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 航空運送事業者における輸送安全総点検の緊急
 実施に関する結果報告について
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平成17年5月27日
<問い合わせ先>
航空局技術部運航課

(内線50122)

航空局航空機安全課

(内線50232)

TEL:03-5253-8111(代表)


 

1.概要

 

  「輸送安全総点検の緊急実施について」(国総参第35号平成17年3月24日付)に基づき、公共交通機関の安全を確保し、国民の信頼を回復するため、航空運送事業者に緊急の安全総点検を指示したところ、その実施結果について、5月13日迄に報告がなされた。

 

2.点検期間

 

3月24日(木)〜4月30日(月)  
※日本航空グループについては事業改善命令等を踏まえて早期実施を図るため4月15日(金)迄に完了した。

3.点検項目

    1.航空機の運航の実施状況

     (1)運航規程等の遵守

     (2)運航におけるヒューマン・エラーの防止

     (3)情報伝達の迅速性

     (4)航空交通管制機関等との連絡

     (5)不具合事象の再発防止策検討体制

     (6)運航乗務員に対する確実な日常の健康管理

     (7)運航乗務員に対する確実な教育訓練の実施

     (8)客室乗務員に対する確実な教育訓練の実施

    2.航空機の整備の実施状況

     (1)整備規程等の遵守

     (2)整備におけるヒューマン・エラーの防止

     (3)情報伝達の迅速性

     (4)不具合の再発防止策検討体制

     (5)不適切部品の使用の防止

    3.法令遵守意識の徹底

4.点検実施状況

(1)対象事業者
     
  • 特定本邦航空運送事業者(14事業者)
    (株)日本航空インターナショナル、(株)日本航空ジャパン、日本アジア航空(株)、日本トランスオーシャン航空(株)、(株)JALウェイズ、(株)JALエクスプレス、(株)ハーレクィンエア、全日本空輸(株)、エアーニッポン(株)、(株)エアージャパン、日本貨物航空(株)、スカイマークエアラインズ(株)、北海道国際航空(株)、スカイネットアジア航空(株)

     

  • 上記を除く航空運送事業者(64事業者)

(2)実施状況の査察

  実施状況を確認するため、3月28日に航空局長が日本航空グループに対して、29日に航空局次長が全日空グループに対してそれぞれ査察を実施した。また、地方航空局所管の主要航空運送事業者についても、地方航空局長等が査察を実施した。

5.点検結果

(1)総括

  各事業者からは、該当する点検項目について総点検を完了し、一部の不備事項を確認したものの、いずれも重大な不備事項とは認められず、適正に是正措置を講じた、との報告がなされている。

(2)主な点検項目の点検結果(特定本邦航空運送事業者におけるもの)

  不備事項が報告された主な点検項目とその是正措置は以下のとおり。

 
a.日本航空グループ

1運航規程及び整備規程等の遵守
  運航規程及び整備規程等が現場において最新に更新され、周知徹底がなされているかについて点検が行われたところ、一部の規程類(航空機運用マニュアル、航空機整備マニュアル、客室乗務員業務マニュアル等)が最新の状態に維持されていなかった事例が確認された。これらについては、直ちに最新のものに更新することが報告された。

2運航及び整備におけるヒューマン・エラーの防止
  ヒューマン・ファクターに関する教育訓練が適切に実施されているかについて点検が行われたところ、当該訓練を受講していない者が一部いたことが確認された。未受講の者に対しては直ちに教育訓練を実施するとともに、是正措置として訓練実施状況の定期的な確認を業務基準に規定することが報告された。

3不適切部品の使用の防止
  航空機の整備において不適切部品が使用されていないかについて点検が行われたところ、航空機メーカーのマニュアルに示された部品番号と一致しないものが使用されている事例が確認された。誤使用が認められた部品については正規部品に交換するとともに、是正措置として、コンピューターシステムの導入、部品交換時の手順の徹底、マニュアルの改定等が報告された。(JALI8品目   13個、JALJ6品目18個、JTA2品目3個)

4法令遵守意識の徹底
  各部署における各社員への法令遵守及び安全意識が徹底されているかについて点検が行われたところ、現場への安全情報提供の際に背景説明が不足している等、現場と間接部門間でコミュニケーションの改善が必要である事例等が確  認された。対策として、分かり易い教材を作成して再教育を実施すること等が報告された。

b.全日空グループ

 

1航空交通管制機関等との連絡
  運航乗務員は航空交通管制機関等との交信内容を正確に把握し確認を行っているかについて点検が行われていたが、4月22日小松飛行場において管制指示違反事例が発生した。これについては管制交信の確実な実施のための再発防止策が改めて報告された。

2不適切部品の使用の防止
  航空機メーカーのマニュアルに示された部品番号と一致しないものが使用されている事例が確認された。誤使用が認められた部品については正規部品に交換するとともに、是正措置として、部品交換時の手順の徹底、マニュアルの改定等が報告された。(ANA3品目6個、NCA1品目1個)

3法令遵守意識の徹底
  新入社員及び新任管理職に対して実施する安全教育内容に法令遵守に関する事項が含まれていないことが確認された。対策として、安全教育の教材に、法令遵守に関する事項を組み入れることが報告された。

c.その他の特定本邦航空運送事業者

1運航規程及び整備規程等の遵守
  一部の規程類(英語版オペレーション・マニュアル)が最新の状態に維持されていなかった事例が確認された。これについては、直ちに最新のものに更新することが報告された。(北海道国際航空(株))

 

2運航及び整備におけるヒューマン・エラーの防止
  旅客部門においてヒューマン・ファクターに関する教育訓練が設定されていなかった事例(スカイマークエアラインズ(株))、ヒューマン・ファクターに関するリカレント訓練の実施実績が明確でなかった事例(北海道国際航空(株))、当該訓練について計画の遅れが生じていた事例(スカイネットアジア航空(株))等が確認された。それぞれについて、対策としてヒューマン・ファクターに関する教育訓練を適切に設定又は計画することが報告された。

 

3航空交通管制機関等との連絡
  交信内容は把握されているものの管制機関への確認が確実ではなかった事例(スカイマークエアラインズ(株))、交信内容を聞き違え誘導路の停止位置を誤解した事例(北海道国際航空(株))が確認された。それぞれについて、全運航乗務員に対する事例周知及び注意喚起を行ったことが報告された。

6.まとめ

(1)航空運送事業者全78社において自主的な輸送安全総点検が実施されたものと認められ、点検において確認された不備事項については、直ちに是正措置が講じられ、再発防止策を必要とするものについては所要の措置を講じることの報告がなされている。

(2)しかしながら、総点検期間中に管制指示違反が発生する等、引き続き安全上のトラブルが発生していることに鑑みれば、各事業者においては本緊急点検期間中のみならず、今後とも安全管理体制の確保に向けた一層の取り組みが必要と考えられる。

(3)航空局としては、日本航空グループに対しては、4月14日に報告を受けた改善措置の実施状況につき毎月報告を求めるとともに今後2〜3ヶ月毎に立入検査を実施し、また、他の事業者についても適確に監督・指導することにより、航空輸送の安全確保を図っていくこととする。

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