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 第53回国際海事機関海洋環境保護委員会の
 開催結果について
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平成17年7月26日
<問い合わせ先>
総合政策局
環境・海洋課海洋室
(内線24375)

海事局安全基準課

(内線43925)

造船課

(内線43752)
TEL:03-5253-8111(代表)

 

  下記の通り、表記委員会が開催されましたので、結果について報告します。

 

  1. 日時
    平成17年7月18日(月)〜22日(金)

  2. 場所
    国際海事機関(IMO)本部、(在英国、ロンドン)

  3. 参加国等
    88カ国、45機関。我が国からの出席者は、山上在英大使館参事官、今出国際基準調整官ほか。

  4. 委員会結果
    (1)バラスト水による有害水生生物の移動防止
     バラスト水による有害生物の移動防止を目的に、排出バラスト水中の生物・細菌を殺滅・除去するための装置を船舶に搭載することを義務付けること等を内容としたバラスト水管理規制条約が2004年2月に採択された。
     今次会合においては、同条約の採択時の決議に基づき、同条約を実行するため指針として、処理装置の具体的な試験方法等を定める14本のガイドラインのうち、以下の5本のガイドラインが採択された。 

    1「バラスト水管理同等要件のための指針(G3)」
    2「バラスト水管理計画指針(G4)」
    3「バラスト水交換のための指針(G6)」
    4「バラスト水管理システムの承認のための指針(G8)」
    5「活性物質を使用したバラスト水管理システム承認のための手続(G9)」

     特に、G8及びG9はバラスト水処理装置の実用化には不可欠なものであり、重要。バラスト水管理条約は、一番早いもので2009年建造の船(バラストタンクの総容量5000m3未満の船)からバラスト水処理装置の設置を義務づけることにしているので、今次会合でG8及びG9を決める必要があった。
     なお、活性物質の承認はIMOが行うこととなっているが、ドイツ等欧州25カ国共同で、活性物質の承認申請第1号が既に提出されており、本年末には審査が開始される見込み。

    (2)シップリサイクリング
     船舶の建造時からリサイクルに至るまでにおける製造者、使用者、リサイクル業者、寄港国、リサイクル国等の責任、役割を明確にした非強制のシップリサイクルガイドラインが、2003年開催の第23回総会において総会決議として採択された。
     今次会合では、シップリサイクリングに関する条約の起草作業を行うため、IMO総会決議案を作成した。今後は、1安全・環境上適切なリサイクリングを行うための船舶の設計、建造、運航及び準備、2安全・環境上適切なリサイクル施設の運営、3これらを確保するためのスキーム(証書、通報システム)を規定する条約を起草して、2008−9年に採択を目指す。なお、本件決議案は、本年11月下旬の第24回総会で審議される。

    (3)船舶からの大気汚染の防止
    (1) 海洋汚染防止条約(MARPOL条約)附属書6(船舶からの大気汚染の防止)関連
     本件附属書は本年5月19日に発効したところ、今次会合においては、脱硫装置のガイドラインを採択した。我が国は、脱硝装置の基準を策定しようと提案(原案提出済み)しており、来年2月の次回「設計設備小委員会」で審議を開始することになった。
     また、就航船舶のNOxに関する検査は現在パラメータチェック法で行われているが、将来的には船上で排ガスをモニタリングする手法が不可欠と考えられるので、(独)海上技術安全研究所と(財)日本船舶技術研究協会が協同して実用的な手法を開発中である。今次会議期間中に、現在の検討状況をプレゼンテーションし、各国の関心を得た。

    (2) 次期排ガス規制の検討
     船舶排ガス中のNOx規制値は5年以内に見直すこととなっているため、MARPOL条約附属書Yが発効した今年から検討が開始されるが、NOxに限らず、船舶からの大気汚染防止に関して包括的な見直しが行われることになった。具体的には、来年4月の次回「バラ積み液体貨物ガス小委員会」で以下の事項について作業することになった。 

    1大気汚染防止に使える開発中の技術の調査
    2NOx低減技術の調査と次期規制値の提案
    3SOx低減技術の調査及び次期規制値の正当化
    4粒子状物質(PM)の排出を管理するための現状の調査
    5現存エンジンからのNOxとPMの規制の検討
    6ディーゼルエンジン以外にも規制を拡大することの検討

    (3) 温室効果ガス関連
     船舶からの温室効果ガス(GHG)の排出指標に関する中間指針が作成され、3年間試行してデータを持ち寄ることになった。今次会合の前週の7月15日にGHG排出指標に関するワークショップが岡村敏氏((財)日本舶用品検定協会顧問)の議長の下にIMO本部で開催され、啓蒙活動が行われた。

    (4)条約改正の採択
    (1) 北海の硫黄酸化物排出規制海域指定
     MARPOL条約附属書6で定められている燃料油に含まれる硫黄分濃度規制について、硫黄酸化物濃度の上乗せ規制を行う海域として、北海を指定する改正が採択された。

    (2)検査と証書の調和システム
     MARPOL条約は、1990年に検査と証書の調和システムを導入する改正がなされ2000年に発効したところ、今般、1997年に採択され、本年5月19日に発効したMARPOL条約附属書6についても、当該検査と証書の調和システムを適用するための改正が採択された。

    (5)特に敏感な海域(PSSA)及び関連保護手段(APM)の指定
     PSSAは、沿岸国が自国の排他的経済水域の特定の水域において、船舶からの汚染を防止するための拘束力を有する特別の措置をとることができる水域である。
     今次会合においては、PSSA指定のためのガイドラインの改正及び4つの海域についてPSSA指定に関して審議された。

    (1) PSSA指定のためのガイドラインの改正
     今次会合において、PSSAの選定基準の強化を目的として、当該ガイドラインの改正する総会決議案が承認された。改正内容は、PSSA申請時にAPMも併せて申請することが必要となったこと等。

    (2) PSSA及びAPMの指定
     以下の4海域について、PSSA及びAPMとして指定する総会決議案が承認された。

    1グレートバリアリーフにおけるPSSAのトレス海峡への拡大。APMは、勧告ベースの水先制度及び分離通航帯の導入。
    2カナリー諸島。APMは、分離通航帯、航行回避海域及び強制通報制度の導入。
    3ガラパゴス諸島。APMは、航行回避海域の導入。
    4バルト海(国連海洋法条約第56条に係るロシア連邦の主権に係る海域を除く。)。APMは、分離通航帯及び航行回避海域の導入。

    (6)その他
     その他今次会合では、燃料油タンクの防護的配置基準に関するMARPOL条約改正案が承認され、来年3月の次回会合で採択される予定。
     

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