国土交通省
 「景観に配慮した防護柵の整備ガイドライン(案)」の策定
 及びパブリックコメントの募集について

ラインBack to Home

 

 

  1. ガイドライン(案)のポイント

    景観配慮の基本理念

    • 代替策も含め防護柵の必要性を十分に検討します
       植樹帯など景観に優れた他施設での代替も含め、防護柵設置の必要性を十分に検討することを基本とします。

    • 構造的合理性に基づいた形状とします
       新たな防護柵の設計等にあたっては、本来的な機能を満足させる防護柵らしい形状、構造力学的な合理性を有する形状とすることを基本とします。

    • 周辺景観との融和を図ります
       防護柵自体が周辺景観に融和し、風景の一部として違和感なく存在し得るような形状・色彩の工夫を行うことを基本とします。

    • 近接する他の道路付属物等との景観的調和を図ります
       近接する道路施設との景観的調和を図ることを基本とします。

    • 人との親和性に配慮します
       ボルトのなどの突起物、部材の継ぎ目などにより歩行者に危害を及ぼすことのない形状とすることを基本とします。

    防護柵の色彩

    • 「白を標準」を見直し
       防護柵の色彩については、従来のように白を標準とするのではなく、それぞれの地域において地域特性に応じた色彩基準等を定めることを基本とします。

    • 鋼製防護柵の基本色を提示
       鋼製防護柵については、ガードパイプはダークブラウン(こげ茶色)を、ガードレールはグレーベージュ(薄灰茶色)を基本とする色として提示しています。加えて、明るい色彩が基調となっている海岸部等においてはオフホワイト(乳白色)を、歴史的街並みにおいてはダークグレー(濃灰色)を、候補色として提示しています。

    • 試行し基本色の標準マンセル値を決定
       鋼製防護柵の基本色については、今後、実際の道路において試行的に塗装を行い、標準マンセル値を決定することとしております。


<参考1:検討経緯と今後の予定について>

 防護柵は、道路に沿って連続的に設置されることから道路景観を構成する要素の一つとなっています。これまで、防護柵は白が標準的に用いられてきましたが、今後、21世紀に美しい国づくりを進め日本の魅力を高めていくためには、防護柵についても景観に配慮したものとしていくことが必要です。
 このため、国土交通省では、景観に配慮した防護柵設置等を推進するためのガイドラインを策定することとし、学識経験者等からなる「景観に配慮した防護柵推進検討委員会」において平成15年5月より4回にわたって審議していただきました。

委員会 開催日 審議内容
第1回 H15年5月16日 ・景観に配慮した防護柵設置の基本的考え方
・地域特性に応じた景観配慮の考え方
第2回 H15年6月30日 ・モデル地区等の防護柵の整備に関する調査について
・ガイドライン骨子(案)について
第3回 H15年8月1日 ・ガイドライン素案検討
第4回 H15年9月2日 ・ガイドライン(案)とりまとめ

 

<今後の予定>

H15年10月 ・ガイドライン(案)の公表
・ガイドライン(案)の基本とする色彩について試行(箇所選定中)
・景観に配慮した防護柵の設置(17モデル地区)
・パブリックコメントの実施
・防護柵設置基準の改定検討
H16年1月 ・基本色の試行結果等を踏まえガイドラインを決定
・防護柵設置基準の改定(決定)
・ガイドラインを各道路管理者に参考配布
・防護柵設置基準の改定を各道路管理者に通知
H16年4月 ・景観に配慮した防護柵設置を原則化


<参考2:検討委員会 委員名簿(敬称略)>

委員長 天野 光一 日本大学理工学部社会交通工学科 教授
委員 佐々木 葉 早稲田大学理工学部社会環境工学科 教授
 〃 吉田 愼悟 色彩計画家
 〃 吉岡 耀子 (株)JAF MATE社 出版部長
 〃 三井田康記 特定非営利活動法人(NPO)さんが俥座 理事長
 〃 松本 道湛 鋼製防護柵協会技術委員会 委員長
 〃 川畑 耕一 (社)セメント協会コンクリート普及専門委員会 委員長代行
 〃 弘永 眞人 (社)日本アルミニウム協会土木製品開発委員会 委員長
 〃 今村 浩人 (財)林業科学技術振興所 理事
 〃 藤田 保雄 福島県土木部道路領域道路企画グループ 参事
 〃 萩原 松博 東京都建設局道路管理部安全施設課 課長
 〃 栗原 廣行 広島市道路交通局道路部 整備担当部長
国交省 中島 威夫 国土交通省道路局国道・防災課 課長
 〃 森永 教夫 国土交通省道路局地方道・環境課 課長
 〃 大西 博文 国土交通省国土技術政策総合研究所 道路研究部長
 〃 三浦 真紀 国土交通省道路局地方道・環境課 道路交通安全企画官
 〃 森 望 国土交通省国土技術政策総合研究所 道路研究部
道路空間高度化研究室 室長
オブザーバー 各地方整備局、北海道開発局、沖縄総合事務局、各公団


<参考3:ガイドライン(案)の要旨>

  1. ガイドラインの概要
    1−1 ガイドラインの目的と役割
     本ガイドラインは、「美しい国づくり政策大綱」を契機として、道路景観全体の向上を目指すことを目的に、防護柵の設置・更新を検討するにあたって、本来の安全面での機能を確保した上で景観に配慮するとはどのようなことなのか、その考え方をまとめたものである。
    1−2 適用する道路と防護柵の種類
     本ガイドラインの対象は、全国の全ての道路を対象とし、「防護柵の設置基準」に定められた全ての防護柵を対象とする。
    1−3 ガイドラインの構成
     別紙−1 参照PDF形式

  2. 道路の景観と防護柵に係る課題
    2−1 沿道の特性と道路の景観
     市街地の景観は、道路上からの眺めによっており、沿道の人工的要素が道路空間と道路景観を大きく規定している。自然・田園地域では、沿道の人工的要素の影響は比較的小さく、道路景観は道路自体のデザイン、沿道の立地特性に大きく規定される。
    2−2 道路敷地内からの景観(内部景観)と敷地外からの景観(外部景観)
     道路の景観は、内部景観と外部景観の二つに大別され、道路は、視点場であると同時に眺められる対象でもあることから、内部景観ばかりでなく、外部景観にも配慮する必要がある。
    2−3 防護柵の課題
     【設置上の課題】
    • 必ずしも防護柵としての機能が求められていない場所に設置されている

     【景観上の課題】
    • 周辺景観の中で防護柵が目立っている
    • 外部への眺望が阻害されている
    • 形状、色彩の異なる防護柵が隣接して設置されている
    • 近接して設置される他の道路施設との景観的統一性がない
    • 歩行者が触れる施設としての配慮に欠けている

    <参考> 防護柵の概説
     「防護柵の設置基準・同解説」より防護柵の機能、防護柵の設置区間及び防護柵の種類と形式に関する箇所を引用抜粋。

  3. 景観的配慮の基本理念
    (1)代替策も含め防護柵の必要性を十分に検討する
     植樹帯など景観に優れた他施設での代替も含め、防護柵設置の必要性を十分に検討することを基本とする。
    (2)構造的合理性に基づいた形状とする
     新たな防護柵の設計等にあたっては、本来的な機能を満足させる防護柵らしい形状、構造力学的な合理性を有する形状とすることを基本とする。
    (3)周辺景観との融和を図る
     防護柵は、防護柵自体が周辺景観に融和し、風景の一部として違和感なく存在し得るような形状・色彩の工夫を行うことを基本とする。
    (4)近接する他の道路付属物等との景観的調和を図る
     防護柵は、近接する道路施設との景観的調和を図ることを基本とする。
    (5)人との親和性に配慮する
     防護柵は、ボルトのなどの突起物、部材の継ぎ目などにより歩行者に危害を及ぼすことのない形状とすることを基本とする。

  4. 景観に配慮した防護柵整備にあたっての留意事項
    4−1 防護柵設置の判断と対応
     植樹帯など景観に優れた他施設での代替も含め、防護柵設置の必要性を検討する。
    4−2 形状
     防護柵は、周辺景観に対して目立ちすぎないよう、シンプルな形状とする。
    4−3 色彩(別紙−2 参照
     防護柵の色彩は、地域の特性に応じた適切な色彩を選定することが原則である。
     鋼製防護柵については、防護柵を設置する道路周辺の基調色が、一般的な我が国の街並みや自然等で基調となっているYR系を中心とした色彩の場合には、地域特性、防護柵の形式にあわせて下表に掲げる色から選定することを基本とする。
    • 鋼製防護柵の基本とする色とその標準マンセル値
      基本とする色の名称 標準マンセル値 ※
      ダークブラウン〔こげ茶〕(DB) 10YR 2.0〜3.0/1.0〜2.0 程度
      グレーベージュ〔薄灰茶色〕(GB) 10YR 6.0    /1.0〜1.5 程度
      オフホワイト〔乳白色〕(OW) 10YR 8.5    /0.5     程度
      ダークグレー〔濃灰色〕(DG) 10YR 3.0〜4.0/0.25〜0.5 程度

      ※マンセル値
       ・マンセル値は、色を「色相 明度/彩度」で表記したもので、色を表現する値として一般に使われる。(例えば、マンセル値10YR8.5/0.5とは、色相が10YR、明度が8.5、彩度が0.5であることを示している)

    • 地域特性と防護柵形式に応じた鋼製防護柵の基本とする色
      地域特性 ガードパイプの基本色 ガードレールの基本色
      DB GB OW DG DB GB OW DG
      オフィス街、繁華街      
      歴史的街並み        
      田園、牧草地          
      海岸部      

      DB:ダークブラウン、GB:グレーベージュ、OW:オフホワイト 、DG:ダークグレー

    4−4 防護柵の統一と他施設との調和
     景観的基調が同一の場合には、同一種類(形状、色)の防護柵を設置する。また、近接して設置される他の道路付属物等との調和を図る。
    4−5 視線誘導への配慮
     防護柵については、地域特性に応じた景観への配慮を行い適切な色彩、形状を採用し、視線誘導については、視線誘導標など他の手段により確保する。
    4−6 コストと維持管理
     防護柵は、設置に係るコスト(イニシャルコスト)のみならず、維持管理、修繕に関わるコスト(ランニングコスト)をも十分に考慮する。
    4−7 その他
     道路の工事中及び暫定供用中においては、仮設用として適切な機能を有し、かつ景観に配慮した施設を用いる。

  5. 景観的な配慮が特に必要な地域・道路
     1地域の中心地区等において街の骨格を形成する道路、地域にとってシンボルとなる道路、多くの人が集まる地域
     2歴史的価値の高い施設周辺、もしくは歴史的街並みが形成されている地域
     3遠景、中景、近景を問わず、山岳や景勝地等が望め、眺望に優れた道路
     4道路周辺の空間に広がりがあり(海岸、湖沼、田園等)、道路空間と周辺空間を分断することが好ましくない道路
     5その他、地域の人にとって特別な意味のある地域・道路

  6. 景観に配慮した防護柵整備の進め方
    6−1 防護柵に係るマスタープランの策定
     マスタープランは、防護柵の統一性や連続性を図る地域や区間の単位と景観的な配慮が特に必要な地域・道路を示すとともに、それらの地域等における景観的な配慮方針を示すものである。
    6−2 マスタープランに基づく防護柵の選定
     防護柵の新設、更新にあたっては、マスタープランにおいて示された景観的な配慮方針に基づいて、適切な防護柵を選定する。
    6−3 地域意見のとりまとめ
     防護柵に係るマスタープランの策定段階等において、地域意見の聞き取りとその結果のとりまとめを行う。
    6−4 事後評価の実施
     景観に配慮して設置した防護柵について、安全面、景観面及び維持管理面の観点から事後評価を実施し、今後の防護柵整備や維持管理に反映する。

戻る

 PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Acrobat Readerが必要です。右のアイコンをクリックしてAcrobat Readerをダウンロードしてください(無償)。
 Acrobat Readerをダウンロードしても、PDFファイルが正常に表示されない場合はこちらをご参照下さい。

アクロバットリーダーホームページへ
(ダウンロード)

ライン
All Rights Reserved, Copyright (C) 2003, Ministry of Land, Infrastructure and Transport