国土交通省
 JR東日本に対する事業改善命令の交付について
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平成15年12月19日
<問い合わせ先>
鉄道局施設課

 (内線40862、40802)

TEL:03-5253-8111(代表)

 

  JR東日本に対し12月17日付けで「不利益処分に係る弁明の機会の付与」の通知を行っていたところ、昨日18日同社から「弁明書を提出しない」旨の文書の提出があったことから、本日13時30分鉄道局森下保壽技術審議官からJR東日本石田義雄副社長に対し、別添のとおり事業改善命令を手交しました。


国鉄施第68号
平成15年12月19日

 

東日本旅客鉄道株式会社
 代表取締役社長 大塚 陸毅 殿

 

国土交通大臣  
    石原 伸晃

 

 

工事の実施方法に関する事業改善の命令

 平成15年9月28日に発生した貴社中央線三鷹〜国分寺間の高架切換工事における輸送障害及び同年10月6日に発生した京浜東北線大森〜大井町間の軌道工事における輸送障害によって、利用者の利便を著しく阻害したことは誠に遺憾である。
 これらの輸送障害を踏まえ、同年10月21日から23日まで貴社に対する保安監査を実施したところ、これらの原因が鉄道施設に関する工事の実施方法にあることが明らかになった。
 このような状態が継続されることは、同様の利用者の利便を阻害する事態又は重大な事故が発生する恐れが懸念されるところである。かかる事態を事前に防止するため、鉄道事業法(昭和61年法律第92号)第23条第1項の規定に基づき、下記の事項について改善措置を講ずるよう命令する。
 講じた措置の状況については、平成16年2月18日までに報告されたい。

  1. 請負会社が行う工事についての管理体制の見直し
     請負会社が行う工事の管理体制について確認された事実は以下のとおりであった。
    (1)試験の実施内容の確認
     平成15年9月28日の中央線切換工事において、東日本旅客鉄道株式会社(以下「JR東日本」という。)は、切換当日までに請負会社が行った試験の内容がJR東日本の社内規程どおりに実施されているか否かを十分確認していなかった。
     この結果、社内規程どおりに実施されていれば切換当日までに発見できた配線誤り及び配線未施工を発見できなかった。

    (2)工事終了時の安全確認体制
     平成15年10月6日の京浜東北線の軌道工事では、JR東日本は請負会社に対して安全確認の範囲及び方法を具体的に指示しておらず、その結果、請負会社が行った工事終了時の安全確認が不十分なものとなった。
     よって、JR東日本は、鉄道輸送の最終責任を負う鉄道事業者として、試験の実施内容の確認を適切に行うとともに、工事終了時の安全確認を適切に行うよう請負会社を管理すること。

  2. 請負会社に対する施工の指示の適正化
     平成15年9月28日の中央線切換工事においては踏切保安設備に関する図面の社内承認が大幅に遅れた結果、請負会社に対する施工の指示が本来必要である社内承認を得ていない図面により行われていることが認められた。
     よって、JR東日本は、工事の規模に見合った工程管理を行い、社内承認された図面により請負会社へ施工の指示を行うこと。

  3. 工事における試験方法の見直し
     平成15年9月28日の中央線切換工事では、配線の一部を切換日前に施工し、切換当日に最終施工した複数の箇所において、切換当日に配線誤りが発見された。これらの中には、JR東日本において既に実績のある模擬試験装置による試験等を切換日前に行うことが可能な箇所も認められることから、こうした試験が行われていれば、切換日前に配線誤りが発見でき、切換当日の混乱の拡大を回避することが可能であったと考えられる。
     よって、JR東日本は、切換工事に伴い利用者が負う不便を最小限にする観点から、切換当日の施工箇所についても可能な限り切換日前に試験を行うようJR東日本及び請負会社の試験方法を見直すこと。

     

     この処分に不服があるときは、処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に、国土交通大臣に対し異議申立てをすることができる。

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