平成14年10月23日 |
<問い合わせ先> |
海事局造船課 |
(内線43756、43753)
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TEL:03-5253-8111(代表) |
- 概要
10月21日、EUは韓国が自国造船業に対しWTO補助金及び相殺措置協定に違反する公的助成を行っているとして、1994年GATT第23条に基づき、韓国に対して協議要請(WTO提訴)を行った。
- 経緯
EUは、韓国政府が自国造船業に対し不公正な公的助成を行い、これによりEU造船業が損害を被ったとする欧州造船業協会からのTBR(注参照)提訴を受け、2000年12月以降、TBRに基づく調査を実施するとともに、韓国との間で二国間協議を断続的に実施してきたが、本年9月末に協議が決裂したため、WTOに提訴したもの。
EUは、本年6月の閣僚理事会で、9月末までに問題が解決しない場合、WTO提訴するとのEC(欧州委員会)の方針を承認している。
注)TBR:貿易障壁規則(EUの域内規則で、外国の貿易障壁に対して、ECに調査権限、交渉権限を付与するもの。EUがWTO提訴する際の域内手続き規則となっている。)
- EU・韓国造船摩擦で問題とされている韓国の助成措置
- 韓国輸出入銀行を通じた造船会社への輸出促進金融制度(輸出前融資、前受け金返還保証。(注参照))
- 政府系金融機関等を通じた経営破綻企業(大宇重工等)へのリストラ助成(債務免除、優遇税制等)
注)輸出前融資:造船所に対して、輸出向け船舶の建造中資金の90%までを融資
前受け金返還保証:引渡し前に船主が造船所に支払った建造資金について、引渡し不履行時の返還を保証
- 今後想定されるスケジュール
2002年11月〜 二国間協議
2003年初〜春頃 パネル設置(二国間協議で問題が解決しない場合。)
2004年春〜夏頃 WTO紛争処理手続き終了
- 国土交通省の対応
- 我が国はOECD造船部会、主要造船国との二国間定期協議を通じて、国際造船市場における公正な競争条件確立に努めてきており、問題とされた韓国の助成措置の市場歪曲性についても大きな関心を有している。
- このため、WTO紛争処理手続きにおいては第三国参加することとし、パネルが設置された場合には韓国、EUと市場を分け合う主要造船国として、公正な競争条件確立の観点から我が国の意見を提出し、紛争処理結果への反映を図る。
- なお、WTO紛争処理手続きにおける二国間協議においては、第三国参加が認められないため、公正な国際造船市場の確立に資する問題解決が図られることを期待しつつ、当面は協議の経過に関する情報収集を図っていくこととする。

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