国土交通省
 ILO海事統合条約準備総会フォローアップ会合について
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平成17年5月2日
<問い合わせ先>
海事局船員政策課
国際企画室

(内線45351)

TEL:03-5253-8111(代表)


 

  平成16年9月に開催された海事統合準備条約準備総会においては、同条約案のうち、船員に関する労働条件、雇用及び配乗の条件、船内居住設備並びに社会保障措置等については概ね合意が得られたものの、検査及び証書の発行を含む条約の執行に係る部分については、完全に合意するに至らなかった。このため、積み残しとなった条約執行に係る部分を中心に審議を行うため、平成17年4月21日から27日まで、標記会合が、ILO本部(ジュネーブ)において開催された。
  標記会合には、68カ国の政府、船主及び船員の代表が参加し、国土交通省からは、寺西九州運輸局次長(海事局併任)、後藤船員労働環境課長らが出席した。
  この結果、平成18年2月に開催が予定されている海事総会に提出される条約案が概ね完成した。
  その概要は以下の通りとなっている。

 

  1. 適用範囲
      トン数や内航・外航の区分に関わらず、漁船を除く商業活動に従事するすべての船舶に適用されることとなった。

  2. 船員の労働条件及び雇用・配乗条件
      船員の最低年齢、配員等基本的な事項について確認された。なお、民間の船員募集及び職業紹介機関の監督に関しては、同機関が所在する国がその責任を有することが確認された。

  3. 船内居住設備
      船舶の大きさによる個別項目の適用除外について議論がなされたが合意に至らず、本年6月のILO総会における漁業条約の採択結果を待って、その後に、Intersessional Meetingにおいて、海事総会までに案を作成することとなった。

  4. 社会保障措置
      船員の居住国が原則として社会保障責任を負うとの原則が引き続き確認されるとともに、旗国が自国籍船に乗り組む船員について自国に居住する船員と同様の社会保障措置を講ずべきであるとの旨の規定の強制化は見送られた。

  5. 旗国責任
      検査及び証書発給は、外航に従事する500トン以上の船舶のみを対象とすることとし、これら以外の船舶については、条約は適用され定期的な検査にも服するが、定期的な証書の発給は要しないこととされた。
    なお、検査項目は以下の通り。

    <検査項目>
    最低年齢、健康証明、船員の資格、雇用契約、許可された民間の船員の募集及び職業紹介機関の使用、労働時間、船舶配乗、船内の船員設備、船内福祉施設、食料及び賄、健康・安全・事故防止、船内医療、船内苦情処理手続、賃金の支払

      また、船内の状況が、船員の安全、健康または保安の観点から明確に危険である場合、または、重大な条約違反等が判明した場合には、証書の撤回、船舶の航行差止めを行うこととされた。

  6. 寄港国責任
      寄港国による監督は、船舶のトン数に関わらず実施できることとされた。
      なお、船内の状況が、船員の安全、健康または保安の観点から明確に危険である場合、または、重大な条約違反等が判明した場合には、寄港国が船舶の航行を差し止めることとされた。

  7. 苦情処理
      船舶単位で自主的に船員の紛争処理申し立てを処理するシステムを確立することが義務づけられることとなった。
      また、船員が寄港国において条約違反に係る何らかの申し立てを行った場合には、一義的にはPSCにより対応し、それにより解決しない場合には旗国への通報及び既存のILOへの通報システムに従った通報を行うこととされた。

  8. なお、条約の発効要件については、合意に至らず、平成18年2月開催が予定されている海事総会において審議されることとなった。

  9. 今後の予定
    平成18年2月開催のILO海事総会において採択予定。

 

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