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 緊急公共工事品質確保対策について
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平成18年12月8日
<問い合わせ先>
大臣官房
 地方課公共工事契約指導室
(対策全般及び特に2、4、5について)

(内線21952)

 技術調査課
(特に、2、6について)

(内線22353)

(特に、1、2、3について)

(内線22334)

 会計課契約制度管理室

(内線21833)

 公共事業調査室

(内線24295)

 官庁営繕部計画課

(内線23223)

総合政策局
 建設業課入札制度企画指導室

(内線24723)

TEL:03-5253-8111(代表)


 

 公共工事において極端な低価格による受注が行われた場合、工事の品質確保への支障、下請へのしわ寄せ、労働条件の悪化、安全対策の不徹底など弊害が懸念されることから、これまでも累次にわたり対策を講じてきたが、いまなお低価格による入札案件が高水準で推移しており、国民の安全・安心に直結する公共工事の品質確保に支障が及ぶおそれが一層高まっている。
 このため、本年4月にとりまとめを行った、工事の施工段階における監督・検査、立入調査等の強化を中心とする対策に加え、今般、下記のとおり、入札段階を中心とした新たな対策を緊急的に実施することとした。

  1. 総合評価落札方式の拡充 (施工体制の確認を行う方式の試行実施)

    〔現状・課題〕

     現在の総合評価制度(価格と品質を総合的に評価して落札者を決定する制度)の運用においては、発注者が求める最低限の施工内容を実現できないと認められた場合を除き、すべての入札参加者がみな同程度に当該施工内容を実現できるものと評価している。
     しかしながら、構築される施工体制の水準に応じて、発注者が示した施工内容を実現できる確実さの程度に自ずと差異があり、とりわけ入札価格の水準により差異が顕著となるが、こうした施工内容実現の確実さの差異は、技術評価点の配点・付与において考慮されてこなかった。
     また、発注者が求める最低限の施工内容を実現できる場合に付与される標準点が100点であるのに対し、技術提案の内容に応じて付与される技術提案加算点の上限は50点(実際の適用では大半が30点以下)であり、入札参加者の技術力を必ずしも十分に評価できていない。

    〔新たな対策〕

     <概要>

     新たに、施工体制が確実に確保できるかを審査要素に加味する(施工体制評価点の創設)とともに、技術提案の内容に応じて与えられる技術提案加算点の上限を引き上げ、価格以外の技術面の要素が十分に評価されるようにする。

     ※ 原則、平成18年12月上旬以降に入札手続(公告)を開始するものから適用

    (1)対象工事

     原則として、一般土木工事、鋼橋上部工事、プレストレスト・コンクリート工事及び港湾空港等工事で予定価格が2億円以上のもの。なお、その他の工事についても試行できるものとする。

    (2)技術評価点の拡充

     技術評価点に「施工体制評価点」30点を新たに追加し、品質確保のための体制その他の施工体制の確保状況に応じ、発注者が求める施工内容をより確実に実現できるかどうかを評価する。
     また、発注者が示す標準案以外の施工方法等に関する技術提案に対し、10〜50点の範囲で付与している技術提案加算点を、10〜70点の範囲で付与することとする(簡易型総合評価方式では、10〜30点を10〜50点とする)。
     なお、新技術・新工法等によるコスト縮減の技術提案については、施工体制評価点の審査・評価において考慮する。

    (参考) 技術評価点 標準点100点 +   技術提案加算点10〜50点
         

    技術評価点

     標準点100点 + 施工体制評価点30点 + 技術提案加算点10〜70点
         

    <新規追加>

    <上限を引上げ>

  2. 品質確保ができないおそれがある場合の具体化 (特別重点調査の試行実施)

    〔現状・課題〕

     会計法令においては、最低の価格で入札した者を契約の相手方とすることを原則としているが、その者によって、契約の内容に適合した履行がされるかどうかの「調査」(いわゆる低入札価格調査制度)を行い、履行がされないおそれがあると認めるときは、次順位者と契約できるとしている(会計法(昭和22年法律第35号)第29条の6第1項ただし書)。
     国土交通省では、発注機関(各地方整備局)が定めた基準価格(工事ごとに予定価格の2/3〜8.5/10の範囲内で設定)を下回る入札があった場合に「調査」を行っている。
     しかしながら、「履行がされないおそれがある」場合がどのような場合か明確になっていないため、会計法令に基づく現行制度を的確に運用されていない状況にある。

    〔新たな対策〕

     <概要>

     予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)第86条に基づき、その者により契約内容に適合した履行がされないおそれがあるかどうかを調査する際、極端な低入札者について、特に重点的な調査(特別重点調査)を実施する。
     また、「履行がされないおそれがある」と認められる場合をあらかじめ具体化しておき、特別重点調査の結果を踏まえ、これらに該当すると認めるときは、その入札参加者とは契約を結ばないこととし、低入札価格調査制度の的確な運用を図る。

     ※ 原則、平成19年1月1日以降の入札に係るものから適用

    (1)対象工事(特別重点調査の対象者の絞り込み)

     予定価格2億円以上の工事で、その者の入札価格が調査基準価格を下回り、かつ、入札価格の積算内訳である費目別金額を予定価格の積算の前提とした費目別金額で除して得た割合が一定割合※を下回る入札をした者を対象に、(2)の厳格な調査を実施する。
    直接工事費で75%、共通仮設費で70%、現場管理費で60%若しくは一般管理費で30%。ただし、新技術・新工法等によるコスト縮減により一定割合を下回る場合は、適用対象外。

    (2)特別重点調査の試行実施

    • 入札参加者が作成した積算内訳書が、品質の確保がされないおそれがある極端な低価格での資材・機械・労務の調達を見込んでいないか、
    • 品質管理体制、安全管理体制が確保されないおそれがないか等を調査し、契約内容が履行されないおそれがないかを厳格に審査する。

    (3)低入札価格制度の的確な運用による落札者の決定

     調査の結果を踏まえ、例えば、次のような場合は、契約内容を的確に履行できないおそれがあると認め、法令に基づく所定の手続を経て、次順位者と契約。
    • 品質が確保された取引実績を過去の契約書等で証明できない場合
    • 交通誘導員の確保や品質確保に関する各種試験等に要する費用・体制を見込んでいない場合        等

  3. 一般競争参加資格として必要な同種工事の実績要件の緩和

    〔現状・課題〕

     一般競争入札の参加資格として、参加企業及び配置予定技術者に、元請として過去に同種工事を施工した実績があることを求めている。
     現在、同種工事の経験として認める対象期間は、少なくとも10年とされており、同種工事の施工実績がこの対象期間外のものしかなくなると、一般競争参加資格の一つである同種工事の施工実績要件を満たさなくなることから、無理な低価格で入札してでも「実績づくり」をせざるを得ないとの指摘がある。

    〔新たな対策〕

    一般競争入札の参加資格の一つである「同種工事の施工実績」として、当面、最大で過去15年以内の施工実績まで対象とすることができるよう要件を緩和する。
    ※ 平成18年12月上旬以降に入札手続(公告)を開始するものから適用

  4. 「入札ボンド」の導入拡大

    〔現状・課題〕

     「入札ボンド」制度は、金融機関等の引受機関による与信審査や与信枠管理を通じ、履行能力に比して過大な入札をする建設業者を排除する仕組みである。
     入札参加予定者が低価格で入札をしようとする場合において、ボンド引受機関の与信審査により「入札ボンド」が発行されないときは、その者は、入札に参加することができない。また、低価格受注により利益率が低下すれば、引受機関は、その企業の評価を下げ、与信枠を縮小することとなる。このため、「入札ボンド」は、低入札を排除し、又は抑制する機能を有している。
     国土交通省直轄工事においては、平成18年10月以降に入札手続(公告)を開始する工事について「入札ボンド」の提出を義務づける取扱を試行的に開始しているが、その対象は、WTO(政府調達協定)対象案件(予定価格が7.2億円以上の工事)に限られているため、低入札排除の効果も大規模工事に限定されている。
     また、与信枠の縮小を嫌って低入札が抑制されるとの効果が一層発揮されるようにするためには、国土交通省直轄工事以外でも多くの発注機関が多くの対象工事で「入札ボンド」の導入を進め、引受機関による与信枠管理が有効に機能するようにしていく必要がある。

    〔新たな対策〕

     下請業者への不当なしわ寄せや手抜き工事につながりかねない無理な低価格受注が、市場の与信審査機能を通じて的確に排除されるよう、国土交通省直轄工事において試行導入している「入札ボンド」について、地方公共団体等における導入状況を踏まえた対象拡大を図る。

     具体的には、宮城県が平成18年11月以降に公告する3億円以上の工事すべてについて「入札ボンド」を試行導入するのにあわせ、東北地方整備局発注の宮城県内工事については、予定価格2億円以上のものまで試行対象を拡大する(現行7.2億円以上)。
     ※ 平成18年12月上旬以降に入札手続(公告)を開始するものから適用

  5. 公正取引委員会との連携強化

    〔現状・課題〕

     地方整備局発注工事において、談合情報が寄せられた場合や談合疑義事実がある場合は、直ちに公正取引委員会へ関係情報を通報するなど連携体制が構築されているが、立入調査に基づく建設業許可部局による対応等のダンピング対策等についても、公正取引委員会と連携を強化する必要がある。

    〔新たな対策〕

    国土交通省が発注機関として入手する低価格入札案件情報(入札結果情報、特別重点調査により赤字受注のおそれありとされた結果等)や建設業許可部局が実施する立入調査の結果等について、必要に応じ公正取引委員会に対し通報等を実施するものとし、国土交通省と公正取引委員会との連絡会議(平成18年10月12日に第1回開催)を随時開催することにより、連携を一層強化する。

  6. 予定価格の的確な見直し

    〔現状・課題〕

    急激な平均落札率の低下を踏まえ、最新の取引実例の積算基準への速やかな反映が求められている。

    〔新たな対策〕

    最近の入札価格の動向を踏まえ、施工形態の合理化による影響を把握するため、特別に実態調査を実施するとともに、その結果を迅速かつ的確に予定価格(積算基準)に反映させる。

    ※ 平成18年度中に実態調査に着手し、その結果を踏まえて積算基準に反映。

 


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