国土交通省
 G8司法・内務閣僚級会合
 〜国土交通省関連結果について〜

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平成16年5月12日
<問い合わせ先>
総合政策局国際企画課

(内線25752、25755)

港湾局管理課保安対策室
 建設課国際業務室

(内線46-552)

航空局監理部総務課
ハイジャック・テロ防止対策室

(内線48133、48164)

TEL:03-5253-8111(代表)


 

 

  1. G8司法・内務閣僚級会合について
     テロリズム及び国際組織犯罪に対する国際的取組みの強化を目的とするG8司法・内務閣僚級会合が、5月10〜11日、本年のサミット議長国である米国(ワシントンD.C.)において、シー・アイランド・サミットに向けて、下記の議題について協議するために開催された。

    【主要議題】
     (イ)テロ及び犯罪行為の防止
     (ロ)国境及び移動の安全確保
     (ハ)サイバー犯罪の防止とサイバー捜査の推進
     (ニ)外国公務員の腐敗対策

    【出席者】
     G8及び欧州連合の司法・内務大臣等
     日本側代表団:国土交通省からは越智大臣官房参事官(危機管理担当)。
              本会合を主管する法務省、警察庁からは、検事総長、警察庁次長その他。
              外務省からは、国際テロ対策協力室長その他。

  2. 国土交通省関連の主要部分について
     当省関連では、主要議題(ロ)国境及び移動の安全確保に関連して、港湾・海事保安、航空保安等に関する議論が行われ、5月11日に取りまとめられたコミュニケ(別添:仮訳)において、関連する内容が包含されている。
     コミュニケにおける関連内容は、以下のとおり。

    国境におけるセキュリティの強化
     
    港湾・海事保安

    • 国際港湾及び海運のセキュリティを確保するために、各国が自らの意思によりISPSコードの遵守状況を検証できるよう、任意の自己監査を行うためのチェックリストを策定することについて合意。
      (注:ISPSコードとは、International Ship and Port facility Security コードの略で、2002年12月にSOLAS条約締約政府会議の決議2により採択された船舶と港湾施設の保安のための国際基準)

     航空保安

    • MANPADSに関し、空港及びその周辺における防護手段の重要性について合意し、空港の安全の確保とMANPADS攻撃に対する脆弱性の最小化のための作業を行っていく。
      (注:MANPADSとは一人の個人により運搬され発射され得るよう特別に設計された携帯式地対空ミサイルシステムのことである。)

    〔別添資料〕
    別添:コミュニケ仮訳(ただし、添付文書は省略。)


G8司法内務閣僚会合
2004年5月11日 ワシントン

コミュニケ(仮訳)

 2001年9月11日のテロリスト攻撃の後、我々はモン・トレンブランにおいて、そしてパリにおいて再度会し、我々の資源を結集してテロリズム及び最も深刻な形態の犯罪と闘うことを約束した。国際的なテロリストと犯罪者の継続する脅威が、再び我々を参集させた。
 我々は今、引き続き起きている別の恐ろしい出来事〜直近では約200人が死に、1000人以上が負傷し障害を負った2004年3月11日のマドリードにおける爆破〜に直面している。これらの行為を犯した自由な人々の敵は、再び攻撃を試みるであろう。それゆえ、ここに、我々の市民の安全をさらに守るために我々がとろうとしている多くの取組みの概略を述べることとするものである。

テロ及び犯罪行為の防止

  1. テロリストの攻撃防止のための法制度強化に関する勧告
     全ての国が、例えテロリストの特定の目標が明らかでなく、攻撃が切迫していない場合であっても、テロリストやその支援者に対する効果的な法執行活動を許容する法制度を保持していることが不可欠である。各国はテロ行為に関与する人間の勧誘やテロリストに対する物質的支援の提供を含む幅広いテロ支援行為を犯罪化し、訴追しなければならない。我々は今日、我々の専門家が発出したこれに関する勧告(添付)を支持し、他国に対しこれを自国の法制度に取り入れることを促す。

  2. 特別捜査技術に関する原則
     テロリスト及び組織的犯罪グループへの効果的な対処はしばしば、プライバシーや他の国内法に従いつつ、例えば身分偽装した捜査員の利用や音声及び映像の傍受や録音機器などの進歩した捜査技術による証拠の収集能力を必要とする。加えて、情報を持った証人が法執行機関に協力することを奨励するような、特に報復を受ける可能性のある証人の保護のための適切な手段も存在しなければならない。我々は今日、我々の専門家が発出したこれに関する勧告(添付)を支持し、国際社会の検討に託する。

  3. 国家安全保障に関する諜報情報の捜査及び訴追における使用
     諜報情報はテロとの闘いにおける決定的要素である。各国は、適切な状況において、より確実にテロ行為を防止し及び中断させ、またテロリストを訴追するために、諜報機関と法執行機関との間での時宜を得た国境を越える国家安全保障に関する情報の共有を改善しなければならない。我々は、我々の専門家のこれに関する勧告(添付)に賛成し、他国にこの採択されたプラクティスを自国の手続に取り入れることを促す。 

    国境と輸送安全の強化

  4. 庇護手続の濫用の防止に関する原則
     2001年10月29日、我々の政府は「国際法に合致しつつ、テロ行為の実行者、組織者又は促進者に対して難民の地位を付与しないための協力を確保する」ことを約束した。今日、我々は、真の庇護申請者を迫害から保護しつつ、テロリストによる庇護制度の濫用を防止するという我々の決意を再確認する。我々は、国内法制の採択、及び可能な場合に庇護申請者の秘密とプライバシーの利益もまた十分に考慮しつつ庇護申請者に関する情報を共有するメカニズムのための、国際的義務に従った二国間協定交渉を推奨する、我々の専門家が合意した原則(添付)を支持する。

  5. 国境の安全及び紛失・盗難旅券に関する声明
     テロリストは、我々の国に入国するため、不法入国や不正な移民手続を含むあらゆる可能な手法を開拓しようとする。紛失・盗難された未使用(白紙)旅券は、いかなる所持者に対しても高い信用性を持つ身分証明書を作るのに利用され得ることから、深刻な脅威となる。これに対処するため、我々は保管されている白紙旅券の安全強化のための世界的基準を促進するとともに、旅券の悪用に関するより広い情報共有への第一歩として、インターポールを通じて紛失・盗難された白紙旅券に関する情報共有の手段を開発することに合意した。我々の専門家は、G8各国のインターポールの「紛失・盗難旅行文書」データベースへのより広い参加可能性を含めて、この問題についての検討を継続する。

  6. 港湾保安
     国際港湾及び海運の脆弱性は、テロリストの利用するところとなりうることから、国際貿易の円滑化のために極めて重要な国際港湾及び海運について、そのセキュリティを確保するために(国際的な)協力は不可欠である。
     我々は、かかる脅威に対処する等のため、国際海事機関(IMO)における検討を推進するためにも、各国が自らの意思によりISPSコードの遵守状況を検証するための任意の自己監査を行えるようにすべく、専門家グループに監査用チェックリストを策定させることについて合意した。当該リストは、ISPSコードの遵守に係る制度につき、IMO加盟国間における調和を図るとともに、IMOその他の機関を通じた国際的な協力をより一層推進する上で、1つのモデルとなりうるものである。

  7. バイオメトリクス指標の旅行文書への導入
     旅行文書の安全は、チップにバイオメトリクス特徴を組み込むことで著しく増大する。旅券へのバイオメトリクス識別の導入への作業は加速されるであろう。各国は世界的な相互運用性に基づくこのような文書の導入に必要な方策を採る。我々はパリにおける閣僚会合の指示に従って会合を行い、大変有益な情報と見解の交換に従事した専門家に感謝する。

  8. MANPADS(携帯式地対空ミサイル)脅威の緩和
     我々は空港及びその周辺における防護手段の重要性に合意し、空港の安全の確保とそのMANPADS攻撃に対する脆弱性の最小化のための作業を行っていく。

    サイバー犯罪との闘い及びサイバー捜査の強化

  9. 国際的キャパシティーの構築
     世界的なテロ及び犯罪行為についての防止及び闘いに関する我々の作業の主要な側面は、電気通信及びサイバースペースの自由を利用し公共の安全を脅かす者に対応すべく我々の能力を強化することである。ハイテク犯罪のための24時間コンタクトポイントのネットワークは、1997年にG8各国の間で設立されたものであるが、今ではほぼ5倍の規模となっている。3月には、我々のG8専門家がこのネットワークのメンバーのためにローマにおいてトレーニング会合を主催したところ、6大陸のコンピュータ犯罪ユニットの上級代表が参加し、国境を越えた緊急の捜査の実務的側面の改善を焦点として取り上げた。我々は、我々以外にも拡がるこの種の能力形成を奨励し、実践的訓練に伴う実務的側面を組み合わせるためのさらなる努力を求める。

  10. 国内法の強化の継続
     テロリストやインターネットの犯罪利用と闘うための世界的な能力を真に構築するため、すべての国はコンピュータ・ネットワークの悪用を犯罪化し、インターネット関連捜査についてのより迅速な協力を認めるよう法を改善し続けなければならない。欧州評議会のサイバー犯罪に関する条約が2004年7月1日に発効することを受け、我々は同条約の規定する法的基準の幅広い採択を促進するための方策を採らねばならない。

  11. インフラ防護とベスト・プラクティス
     昨年我々が承認した「重要情報インフラ防護に関する原則」に含まれる重要な要素が、その後国連総会において採択されたことは喜ばしい。今日、我々は、ネットワーク・セキュリティ、事案対処及び法執行機関への報告のためのベスト・プラクティス(添付)を支持し、被害者及び通信事業者との協力を改善するための同種の努力を奨励する。

    外国公務員の腐敗との闘い及び盗まれた国家財産の回復

  12. 腐敗との闘い
     我々は、腐敗という災いとの闘いにおいて第三国、特に発展途上国を援助する必要性について討議した。高級公務員による大規模な腐敗は世界的な問題であり、特に発展途上国において深刻な様相を示していることから、我々はこれらの不正に取得された資産の返還を促進するために立案されたイニシアティブに合意した。

  13. 国連腐敗防止条約
     我々は、国連腐敗防止条約の最終的承認を歓迎し、早期の署名並びに批准及び実施のために必要な全ての方策の完了を求める。我々の政府は、この条約の言葉を効果的な行動に移すこと及び第三国、特に発展途上国によるこの条約の目的の実現を援助することを約束する。

    将来の作業へのコミットメント

  14.  我々の努力の成果を実現するため、我々は,合意した行動が幅広く実施されること、及び全ての適切な国際的フォーラムや志を同じくする国々と我々の作業を調和させることを確保しなければならない。我々には、各国に対し、我々の集団安全保障に寄与するような技術支援及びキャパシティ・ビルディングによる援助を行う用意がある。我々は、我々自身によるこれらの行動の実施状況を、個別に二国間協議の一部として、またグループとして次に会合を開催する際に確認することを約束する。
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