平成17年7月5日 |
<問い合わせ先> |
総合政策局参事官 |
(交通安全担当) |
(内線24032) |
総合政策局技術安全課 |
技術開発推進官 |
(内線25603) |
TEL:03-5253-8111(代表)
|
- 7月4日(月)15時00分より、国土交通省会議室(3号館4F省議室)において、第3回「公共交通に係るヒューマンエラー事故防止対策検討委員会」が開催された。
議題は以下のとおり。
○アドバイザリーグループ委員(稲垣委員、堀野委員、村山委員)からの発表
- 議事概要
アドバイザリーグループ委員より順に発表が行われた。主な意見の要旨は別紙の通り。
次回は、7月12日(火)10時00分より、国土交通省会議室(3号館4F省議室)において開催されることが確認された。
(検討委員会構成員) |
|
委員長 |
岩村 |
国土交通事務次官 |
委員長代理 |
佐藤 |
技監 |
|
安富 |
国土交通審議官 |
委員 |
峰久 |
官房長 |
|
金澤 |
技術総括審議官 |
|
丸山 |
総合政策局長 |
|
梅田 |
鉄道局長 |
|
金澤 |
自動車交通局長 |
|
矢部 |
海事局長 |
|
岩崎 |
航空局長 |
|
春田 |
政策統括官 |
※必要に応じて関係者の出席を求める
別紙
議題について、アドバイザリーグループ委員から出された主な意見の要旨は以下のとおり。
[予防安全型技術の確立]
- 高い知能と自律性を備えた技術システムを導入しても、ヒューマンファクターへの考慮が的確でないと、多機能をコンパクトにまとめたデザインによるエラーの誘発、人間が機械の意図を理解できないこと(オートメーション・サプライズ)、自動化システムへの過信等による新しいタイプの事故に至ることがある。
- 「事故原因の80%はヒューマンエラー」といわれる背景には、交通移動体の高速化や高密度化の中で、運転員への過大ともいえる能力の要求があることから、運転員が状況認識や意図形成に失敗していないか、過労、漫然運転に陥っていないかなどを検知し、潜在的危険状態への移行をできる限り早期に防止する予防安全型技術が必要である。
- 人間側を支援するシステムの設計は多層的に行われる必要があり、
状況認識の強化策として、ヒューマンインタフェースの設計に当たり、人間側で機械側の状況認識、意図等を理解できるようにするととともに、
直面する状況、人間の能力の多様性、環境の動的な変化に対応するため、最終的な決定権は人間と機械が共有するシステム設計も検討する必要がある。
- 既に航空で導入されているが、運航状況、システム作動状況等をモニターし、基準値と継続的に比較し、「逸脱」の発見により、標準的操作手順の設定や訓練システムに潜む問題点の究明に有用とされるFOQA(運航品質保証システム)のようなしくみを他の交通機関でも導入を検討すべきではないか。ただし、勤務評価や処罰を目的とするものではないことを明確にしておく必要がある。
[事故の再発防止策のあり方]
- 事故の再発防止対策には、人間の注意力ではなく、システムを構成する人間と他要素の交互作用に着目した人間工学の原理を導入することが有効。
- 事故防止対策には、責任追及より再発防止優先の、捜査と峻別された事故調査が重要。この事故調査には、事実の収集・記録に徹すること、イベントツリーを用いて時系列を整理すること、4M(Man,Machine,Media,Management)の視点に立って不注意の誘発要因を探ること、事故関係者のメンタルモデルのギャップに着眼することが重要である。
- 交通事故(95万件)の4分の1を占める出合い頭事故の発生メカニズムは、交差点視環境が未整備の為、運転者が法定一時停止線で一時停止しないというヒューマンエラーを誘発する事にある。運転者視点でカーブミラーを設置し運転者を支援すれば、ヒューマンエラーを有効に防止でき事故は削減出来る。視覚情報の的確な表示はヒューマンエラー防止に有効である。
- 事故の未然防止には、グループワークを基本とした参加型で、アクション志向のローコスト改善を柱とする職場の自己点検を継続的に積み重ねる方策が有効である。自己点検の具体的方法として「作業の人間工学チェックリスト」活用などが有効である。
[安全管理のあり方]
- 安全管理には、PDCA(Plan,Do,Check,Action)のマネージメントサイクルを導入することが重要。
- 安全管理の標準化とそのチェックが重要。安全管理には、安全の方針や会社・構成員の責任・権限等の役割が明記されることが重要。海運ではISMコードによりこれを明確化。
- 危険を直視する社会意識(危険情報の開示等)や危険を認識する仕組み(報告制度、情報の共有等)などにより危険を事前に認識し、危険防止に活かしていくことが重要。
- インシデント情報の活用により多くの有効な情報が得られる。
- 安全コストを経済性の対立概念として捉えるのではなく、企業価値を高めるものとして位置づけることや、安全に対する企業と個人のインセンティブを高める仕組みが必要。
(アドバイザリーグループ委員)
稲垣 敏之 |
筑波大学大学院システム情報工学研究科教授 |
岡本 浩一 |
東洋英和女学院大学人間科学部教授 |
河内 啓二 |
東京大学大学院工学系研究科教授 |
巖 |
麗澤大学国際経済学部教授 |
芳賀 繁 |
立教大学文学部心理学科教授 |
堀野 定雄 |
神奈川大学工学部経営工学科助教授 |
村山 義夫 |
(財)海上労働科学研究所主任研究員 |
|
(五十音順、敬称略) |
※なお、当日の委員会には、岡本、高の各委員を除く5名のアドバイザリーグループ委員が出席。

All Rights Reserved、 Copyright (C) 2005、 Ministry of Land、Infrastructure and Transport