平成17年7月21日 |
<問い合わせ先> |
総合政策局参事官 |
(交通安全担当) |
(内線24032) |
技術安全課 |
(内線25603) |
TEL:03-5253-8111(代表)
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- 7月12日(火)10時00分より、国土交通省会議室(3号館4F省議室)において、第4回「公共交通に係るヒューマンエラー事故防止対策検討委員会」が開催された。
議題は以下のとおり。
○ヒューマンエラー事故防止に取り組んでいる企業5社からの発表
企業5社:
全日本空輸(株)、日本通運(株)、日本ハム(株)、日本郵船(株)、東日本旅客鉄道(株)(50音順)
- 議事概要
企業5社より順に発表が行われた。主な発表の要旨は別紙の通り。
次回は、7月22日(金)10時00分より、国土交通省会議室(3号館4F省議室)において開催されることが確認された。
(検討委員会構成員) |
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委員長 |
岩村 国土交通事務次官 |
委員長代理 |
佐藤 技監 |
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安富 国土交通審議官 |
委員 |
峰久 官房長 |
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金澤 技術総括審議官 |
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丸山 総合政策局長 |
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梅田 鉄道局長 |
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金澤 自動車交通局長 |
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矢部 海事局長 |
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岩崎 航空局長 |
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春田 政策統括官 |
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※必要に応じて関係者の出席を求める |
別紙
議題について、企業からの主な発表の要旨は以下のとおり。
[全日本空輸(株)]
- 本格的なヒューマンエラー対策は、1980年代後半に、乗員自身の手でゼロから構築されたCRM(Crew Resource Management)訓練手法を導入することによって開始。CRM訓練は、コックピットにおける人間関係の改善のみならず、RADARプロセス等のツールを用いて問題解決能力を向上させ、運航技術とCRMスキルとの融合を図ってきた。
- 更なる対策として、運航中のヒューマンエラーをヒューマンファクターの観点から調査分析し、安全阻害要件を発見し排除するためのプログラムであるTEAP(Threat&Error Analysis Program)事例分析データベースを開発し、運用を開始した。
CRM:人間のミスを未然に防ぎ、あるいは起こったミスからの影響を早期に遮断するために、クルー(チーム)というものを最大限利用しようとする考え方
RADARプロセス:問題解決のための思考と行動のチェックリストとして活用可能なツール
[日本通運(株)]
- 人間系の安全管理の基本を、
安全意識の向上、
危険感受性(危険予知力)の向上、
危険回避技術の習得に置いている。
- 現場の社員に直接安全対策を指導する現場の管理監督者層に対し、監督者安全訓練会議を通じた教育指導や情報の共有
- 新規に雇用するドライバーに対し、講習、訓練、運転技能検定、支店長認定を経てはじめて運転業務に従事できる制度を実施(ドライバー検定試験制度)
- 年間教育訓練計画に基づく全ドライバー対象の教育訓練の実施(ドライバー定期研修会)
- 各支店で選抜されたドライバーから指導員を選定し、指導員が、安全運転指導、教育訓練、検定試験を実施(ドライバー指導員制度)
- 競技大会出場を目指した訓練を安全運転技術向上のための教育の一環として位置付け
- 3年に1回、全ドライバーに対し運転適性診断を受診させ、診断結果に基づき個別指導実施
[日本ハム(株)]
- 業績が好調にあった、2002年8月に不祥事があり、社会的非難を浴び、業績が落ち込み、会社がつぶれるという危機感から、改革がスタートした。問題点は、各部門間でのコミュニケーションの欠如、人事滞留、人事交流の欠如、情報閉鎖的環境等があげられる。このため、プロセスを重視した取り組みを進め、社外有識者で構成された企業倫理委員会の指導を受け、行動規範の策定や若手中心の各種改革に取り組むとともに、情報の共有化を進めた。
- 2003年4月に、これまでの売上、利益、効率性中心から、コンプライアンス経営の徹底等の方針を中心とする「中期経営計画」を策定した。具体的には、トップのコミットメント、社員への周知徹底等のコンプライアンス浸透、情報集約と周知、リスク分析などの情報を即時に社内で共有化すること等に取り組んでいる。“TOPが明確にコミットすることとそれを言い続けること”、“なぜ取り組むのかということを、全員が理解していること”が重要。
- リスク情報はデータベース化することで、部分的マイナス情報を、結果的には全体のプラスにつなげるよう有効活用を図っている。
[日本郵船(株)]
- 「安全・環境対策推進委員会」(委員長:社長)を設置し、推進体制、年度目標・結果、具体的対策等を定期的にレビューしつつ、安全対策推進活動を実施。経営自ら定期的に訪船。
- 船員自身の手でヒューマンエラーを防止し、大事故を未然に防ぐことを目標とした「ニアミス3000活動」を展開し、「不安全な行動や状態への気付き」を促進。
- ISMコード(国際安全管理規則)を厳格に実施するとともに、独自の安全環境規格「NSV9000」を導入し、傭船を含む全ての運航船に安全と環境保全に関する要求事項を文書で伝達、PDCAサイクルを用いた継続的な改善活動を実施。
[東日本旅客鉄道(株)]
- これまで、「安全」を経営の最重要課題と位置づけ、「守る安全」から「チャレンジする安全」への変革をめざし、
各支社に安全対策室の設置、安全システム、ヒューマンファクターの研究等を行う安全研究所の設置等、先取りする安全推進体制の構築、
安全設備の重点投資計画の策定、
社員が安全について自主・自律的に考え、議論し、行動するチャレンジセイフティ運動(CS運動)の推進などを主に具体的に実践してきた。
- 今後、さらに一歩進めて安全性を高めていくための今後の課題として、
「安全のしくみ」を正しく理解し正しい作業を実践するための教育・訓練の充実、
事故から学ぶための事故・事象の正しい把握、徹底分析、事故となる芽≠フ掘り起こし・分析を行い再発・未然防止策を立てる、
第一線社員の安全に対する気づきの促進・意欲向上(CS運動のステップ・アップ)、C現場マネジメント力の向上等に取り組んでいく。
(アドバイザリーグループ委員) |
稲垣 敏之 |
筑波大学大学院システム情報工学研究科教授 |
岡本 浩一 |
東洋英和女学院大学人間科学部教授 |
河内 啓二 |
東京大学大学院工学系研究科教授 |
巖 |
麗澤大学国際経済学部教授 |
芳賀 繁 |
立教大学文学部心理学科教授 |
堀野 定雄 |
神奈川大学工学部経営工学科助教授 |
村山 義夫 |
(財)海上労働科学研究所主任研究員 |
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(五十音順、敬称略)
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※ なお、本日の委員会では、堀野委員を除く6名のアドバイザリーグループ委員が出席。

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