国土交通省
 豪雨災害対策総合政策委員会の最終提言「総合的な豪雨
 災害対策の推進について」について

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平成17年4月18日
<問い合わせ先>
河川局河川計画課
河川計画調整室
(内線35361、35372)

電話:03-5253-8111(代表)


 

  1. 背景

      昨年は、梅雨期の集中豪雨や度重なる台風の上陸により新潟県、福井県等全国各地で水害、土砂災害及び高潮災害により大きな被害が発生しました。特に、多くの箇所において堤防が決壊するとともに、的確な避難ができなかったことなどにより高齢者を中心に多くの死傷者が発生しました。
      これらは、近年の集中豪雨の増加などの自然的状況の変化や、少子高齢化や地域コミュニティーの衰退といった社会的状況の変化に起因して、新たな課題が浮かび上がったものと考えられます。
      このような新たな課題に的確に対応すべく、これまでの災害対策を緊急に総点検し、抜本的な改善を図るため、社会資本整備審議会河川分科会に関係分野の学識経験者で構成される「豪雨災害対策総合政策委員会」(委員長:近藤徹(財)水資源協会理事長)を昨年11月11日に設置しました。

  2. 審議経過

      委員会は、昨年11月15日に第1回委員会を開催し、その後2度の現地視察も行いながら、これまでに計6回にわたり審議を行ってきました。
      この間、第2回委員会までの議論を踏まえ、12月2日に、緊急に対応すべき事項について「総合的な豪雨災害対策についての緊急提言」としてとりまとめていただきました。
      国土交通省としては、この緊急提言を受け、各種施策について時限や数値目標を定めた「豪雨災害対策緊急アクションプラン」を12月10日に策定しました。緊急アクションプランを踏まえ、浸水想定区域の指定対象を主要な中小河川に拡大すること等を盛り込んだ水防法の改正(今期国会で審議中)や、平成17年度予算において浸水想定区域及び洪水ハザードマップに係る調査費用の補助制度を創設するなど所要の措置を講じているところです。
      委員会では、緊急提言のとりまとめ後も、防災施設等の計画、整備、管理のあり方など、災害対策の根幹的な事項等について引き続き審議を行い、このたび、今後の災害対策についての最終提言として「総合的な豪雨災害対策の推進について」をとりまとめていただき、4月18日に北側国土交通大臣に手渡されました。

  3. 提言のポイント

    (1)土地利用状況を踏まえた災害対策への転換
    • これまでは、(将来は農地も宅地化する可能性を考慮し、)氾濫域の土地利用が宅地であろうと農地であろうと無関係に、連続した堤防を築造することで治水を達成しようとしてきました。すなわち、治水手法は土地利用とは無関係に決定し、また、逆に治水対策とは無関係に土地利用がなされてきました。

     
    • 今後は、早急に安全度を向上させるため、氾濫域の土地利用のあり方と治水の手法を組み合わせた治水対策に転換します。
      • 氾濫域の土地利用に応じて、従来、暫定的措置や補償等で限定的に実施していた輪中堤、宅地かさあげ、家屋移転も治水対策として本格的に実施できるよう必要な事業制度等を創設。  
      • 従来より遊水氾濫している地域については、治水計画と適合した土地利用への誘導を図る。  
      • 施設能力を超える洪水が発生しても、市街地化している地域での破堤氾濫をできるだけ回避できるよう、上流等で遊水させる地域を確保する。

      (2)防災施設の維持管理の充実と危機管理体制の強化

      (維持管理の充実)
      • これまで経験的に個別河川ごとに実施してきた維持管理について、災害経験を踏まえて、基準を策定し管理内容を明確にした適切な維持管理が必要となってきました。河川や施設の状態の監視・評価を施設の改善に結びつけるサイクル型管理体系に転換します。

      (危機管理体制の強化)
      • これまでは、ある計画規模を想定し、それに対応するよう施設整備を進めてきましたが、整備途上段階で能力を上回る外力に対しても被害を小さくする危機管理が重要です。これからは、施設能力を超える外力が発生する可能性が常にあることを念頭に、被災した場合でも被害を最小化できるよう危機管理体制を構築するため、防衛、警察等関係機関と協力して国レベルでも地方レベルでも行動計画を策定します。

      (3)防災情報の提供の充実
      • 緊急提言に示された施策の多くは、水防法の改正等に反映されています。

      (4)地域防災力の再構築
      • これまで、市町村が取り組むべきものと考えていた地域防災力の強化は、減災を考える上で極めて重要であることから、その支援を河川等行政の本来の使命として取り組みます。

  4. 国土交通省の今後の対応

    • 土地利用状況に応じた治水安全度確保方策の体系的確立
     
      このための専門委員会を設置する。次期通常国会を目指し河川法の改正など必要な法律の整備や、制度創設に係る平成18年度予算要求などの措置を講じていく。
    • 維持管理基準の制定等

      すみやかに専門委員会を設け、今年度前半を目途に検討する。基準等の整理について、必要であれば関係法令の見直しを行う。
    • 防災情報の提供に関する事項等については、水防法改正案が成立した後、速やかに対応する。
     
      ・避難等の目安となる特別警戒水位の設定について、可能な箇所については7月を目途に設定する。  
      ・洪水ハザードマップの作成・公表について、平成17年度以降5年間で、約1,900河川、約2,300市町村で作成・公表する。
    • 地域の防災力の再構築

    災害時要援護者の円滑な避難への対応や地下空間における避難誘導体制の構築については、水防法の改正に反映。
    防災教育を支援するための行動計画を各地方整備局等においてすみやかに策定する。

 


豪雨災害対策総合政策委員会名簿

(五十音順)

 

委員長

近藤 徹

(財)水資源協会理事長

委 員

片田 敏孝

群馬大学助教授 

小嶋 富男

NHK報道局気象・災害センター長

櫻井 敬子

学習院大学教授

佐藤 愼司 

東京大学教授

田中 淳

東洋大学教授 

玉井 信行

金沢大学教授

辻本 哲郎

名古屋大学大学院教授

中村 浩之

東京農工大学大学院教授

根本 崇

千葉県野田市長

福岡 捷二

中央大学研究開発機構教授

水山 高久

京都大学大学院教授

山本 孝二

潟nレックス取締役会長

 


 

豪雨災害対策総合政策委員会 審議等の経過

 

平成16年

11月

9日

  委員会に先立って検討会を開催
平成16年

11月

11日

  河川分科会に委員会を設置
平成16年

11月

15日

  第1回委員会
平成16年

11月

17日

  円山川、由良川現地視察(第1回)
平成16年

11月

29日

  第2回委員会
平成16年

12月

 2日

  「総合的な豪雨災害対策についての緊急提言」をとりまとめ
平成16年

12月

10日

  円山川、由良川現地視察(第2回)
平成16年

12月

10日

  国土交通省が「豪雨災害対策緊急アクションプラン」を策定
平成17年

1月

24日

  第3回委員会
平成17年

2月

28日

  第4回委員会
平成17年

3月

23日

  第5回委員会
平成17年

4月

18日

  第6回委員会最終提言
「総合的な豪雨災害対策の推進について」をとりまとめ

 


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