平成18年8月2日 |
<問い合わせ先> |
土地・水資源局地価調査課 |
(内線30322、30323) |
TEL:03-5253-8111(代表)
|
8月1日14:00より国土交通省(3号館)11階特別会議室において、第21回国土審議会土地政策分科会不動産鑑定評価部会が開催された。議事概要は以下の通り。
次の議題について事務局より説明が行われ、その後討議がなされた。
- 最近の不動産投資市場の動向について
- 最近の投資不動産に関わる鑑定評価について
- 不動産投資市場検討小委員会報告書(鑑定評価関連部分を抜粋)について
- 不動産投資市場の進展に係る不動産の鑑定評価を取り巻く課題と論点について
- 不動産鑑定評価部会の今後の当面の進め方(案)について
各委員から出された意見の概要は以下の通り。
- (不動産投資市場に対応した鑑定評価のあり方)
- 投資不動産の経済的価値を評価するに当たっては、情報の整備や分析手法の確立のほか、市場そのものに対する分析評価が必要であり、収支項目の統一等によるDCF法の精緻化は、前二者について適切な鑑定評価を促す効果が期待される。
- 情報が不完全な不動産投資市場においては、リスクに関する認識や態度が分析する者の主観によって異なる。本来市場に関わる情報を収集し、分析に結び付けることが鑑定士の専門性として重要だが、ここが対応が遅れている点でもある。鑑定価格をリスクに応じた幅で示し、市場価値はその幅の中からポイントとして示すことも検討すべきではないか。
- 不動産鑑定士の鑑定評価業務の品質管理という観点からは、作業を行う上での統一的な基準は必要条件ではあるが、十分条件ではない。品質管理には、業界における自主規制と行政による監督とが適切に役割分担する必要があることに留意する必要がある。
- 不動産証券化の出現からまだ日が浅く、収益不動産を評価する上でも収益を基盤として評価することが定着していないのではないか。
- (不動産鑑定業・士のあり方)
- 不動産投資市場の急速な拡大に対応して、専門性の高い不動産鑑定士が各々独自のノウハウを用いて鑑定評価を行って来たことが、むしろ現在の運用の不統一につながっているというのが実情ではないか。
- 企業会計という観点からは、アメリカの会計実務は未だ取得原価主義に近く、むしろ欧州のような思い切った時価会計のあり方を見習うべきではないか。
- ERも鑑定評価も、不動産証券化においてはデュー・ディリジェンスの一環と見るべきである。その際には投資家に対して公正であることが重視されるべきであり、信頼できるデュー・ディリジェンスには、正当な報酬を得て、信頼できる報告を行うという態度が重要である。
- (海外不動産の鑑定評価について)
- 海外不動産に関する鑑定評価実務のあり方の検討は、単にJリートが海外不動産を取得するために必要なだけではなく、むしろ、その検討を行うことにより諸外国の制度に関する情報を集積し、日本の鑑定評価制度のあり方を見直す契機ともなることから、今後当面検討すべき課題とすべきではないか。
- 香港やシンガポール等のアジアリートは、中国やインドの不動産をパイプライン契約で組み入れることにより急成長している。海外不動産取得に向けた検討に早く取り組まなければ、アジアの市場間ではより競争的になり、先行の利があるJリートの優位性もあと数年で失われてしまう。
- (その他)
- 鑑定評価を依頼する側の倫理性・専門性を高めることも検討されなければ、健全に不動産投資市場は発展しないおそれがある。
All Rights Reserved, Copyright (C) 2006, Ministry of Land, Infrastructure and Transport