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 大都市圏におけるコミュニティの再生・創出に関する
 調査結果について

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平成17年8月1日
<問い合わせ先>
国土計画局
大都市圏計画課

(内線29493)

電話:03-5253-8111(代表)


 

○調査の背景・目的

  近年、首都圏等の大都市圏を中心に、地縁的なつながりにより形成される地域コミュニティの機能が低下していると言われている。しかしながら、災害や犯罪に対する不安等、地域が抱える課題が大きくなる中、住民同士の助け合い意識が、災害時の被災者支援において有効に機能したり、住民による防犯活動が地域の治安向上に効果を上げているなど、地域コミュニティが地域の安全・安心の確保に重要な役割を果たしている事例もみられる。
  本調査では、安全・安心の再構築のためには、地域コミュニティ活動による地域課題解決力の向上が有効であるとの視点に立ち、1首都圏全体を対象としたアンケート(Web)、2横浜市を対象としたアンケート(配布)の2つのアンケート調査を行うとともに、地域コミュニティによる地域課題解決のための活動事例の調査を行い、今後の首都圏における地域コミュニティの組織及び活動の振興方策について検討を行った。


<調査結果のポイント>

 

○都市化が進んでいる地域ほど、地域でのつきあい・地域コミュニティ意識は希薄

  首都圏における広域的な地域差や個人属性による地域コミュニティ意識等を分析するために行った、首都圏全体を対象としたアンケート結果をみると、近所づきあいの程度は、人口密度が高くなるほど薄くなる傾向にあり、都市化が進んでいる地域ほど近所づきあいが希薄であり、ひいては地域コミュニティ意識が希薄であることがうかがえる。

徒歩圏(歩いて20分以内)でのつきあい(可住地人口密度別):単数回答
徒歩圏(歩いて20分以内)でのつきあい(可住地人口密度別):単数回答

○地域コミュニティは住みやすさに大きく影響

  現在住んでいる地域を「住みやすい」と感じている人は、住んでいる地域が、災害や犯罪などの「いざ」というときに住民同士が信頼し助け合う意識が強い地域であり、地域活動が活発な地域であると思っているなど、住みやすさに大きく影響している。

災害時などの隣近所の助け合いの信頼感(地域の住み心地別):単数回答

災害時などの隣近所の助け合いの信頼感(地域の住み心地別):単数回答

○地域における主要な課題の解決に取り組んでいる自治会・町内会

  住んでいる地域が抱えている課題をみると、「地域の治安の向上(防犯)」、「ごみ、不用品の再資源化、交換、分別(ごみ問題)」、「災害時の対応(防災・防火)」、「環境保全・美化」、「高齢者・障害者の健康維持や生活支援」が上位を占めた。 
  また、自治会・町内会の最近の重点活動テーマをみると、「地域の治安の向上(防犯)」、「環境保全・美化」、「ごみ、不用品の再資源化、交換、分別(ごみ問題)」、「災害時の対応(防災・防火)」が上位を占めており、地域が抱えている課題と同様の傾向にある。 
  これらのことから、自治会・町内会は、地域課題の中でも主要な課題の解決に重点的に取り組んでいることがうかがえる。

現在、住んでいる地域が抱えている主な課題     最近の重点活動テーマ(自治会・町内会について)
            :複数回答 (単位:%)               :複数回答 (単位:%)
現在、住んでいる地域が抱えている主な課題と最近の重点活動テーマ(自治会・町内会について)複数回答

○地域活動へ参加しやすい仕組みづくり、開放的な組織づくりが重要

  地域活動への参加を促進するためには、「会員にならなくても、活動メンバーとして参加できる」「いったん加入するとしがらみでなかなかやめられないなど、閉鎖的な雰囲気をなくす」など、多様なライフスタイルに対応した参加しやすい仕組みづくり、開放的な組織づくりに努めることが求められている。

地域での活動にさらに参加しやすくするために必要なもの (単位:%)

地域での活動にさらに参加しやすくするために必要なもの (単位:%)

○地域の立地環境や居住年数、家族構成などによって地域コミュニティに対する意識が異なる

  地域ごとのコミュニティ意識の違いや、どのような要因がコミュニティ意識の違いに影響するかをみるために行った、横浜市内の3区(中区、保土ヶ谷区、青葉区)を対象としたアンケート結果をみると、中区では、災害時などいざというときの隣近所の助け合いの信頼感が保土ヶ谷区や青葉区に比較して低く、今後の定住意向、隣近所とのつきあい程度、地域活動参加程度も地域によって違いがみられる。 
  また、中区では、住民の平均居住年数が最も短く、一人暮らしの人が多いなど、地域の立地環境及び住民の居住年数や居住形態、家族構成などの点で大きく傾向が異なることから、これらの要因が地域コミュニティに対する意識に影響を与えていることがうかがえる。

回答者の住んでいる地域での災害時などの隣近所の助け合いの信頼感:単数回答

回答者の住んでいる地域での災害時などの隣近所の助け合いの信頼感:単数回答

○地域課題に対して、地域コミュニティによる各種の活動が行われている

  「防犯」「防災」「高齢者保健福祉」「子育て」「環境・まちづくり・交流」の5分野の地域課題に対して各種の活動を行っている地域コミュニティ組織の事例調査を行い、今後の首都圏各地域における地域コミュニティ活動や組織活性化推進の知見を抽出した。 主な活動事例は下記の通り。

  また、事例調査からは多くの団体がリーダー等の活動の担い手不足に直面し、継承や登用・発掘の仕組みづくりや、個人情報の管理等について問題を抱えていることがわかった。

○今後の首都圏における地域コミュニティ活性化方策

  上記の調査等から、今後の首都圏における地域コミュニティ活性化推進方策について検討を行った結果、以下の方策が考えられる。

1.自治会・町内会と横断的な「協議会式コミュニティ組織」の役割  
  地域コミュニティ活動は、高齢者の生活支援や災害対策など、専門性や一定規模の組織化を必要とする地域課題への対応も求められている。こうした活動については、「協議会コミュニティ組織」が有効であり、「自治会・町内会」との役割分担が重要である。

2.広範、多様な住民層の関心喚起と参加促進  
  地域活動に対する住民層の関心を喚起し、参加を促進するためには、「活動や組織の具 体的な取組や成果の記録と広報」「多様な人材の参加と継承及び閉鎖性の改善」「地域の の生涯学習機関との連携」「団塊の世代が参加しやすい環境や機会づくり」が重要である。

3.具体的な活動の企画と実践力養成の支援  
  活動の企画力、実践力養成のためには、地域課題への取組み方や各地の成功事例などの情報入手の支援、活動成果記録の作成や広報といった「情報」に関連する研修機会の提供及び交付金の活動意欲に応じた配分等の方策も有効である。

4.継続的なPDCA(Plan,Do,Check,Act)システムの創出  
  地域コミュニティ組織の持続的な活動や組織改善を図るツールとして、また、組織としてのノウハウなど情報の継承のため、PDCAの視点に立って個々の活動の点検及び問題提起を行うシステムの積極的な導入を図ることが有効である。

5.都市再開発、都市設計に係る留意  
  自治会の圏域が、小学校区や歴史的な地域形成とは異なった圏域に設定されたことで、活動の妨げとなる事例もみられる。地域活動促進のためには、学区の設定や都市開発にあたって、既往の地域コミュニティに配慮した圏域設定が望まれる。


【本調査の概要】

○調査の方法

・Webアンケート  
  首都圏住民の地域コミュニティに関する選好意識と行動実態等を把握することを目的として、首都圏在住の20歳以上の男女約2,000人を対象にインターネットによるアンケートを実施し、広域的な地域差や個人属性等による地域コミュニティ活動への影響度等について分析した。

・配布アンケート  
  広域的な市街化の進展度合い等の違いによらず、何が各地域のコミュニティの形成に影響しているかを把握するため、特定の都市(横浜市)を対象に、市内3地域の計6,000世帯を対象とした配布アンケートを実施し、コミュニティの形成の度合いとそれに影響を与えていると考えられる要因の把握に努め、地域差を分析した。

・事例調査  
  地域コミュニティ活動の活性化方策を検討するため、「防犯」「防災」等、5テーマに焦点を当て、具体的なコミュニティ組織と活動に対する事例調査研究を実施した。
  首都圏10都市、17団体の地域コミュニティ活動を対象とした訪問インタビューにより活動や組織の状況及び課題の把握を行い、組織活性化推進の知見を抽出した。


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