平成16年5月12日 |
<問い合わせ先> |
自動車交通局技術安全部 |
技術企画課 |
(内線42252、42256) |
TEL:03-5253-8111(代表) |
近年、大型トラック等において運転者の視界を妨げる前面ガラスへの装飾板装着が問題となり、国土交通省では、その対策を検討するため、装飾板の種類、装着実態等に関する調査を行ってきましたが、今般、その結果がまとまりました。(概要は別紙のとおり)
国土交通省では、この調査結果も活用し、今後、装飾板の装着に対する規制を検討することとしています。
装飾板装着については、去る平成15年11月26日、川崎市中原区において、大型トラックが道路を横断中のベビーカーと母親を跳ね、ベビーカーの幼児が死亡し、母親が重傷を負うという事故が発生しましたが、この事故を引き起こしたトラックには、前面ガラス内側に装飾板が装着されていました。
この事故を受け国土交通省では、平成15年12月10日付けで、(社)全日本トラック協会等に対し、前面ガラス内側への装飾板等の装着の自粛について指導しています。
別紙
前面ガラスへの装飾板装着の実態に関する調査結果(概要)
種類 | 概要 |
カラーアクリル (全面カラー着色) |
着色されたカラーアクリル板 |
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クリアぼかし | 透明アクリル板の片面に上部カットラインに沿って10cm程を残して1色で着色がしてあり、その境目をぼかしてあるタイプ。 |
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ハーフミラー | 裏面にマジックミラーフィルムをはってあり、装着時は外からはミラーになっていて見にくく、車内からは見えるようになっている。 |
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ハーフミラー/ぼかし | ハーフミラーとクリアぼかしの複合タイプ。 |
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大型車両の装飾板の死角について、車両寸法を元に検証したところ(次図参照)、高さ30cmの装飾板を装着した場合、身長160cmの人の頭部を確認するためには、車両前端から人までの距離が約1.5m離れていることが必要となり、更に、より大きな高さ60cmの装飾板を装着した場合には約6m以上離れていることが必要となる。
アクリル製装飾板は、一般に、トラックパーツ製造業者や大規模トラックパーツ専門店でオリジナルブランドとして製造されている。
大規模トラックパーツ専門店で製造された装飾板は直営の専門店で販売されている他、中小規模のトラックパーツ専門店でも販売されている。販売は店頭での販売の他、インターネットによる販売や通信販売も行われており、手軽に購入することができる実態にある。
高速道路及び一般国道において、中型以上の貨物車両を対象に調査を行い、観察によって装飾板の装着率やタイプ別の装着状況、また装着ドライバーへのインタビューによって装着理由等を把握した。
(1)装飾板の装着率(高速道路、一般国道における観察調査)
高速道路(東北自動車道羽生パーキングエリア上り線)における装着率は11.6%、一般国道(東名入口交差点:国道16号線と246号線)における装着率は9.6%であった。
一般国道における装飾板の装着率について、車両の大きさ別では大型車両の方が中型車両よりも装着率は高く、車両の事業形態別では自家用の方が事業用よりも装着率はやや高くなっている。
高速道路 | 一般国道 | |||
自家用 | 事業用 | 自家用 | 事業用 | |
調査台数 | 158 | 516 | 962 | 6,466 |
装着台数 | 15 | 63 | 108 | 607 |
装着率 | 9.5% | 12.2% | 11.2% | 9.4% |
注)高速道路での調査は、平成16年3月17日・3月23日、一般国道での調査は、平成16年3月10日に実施。
(2)装飾板のタイプ別装着状況(高速道路における観察調査)
装着車両(78台)のうち、アクリル製装飾板装着車両は74台(95%)を占め、装着板の種類は「カラーアクリル」が77.0%と最も多い。
またその装飾板の色は、「スモーク」、「青色」のものが多い。
(3)装飾板装着ドライバーの意識(高速道路におけるインタビュー調査)
装飾板を装着しているドライバー69人にインタビュー調査を行ったところ、以下のような意見が聴取できた。
注)道路運送車両の保安基準は、大型貨物自動車の運転席は、「運転に必要な視野を有し、かつ、乗車人員、積載物品等により運転操作を妨げられない構造」でなければならず、また、「前面ガラスには、検査標章等指定されたもの以外は貼り付けることができない」と規定している。
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