国土交通省
 ダムにおける入札契約方式に関する中間とりまとめについて
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平成16年3月11日
<問い合わせ先>
河川局治水課
(内線35612、35613)

電話:03-5253-8111(代表)


 

 国土交通省では、ダム事業におけるコスト構造改革を推進するため、平成15年10月より「ダム における入札契約方式検討委員会」を開催し、コスト縮減に資するダムの入札契約方式等を検討頂いているところ。
 昨日第3回委員会が開催され、委員会における議論をとりまとめた「ダムにおける入札契約方式に関する中間とりまとめ」が作成されたので、お知らせいたします。

 ○議事概要及び「ダムにおける入札契約方式に関する中間とりまとめ」については国土交通省河川局ホームページに掲載予定。


平成16年3月10日
ダムにおける入札契約方式検討委員会

ダムにおける入札契約方式に関する中間とりまとめ

  1. はじめに
     昨今、公共事業予算が減少している状況において、ダム事業に対しては多額の工事費を要し、環境へ大きな影響を与えるなど様々な指摘がなされている。さらに平成15年には幾つかのダムで大幅な総事業費の増加が生じ社会的に注目を浴びる事態も見受けられた。
     一方で、ダムは、洪水被害から地域を守り、渇水時に水を供給する重要な役割を担っており、昨年の台風10号による豪雨に対しても北海道沙流川において二風谷ダムが、防災に大きな効果を発揮したことは記憶に新しい。
     今後もダムの必要性を十分見極めたうえで、必要なダム事業を進めることが重要であるが、その事業推進にあたっては、ダム工事の適正な品質と安全性を確保しつつ抜本的なコスト縮減を図ることが必要である。しかし、現在の入札契約制度では、総価により企業を選定する傾向が強く、民間企業の技術力をより一層活用するためには、企業の提案自由度を高め、技術力で評価することが望ましい。
     本委員会は、ダム事業の推進にあたり安全性を損なわずにコスト縮減を図るための方策を議論・検討することを目的とし、この度中間とりまとめを行ったものである。

  2. コスト縮減に向けた基本的な考え方
     コスト縮減に向けては、様々な取組みが必要である。以下はコスト縮減に資する基本的な考え方をとりまとめたものである。

    2.1 コスト縮減の徹底
     
    国土交通省では、平成15年度から5年間で15%の総合コスト縮減率を達成するという目標を持って、コストの観点から公共事業のすべてのプロセスを見直す「コスト構造改革」が実施されており、ダム事業においてもコスト縮減を図るため、事業全体のコスト(以下、総事業費)縮減及び建設工事に要するコスト(以下、工事費)縮減を、設計段階・工事調達段階等あらゆる段階において、検討しなければならない。
     総事業費の縮減に当たっては、管理する目標値を設定し、経過を管理するとともに目標の達成度を測ることが極めて重要である。また、工事費の縮減に関しては、新技術を導入し、労働生産性を向上することや現場を熟知し工期を短縮するなど、創意工夫を凝らすことが重要であり、民間企業の技術力をより一層活用する必要がある。これまでダム事業においても入札時VE方式等を導入し、技術力の競争を促す入札契約制度の見直しを進めているが、現在までの取り組みでは以下のことなどに改善の余地がある。
     1民間企業から提案を受ける段階が堤体設計等、設計の大半が確定した段階であること
     2提案範囲が狭いこと
     3評価も価格に偏っていること
     4技術提案企業に対してのインセンティブが小さいこと
     今後は、民間企業の技術力競争をより一層推進するため、以下の点を踏まえ入札契約制度を見直すことが望ましい。

    • 早期段階での民間企業の技術力活用
    • 技術提案企業に対するインセンティブの付与
    • 技術力の適正な評価

    2.2 事業費に関する透明性の確保
     これまでダムの事業費に関しては、利水者や地方公共団体等と事業者との間で必ずしも十分に情報が共有されていなかったため、事業費の増加に対し地方公共団体等関係者から不満が出るようなケースがみられる。先述したように総事業費縮減に当たっては、管理する目標値を設定し、経過を管理するとともに、目標の達成度を測ることが極めて重要であり、まずは事業費に関する増加要因等についての説明をできるだけ早い段階から随時行い、事業者間で事業費に関する透明性を確保することが望まれる。また、説明責任の遂行に努め事業の透明化を徹底することにより、コスト縮減への事業者のインセンティブが高められ、コスト縮減が促進されるという効果も期待できる。

    2.3 その他
     事業期間は、総事業費と密接な関係がある。公共事業予算の削減に伴い、ダム事業の毎年度の予算が減少し、適切な毎年度の事業費が確保できない場合、事業期間が延び逆に総事業費の増加を招くおそれもあるため、事業期間と必要な総事業費を見極めて、毎年度の適切な事業費を確保する方法を考えることが重要である。
     また、コスト縮減を重視した結果、構造物の安全性及び機能が低下したり、環境への配慮が損なわれたりしては、本末転倒であり、また総事業費の増加につながることになる。その設計・施工にあたっては所定の品質を確保することに十分注意する必要がある。また事業の透明性を高めること、ダンピング防止のための対応等に配慮することは当然である。

  3. 今後取り組むべき方策(案)
     基本的な考え方を踏まえ、具体的な方策を示す。

    3.1 コスト縮減の徹底
     工事費の縮減に関して、民間企業の技術力競争をより一層推進するための入札契約制度見直しのポイントは、以下の通りである。
    →早期段階での民間企業の技術力活用
     工事調達段階では技術提案の範囲も限定的になるため、設計など早期段階で活発な技術競争を促す仕組みを構築。
     例)設計VE、設計施工一括発注方式の適用等
    →技術提案企業に対するインセンティブの付与
     現在、ダム事業においても設計VE等、技術提案を促す取組みがなされているが、提案内容に応じ相当の評価が得られる等のインセンティブを付与。
     例)提案への対価の支払い等
    →技術力の適正な評価
     これまでも総合評価方式等、技術力を評価するための取組みがなされているが、技術提案者からより自由度の高い発想を引き出し、事業全体の中でその提案を適切に捉え、あるいは、価格以外の指標により適正に評価を実施。
     例)総合評価方式における技術提案範囲の拡大、数量評価方式、代案入札等

    3.2 事業費に関する透明性の確保
     
    昨今、公共事業の進め方として透明性の確保が強く求められているが、ダム事業においても、以下の点を踏まえた事業の進め方が望まれる。
    →事業費に関する情報共有
     利水者や地方公共団体等と事業者との間で事業費や事業費の増加に関する情報の共有に努める。
     例)事業費の推移についての定期公表等

    3.3 その他
     ダムの進捗状況を考慮し、総事業費縮減の観点から事業期間短縮の可能性も勘案しながら、毎年度の適切な事業費を確保し、重点配分を行う等の工夫により、適正な工事執行と財源確保を図ることが重要である。

  4. 今後の予定
     今後は、入札契約制度に関する方策を中心に、法的な課題を含めた整理を行い、具体的な課題と対策を検討しとりまとめていく予定である。


第3回 ダムにおける入札契約方式検討委員会 議事要旨

平成16年3月10日(水)10:00〜12:00 ダム技術センター AB会議室

参加者:小澤委員長、大森委員、草柳委員、豊田委員、水野委員 

要旨

 ダム事業において、民間企業の技術力競争を一層推進することによりコスト縮減を図るための方策について、議論を頂き、中間とりまとめ(案)として作成した。

 次回以降は、中間とりまとめ(案)を踏まえ、設計段階、工事調達段階、建設段階の各段階において、入札契約制度に関する方策を中心に、制度設計等について検討を行う。

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