国土交通省
 平成15年度第1回下水道事業における
 排出枠取引制度検討委員会の開催結果について

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平成15年12月11日
<問い合わせ先>
都市・地域整備局下水道部
流域下水道計画調整官

(内線34312)

TEL:03-5253-8111(代表)


 

 国土交通省では平成14年度より、(社)日本下水道協会に「下水道事業における排出枠取引制度検討委員会(委員長:植田和弘京都大学大学院経済学研究科教授)」を設置し、東京湾流域における下水道の高度処理を対象とした汚濁負荷排出枠取引について検討を行っています。
 平成15年度は、ケーススタディの対象として東京湾のほかに伊勢湾を加え、「下水道事業における排出枠取引制度検討委員会」を拡充してより実態に即した排出枠取引制度について検討することとしており、平成15年12月9日に本年度第1回目の委員会を以下のとおり開催致しました。

第1回下水道事業における排出枠取引制度検討委員会 議事要旨(速報版)

  1. 日時:平成15年12月9日(火) 10時00分〜12時00分
  2. 場所:日本下水道協会 第1・2会議室
  3. 出席者:

    委員長 植田 委員長 (京都大学大学院経済学研究科教授)
    委員 新澤 委員 (神戸商科大学経済研究所教授)
    只友 委員 (滋賀大学経済学部助教授)
    吉田 代理 (国土技術政策総合研究所下水道研究室研究官)
    酒井 委員 (日本下水道事業団技術開発部長)
    中山 委員 ((社)産業環境管理協会技術顧問)
    神山 代理 (埼玉県県土整備部下水道課主査)
    行木 代理 (千葉県都市部下水道計画課副課長)
    玉本 代理 (東京都下水道局計画調整部計画課長次席)
    野村 代理 (神奈川県県土整備部下水道課主査)
    神山 委員 (岐阜県都市整備局上下水道課長)
    尾関 代理 (愛知県建設部下水道課主幹)
    中瀬 代理 (三重県県土整備部下水道チーム主幹)
    植松 委員 (滋賀県琵琶湖環境部下水道計画課長)
    長沢 代理 (さいたま市建設局下水道部下水道計画課調整主幹)
    君塚 代理 (千葉市下水道局建設部下水道計画課主幹)
    木村 委員 (川崎市建設局下水道建設部計画課長)
    渡邉 委員 (横浜市下水道局総務部次長兼経営企画課長)
    木村 委員 (名古屋市上下水道局下水道建設本部計画課長)
    特別出席 藤木流域管理官 (国土交通省都市・地域整備局下水道部)
    春田下水道管理指導室長 (国土交通省都市・地域整備局下水道部)
    新宅広域計画課長 (国土交通省関東地方整備局企画部)
    藤原環境審査官 (国土交通省中部地方整備局企画部)

  4. 議題:
    (1)開会
    (2)挨拶(国土交通省、日本下水道協会)
    (3)検討委員会メンバーの紹介
    (4)議事
      1)今までの経緯
      2)平成15年度調査概要
      3)モデル検討に関する検討方針
      4)制度設計に関する検討方針
      5)その他

  5. 配布資料
     資料−1 検討委員会委員名簿
     資料−2 検討委員会の設立趣旨
     資料−3 第1回検討委員会 検討資料
     資料−4 第1回検討委員会 参考資料
     資料−5 国際ワークショップのポスター


議事:

  1. 国土交通省より趣旨説明
    • 昨年度委員会で勉強した件の延長線上にあるが、伊勢湾をも対象にしたスタディを実施する。
    • 昨年度は予備的な調査であったが、今年度は実際の導入の可能性を視野に、現実的な観点からの検討を行いたい。

  2. 委員紹介(事務局)

  3. 議事
     事務局より資料3の説明を行った。

    • 資料の中で公平性について述べているが、経済効率性に配慮して初期配分を決めることは公平でないと言って良いのか。低コストで事業推進するのは効率的かつ公平と言える側面もあるのではないか。モデル計算に当たって初期配分は恣意的にならない方がよい。また、初期配分を効率的に行う必要はないと思うが、現在の配分は不公平なものなのかという疑問が生じる。
      →効率性と公平性の定義は一概にはなしがたいが、取引の有無により効率性、公平性の意味が変わるのではないかと考えている。取引がない場合には、効率性と公平性の両面を勘案して配分する必要があるのではないか。いずれにしても、取引の効果を評価するためには、現在の流総計画の考え方をベースとして行うしかないだろう。
      →難しい問題であり、より深く検討する必要がある。
    • 伊勢湾流総計画にしても、東京湾流総計画にしても、経済効率性に配慮し、規模に応じて意図的な初期配分を行っている場合がある。取引の効果を検討する場合に、何を比較の基準とするかという問題がある。
    • 初期配分については、配分基準の原理原則に立ち返る必要がある。
    • 「公平性」の表現は微妙であり要注意。公平性には、経済的公平性のほか、環境的公平性など種々の視点があるため、「公平」という表現を用いる際には「〜の観点で」というような注釈をつけ、正確を期した方がよい。
    • まずは事務局案の初期配分で取引計算を行い、その結果と、流総計画の負荷量配分とを比較して見ればよい。これにより、従来流総計画で経済効率性に配慮して初期配分を行っていることの妥当性が示される可能性がある。その結果を見てから再度議論すればよいのではないか。
    • 伊勢湾流域は普及率も50%未満であり、整備の進め方も自治体により異なる。比較的新しく整備している箇所では、二次処理の変法による高度処理が可能であり、二次処理と高度処理が同時進行している側面がある。一方で、小規模な処理場も多いことから、流総計画の中では実際的な考え方としてスケール・メリットを考慮し、3万m3/日を境にして初期配分の考え方を変えている。さらには、処理規模だけではなく、拡張の可否など、現実に即した配分が重要と考える。
    • 排出枠取引は様々な分野で試みられているが、どの分野においても初期配分は重要かつ大きな課題である。
    • 取引により汚濁負荷の偏在が発生し、排出枠を買う地域では住民等に被害が及ぶ可能性があるのではないか。住民にとっての環境的公平性はどのように考えるのか。
    • 汚濁負荷の偏在には対処しなくてはならないが、住民にとっては、下水道利用者としての立場も重要と考える。コストを最小化すれば下水道使用料を抑制できることから、住民にもメリットがある。下水道管理者として住民を巻き込んだ上で、決定するのが大事。
    • 地方公共団体の立場からすると、遠くの東京湾より近くの河川をきれいにする方が市民の理解を得られやすいという側面がある。例えば、○○市で初めに高度処理を導入したのは△△川流域であり、東京湾の比較的上流域にあたる。市民の理解が得られやすい所から始めて、徐々に拡大していこうという考えであった。東京湾の浄化だけでは住民の理解は得がたいものがあり、汚濁負荷の偏在についても、コスト削減だけでは割り切れないものがある。
    • 環境便益の公平性のみならず、コスト削減効果も地域的な偏在が発生する。また、環境便益の偏在も生じるが、トータルとして最小化する努力も大事。今回のような新たな制度作りにあたっては、各地域の住民に如何に納得してもらうかが重要である。また、各自治体にはこれまで事業を進めてきた経緯というものがあり、それら経緯にも配慮する必要がある。
    • 将来の許容汚濁負荷量に基づく配分を基に、実績を踏まえることなく将来の取引を議論するとなると、架空の議論に終始するのではないか。
      →未整備の箇所もあり、計画値の精度の問題もある。将来計画をベースに排出負荷量をシミュレーションする限界を認識してはいるが、現段階では、流総計画を前提とせざるを得ない。
      →この件については制度設計の中で議論したい。中間的な目標も必要かと考えている。
      →施設投資後の取引はあり得ないので、排出枠取引の事前検討においては将来の削減量の計画をベースとせざるを得ない。このため、取引制度の詳細部分をしっかり詰める必要がある。
    • 一口に処理レベルと言っても、計画と投資実績の差も生じることから現実的には個々の処理場によってレベル差が発生するはず。どのような機関が評価・認定するのか。
      →下水道に限定すれば比較的差がないと考えられ、導入しやすいのではないかと考えている。
    • CO2に比べて排水規制そのものが均質なものでよいのか疑問である。立地(例えば上下流部)によって、規制が変わるのではないか。
      →排水規制に関しては上のせ等もあるが、比較的均質である。ただし、今回のターゲットは排水基準遵守ではなく環境基準の達成であり、必然的に不均質となる。確かに上下流問題等も認識してはいるが、今回は湾のみが対象であり河川は対象外としている。
    • CO2に比べて水環境の特殊性が表れている印象がある。種々の課題については、段階的に解決していこうという姿勢と認識している。

  4. その他
     国土交通省よりワークショップの紹介を行った。

  5. 今後の予定
     事務局より、今後の予定について説明を行った。
    • 来年2月〜3月にワーキング及び検討委員会を開催予定。
    • 日程については、後日調整させて頂く。

    ※本議事要旨は速報版であり、正式版では一部修正を行う可能性がある。

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