平成18年3月16日 |
<問い合わせ先> |
都市・地域整備局 |
地方整備課 |
(内線32432) |
TEL:03-5253-8111(代表)
|
豪雪地帯における安全安心な地域づくりに関する懇談会(第2回)が平成18年3月1日(水)14時より、経済産業省別館10階1036号会議室にて開催されました。議事要旨は下記のとおりです。
<議事要旨>
- 過疎化、高齢化に問題の原点がある。高齢者はそこに安定して住みたいという希望を持っており、それを支える仕組み、例えばもっと雪に強い集合住宅を作ることを、プライバシー確保も含めてやるべきである。地域づくりのベースになるのは道路交通の安全安心である。それから住宅であり、今のところに住むのかどうかなどを考えることが必要である。
- 豪雪地帯のとりわけ中山間地域の住み方を長い目でどう考えるか、集落から離れたくないという当面の問題をどう考えるかで対策が変わる。
- 孤立集落には高齢者がたくさんいるが、その場所からなかなか離れないだろうと考える。その暮らしは快適であり、その環境の中で暮らしていて大変元気である。それらに対し、どういう形で対策を行うかが課題である。50歳を過ぎる柔軟性が全くなくなり屋根から落ちたら怪我になることが多く、40代とは全く違う。
- 中山間地域の高齢者が住み慣れた場所に住み続けたいというのは当然の願いであり、何が一番必要か考えると、冬をいかに過ごすかである。冬期居住は本腰を入れて考えなければならない課題である。
- ボランティアの雪処理だが、山間地域では近い将来広域支援に頼らざるを得ない状況になる可能性がある。ボランティアとの交流を通して課題を解決することを今まで以上に考えていかなければならない。ミスマッチの問題が挙げられるが、日頃から、ボランティアのスキルを向上させ認定していくようなシステムも考えられる。地域をコーディネートする人達が雪処理のコーディネーターとしても活躍するようなことができれば、マッチングが可能になってくると考えられる。
- 道路に関して著しく問題になっているのは事故の問題、走行不能の問題だと思う。ノーマルタイヤの問題や、後からどんどん入ってくる車が問題を大きくすることなどがある。
- 建物については、耐雪強度の再点検ということも考えなければならない。落雪事故もかなりあり、落雪させない建物の研究をきちんとしていくべき。ビルなどの落雪防止のネットとか柵とかあるが、指針を出しながら安全の確保をすることが必要である。
- 冬期居住は条件が成り立つならオプションとして考えるべき。山古志の復興を考える上では、将来リタイヤして田舎に住みたいという人もいるので、中山間地域の中にも集合住宅の考え方があってもいい。単身世帯のケアもしやすくなり、農業もでき、山の暮らし、生業、生きがいを奪わず、なおかつ安心な暮らし、福祉の部分でも今までよりレベルの高い暮らしを目指す。雪処理に関してもフリーにしてあげるような、夢のあるプランを出せないかと思っている。
- 除雪に対し広域支援をしたいという声が大きいにもかかわらず、安全確保ができないことから、受け皿が少ない。大雪になってから人を頼もうと思っても無理であり、未経験の人を入れても現実には無理。中越地震被災地の周辺地域は地震で防災意識が高まっており、NPO組織の芽が出ている。これらとタイアップしながら、除雪士認定、コーディネーター養成などに向けて、日ごろの交流の中でスキルアップをすることが、具体的で即効性のある対策だと考えられる。
- 雪が少ない地域も地域防災力が落ちている。まちはどうあるべきか、雪国の暮らしはどうあるべきか、ということが大事になっている。地域で雪について学ばなければならない。地域の大人も子供も雪について学ぶ「学雪」が必要である。そこから雪とどうつきあうかが出てくる。子供の頃からの土壌づくりが必要である。
- 村が消えて行くまでの対処療法では困る。長く住んで行くための方策をきちんと考えるべき。
- 若い人の要求する生活水準はどんどん上がっており、根本的に雪下ろしをしなくてよい環境、除雪の雪捨てに苦労しなくてよい環境などをどう作るかという観点で施策を考える必要がある。抜本的にやるとかなりお金がかかると思うが、基盤整備により、生活の要求水準の高い人も住める環境づくりをある程度用意する必要がある。中山間地域をどう評価するかというのは国土政策とも絡むことだと考える。
- 集合住宅のあり方を、こういう豪雪の時にもう少し上手に考えて、交通ネットも情報ネットも作りやすい形でやる必要がある。これからは、道路交通の安全安心はベースとして継続的にやりつつ、新たにやっていくのは住宅対策であると考えられる。例えば馬蹄形の集合住宅などで、プライバシー、コミュニティ、医療、情報にも配慮したものが考えられる。
- お年寄りは先祖伝来の土地に住み続けたい。都会の人で中山間地域で農業体験したい人など、新しく入ってくる人なら集合住宅に馴染むと考えられるので、対象をきちんと考えなければならない。
- ボランティアは一方向の施しではなく、むしろ理想的には双方向的なものでないといけない。その地域の人たちにとっては、時間的な差のある相互扶助である。地域外の人たちにとっては、過酷な条件の中で生活の知恵を発揮しながら生きている人たちとの交流がある。オープンな関係を地域外の人たちと作ることにより、発展するものもあり、新しく住みたくなる人も出てくる。住み続ける地域から、むしろ住み継いでいけるような地域を作っていくことを考えていく必要がある。
- 今ある集落を集合住宅にするのは無理があるが、これから再構築する集落がモデルとなり、その暮らしがみんなから見てよいものならば、全国に少しずつ広がるかもしれない。新しい価値観を与えて集落再生を考える一つの事例として集合住宅という形の復興というのもあり得るのではないか。
- 住宅というのは文化である。集合住宅に住みたいという人も中にはいるだろうし、いろんな文化があり、いろんなメニューを用意することが大事なことである。今住んでいるお年寄りをきちんとそこに住み続けさせるということも大事であるとともに、基盤整備に繋がるような抜本的な提案が必要である。
- ボランティアだけではなく、公務員同士、例えば自治体職員、消防、警察、自衛隊など危機管理の根本にある機関の日頃からの連携が必要であり、その辺も入れておく必要がある。次回に向けて、具体的なユーザーは多様な価値観を持っているので、少しでも防災力が高まる豊富なメニューを用意することが必要である。また、今年のような大雪に効を奏するような対策的メニューを用意することが必要である。

All Rights Reserved, Copyright (C) 2006, Ministry of Land, Infrastructure and Transport