景観配慮の基本理念
新たな防護柵の設計等にあたっては、本来的な機能を満足させる防護柵らしい形状、構造力学的な合理性を有する形状とすることを基本とします。
防護柵自体が周辺景観に融和し、風景の一部として違和感なく存在し得るような形状・色彩の工夫を行うことを基本とします。
近接する道路施設との景観的調和を図ることを基本とします。
ボルトのなどの突起物、部材の継ぎ目などにより歩行者に危害を及ぼすことのない形状とすることを基本とします。
防護柵の色彩
鋼製防護柵については、ガードパイプはダークブラウン(こげ茶色)を、ガードレールはグレーベージュ(薄灰茶色)を基本とする色として提示しています。加えて、明るい色彩が基調となっている海岸部等においてはオフホワイト(乳白色)を、歴史的街並みにおいてはダークグレー(濃灰色)を、候補色として提示しています。
鋼製防護柵の基本色については、今後、実際の道路において試行的に塗装を行い、標準マンセル値を決定することとしております。
防護柵は、道路に沿って連続的に設置されることから道路景観を構成する要素の一つとなっています。これまで、防護柵は白が標準的に用いられてきましたが、今後、21世紀に美しい国づくりを進め日本の魅力を高めていくためには、防護柵についても景観に配慮したものとしていくことが必要です。
このため、国土交通省では、景観に配慮した防護柵設置等を推進するためのガイドラインを策定することとし、学識経験者等からなる「景観に配慮した防護柵推進検討委員会」において平成15年5月より4回にわたって審議していただきました。
委員会 | 開催日 | 審議内容 |
---|---|---|
第1回 | H15年5月16日 | ・景観に配慮した防護柵設置の基本的考え方 ・地域特性に応じた景観配慮の考え方 |
第2回 | H15年6月30日 | ・モデル地区等の防護柵の整備に関する調査について ・ガイドライン骨子(案)について |
第3回 | H15年8月1日 | ・ガイドライン素案検討 |
第4回 | H15年9月2日 | ・ガイドライン(案)とりまとめ |
H15年10月 | ・ガイドライン(案)の公表 |
〜 | ・ガイドライン(案)の基本とする色彩について試行(箇所選定中) ・景観に配慮した防護柵の設置(17モデル地区) ・パブリックコメントの実施 ・防護柵設置基準の改定検討 |
H16年1月 | ・基本色の試行結果等を踏まえガイドラインを決定 ・防護柵設置基準の改定(決定) |
〜 | ・ガイドラインを各道路管理者に参考配布 ・防護柵設置基準の改定を各道路管理者に通知 |
H16年4月 | ・景観に配慮した防護柵設置を原則化 |
委員長 | 天野 光一 | 日本大学理工学部社会交通工学科 教授 |
委員 | 佐々木 葉 | 早稲田大学理工学部社会環境工学科 教授 |
〃 | 吉田 愼悟 | 色彩計画家 |
〃 | 吉岡 耀子 | (株)JAF MATE社 出版部長 |
〃 | 三井田康記 | 特定非営利活動法人(NPO)さんが俥座 理事長 |
〃 | 松本 道湛 | 鋼製防護柵協会技術委員会 委員長 |
〃 | 川畑 耕一 | (社)セメント協会コンクリート普及専門委員会 委員長代行 |
〃 | 弘永 眞人 | (社)日本アルミニウム協会土木製品開発委員会 委員長 |
〃 | 今村 浩人 | (財)林業科学技術振興所 理事 |
〃 | 藤田 保雄 | 福島県土木部道路領域道路企画グループ 参事 |
〃 | 萩原 松博 | 東京都建設局道路管理部安全施設課 課長 |
〃 | 栗原 廣行 | 広島市道路交通局道路部 整備担当部長 |
国交省 | 中島 威夫 | 国土交通省道路局国道・防災課 課長 |
〃 | 森永 教夫 | 国土交通省道路局地方道・環境課 課長 |
〃 | 大西 博文 | 国土交通省国土技術政策総合研究所 道路研究部長 |
〃 | 三浦 真紀 | 国土交通省道路局地方道・環境課 道路交通安全企画官 |
〃 | 森 望 | 国土交通省国土技術政策総合研究所 道路研究部 道路空間高度化研究室 室長 |
オブザーバー | 各地方整備局、北海道開発局、沖縄総合事務局、各公団 |
(1)代替策も含め防護柵の必要性を十分に検討する
植樹帯など景観に優れた他施設での代替も含め、防護柵設置の必要性を十分に検討することを基本とする。
(2)構造的合理性に基づいた形状とする
新たな防護柵の設計等にあたっては、本来的な機能を満足させる防護柵らしい形状、構造力学的な合理性を有する形状とすることを基本とする。
(3)周辺景観との融和を図る
防護柵は、防護柵自体が周辺景観に融和し、風景の一部として違和感なく存在し得るような形状・色彩の工夫を行うことを基本とする。
(4)近接する他の道路付属物等との景観的調和を図る
防護柵は、近接する道路施設との景観的調和を図ることを基本とする。
(5)人との親和性に配慮する
防護柵は、ボルトのなどの突起物、部材の継ぎ目などにより歩行者に危害を及ぼすことのない形状とすることを基本とする。
基本とする色の名称 | 標準マンセル値 ※ |
---|---|
ダークブラウン〔こげ茶〕(DB) | 10YR 2.0〜3.0/1.0〜2.0 程度 |
グレーベージュ〔薄灰茶色〕(GB) | 10YR 6.0 /1.0〜1.5 程度 |
オフホワイト〔乳白色〕(OW) | 10YR 8.5 /0.5 程度 |
ダークグレー〔濃灰色〕(DG) | 10YR 3.0〜4.0/0.25〜0.5 程度 |
地域特性 | ガードパイプの基本色 | ガードレールの基本色 | ||||||
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DB | GB | OW | DG | DB | GB | OW | DG | |
オフィス街、繁華街 | ● | ● | ● | ● | ● | |||
歴史的街並み | ● | ● | ● | ● | ||||
田園、牧草地 | ● | ● | ● | |||||
海岸部 | ● | ● | ● | ● | ● |
地域の中心地区等において街の骨格を形成する道路、地域にとってシンボルとなる道路、多くの人が集まる地域
歴史的価値の高い施設周辺、もしくは歴史的街並みが形成されている地域
遠景、中景、近景を問わず、山岳や景勝地等が望め、眺望に優れた道路
道路周辺の空間に広がりがあり(海岸、湖沼、田園等)、道路空間と周辺空間を分断することが好ましくない道路
その他、地域の人にとって特別な意味のある地域・道路
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