平成17年7月28日 |
<問い合わせ先> |
海事局国内旅客課 |
(内線43402、43432) |
TEL:03-5253-8111(代表)
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- 7月27日(水)10時より、国土交通省海事局10階会議室において、第2回「旅客船事故原因分析検討会」が開催された。議事は次のとおり。
議事は次のとおり。
(1) 事業者ヒアリング
事業者3社の事故防止への取り組みについて
・新日本海フェリー(株)・九州商船(株)・佐渡汽船(株)
(2) (独)海上技術安全研究所の取り組みについて
(3) 中間とりまとめイメージ(案)の提示
- 議事概要
事業者3社及び(独)海上技術安全研究所より発表が行われた。発表の要旨は以下のとおり。
また、事務局から ※「中間とりまとめイメージ(案)」を提示した。
※)「中間とりまとめ」については、事務局の取りまとめ案をもとに委員およびオブザーバーから意見をいただいて整理を行うこととしており、議事概要は公表せず、整理終了後の対応とさせていただきます。
なお、次回は、8月11日(木)14時より開催の予定。
○ 事業者等からの発表の要旨
〔新日本海フェリー(株)〕
- 緊急的な事故防止対策としては、以下を行っているところ。
−岸壁衝突事故については、気象情報の正確な入手及びこれに対応する精密な気象情報の入手方法ついて改善。民間会社より逐次ピンポイント情報を入手し、きめ細かく対応。
−車両甲板事故については、サイドブレーキ徹底と確認を含めた作業手順を明確に確立。運送会社従業員を含めた作業安全会議において周知徹底。
- その他、安全確保に向けて社内組織を点検した結果、新たに社長をトップとする常設委員会(総合安全推進委員会、リスクマネジメント委員会)を設置。本委員会において、安全確保のための課題研究、教育訓練等に関し、従来まで気付かなかった問題点について時間をかけて積極的に究明している。例えば以下の様なもの。
−パニックを起こさないためのトラブル発生時に備えたトレーニング実施(操船シュミレータ等)
−船長への昇格制度の見直し。引継期間の延長及び複数船長によるOJT指導の実施。
−新任船長は特に船内コミュニケーションが不得手なため、何でもいえる船橋内の環境作りにも重点。
−各船長の考え・方針が操船方法にも違いをもたらす。出航前、船長は自らの運航方針を各船員に共有させるべく綿密なミーテ ィングを実施し、BRM(ブリッジ・リソース・マネジメント)向上にも重点。
- ISMコード(国際安全管理規則)における体系的な安全基準作成の思想は、従来の当社に無かったものであり、社内で導入の機運が高まったことから、現在申請に向けて準備中。
〔九州商船(株)〕
- 昔に比べて就航船舶数が減っているにもかかわらず、事故の発生数は増えている。「安全運航を最優先」とする基本方針を全社員に再認識させ、社員教育を徹底。
- 船員の基本的技術に不十分な点が見られる。ドック時に乗組船舶の性能等を熟知させるため、実地訓練を実施。
- 既にハードは十分なものを備えている。これを十分に使いこなせることが重要。そのための研修が必要。
- 当社においても、任意ISMコード取得に向け準備中。指導と教材の提供等を要望する。
- 船橋内のコミュニケーションの改善のため、船員に特有のタテ社会の悪弊を取り除く工夫が必要。
- 安全の確保はやはり優秀な船員が基本。教育のための費用を惜しまず、海技大学校等における乗組員の再教育を実施する予定。訪船指導など専門の指導員派遣の取組みを要望する。
〔佐渡汽船(株)〕
- 鯨衝突事故については、多発海域における減速航行の実施、鯨忌避装置の設置、シートベルトの改良及び旅客への遵守徹底等、可能な限りの出来うる措置を実施済み。これらの措置を行って以降、負傷事故は発生していない。
- 座礁事故に対しては、細かいルールを設定。
- 基準航路をもとに原則この範囲内を航行するシーレーンを設定。GPS位置情報がシーレーンを外れるとサイレン、近づくと警報なる当社独自のシステム開発と運用。
- 我が社が誇るものとしては、本社屋最上階に眺望良好な管制室を設置し、気象情報、GPSの位置情報を利用した各船の運航状況等を一元管理して運航の管理を実施している点。
〔(独)海上技術安全研究所〕
- 事故防止のためには、人間と機械のシステム全体を視野に入れた検討が必要
- 海技研のこれまでの活動
−ヒューマンエラーが起こり難い環境の創造を中心的課題として捉え種々のシステム開発を実施
−海難審判庁裁決録データベース検索システムの構築及び統計的解析などヒューマンファクター関連研究
- 今後の研究の方向
−予防安全型技術の開発(人間の役割を考慮した自動化技術、操船者の状態把握技術、作業分析技術)、エラー発生後の柔軟な対応(外的気付きを与えるアドバイス技術、危険自動回避技術)
- 海技研の役割
−ヒューマンエラー事故防止技術開発を推進し、国の安全規制における技術的貢献及び海事産業における研究成果の活用を通じた安全対策の高度化に資する
○ 当検討会の構成
座長 |
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村山 義夫 |
財団法人海上労働科学研究所主任研究員 |
有識者委員 |
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伊藤 耕二 |
川崎汽船株式会社研修所主任講師(船長) |
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小林 弘明 |
東京海洋大学海洋工学部海事システム工学科教授 |
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野尻 良彦 |
独立行政法人海技大学校教授 |
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吉田 公一 |
独立行政法人海上技術安全研究所研究統括主幹 |
関係団体委員 |
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馬越 洋造 |
全日本海員組合沿海局長 |
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笠木 義男 |
社団法人日本旅客船協会労海務部長 |
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高松 勝三郎 |
日本長距離フェリー協会副会長・業務委員長(代理) |
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田中 護史 |
独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構技術支援部長 |
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堤 義晴 |
社団法人日本外航客船協会 |
オブザーバー |
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外航課長 |
櫻井 俊樹(代理) |
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国内旅客課長 |
丹上 健 |
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安全基準課長 |
石田 育男(代理) |
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安全基準課安全評価室長 |
安藤 昇 |
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検査測度課長 |
澤山 健一 |
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船員政策課長 |
内波 謙一 |
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船員労働環境課長 |
後藤 洋志 |
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海技資格課長 |
羽尾 一郎 |
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首席海技試験官 |
富倉 邦彦 |
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海上保安庁交通部安全課長 |
村上 玉樹 |
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高等海難審判庁海難分析情報室長 |
西村 敏和 |
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事務局 |
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国内旅客課運航監理官 |
矢野 秀樹 |
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国内旅客課課長補佐 |
片山 敏宏 |

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