平成16年11月12日 |
<問い合わせ先> |
航空局技術部航空機安全課 |
(内線50232)
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TEL:03-5253-8111(代表)
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- 経緯
本年1月に(株)日本航空ジャパン(JALJ)(旧(株)日本エアシステム)のDC−9−80系列型機で2件のエンジンの不具合(高圧圧縮機第8段静翼(以下単に「静翼」という。)の破断)が発生し、その後の一斉点検において52台中21台のエンジンの静翼に亀裂が発見され、多数の便が欠航した。本件について、航空局は、設計国当局とともに、原因の調査及び対策の検討を行ってきたところ、今般別紙のとおり、ろう付け修理が原因であるとする調査結果等が明らかにされたことから、航空局として下記の再発防止策を講じることとした。
- 航空局による再発防止策
航空局は、静翼の破断を防止するため、1月19日に発行し、2月24日に改訂した耐空性改善通報により、ろう付け修理された静翼に対して、内視鏡により亀裂の検査を繰り返し行うよう指示し、これにより安全を確保してきたところであるが、最終的な措置として、亀裂の発生のおそれをなくすため、11月12日付けにて当該耐空性改善通報を更に改訂し、下記の事項を指示した。
次回のエンジンの分解整備の際に、ろう付け修理された静翼をろう付け修理されていないものに交換すること。
の交換が終了するまでの間は、ろう付け修理された静翼に対する繰り返し検査を継続すること。
なお、11月12日現在、JALJにおいては、ろう付け修理された静翼が装着されたエンジンは7台使用されている。JALJによれば、これらのエンジンについては、耐空性改善通報による繰り返し検査を継続しており、いずれも亀裂が発生していないことが確認されているが、今回の耐空性改善通報の改訂を受けて年内にはすべて取り卸ろし、ろう付け修理されていない静翼が装着されたエンジンと交換する予定である。
別紙
調査結果等の概要
- エンジンの製造者(プラット・アンド・ホイットニー:P&W)による調査結果
(1)目的
本調査の目的は、JALJのエンジンの高圧圧縮機第8段静翼(以下単に「静翼」という。)に破断及び亀裂が多数発生した原因を解明することである。
(2)結果
- 亀裂は、いずれもろう付け修理された静翼において、高サイクル疲労により発生したものである。
- 解析の結果、静翼にろう付け修理を行うと、疲労強度の余裕が減少することが判明した。
- 1999年12月にJALJのエンジンの修理会社が変更され、当該修理会社では、ろう付け修理の要否にかかわらず、すべての静翼にろう付け修理を行った。その結果、JALJのエンジンにおいてはろう付け修理された静翼の数が増加し、亀裂が集中した。なお、ろう付け修理はいずれもP&Wの修理マニュアルに従って行われていた。
- JALJの運航データを分析したところ、JALJは運用限界に従ってエンジンを使用していたことが確認された。
- エンジンの設計国当局(米国連邦航空局:FAA)による対策
- JALJに対して、次回のエンジンの分解整備の際にろう付けされた静翼をろう付けされていないものに交換すること及びそれまでの間は静翼の繰り返し検査を継続することを推奨している。
- P&Wにエンジンの修理マニュアルを改訂し、ろう付け修理が必要な場合及び不要な場合を明確にするよう指導した。
- ろう付けに替わる新たな修理方法を開発するようP&Wを指導した。
- 世界の運航者及び航空当局に対し、本事案を紹介するとともに、静翼の修理に当たっては新しく開発される方法を使うよう周知文書を発行する予定である。

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