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 姉歯(あねは)建築設計事務所による構造計算書の
 偽造とその対応について

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平成17年11月17日
<問い合わせ先>
住宅局建築指導課

(内線39515、39519、39518)

TEL:03-5253-8111(代表)


 

 国土交通省では、イーホームズ(株)(建築基準法に基づく指定確認検査機関)から、過去に建築確認を行った建築物について、構造計算書が偽造されていた可能性があるとの情報提供を受け、調査を進めてきました。
 今般、これまでに判明している事実関係について、下記のとおり発表します。
 なお、偽造されたとみられる構造計算により建築されたマンションの居住者等の安全を確保する観点から、各建築物の所在地の特定行政庁(建築主事を置く地方公共団体)が、本日午後から建築物の所有者に対して、判明している事実関係と建築物の耐震性について連絡を開始しているところです。

1. 概要・経緯

・ 姉歯建築設計事務所(千葉県知事登録第1-0505-3121号(千葉県市川市))が、元請けの建築設計事務所若しくは下請けとして構造計算を行った、既に竣工済のものを含む20件の建築物について、当該事務所が構造計算書を偽造していた可能性があることについて、建築確認検査を行ったイーホームズ(株)(指定確認検査機関:国土交通大臣指定第10号(東京都新宿区))から、国土交通省及び特定行政庁に報告がありました。

※ イーホームズからの報告経緯 
10月26日: 4件(工事中・未着工のもののみ)
11月 8日:13件(竣工済みのものを含む) 
11月10日: 3件(計20件)

※イーホームズの報告では、他に5件の建築物の構造計算を姉歯建築設計事務所が行っているが、それらには偽造は認められなかったとのこと。

・ また、(株)東日本住宅評価センター(指定確認検査機関:国土交通大臣指定第8号(横浜市鶴見区))が建築確認を行った別の1件(工事中)についても、建築主から情報提供を受け、機関に報告を求めたところ11日までに同様の偽造の疑いがあることを確認したところです。

・ これらの21件のうち14件については、偽造された構造計算が、設計者等によるチェック、指定確認検査機関の確認検査段階、施工段階に是正されず、そのまま竣工している懸念があります。

【偽造について報告のあった建築物】
用途 マンション  
竣工済のもの 13件(471戸※) 1件(ホテル) 14件  
工事中だったもの 4件   4件 工事停止中
未着工だったもの 3件   3件 着工停止中
20件 1件 21件  
※ マンションは、世帯向け7棟(236戸)、単身・小世帯向け6棟(235戸);床面積から推定。 
※ 東京都(竣工済み9件(ホテル含む)、工事中・未着工2件)、千葉県(竣工済み2件、工事中・未着工4件)、神奈川県(竣工済み3件、工事中・未着工1件)。
※ 個別の物件名については、建築物の調査や所有者への説明の状況を踏まえ、個人情報の保護等の観点から、所有者等の了解を得次第順次公表する予定。
 ※東日本住宅評価センターで確認を行ったもので、姉歯建築設計事務所が構造設計を行ったのは、この21件の中の工事中のマンション1件のみとのこと。

【21件の建築基準法上の設計者(建築士事務所)(※事務所名称は建築当時のもの)】

  • 姉歯建築設計事務所(千葉県知事登録第1-0505-3121号(市川市)):3件
  • 一級建築士事務所(株)エスエスエー建築都市設計事務所(東京都知事登録30953号(新宿区)):3件
  • 木村建設(株)一級建築士事務所(東京都知事登録第47745号(新宿区)):2件
  • (株)シノケン東京支店一級建築士事務所(東京都知事登録第48530号(港区)):4件
  • 一級建築士事務所(株)下河辺建築設計事務所(東京都知事登録第27857号(大田区)):1件
  • (株)スペースワン一級建築士事務所(東京都知事登録41503号(港区)):6件
  • (株)森田設計事務所一級建築士事務所(東京都知事登録第29308号(世田谷区)):2件
※建築確認時に提出されている構造計算プログラムの利用者証明書(プログラム販売会社が発行するもの)には、21件すべてに姉歯建築設計事務所の名称が記載されている。

・ 国土交通省では、8日以降、偽造のおそれのある物件が拡大し、竣工済みのものにまで及んだことから、以下のような緊急の対応をとってきているところです。

1 建築士事務所を監督する千葉県に姉歯建築設計事務所への立ち入り調査の実施を要請(9日(県は10日以降複数回立ち入りを実施))。
2 違反是正指導等を行う特定行政庁に連絡し、該当物件について設計者等に構造再計算をさせ、結果の報告聴取を求める等の対応を要請(10日)
3 イーホームズ及び東日本住宅評価センターから確認審査の状況等を聴取(8日から)。
4 イーホームズに提出された構造計算プログラムの出力データのうち5件分(竣工済み2件、その他3件)の再計算を実施(11日から15日)し、分析を行ったところ、5件すべてにおいて偽造が行われたことは確実であり、偽造された構造計算に基づく設計によって、そのまま施工された場合、構造上耐震性に大きな問題がある可能性が高いことが判明。
5 工事中、未着工の物件について、特定行政庁から工事停止等を要請。現在までにすべて建築主により工事中止。

・ また、千葉県の姉歯建築設計事務所に対する立ち入り調査では、事務所に残されていた業務メモなどの調査を進めているほか、姉歯本人の発言として、計21件のマンション(既にイーホームズ等からの報告にあるホテルを除く20件に加え、他に1件(詳細調査中))について偽造を行ったとの報告を受けています。

2. 当面の対応について

 国土交通省としては、構造上耐震性に大きな問題のある可能性が高い建築物の居住者等の安全確保を第一に考え、本日付で国、関係都県及び関係特定行政庁からなる構造計算書偽造問題対策連絡協議会を設置し、当面、偽造の可能性の高い21件の対策を優先して、以下の対応を行うこととしています。

(1)安全性の確認と入居者等への連絡

1 竣工済みの物件の構造再計算、設計者等からの報告聴取
 イーホームズ等から提出を受けた構造計算書を国土交通省で引き続き再計算するとともに、特定行政庁から設計・施工者に対して再計算や偽造の事実に関し報告を求める等により、偽造の影響、耐震性の確認を進める(緊急に実施中)。
2 建築物所有者、管理組合等への連絡
 居住者等に対して、判明している事実関係や、建築物の耐震性についての連絡を行う(17日午後から各特定行政庁で開始)。

(2)居住者の受け入れ住宅等

 耐震性に大きな問題があることが確認されれば、特定行政庁において耐震補強や建替え等必要な措置を所有者等に求めることとなるが、当該住宅からの退去者の受け皿として、該当物件の所在する東京都、千葉県、神奈川県の公営住宅等、都市再生機構住宅の活用について要請(17日)。(現在募集中の空き家約1万6千戸(H17.11.16時点で把握している東京都、千葉県、神奈川県の公営住宅等及び都市再生機構の住宅)等の中で対応。)。

(3)姉歯建築設計事務所が関与した他の建築物に関する調査

 千葉県の立ち入り調査等により、姉歯の関与した物件及びその確認を行った特定行政庁若しくは指定確認検査機関を特定し、それぞれにおいて確認申請書類を再確認するとともに、特定行政庁から設計者に報告聴取するよう求めるなど、21件に準じて対応(早急に物件を特定中)。

(4)処分・告発

1 基準法違反(建築基準法第20条(構造規定)違反)等について、姉歯建築設計事務所をはじめとする建築基準法上の設計者の告発(準備中)。 
2 建築士及び建築士事務所について、国土交通省、東京都、千葉県が連携して、建築士法上の厳正な処分を実施(事実関係を確認後速やかに実施)。 
3 不適切な確認検査を行った指定確認検査機関に対する監督処分(同上)。 
4 また今後の調査の進展等に応じ、必要があれば他法令についても随時適用(同上)。

(5)再発防止策等

1 大臣認定構造計算プログラムを使用した構造計算書の審査方法の緊急調査 指定確認検査機関及び特定行政庁に対し、大臣認定構造計算プログラムを使用した構造計算書の審査について適切に行われているかどうかを緊急に調査するよう求め、その報告を求める(17日に調査依頼済み、24日締め切り)。

2 立ち入り調査・報告聴取による構造審査状況の一斉総点検の実施
  大臣認定構造計算プログラムを使用した構造計算の審査状況について、立ち入り調査・報告聴取等により、指定確認検査機関及び特定行政庁における審査状況の総点検を、プロジェクトチームを編成して緊急に実施する(21日の週から)。

3 法令遵守の徹底
建築士事務所、指定機関の業務の適正化に向けて、都道府県、特定行政庁、建築設計関係団体等を通じ法令遵守の徹底について通知(17日通知済み)。

3.相談窓口の設置

 偽造の疑いのある竣工済みの13件のマンションには、すでに特定行政庁から所有者等への連絡を開始しています。その他、お住まいのマンションの構造等について、ご質問、ご不安のある方は、設計者等に説明をお求めいただく他、お住まいの区、市等の建築指導部局にご相談ください。
なお、(社)日本建築構造技術者協会(www.jsca.or.jp)はマンションの設計図書、構造計算書等について、依頼に基づきチェックを行っているほか、(社)東京都建築士事務所協会(www.taaf.or.jp)、(社)千葉県建築士事務所協会(www.chiba-jk.or.jp)、(社)神奈川県建築士事務所協会(www.j-kana.or.jp)等においても、建築構造に関する相談に応じています。

4.制度及びその運用に関する検証

 当面の対応を迅速に実施しつつ、事実関係を精査し、社会資本整備審議会建築分科会に専門部会を設置し、現行制度及びその運用の検証及び改善の検討について、外部委員により審議いただく準備を進める。審議内容としては、構造計算プログラムの大臣認定(図書省略)制度、指定確認検査機関制度及び確認検査制度、その他建築士制度や問題が生じた際の保険制度等について、基本的・総合的な検討を要請することを検討(当面の対応の実施後速やかに実施。)。

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