平成18年3月29日 |
<問い合わせ先> |
○インターネットモニターに関すること |
大臣官房広報課 |
(内線21574) |
○調査結果に関すること |
国土計画局総合計画課 |
(内線29377) |
TEL:03-5253-8111(代表) |
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※E-mailでのお問い合わせは kocho-1@mlit.go.jp まで。
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国土交通省では、現在、国土形成計画の策定作業を進めているところです。計画の策定にあたり、国民の皆様の国土の将来に対する御意見をお伺いすることを目的として、平成17年12月から平成18年1月にかけて、国土交通行政インターネットモニターに対してアンケート調査「国土の将来像について」を実施し、677名(男性342名、女性335名)の20歳代から80歳代までの幅広い年齢層にわたる方々から回答をいただきました。その結果を公表します。
- 平成17年度国土交通行政インターネットモニター791名
- 86%(677名)
- 平成17年12月20日〜平成18年1月10日
- 日本の将来に対して不安・不透明感を持っているという回答が、91.0%。その要因として回答の割合が高いもの(50%以上)は、社会保障制度の破綻(79.5%)、公共サービスや社会資本の水準の低下(57.8%)、環境問題の一層の深刻化(57.0%)。
- 将来特によくなってほしい生活環境の第1位は、治安(56.4%)。その後、高齢者が暮らしやすい環境(38.6%)、子育てしやすい環境(37.2%)、災害に対する安全性(33.4%)が続く。
- 人口減少時代の日本の国土・社会のイメージとしては、「労働力人口の減少によって、日本の経済活力が低下するのではないか」という回答が最も多く、43.3%。
- 財政制約下の社会サービスの提供のあり方は、「国民の大多数が現在と同様のサービス水準を受けられるようにすべきだが、一部のサービス提供は地域コミュニティやNPOなどに委ねることによって、そのために国民全体の負担が増えることは避けるべきだ」という回答が最も多く、46.8%。
- 「団塊の世代」の定年後の地方移住・交流の動きが増えるという回答が、77.9%。
- 今後の少子高齢化社会において安心で安全・安定な生活をおくっていく上で大切であると考える国土基盤施設は、「毎日の生活に必要な、バス等の都市公共交通、電気・ガス・水道等のライフライン」と「水害、地震等の自然災害から市民の命と財産を護るための防災基盤」が、それぞれ63.5%。
- 東京一極集中問題については、「引き続き東京から地方へ人口や諸機能を分散させるべきだ」とする回答が75.8%。その理由は、「中枢機能が東京に一極集中することは危機管理上問題があるから」(45.0%)という回答が最も多く、その後「東京一極集中が地方の活力を削いでいるから」(32.4%)という回答が続く。
※アンケート調査の結果についての詳細は、こちらをご覧下さい。
「国土交通行政インターネットモニター」アンケート調査(平成17年12月−平成18年1月実施)
「国土の将来像について」の結果について
国土交通行政インターネットモニターとは、広く全国の老若男女の皆様から、国土交通行政の課題に関しインターネットを利用して質の高いご意見・ご要望等をお聴きし、今後の国土交通行政の施策展開の参考とすることを目的として、平成16年度から実施している制度です。
詳しくは、https://www.monitor.mlit.go.jp/まで。
<はじめに>
国土の抱える様々な課題に対する対応策を示し、望ましい国土の将来ビジョンをつくることが国土計画の役割です。
日本の国土計画は、これまで全国総合開発計画(全総)を中心に展開されてきました。しかし、開発基調・量的拡大を志向する全総は、これから始まる人口減少下の成熟社会にふさわしい国土ビジョンを示す上で、時代にあわないものとなってきました。このため、全総の根拠となっていた国土総合開発法を抜本的に見直し、これまでの全総に代えて、新たに国土形成計画を作成することになりました。
国土形成計画では、国土政策上の様々な課題に対する対応策を示し、国民が安心して生活しうる国土の将来像と豊かでゆとりある国民生活のあるべき姿を示すこととしています。
国土交通省では、現在、国土形成計画の策定作業を進めているところですが、国土形成計画の策定にあたっては、多様な主体が参画した計画づくりを目指しています。このため、国民の皆様の国土の将来に対する御意見をお伺いすることを目的として、このたび「国土の将来像について」と題してアンケート調査を実施しました。(アンケート内容はこちら(PDF形式)をご覧ください。)
その結果の概要は、以下の通りです。
<アンケートの概要>
- 対象者 :国土交通行政インターネットモニター791名
- 回答率 :86%(677名)
※回答者の属性については、こちら(PDF形式)をご覧ください。 - 実施期間:平成17年12月20日(火)〜平成18年1月10日(火)
<アンケート結果の概要>
※ 個々のアンケート調査の結果については、それぞれの問毎の参考図表をご覧下さい。また、各グラフ・数表の見方については、こちら(PDF形式)をご覧下さい。
国土形成計画の策定が始まったことの認知度(問1) 参考図表(PDF形式)
- 国土形成計画の策定が始まったことを「全く知らない」という回答が、約6割にのぼっています。また、「全国総合開発計画(全総)は知っているが、国土形成計画は知らない」という回答は、60歳代以上の方に多く見受けられます。
日本の将来に対する不安・不透明感(問2) 参考図表(PDF形式)
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「日本の将来に対して、不安感や不透明感を持っている」という回答が約9割にのぼり、多くの方が日本の将来に対して不安・不透明感を抱いていることがわかりました。
日本の将来に対する不安・不透明感の要因(問3(複数選択可)) 参考図表(PDF形式)
- 「日本の将来に対して、不安感や不透明感を持っている」と回答された616名の方に、その要因をお尋ねしたところ、「年金などの社会保障制度が破綻してしまうのではないか」という回答が最も多く、その後「財政の悪化によって、公共サービスや社会資本の水準が低下するのではないか」、「環境問題が一層深刻化するのではないか」という回答が続いています。
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「その他」の回答では、少子高齢化や治安に関わる問題を指摘する回答が多く見受けられました。
将来特によくなってほしい生活環境(問4、3つまで選択可) 参考図表(PDF形式)
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将来特によくなってほしいと思う生活環境を3つまで選んでいただいたところ、「治安」という回答が最も多く、その後「高齢者が暮らしやすい環境」、「子育てしやすい環境」、「災害に対する安全性」という回答が続いています。このように、全般として安全・安心・安定に関わる項目に「よくなってほしい」という要望が強いことがわかりました。
人口減少時代の日本の国土・社会のイメージ(問5) 参考図表(PDF形式)
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人口減少時代の日本の国土・社会のイメージとしては、「労働力人口の減少によって、日本の経済活力が低下するのではないか」という回答が最も多く、これ以外の選択肢を含めた人口減少時代を否定的に捉える回答が全体の約9割にのぼっています。これに対して、「一人当たりの住宅面積の増加や余裕をもった土地利用が可能になるのではないか」や「大都市では、交通渋滞などの過密の弊害が緩和されるのではないか」という人口減少時代を肯定的に捉える回答は、全体の約5%にすぎませんでした。
人口減少への対応(問6) 参考図表(PDF形式)
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人口減少に対しては、「少子化対策を積極的に行うことが必要」という回答が約7割にのぼっています。なお、「外国人労働者の受け入れを検討することが必要」という回答は、約5%にすぎませんでした。
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「その他」の回答では、子育て環境など少子化対策の具体的内容を提案する回答が多く見受けられたほか、適正な人口規模を維持する長期的な政策が必要という回答が見受けられました。
財政制約下の社会サービスの提供のあり方(問7) 参考図表(PDF形式)
我が国の都市が経済活力を維持していくために重要なこと(問8、複数回答可) 参考図表(PDF形式)
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我が国の都市が経済活力を維持していくためには、「高度な科学技術を活用した工業製品などの輸出支援」、「地域資源(食・自然・文化・伝統など)を活かした集客産業の支援」、「地場の起業家支援」に重点を置くべきと、それぞれ約5割の方が回答されています。
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「その他」の回答では、製品の国内生産の奨励などを指摘する回答が見受けられました。
「団塊の世代」の定年後の地方移住・交流の動き(問9) 参考図表(PDF形式)
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「団塊の世代」の定年後の地方移住・交流の動きについては、全体の約8割近くの方が「地方への移住・交流は増える」と回答されています。また、「団塊の世代」である50歳代では、その割合が年代別で最も高く、80.9%にのぼっています。
安心で安全・安定な生活をおくっていく上で、大切であると考える国土基盤(問10、複数選択可) 参考図表(PDF形式)
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今後の少子高齢化社会において安心で安全・安定な生活をおくっていくためには、「毎日の生活に必要な、バス等の都市公共交通、電気・ガス・水道等のライフライン」や「水害、地震等の自然災害から市民の命と財産を護るための防災基盤」が大切であるという回答が、約6割以上にのぼっています。
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「その他」の回答では、介護施設など高齢化に対応した施設を指摘する回答が見受けられました。
国土をより良い状態で次世代に引き継いでいくために重要視すべき観点(問11) 参考図表(PDF形式)
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国土をより良い状態で次世代に引き継いでいくためには、「自然との共生・循環」や「安全性」を重要視すべきと回答された方が、それぞれ約4割、約3割にのぼっています。
第5次全国総合開発計画「21世紀の国土のグランドデザイン」で提唱されている多軸型国土構造に共感できるか(問12) 参考図表(PDF形式)
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第5次全国総合開発計画「21世紀の国土のグランドデザイン」で提唱されている多軸型国土構造については、「共感できる」と「理念は共感できるが、「国土軸」のイメージがわかりにくい」という回答が約7割近くにのぼり、多軸型国土構造の理念には一定の理解がありました。その一方で「理念は共感できるが、「国土軸」のイメージがわかりにくい」や「「国土軸」についてよくわからない」という回答も約7割を超え、「国土軸」が一般にはわかりづらい概念であることがわかりました。
東京一極集中問題について(問13) 参考図表(PDF形式)
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東京一極集中問題については、「引き続き東京から地方へ人口や諸機能を分散させるべきだ」とする回答が約8割近くにのぼっています。また、東京が所在する関東地方では、「引き続き東京から地方へ人口や諸機能を分散させるべきだ」とする回答の割合は他の地方よりも低くなっていますが、それでも7割近くにのぼっています。
東京から地方へ人口や諸機能を分散させるべきとする理由(問14)
参考図表(PDF形式)
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「引き続き東京から地方へ人口や諸機能を分散させるべきだ」と回答された513人にその理由を尋ねたところ、「中枢機能が東京に一極集中することは危機管理上問題があるから」とする回答が最も多く、その後「東京一極集中が地方の活力を削いでいるから」という回答が続いています。なお、東京が所在する関東地方では、他の地方に比べて、「中枢機能が東京に一極集中することは危機管理上問題があるから」とする回答が少なくなっており、「東京の過密の弊害が依然として深刻であるから」という回答の割合が多くなっています。
東京から地方へ人口や諸機能を分散させる必要はないとする理由(問15) 参考図表(PDF形式)
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「もはや東京から地方へ人口や諸機能を分散させる必要はない」と回答された163人にその理由を尋ねたところ、「東京に集中するのは、東京が魅力的な都市であるからであって、個人や企業の自由な意思に任せるべきであるから」という回答が最も多く、その後「東京から地方への人口や諸機能の分散よりも、地方の活性化を図り、全体としての底上げを目指すべきだから」という回答が続いています。
参加したいと思う国土形成計画の策定に向けた取り組み(問16、複数回答可) 参考図表(PDF形式)
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国土形成計画の策定に向けて国土交通省が行う取り組みのうち、「ウェブサイト「インターネットでつくる国土計画」電子会議室への投稿」や「シンポジウムやタウンミーティング等の傍聴」に参加してみたいという回答が多く、「自ら参画するつもりはない」という回答は、約8%にすぎませんでした。
国土形成計画についてのご意見・ご感想(問18、自由回答)
- 国土形成計画についてのご意見・ご感想については、384名の方から回答をいただきました。そのご意見・ご感想の例は、以下のとおりです。
- 国土形成計画は、全ての部署が関わり連携して策定されるべきものと考えます。国土交通省が中心となって策定されるものとの理解をしておりますが、他の省庁といかに連携して計画が策定されるかが、計画実現を左右するものと考えます。(宮城県、管理・専門技術職、男性、50代)
- 成熟型の国土形成を目指していることには全面的に賛成します。しかし、計画の内容が抽象的な表現にとどまっていて、成熟社会型国土の具体的イメージが浮かんできません。(岡山県、無職、男性、60代)
- 国土形成計画とはどんな内容なのかの具体的な部分があまりわかってなかった。もっと国民にこのような計画があることと内容を伝えて欲しい。(北海道、無職、男性、20代)
- 国土形成計画について、ふだん目にとまるような情報が少ないと思います。(神奈川県、主婦、女性、40代)
- 日本の将来の事なのにあまり良く知らないことが多すぎるのでもう少し情報を流してもらえればと思った。ニュースなどではあまり話が出てこないから省庁がしっかり積極的に情報を流すべきではないかと思う。 (滋賀県、販売・サービス・労務職、女性、30代)
- なんとなくでわかりにくい。もっと具体的な例を示して説明・解説がほしいと思いました。またこのような計画案を広く国民にマスメディアを使って公表・提供してほしい。今回の参考資料ではとても勉強になりました。数十年先の将来が感じ取れました。(長崎県、主婦、女性、30代)
- 国土形成計画という言葉自体難しすぎて理解できない人が多いと思います。これからの事とは思いますが、何をどうすればどうなるのか、国民全員が理解できる、もっと具体的なわかりやすい計画をして欲しい。(愛媛県、自営業主・家族従事者、男性、50代)
- 住み良い環境作りのために、国土形成計画は重要。国土交通省と国民との協力、協調が求められている。(山口県、事務職、男性、40代)
- 少子高齢化・人口の減少や成熟社会での計画は従前とは違うものになるのは予測できますし、方向転換が必要なのは十分理解できました。これまでの国土計画で今後も取り入れて良いものもあるでしょう。我々国民は傍観者ではなく、積極的に協力すべきだと思います。(徳島県、管理・専門技術職、男性、40代)
- 将来を見すえての国土形成を積極的に推進することは、次世代の人々に生きる希望を与え、日本に生まれた誇りが保たれることになる。目先の利害にとらわれず、大局にたった施策を考え推進すべき。と思います。(新潟県、無職、男性、70代)
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<おわりに>
今回の調査では、全国のモニターの皆様から貴重な御意見などを数多くいただきました。
今回の調査を通じて、多くの方が日本の将来に不安・不透明感を抱いていることが改めて明らかになりました。特に、少子高齢化などを背景として、生活の安全・安心・安定に係わる分野に強いニーズがあることがわかりました。このようなニーズを踏まえ、新たに作成する国土形成計画において、安全・安心・安定した国土と国民生活の将来像を示すべく、検討を進めていきたいと考えております。
そのほか、今回、皆様からいただいたご意見等につきましては、今後、国土形成計画の策定を進めていくにあたって、参考とさせていただきます。
多様な主体が参画した計画づくりを目指していくためにも、今後、国土形成計画について、より幅広い国民的な議論を喚起していきたいと考えております。
ご協力ありがとうございました。
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