平成16年5月14日 |
<問い合わせ先> |
河川局河川環境課 |
(内線35442) |
電話:03-5253-8111(代表) |
淡水と海水が混合し、潮の満ち引きや波浪の影響を受けるなど特殊な環境を有する汽水域の河川環境については、その複雑さゆえ、これまで人為的改変(掘削や海域の埋め立て等)による河川環境への影響を事前に予測するために必要な調査・分析手法などは体系的に整理されていませんでした。
汽水域は、多様な生態系を有しており、反面、地形の変化等人為的な影響を受けると淡水と海水の影響のバランスが崩れ、環境への影響を受けやすいといった変化しやすい環境でもあります。
そこで、国土交通省河川局では、平成15年3月に「汽水域の河川環境の捉え方に関する検討会」(委員長:福岡捷二 広島大学大学院教授)を設置し、検討の成果を「汽水域の河川環境の捉え方に関する手引書」としてとりまとめました。汽水域の河川環境の保全に関する手引きが出されるのは今回が初めてのことです。
本手引書では、我が国の汽水域の河川環境における特徴や物理・化学的現象および人為的改変とそれが与える環境への影響との連関等を、利根川など具体の河川における事例を踏まえながらわかりやすく図解し、掘削や埋め立てなどによる環境への影響を予測できるように分析手法を示しました。また、汽水域における河川環境の状況およびそれを形成する物理・化学的現象を把握し、人為的改変による環境への影響を予測するために必要な現地調査の内容を明確にしました。特に河川区域以外の水域に関する地形や底質のデータ等も調査が必要とされているのが特徴です。
本手引書を活用して、河川管理者は、河道掘削や導流堤の建設のようにみずからが事業を行う場合は、その事業による河川環境への影響を予測・評価し、その影響を最小限にとどめます。また、河口部の埋め立てや河口域での海砂採取等の事業の許認可を行う場合は、事業者による河川環境への影響予測を評価し、許認可の判断や改善の指導を行います。さらに汽水域で発生した問題を踏まえて流域の適正な利用等を提言することが可能となります。本手引き書は当省のHPに掲載する予定です。
All Rights Reserved, Copyright (C) 2004, Ministry of Land, Infrastructure and Transport