平成14年4月30日 |
<問い合わせ先> |
海事局造船課 |
(内線43756、43753)
|
TEL:03-5253-8111(代表) |
- 日時:2002年4月25、26日
- 場所:OECD本部(パリ)
- 出席者:
- 議長-EC貿易総局サレルノ課長、日本-国土交通省海事局造船課鵜沢国際業務室長、EU-EC貿易総局ロガール首席事務官、韓国-産業資源部文課長、ノルウェー-通商産業省ウルシン次長、SAJ天野国際部会長、AWESルーケン事務局長、KSAリー理事、他(なお、業界代表は第1部マーケットの動向のみ出席)
概要:(第1部:マーケット動向)
- 需給サブ・グループの再開
- 造船市場における需給不均衡の解消を図るため、1999年以降中断されていた需給サブ・グループを再開することとなった。
- 需給に関する議論
- 事務局資料に基づき、2001年の竣工量、手持工事量及び受注量を含む最近の世界の新造船需給動向について意見交換が行われた。
- SAJ、AWES、KSAいずれも供給過剰という一致した見解を有しているが、傾向は3者で異なっており、今後需給SGで共通認識の醸成のための議論が行われていく見通し。
- 船価動向に関する意見交換
- 事務局資料に基づき、最近の新造船の船価推移について意見交換が行われた。
- 事務局資料は、船価動向と関係要素(海運マーケット、手持ち工事量、資材価格、為替)との関連性を分析しており、各代表から資料が評価されるとともに、このような分析を今後も継続的に行っていくこととなった。
(第2部:最近の政策動向)(政府関係者に限定)
- 世界の造船市場における正常な競争条件の確立
- 業界ヒアリングの結果を受けて、全会一致で新協定交渉を開始することが合意された。
- 新協定交渉のための特別交渉グループ(Special Negotiation Group)を設置することとなった。第1回会合は、9月上旬で事務局が調整中。
- 新協定交渉には、参加意志のあるOECD非加盟の主要造船国にも交渉当初からの参加を募ることとなった。
(なお、今次会合において、我が国、EU、韓国、ノルウェー、オーストラリア及びポーランドが参加意志を表明。また、12月のワークショップ、4月の業界ヒアリングの際に中国は交渉参加に前向きな姿勢を示している。)
- 最近の政策進展に関する情報交換
- 我が国より、我が国造船業の再編動向について説明。
- ECから、欧韓造船摩擦問題に関する最近の動向について簡潔な説明があった。
- 船舶輸出信用了解
- 造船部会とアレンジメント参加国会合で検討してきた新船舶セクター了解が4月15日に発効した旨報告があった。
- 次回部会日程
- 特別交渉グループ、需給SGとの関係を考慮して今後調整。
造船業における競争ルールの策定交渉の開始について
- 4月25、26日に開催されたOECD造船部会(於:OECD本部:パリ)において、未発効の94年造船協定に代わる造船業における競争ルールの策定交渉(新協定交渉)が開始されることが決定された。
- 新協定交渉は、OECD理事会の承認を得た後、特別交渉グループ(Special Negotiation Group)を設置して実施される。議長は、現時点では未定。
- 今次造船部会において、日本、韓国、EU、ノルウェー、オーストラリア、ポーランドが新協定交渉への参加を表明。今後、OECD非加盟の主要造船国(中国等)にも参加を呼びかけていく。
- 第1回の新協定交渉は、9月第1週に開催する方向でOECD事務局が今後調整。
- 新協定の内容は、政府助成の廃止とダンピングの防止を内容とする94年造船協定を見直したものとなる見込み。
新造船協定交渉の経緯等
- 従来、OECDでは、不公正な競争を阻害する補助金の廃止等について、紳士協定に基づいて取り組んできたが、法的拘束力がないためにその実効性が確保できないことから、94年に拘束力を有する国際協定(造船協定)が合意された(参加国:日本、韓国、EU、ノルウェー、米国)。
- 1996年末までに、米国以外の国々が批准手続きを終了したが、米国が未批准のため造船協定は発効していない。(米国は政府助成の存続を求める国内造船業の強い反対があり、近い将来の批准は見込めない状況。)
- 一方、造船市場は世界的な新造船建造能力の増大の影響で需給不均衡に陥っており、今後不均衡は更に拡大する後方にあり、競争ルールの不在による政府助成やダンピングの横行による公正な競争の阻害が懸念されている。
- 競争ルールに関する国際協定としてはWTO協定が存在するが、便宜置籍船の存在等により通常の輸出入の概念が当てはまらないため有効に機能しないことから、造船業の特殊性を考慮した、これに代わる協定が必要となっている。
- このため、未発効の造船協定に代わる国際協定を、94年以降の造船市場の変化を踏まえ、参加国の拡大も図って、策定・実施を目指すこととなったもの。
- 受注量で日本を上回った韓国において経営危機に陥った造船企業の公的機関による救済が行われるなど、競争ルールの不在により、こうした反競争的措置が放置され、市場に悪影響を与えている。新協定の策定・実施により、このような反競争的措置の防止が期待される。
- 世界第三位の造船国となった中国の協定参加が重要な課題であるが、中国も新協定交渉への参加に積極的な姿勢を示している。

All Rights Reserved, Copyright (C) 2002, Ministry of Land, Infrastructure and Transport