平成17年1月28日 |
<問い合わせ先> |
自動車交通局技術安全部 |
審査課 |
(内線42302) |
TEL:03-5253-8111(代表) |
三菱ふそう製自動車の型式審査については、一連の不正事案を踏まえ、以下の点について確認しています。
今般、認証を行った車両に関する審査結果は以下のとおりです。
(1)「保安基準適合性の厳格な審査」関係
昨年9月28日までに、強度計算、実車試験結果等から、申請車両に装着されているハブ及びクラッチハウジングの設計の妥当性を確認するとともに、市場措置案件47件について適当な対策が実施されていることを確認しました。
残されていたクラッチハウジングの不具合の発生状況とその対応等について、以下の審査を実施した結果、保安基準の適合性を確認するとともに、本年1月から施行された基準(タイヤ及び直前直左視界に関する基準)への適合性の確認も行いました。
クラッチハウジングの不具合
今回申請のあった車両に使用されているクラッチハウジングは2種類あり、いずれも、設計・製造上の問題は確認されなかった。
ア.車両型式PA-FE71BDD型、ADG-FE71BD型他12型式に使用されるもの
ベースとなったクラッチハウジングに関係する商連書はなし。
イ.車両型式PA-FG70DBD他13型式に使用されるもの
ベースとなったクラッチハウジングに関係する商連書が4件あった。
商連書4件のうち1件については、クラッチの破損によるクラッチハウジングの破損。残りの3件のクラッチハウジングの破損原因を究明したところ、エンジンの整備作業を行う際、エンジンの振動を低減する部品(バランサシャフト)を誤って取り付けたため、逆にエンジンの振動が増大し、クラッチハウジングが破損したとの結論に至った。三菱ふそうでは、同種事案の再発防止のため、販社及び指定協力工場に対してサービスニュースを発行(昨年11月から適宜実施済み)するとともに、一般整備事業者への周知を図るため、(社)日本自動車整備振興会連合会の「技術情報」の2月号(2月1日発行予定)に、不具合事象を周知するとともに適正な整備作業の徹底を指示するための記事を掲載するとのこと。
申請車両の全ての市場情報の精査(保安基準に抵触する案件がないこと)
商連書等による調査については、以下の3件の不具合が判明したが、申請車両については、適当な対策がとられていることを確認。なお、これらの不具合については、市場措置が実施される予定。
ア.ハイドロリックブースタ部のブレーキ液のにじみ
ハイドロリックブースタ増圧シリンダ内部にあるピストンカップの形状と硬度が不適切であったため、申請車両については、ピストンカップの形状と硬度を向上した対策品を使用。
イ.スタータアースケーブル折損
スタータアースケーブルのクランプ位置が不適切なものがあり、その結果、スタータアースケーブルが折損し、エンジンの始動が困難になる場合がある。このため、申請車両については、スタータアースケーブルのクランプ位置の適正化を図るとともに、ずれ防止のためのコルゲートチューブの追加を行う。
ウ.ブレーキマスタシリンダピストンカップ亀裂
ブレーキマスタシリンダ内部のピストンカップに製造工程時のバリが混入しているものがあり、その結果、ピストンカップに亀裂が生じ、制動力が低下するものがある。このため、申請車両については、製造工程の見直しによるバリ混入防止を図るとともに、拡大鏡を使用したバリ検査を強化したものを使用。
試験・設計標準の遵守状況の確認
昨年12月17日に三菱ふそうから提出された「「警告書」に基づく改善対策の報告」の中で、「試験・設計標準が遵守されていない」との報告があった。このため、申請車両に関し、保安基準適合性に関する試験・設計標準が遵守されているかどうかを確認したところ、「冷却ファンの強度試験」の省略、「ホイールハブに関する強度試験」の代替評価の実施以外は遵守されていた。
「冷却ファンの強度試験」については、過去の実績を勘案し省略できると判断したとのことであり、特段の問題はないと判断した。
「ホイールハブに関する強度試験」については、設計強度計算と実車耐久試験により代替評価を行ったとのことであり、適当と判断した。
(2)「不正行為への対応状況の確認」(「警告書」に対する報告書の確認)
三菱ふそうから本年1月24日に提出された「警告書」に対する追加報告について精査した結果、概ね国土交通省からの要請に回答が出来ているものと判断しました。
なお、再発防止対策は妥当と判断されるものの、三菱ふそうについては、2000年に引き続きリコールに関する不正事案を起こしており、再発防止対策の実施が重要であること、今後公判等を通じ新たな事実関係が判明する可能性があることから、国土交通省としても、再発防止対策の実施状況について四半期毎の報告を求める、A再発防止対策が機能していることを確認するための監査の実施等、引き続き再発防止対策の実効性について厳しく注視していくこととしています。
具体的な評価は以下のとおりです。
再度同種問題が発生した理由については、現在、公判が進行中であり報告内容が限定されることを踏まえれば、概ね、調査は実施されているものと判断した。なお、今後、公判や社外弁護士による調査等により新たな事実が判明した場合には、追加の報告を求めることとする。
今般の改善対策が十分に機能すると判断した理由、及び経営首脳のコンプライアンスにも機能する改善策については、社外有識者を中心とした「企業倫理委員会」、公正・透明な方法で選任される社外弁護士による「社外ヘルプライン」による相互監視機能が設置されているなど、報告された改善策については妥当なものと判断した。
PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Acrobat Readerが必要です。右のアイコンをクリックしてAcrobat Readerをダウンロードしてください(無償)。 Acrobat Readerをダウンロードしても、PDFファイルが正常に表示されない場合はこちらをご参照下さい。 |
All Rights Reserved, Copyright (C) 2005, Ministry of Land, Infrastructure and Transport