平成15年8月21日 |
<問い合わせ先> |
港湾局海岸・防災課 |
(内線46294) |
TEL:03-5253-8111(代表) |
座長 | 黒田 勝彦 | (神戸大学教授) | |
委員 | 家田 仁 | (東京大学大学院教授) | |
委員 | 石黒 一彦 | (神戸商船大学講師) | |
委員 | 小幡 純子 | (上智大学教授) | |
委員 | 片田 敏孝 | (群馬大学助教授) | |
委員 | 黒川 和美 | (法政大学教授) | |
委員 | 重川希志依 | (富士常葉大学教授) | |
委員 | 中林 一樹 | (東京都立大学教授) | |
委員 | 荻原征三郎 | (産経新聞解説委員) | |
委員 | 小嶋 富男 | (NHK報道局気象・災害センター長) | |
委員 | 川合 正矩 | (日本通運株式会社取締役) | |
委員 | 関根 博 | (日本郵船株式会社安全・環境グループグループ長) | |
委員 | 中野 格 | (前兵庫県港湾協会専務理事) | |
委員 | 松本 忠雄 | (花王株式会社取締役) | |
その他、地方公共団体の防災関係者、港湾関係者が委員として参画 |
これまでの2回の研究会において行ってきた議論を集約して、今後の港湾の防災に関して必要な施策やその進め方など提言(案)について議論を行った。以下のような委員からの指摘事項を踏まえて、座長一任のもと、提言のとりまとめを行った。
提言の概要は別添のとおり。
別添
【提言の概要】
国民の生命、財産を地震、津波、高潮等の大規模自然災害から守り、経済産業活動等への影響を極力軽減できるよう災害に強い港づくりを進める必要がある。また、大規模災害が発生した場合、港湾は、被災直後から緊急物資輸送や住民の避難、移動等において所要の役割を果たすとともに、 地域の復興にも貢献できるようその機能を早期に回復する必要がある。そのため、地域防災計画や港湾計画に、大規模地震対策として当該港湾に必要な施設やその役割等を明確化し、以下の施策を実施すべきである。
(1)セーフティ機能(港湾及び港湾背後地を防護する機能)の発揮
防波堤による津波被害の防止・軽減
港湾の資産や物流機能並びに港湾で働く人々や市民の生命を津波から守るため、防波堤の津波に対する被害の防止・軽減効果について検証し、効果的な防波堤の計画とする。
津波に対する避難地の確保と情報伝達等
津波の来襲に対して緊急に避難できる高台等の避難地とそこまでの避難ルートを確保するとともに、関係者や市民に対して日頃から十分に情報提供を行う。また、港湾で働く人々や市民を避難地等へ迅速に誘導するための情報伝達システムを構築する。
さらに、港内の放置艇対策を進める。
(2)ゲートウェイ機能(被災地への輸送拠点となる機能)・バイパス機能(被災地を迂回・代替輸送する機能)の発揮
情報収集・伝達の迅速化
国と港湾管理者との間の防災情報ネットワークシステムを構築し、併せて民間企業や港湾利用者との情報交換につとめ、災害時は被害情報の迅速な収集と関係者への適切な伝達をはかる。
基幹的な物流機能の確保(物流ネットワークの再構築等)
港湾EDI等の情報通信システムを活用して、港湾利用者に被災港の被害状況や代替港に関する情報を適切に提供し、円滑な代替港での利用を図る。国は、港湾管理者やコンテナターミナル等を運営する埠頭公社等の関係者と協力して利用者の誘導を図る。
また、耐震強化されているコンテナターミナル(地域のコンテナターミナルの約3割)の能力を最大限に活用し、被災地域の経済産業の早期回復を図るため、、被災時のターミナルの運営方法について関係者間の合意形成を図っておく。
耐震強化施設空白地域の早期解消
大規模地震の切迫性の高い地域等において耐震強化岸壁の整備や臨港道路の耐震強化を重点的に行い、概ねの目標年次としている2010年までに耐震強化岸壁の空白域の解消を図る等、より具体的な政策目標を掲げて取り組む。
老朽化した耐震強化岸壁等の改良
老朽化した耐震強化岸壁等の改良に当たって、補強工法について施工の簡便性やコストの削減など技術開発を進め、計画的な事業推進を図る。
応急復旧の進め方
応急復旧工事の優先順位の考え方や国と港湾管理者の協力・連携の在り方をあらかじめ検討しておき、被災時には情報を共有化し迅速に対処する。
(3)スペース機能(災害復旧支援の場を提供する機能)の発揮
耐震強化岸壁の整備や臨港道路の実施と併せて、これら施設の防災機能をより効果的に発現させるため、緊急物資の仕分けや一時保管、ヘリポート等に対処できるオープンスペースや非常用電源等ライフラインを確保する。
その際、臨海部の企業用地の活用や河川行政、都市行政との連携により効率的かつ効果的な防災体制を整える。
また、被災時の瓦礫の迅速な処分が可能となるよう必要に応じて事前に処分計画を港湾計画に位置付ける。
(1)国の果たすべき役割の明確化
大規模・広域的な災害に対しては、国が主体的に対応していく。国は、通常時から港湾施設の情報に加え、全国的な港湾の利用状況の把握に努め、災害時には被災情報の一元的把握・情報提供と併せて、利用状況について関係港湾管理者や利用者に情報提供を行う。
また、緊急物資の輸送や幹線物流の維持のために道路行政や海事行政と連携を図りながら緊急輸送道路や代替港を指定する等全国的な交通ネットワークの観点から対処する。
(2)防災の観点からの港湾行政の確立
津波防止機能を重視した防波堤や防災を主目的とした耐震強化岸壁の整備等防災の観点から事業評価が可能となる仕組みを確立する。また、被災時の情報収集・伝達システムの構築とともに、防災に対応した人材育成を図る。
(3)関係者が連携した総合的な取り組み
東京湾、大阪湾等のように、異なる港湾管理者により管理された複数の港湾が隣接している地域においては、港湾の計画、利用、環境の保全等とともに、防災の観点からも国及び港湾管理者が相互に連携して取り組む。更に、国、港湾管理者、
立地企業等の関係者からなる協議会等を設置し、情報の共有、研修・訓練の実施等大規模自然災害に備える。
(4)市民の自助意識の向上
地域住民やNPO等市民の参加によるみなとづくり、海辺づくりを進めて行くと同時に、港や海辺における津波の危険性と津波からの避難方法等防災に対する意識の向上を図る。また、地震発生時に適切な行動がとれるように避難地や避難ルートについての広報活動を展開する。
本提言は、防災について、港湾において取り組むべき課題を中心にまとめたものであるが、港湾の防災に関しては、国、港湾管理者、関係地方公共団体、民間企業、一般市民等様々な関係者が存在している。 このため、防災の施策をより効果的に進めるため、今後、これら関係者と積極的に協力・連携を図り、施策を実施していくことが重要である。
※提言全文については、以下の連絡先までご連絡願います。
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