苫東開発の展開方向について
(1)企業誘致方策について
- 苫東地域が北海道の中で、企業誘致に係るプライオリティが最も高い地域である旨を明確にすることが必要である。その上で、関係機 関が更に連携して「苫東トップセールス会議」の設置など、企業誘致に係る諸施策を効果的に展開すべき。
- 企業誘致方策の強化について実行できることから早急に対処し、企業側に北海道地域の誘致姿勢が積極的に変化していることを認識し てもらうことが必要。
(2) 展開可能性のある産業・プロジェクトについて
自然と共生するアメニティ満ちあふれた環境づくりを進めることが必要
- 大規模公園のような空間の実現について、平成19年に予定されている全国植樹祭を契機とし、森林と人・産業・都市の共生を目指し て、アメニティ空間の創出など様々な機能を持続的に発揮する森林づくりに向け、緑化関係団体との連携、NPO活動、企業の社会貢献 など様々な取り組みを検討すべき。
- 弁天沼については、その優れた自然環境を活かす方策を検討すべき。
生活環境や余暇環境の創出に対処するとともに、大規模災害の避難者の受け皿にもなり得る街づくりを進めることが必要
- 関係機関が連携協力して、街づくりの基本要素としての生活インフラ、医療、商業、コミュニティー等の機能の導入の検討に取り組む ことと併せて、「もしもの街」の実現に必要な社会学・医学・心理学上などの観点からの諸課題について検討すること及び、苫東地域の 有する優位性や「もしもの街」のイメージの情報発信等に引き続き取り組むべき。
- 展開を目指すべき産業・プロジェクトの中には、備蓄機能や避難者の精神面でのケアに有用な機能を有するものがあるが、これらプロ ジェクト等の展開に当たっては、将来、苫東地域が大規模災害における避難者の受け皿になり得ることを念頭に置いた配慮が必要。
- これらの検討に当たっては、中央防災会議における首都直下地震対策についての検討等、「もしもの街」に関連する全国的な検討動向 に注視していく必要がある。
苫東地域の優れた交通・輸送条件を活かした産業拠点を構築することが必要。また、国際競争力のある事業環境を整備するため、大学 等の知的資源を活用することが必要
- 苫東地域では近年、資源リサイクル産業の展開が継続して行われているが、このほか自動車関連産業についても拠点化を図るべき。
- 自動車関連産業については、輸出拠点化を含めて検討してきたが、地元由来の貨物を確保することがその実現の大きな要素であり、長 期的視点で取り組む必要があると考える。その中で今後10年程度の間においては、企業誘致方策の強化を図ることなどにより、苫東地 域及びその周辺における部品産業の集積を目指すべき。
- 航空機関連産業については、広大な用地と空港及び港湾に近接するという苫東地域の優位性を発揮することができる分野であることか ら、関係機関の連携のもと、航空施策に係る検討の状況等を踏まえ、誘致に向けて取り組みを進めていくことが必要。
- 研究開発機能については、苫東地域や北海道に現在ある資源を活かしながら、産学連携の取り組みを進めていくなど、その充実・強化 を図るべき。
地球環境の保全や循環型社会の形成などに寄与する産業・プロジェクトを導入することが必要
- 苫東地域の有する自然条件、交通・輸送条件などは、資源リサイクル関連産業のほか、自然冷熱エネルギーを活用して貯蔵した農産 物の本州向け供給拠点(「自然冷熱利用型農産物貯蔵を核とした物流拠点」)、大都市圏オフィスビル用冷房熱源の供給拠点(「雪氷輸 送物流システム拠点」)、バイオマスエタノール関連産業、バイオ関連産業などの構築にとって優位性があることから、今後、これら産 業・プロジェクトの実現に向けて関係機関が連携・協力し、各種の研究、調査や社会実験等に積極的に取り組むべき。
【今後のスケジュール】 本日の議論などを踏まえて必要な修正を行い、報告書をとりまとめ、近日中に公表する予定。

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