平成15年3月26日 |
<問い合わせ先> |
港湾局環境・技術課 |
環境整備計画室(内線46685)
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TEL:03-5253-8111(代表) |
- 概要
平成12年1月にダイオキシン類対策特別措置法が施行されたことをうけ、ダイオキシン類による水底の底質の汚染に係る環境基準(基準値:150pg-TEQ/g)が新たに平成14年7月に告示され、同年9月1日から施行された。
これに伴い、港湾整備等のための浚渫の実施にあたって環境基準値を超える底質のダイオキシン類汚染が確認された場合、その対策を講ずることが必要となった。
このような状況のもと港湾における底質ダイオキシン類対策を安全かつ的確に実施するための方策を検討するため、平成14年10月に学識経験者等から構成される委員会(委員長:清水 誠東京大学名誉教授)を設けて幅広い観点から審議いただいた。その成果を踏まえ、当局において今般、「港湾における底質ダイオキシン類対策技術指針」をとりまとめた。
- 指針の目的と位置づけ
本技術指針は、港湾区域内における「公共用水域の水底の底質の常時監視」や「浚渫工事等の事前調査」の結果、底質環境基準値を超えるダイオキシン類を含む底質の存在が確認され、対策を講じる場合に適用するものである。
なお、底質ダイオキシン類対策については、現在も、各方面で研究・開発が進められているため、本技術指針は、今後の更なる技術開発や対策実績の積み重ねを踏まえ、逐次、改訂していくこととしている。
- 指針の内容
(1)底質調査
底質調査は、汚染範囲等を確定するため、概況調査、精密調査の2段階で調査を行う。概況調査においては、汚染分布の概略を把握(概ね1km格子間隔)し、汚染経路の推定等を実施する。精密調査においては、汚染範囲および汚染底質量を確定するために、詳細な平面分布(100~200m格子間隔)及び深度方向の広がりを把握する。
(2)底質ダイオキシン類対策
底質ダイオキシン類対策の基本的な考え方は、底質ダイオキシン類が食物連鎖を通じて魚介類に蓄積され、汚染された魚介類を人が間接的に摂取する経路を遮断することである。
経路を遮断するための対策は、
浚渫・掘削除去、
覆砂、
原位置固化処理の3方法があり、対策の選定にあたっては、施工の難易度、コストなどの比較検討を行い、既存構造物への影響、港湾利用への影響等に配慮し、個々の港湾ごとの特性に応じた最適な対策を選定する必要がある。
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浚渫・掘削除去
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汚染底質を浚渫・掘削除去し、埋立等の最終処分を行う方法である。この方法は汚染底質が除去されるため確実な方法であるが、最終処分のために埋立地の確保や場合によっては分解無害化処理が必要である。
浚渫・掘削除去の最終処分方法は、2つに大別される。第一の方法は、海面埋立処分である。この場合、濁り防止対策、埋立地周辺におけるモニタリング等により、ダイオキシン類による汚染がないよう管理する必要がある。また、処分が完了した後も埋立地周辺における継続的なモニタリングが必要である。
第二の方法はダイオキシン類濃度が3,000pg-TEQ/g以上の高濃度の場合、ダイオキシン類を分解無害化する方法である。この方法は、現段階では底質への適用事例がないため、技術開発の動向、経済性等を踏まえ、実施することが必要である。
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覆砂
- 汚染底質の上に良質な土砂などを撒布することにより、経路を遮断する方法である。この方法は、最終処分を行う必要がなく、比較的安価であるが、汚染底質は海底にそのまま残置されているために、覆砂層が波等に対して安定していることが必要であり、継続的なモニタリングが必要である。
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原位置固化処理
- 汚染底質に、原位置または作業船上等気中でセメント系固化材を混合することにより固化し、経路を遮断する方法である。この方法は、最終処分を行う必要がないが、固化層中にダイオキシン類が存在するため、固化層の状態を確認するための継続的なモニタリングが必要である。
(4)モニタリング
底質ダイオキシン類対策の実施にあたっては、工事着手前、工事中、工事完了後の各段階毎にモニタリング計画を策定して、モニタリングを行い、ダイオキシン類による汚染の防止に努めなければならない。
工事着手前調査は、工事を行う前の対象海域の状況を把握するために行う。工事中のモニタリングは汚染の拡散が発生していないかを監視するために行う。工事完了後のモニタリングは対策の効果を確認するために行う。

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