車(5月27日に関東運輸局が公表したものを含む。)が合格処分とされていたことが、1.(2)2については、関東運輸局以外では同種事案はなく、既に関東運輸局で公表した結果(49人の検査担当職員が関与して201台の自動車を合格処分とした。)のみであることが確認されました。このうち、62台については既に排出ガス試験成績書を回収しました。
     なお、この他、調査の過程で、威圧等によるものではありませんが、電球切れ等の整備不良の場合であって検査後の整備が確実に見込まれるものを合格処分とした事例があることが認められました。

  3. 今後の対応
     このような不祥事が発生したことは、検査制度に対する国民の信頼を著しく失墜させるものであり、どのような事情であれ、決して許されるものではなく、今後、二度とこのような事態が起こらないよう組織を挙げて対応することとしております。
     本件は、一人一人の検査担当職員がその職責に対して自覚が欠けていたことと、威圧等に対する組織としての対応が不十分であったことが原因で発生したものと考えられます。
     このため、本件に関与した関係者に対する処分については、現在、個々の職員からの陳述を受け早急に検討を進めているところであり、規定に照らし厳正に対処する予定です。
     特に、関東運輸局については、日常、威圧的な言動を行う受検者からの強い要求を受けたものとはいえ、多数の職員が関与し、常態化していたと見られてもやむを得ない広範なものであったことが判明したため、この事態を重く受け止め、同局の体制を見直すとともに、管理職を含め厳正な処分を実施する方針です。
     また、威圧的な言動を行った受検者については、現在、警察当局と連携して告発を含め断固たる対応を講じるよう検討を進めているところです。

    ○再発防止対策

    (ア)緊急対策
      国土交通省では本件事案を確認後、直ちに緊急の対策として
    1 チーム制の導入や管理職による検査コースの巡回の強化による管理・責任体制の強化
    2 トラブル発生時における警察との連携の強化
    3 緊急事態を想定した訓練の実施
    4 警備員の増強
    5 内部監査の強化
     を全国に指示し、随時可能なものから実施中です。

    (イ)今後の対策
      関係当局の協力等を得ながら検討を進めてきた結果、
    1 不当要求防止責任者の選任等による警察当局との一層の連携の強化
    2 職員間の意思疎通の向上及び研修の強化
    3 不正車検を防止する検査方法の検討
    4 防犯設備及び施設内管理体制の一層の強化
    5 情報収集体制の強化及びそれに基づく監査機能の強化
     等の再発防止対策を今後実施することとします。


自動車検査における威圧等に係る不正事案調査結果
運輸局 項目
調査対象
職員数
関係
職員数
対象
車両数
不正事案の概要
北海道 86人 0人 0台 なし
東北 85人 0人 0台  なし
新潟 86人 0人 0台  なし
関東 ※447人 ※167人
1.(2)1
(159人)
約700台
  • 着色フィルム貼付車両の合格処分
  • ガラスが上がらない状態で着色フィルム貼付未確認での合格処分
  • クリアレンズ(白色レンズ等)装着等車両の合格処分
  • 排気管向き、窓ガラスステッカー貼付等車両の合格処分
  • 前照灯光軸不良等車両の合格処分
1.(2)2
(49人)
 201台
  • 排出ガス試験成績表未提出車両の合格処分
中部 206人 25人 約90台
  • 中古新規検査時の架装物取外し未確認等での積載量算定
  • 許容荷重不足のタイヤ装着車両の合格処分
  • ガラスが上がらない状態で着色フィルム貼付未確認での合格処分
近畿 194人 2人 4台
  • ガラスが上がらない状態で着色フィルム貼付未確認での合格処分
    (平成11年度のみ)
中国 80人 0人 0台 なし
四国 56人 0人 0台 なし
九州 139人 0人 0台 なし
沖縄 15人 0人 0台 なし
合計 1,394人 194人 約990台  

 1:※印は、検査を補助する職員を含む。
 2:( )内の関係職員数は、当該事案毎の数であり、重複している者(41人)がいる。

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