国土交通省
 小笠原諸島振興開発審議会意見具申について
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平成15年6月19日
<問い合わせ先>
都市・地域整備局特別地域振興課

(内線33222、33223)

電話:03-5253-8111(代表)


 

 小笠原諸島振興開発審議会においては、これまで、平成16年度以降の小笠原諸島の振興開発のあり方について検討を行ってきたところであり、6月18日に、小笠原諸島の振興開発について審議会の意見をとりまとめ、国土交通大臣あて別添のとおり意見具申がなされましたので、お知らせいたします。


小笠原審   第4号
平成15年6月18日

 

 
国土交通大臣  林  寛子 殿

 

 
小笠原諸島振興開発審議会
会長  岡本 伸之

 

 

小笠原諸島の振興開発について

 本審議会は、新小笠原諸島振興開発計画の最終年度にあたり、小笠原諸島の振興開発に関して今後とるべき措置につき審議した結果、小笠原諸島振興開発特別措置法第11条第2項の規定に基づき、次のとおり意見を申し出ます。

 昭和43年6月に我が国に復帰した小笠原諸島については、昭和44年度の復興計画以来、数次にわたる計画が策定され、豊かで生きがいのある地域社会の実現のための諸施策が積極的に講じられてきた。これらの諸施策は、国の特別措置及び関係地方公共団体や地域住民の不断の努力により着実に実施され、各般にわたり相応の成果をあげてきた。
 しかしながら、小笠原諸島は本土から遠く隔絶した外海に位置し、台風の常襲地帯であり、本土との交通通信が極めて不便であるとともに、島民が戦後すぐには帰島できなかったこと等、地理的、自然的、社会的、歴史的特殊事情を抱えており、これら特殊事情による不利性及び課題を克服するとともに、高齢化、高度情報化の進展など社会経済情勢の変化を踏まえ、 今後とも島民が安心して暮らせる生活環境の整備を図る必要がある。
 一方、小笠原諸島は、我が国の排他的経済水域の約3分の1を確保していること、同諸島周辺海域を航行する船舶にとって緊急時の重要な寄港地であることなどの国家的役割がある。また、固有の動植物をはじめ、絶滅の恐れがある稀少種が数多く存在するなど、自然環境面においても極めて貴重な地域である。これらは、これまで不利性として捉えられてきた地理的、 自然的条件に起因するものと考えられるが、視点を変えれば他の地域にはない魅力と資源であることから、我が国にとって特殊かつ重要な地位を占める地域であると考えられる。
 今後とも生活環境の整備を図るとともに、この地域の地理的な位置、固有の自然環境等が有する国家的さらには地球的ともいえる役割を生かし、国を超えた規模での交流促進、産業振興、研究機能の充実強化などに発展させていくことが重要である。特に、これまで整備された基盤を生かし、観光産業を中心とした産業間の連携を強化し、 地域の資源と創意工夫を生かした産業の振興を図り、自立的経済社会構造への転換を進める必要がある。
 このためには、地域住民の意思を地域振興施策に反映させる必要があることから、地域住民の参画の下、地元の発意と創意を生かした、主体的な地域づくりを推進するとともに、その担い手となる人材の育成が求められる。
 また、小笠原諸島の特性を生かしたこのような地域の主体的な取り組みを国及び東京都が支援し、地域の抱える諸課題の克服と将来の発展に向けた振興を図るため、ハードとソフトを一体とした総合的な施策の展開が必要である。
 以上のような施策を展開するためには、不利性を克服しつつ、「優位性への転換と自立的発展」を基本とする法的枠組みの下で、各種施策を効果的に実施することが必要であり、これにより、住民が安心して暮らせる活力に満ちた地域社会の実現と国民の利益の増進が図られるものと考える。
 よって政府は、以上の諸点を勘案し、関係地方公共団体と協力して、平成16年度以降の小笠原諸島の振興のため、新たな計画の下、これに基づく事業の実施など特別の措置を積極的に講じていくべきである。


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